厚年(2023本試験)
2023年12月24日
89問目は、選択式の厚生年金保険法です。
正答率30%の問題です。
※難問です。
※厚生年金保険法(選択式・択一式)の中で一番難しかった問題です。
<問題( 選択式 厚年 D)>
令和Ⅹ年度の年金額改定に用いる物価変動率がプラス0.2%、名目手取り賃金変動率がマイナス0.2%、マクロ経済スライドによるスライド調整率がマイナス0.3%、前年度までのマクロ経済スライドの未調整分が0%だった場合、令和Ⅹ年度の既裁定者(令和Ⅹ年度が68歳到達年度以後である受給権者)の年金額は、前年度から D となる。なお、令和Ⅹ年度においても、現行の年金額の改定ルールが適用されているものとする。
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step1 次の選択肢の中から答を選んでください。
① 0.1%の引下げ
② 0.2%の引下げ
③ 0.5%の引下げ
⑮ 据置き
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step2 正解は・・・
D → ② 0.2%の引下げ(法43条の5)
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step3 コメント
・選択式の厚生年金保険法のDは、年金額の改定の事例問題であり、面食らった人もいたに違いありません。ただ、基本事項を押さえていれば対処可能だったと思われます。
次回もがんばりましょう。
2023年12月23日
88問目は、択一式の厚生年金保険法です。
正答率32%の問題です。
※難問です。
<問題( 択一式 厚年 問8 )>
〔問 8〕 厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 特定4分の3未満短時間労働者に対して厚生年金保険が適用されることとなる特定適用事業所とは、事業主が同一である1又は2以上の適用事業所であって、当該1又は2以上の適用事業所に使用される労働者の総数が常時100人を超える事業所のことである。
B 毎年12月31日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の100分の200に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行わなければならない。
C 政府は、令和元年8月に、国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しを公表した。そのため、遅くとも令和7年12月末までには、新たな国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しを作成しなければならない。
D 国民年金法による年金たる給付及び厚生年金保険法による年金たる保険給付については、モデル年金の所得代替率が100分の50を上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保するものとされている。この所得代替率の分母の基準となる額は、当該年度の前年度の男子被保険者の平均的な標準報酬額に相当する額から当該額に係る公租公課の額を控除して得た額に相当する額である。
E 厚生年金保険の任意単独被保険者となっている者は、厚生労働大臣の認可を受けて、被保険者の資格を喪失することができるが、資格喪失に際しては、事業主の同意を得る必要がある。
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step1 正解は・・・
D
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step2 解説
A × (法附則17条12項)「特定適用事業所」とは、事業主が同一である1又は2以上の適用事業所であって、当該1又は2以上の適用事業所に使用される「特定労働者」の総数が、常時100人を超える事業所のことである。なお、「特定労働者」とは、70歳未満の者のうち、厚生年金保険法12条各号(適用除外)のいずれにも該当しないものであって、特定4分の3未満短時間労働者以外の者をいう。
B × (法20条2項)毎年「3月31日」における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の100分の200に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、健康保険法40条1項に規定する標準報酬月額の等級区分を参酌して、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を「行うことができる」。
C × (法2条の4第1項)「令和7年12月末まで」という記述が誤りである。政府は、少なくとも5年ごとに財政の現況及び見通しを作成しなければならないとされているため、次回の財政検証は令和6年に実施される。
D 〇 (平16法附則2条1項)本肢のとおりである。所得代替率とは公的年金の給付水準を示す指標であり、現役男子の平均手取り収入額に対する年金額の比率により表される。
E × (法11条)任意単独被保険者の資格喪失の認可を受けるときは、事業主の同意は不要である。
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step3 コメント
