労基(2023本試験)

2023年12月30日

「ランチタイム・スタディ( 2023本試験)」の第95問です。
95問目は、択一式の労働基準法です。

正答率21%の問題です。

※労働基準法(選択式・択一式)の問題の中で一番難しかった問題です。
※難問です。

<問題( 択一式 労基 問7 )>

〔問 7〕 労働基準法に定める労働時間等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 労働基準法第32条の3に定めるフレックスタイム制において同法第36条第1項の協定(以下本問において「時間外・休日労働協定」という。)を締結する際、1日について延長することができる時間を協定する必要はなく、1か月及び1年について協定すれば足りる。

B 労使当事者は、時間外・休日労働協定において労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる業務の種類について定めるに当たっては、業務の区分を細分化することにより当該業務の範囲を明確にしなければならない。

C 労働基準法に定められた労働時間規制が適用される労働者が事業主を異にする複数の事業場で労働する場合、労働基準法第38条第1項により、当該労働者に係る同法第32条・第40条に定める法定労働時間及び同法第34条に定める休憩に関する規定の適用については、労働時間を通算することとされている。

D 労働基準法第39条第5項ただし書にいう「事業の正常な運営を妨げる場合」か否かの判断に当たり、勤務割による勤務体制がとられている事業場において、「使用者としての通常の配慮をすれば、勤務割を変更して代替勤務者を配置することが客観的に可能な状況にあると認められるにもかかわらず、使用者がそのための配慮をしないことにより代替勤務者が配置されないときは、必要配置人員を欠くものとして事業の正常な運営を妨げる場合に当たるということはできないと解するのが相当である。」とするのが、最高裁判所の判例である。

E 使用者は、労働時間の適正な把握を行うべき労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録することとされているが、その方法としては、原則として「使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること」、「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること」のいずれかの方法によることとされている。


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step1 正解は・・・


C


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step2 解説

(法32条の3、平30.12.28基発1228第15号)本肢のとおりである。フレックスタイム制を採用した場合には、時間外労働の判断は清算期間を単位として行うこととなり、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間が時間外労働となる。したがって、法36条1項の規定による協定についても、1日について延長することができる時間を協定する必要はなく、清算期間を通算して時間外労働をすることができる時間を協定すれば足りる。

(法36条2項、平30.9.7厚労告323号)本肢のとおりである。

× (法38条1項、令2.9.1基発0901第3号)法34条に定める休憩に関する規定の適用については、「労働時間は通算されない」。休憩(法34条)、休日(法35条)、年次有給休暇(法39条)については、労働時間に関する規定ではなく、その適用において自らの事業場における労働時間及び他の使用者の事業場における労働時間は通算されない。なお、法定労働時間