・択一式の厚生年金保険法の問8は、Aと正解肢であるDで迷った人が多かったように思われます。他の肢の正誤判断は比較的容易でありますが、AとDについては、正確に押さえていないと確信を持って解答することができなくなってしまいます。
次回もがんばりましょう。
2023年12月18日
83問目は、択一式の厚生年金保険法です。
正答率38%の問題です。
※難問です。
<問題( 択一式 厚年 問4 )>
〔問 4〕 厚生年金保険法に関する次のアからオの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア 被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。
イ 厚生年金保険の適用事業所で使用される70歳以上の者であっても、厚生年金保険法第12条各号に規定する適用除外に該当する者は、在職老齢年金の仕組みによる老齢厚生年金の支給停止の対象とはならない。
ウ 被保険者が同時に2以上の事業所に使用される場合における各事業主の負担すべき標準賞与額に係る保険料の額は、各事業所についてその月に各事業主が支払った賞与額をその月に当該被保険者が受けた賞与額で除して得た数を当該被保険者の保険料の額に乗じて得た額とされている。
エ 中高齢寡婦加算が加算された遺族厚生年金の受給権者である妻が、被保険者又は被保険者であった者の死亡について遺族基礎年金の支給を受けることができるときは、その間、中高齢寡婦加算は支給が停止される。
オ 経過的寡婦加算が加算された遺族厚生年金の受給権者である妻が、障害基礎年金の受給権を有し、当該障害基礎年金の支給がされているときは、その間、経過的寡婦加算は支給が停止される。
A 一つ
B 二つ
C 三つ
D 四つ
E 五つ
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step1 正解は・・・
D
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step2 解説
ア 〇 (法19条1項)本肢のとおりである。
イ 〇 (法46条1項)本肢のとおりである。厚生年金保険の適用事業所で使用される70歳以上の者であっても適用除外に該当する者は、「70歳以上の使用される者」には該当しないため、在職老齢年金の規定は適用されない。
ウ × (法82条3項、令4条2項)被保険者が同時に2以上の事業所に使用される場合における各事業主の負担すべき標準賞与額に係る保険料の額は、各事業所についてその月に各事業主が支払った賞与額をその月に当該被保険者が受けた賞与額で除して得た数を当該被保険者の保険料の「半額」に乗じて得た額とされている。
エ 〇 (法65条)本肢のとおりである。
オ 〇 (昭60法附則73条1項)本肢のとおりである。
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step3 コメント
・択一式の厚生年金保険法の問4は、個数問題でした。アとイは難易度が低いものの、エとオの難易度が比較的高かったことと、個数問題ということで、正解することは難しいと思われます。
次回もがんばりましょう。
2023年12月13日
78問目は、択一式の厚生年金保険法です。
正答率44%の問題です。
<問題( 択一式 厚年 問1 )>
〔問 1〕 厚生年金保険法第26条に規定する3歳に満たない子を養育する被保険者等の標準報酬月額の特例(以下本問において「本特例」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 本特例についての実施機関に対する申出は、第1号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者はその使用される事業所の事業主を経由して行い、第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者は事業主を経由せずに行う。
B 本特例が適用される場合には、老齢厚生年金の額の計算のみならず、保険料額の計算に当たっても、実際の標準報酬月額ではなく、従前標準報酬月額が用いられる。
C 甲は、第1号厚生年金被保険者であったが、令和4年5月1日に被保険者資格を喪失した。その後、令和5年6月15日に3歳に満たない子の養育を開始した。更に、令和5年7月1日に再び第1号厚生年金被保険者の被保険者資格を取得した。この場合、本特例は適用される。
D 第1子の育児休業終了による職場復帰後に本特例が適用された被保険者乙の従前標準報酬月額は30万円であったが、育児休業等終了時改定に該当し標準報酬月額は24万円に改定された。その後、乙は第2子の出産のため厚生年金保険法第81条の2の2第1項の適用を受ける産前産後休業を取得し、第2子を出産し産後休業終了後に職場復帰したため第2子の養育に係る本特例の申出を行った。第2子の養育に係る本特例が適用された場合、被保険者乙の従前標準報酬月額は24万円である。
E 本特例の適用を受けている被保険者の養育する第1子が満3歳に達する前に第2子の養育が始まり、この第2子の養育にも本特例の適用を受ける場合は、第1子の養育に係る本特例の適用期間は、第2子が3歳に達した日の翌日の属する月の前月までとなる。
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step1 正解は・・・
A
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step2 解説
A 〇 (法26条1項・4項)本肢のとおりである。第2号厚生年金被保険者であり若しくはあった者又は第3号厚生年金被保険者であり若しくはあった者に係る養育特例の申出は、事業主を経由せずに行うものとされている。
B × (法26条1項)本特例が適用される場合であっても、保険料額の計算については実際の標準報酬月額を用いる。
C × (法26条1項)本肢の場合、本特例の対象となる子の養育を開始した日の属する月の前月において被保険者資格を喪失しており、かつ、当該月前1年以内に被保険者であった月がないため、本特例は適用されない。
D × (法26条3項)本肢の場合、乙の従前標準報酬月額は「30万円」となる。第1子の養育特例期間中に第2子に係る法81条の2の2の規定(産前産後休業期間中の保険料免除の規定)の適用を受ける産前産後休業を開始したときは、第1子の養育特例は終了するが、この場合、第1子に係る基準月の標準報酬月額が第2子の従前標準報酬月額として適用される。
E × (法26条1項)第1子の養育特例期間中に第2子の養育を開始したときは、第1子の養育特例は終了する。したがって、第1子の養育に係る本特例の適用期間は、「第2子を養育することとなった日の翌日の属する月の前月まで」となる。
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step3 コメント
・択一式の厚生年金保険法の問1は、3歳に満たない子を養育する被保険者等の標準報酬月額の特例の問題でした。ここは、学習が後回しになりがちなところであり、問1から難易度が高くやっかいな問題です。ただ、本問が正解できている人は、おそらく厚年の得点は良かったように思われます。
次回もがんばりましょう。
2023年12月10日
75問目は、択一式の厚生年金保険法です。
正答率45%の問題です。
<問題( 択一式 厚年 問3 )>
〔問 3〕 厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 任意適用事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けることにより当該事業所を適用事業所でなくすることができるが、このためには、当該事業所に使用される者の全員の同意を得ることが必要である。なお、当該事業所には厚生年金保険法第12条各号のいずれかに該当する者又は特定4分の3未満短時間労働者に該当する者はいないものとする。
B 死亡した被保険者に死亡の当時生計を維持していた妻と子があった場合、妻が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって、子が当該遺族基礎年金の受給権を有していても、その間、妻に対する遺族厚生年金は支給される。
C 適用事業所に使用される70歳未満の者は、厚生年金保険の被保険者となるが、船舶所有者に臨時に使用される船員であって日々雇い入れられる者は被保険者とはならない。
D 老齢厚生年金における加給年金額の加算対象となる配偶者が、繰上げ支給の老齢基礎年金の支給を受けるときは、当該配偶者に係る加給年金額は支給が停止される。
E 被保険者であった70歳以上の者で、日々雇い入れられる者として船舶所有者以外の適用事業所に臨時に使用されている場合(1か月を超えて引き続き使用されるに至っていないものとする。)、その者は、厚生年金保険法第27条で規定する「70歳以上の使用される者」には該当しない。
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step1 正解は・・・
E
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step2 解説
A × (法8条)本肢の場合には、当該事業所に使用される者の「4分の3以上」の同意を得ることが必要である。
B × (法66条2項)本肢の場合には、妻に対する遺族厚生年金は支給が停止される。配偶者に対する遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、配偶者が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって子が当該遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間、その支給を停止する。
C × (法12条)臨時に使用される者であっても船舶所有者に使用される船員については適用除外とはされないため、厚生年金保険の被保険者となる。
D × (法46条6項、令3条の7)配偶者が、繰上げ支給の老齢基礎年金の支給を受ける場合であっても、配偶者に係る加給年金額は支給停止とならない。
E 〇 (法27条、則10条の4)本肢のとおりである。「70歳以上の使用される者」とは、被保険者であった70歳以上の者のうち、当該適用事業所に使用されるものであって、法12条各号(適用除外)に定める者に該当するものでないものをいう。
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step3 コメント
・択一式の厚生年金保険法の問3の正解肢のEは、わかっていれば即答できる問題ではありますが、他の肢の難易度が比較的高いものが多いため混乱してしまいがちな問題です。
次回もがんばりましょう。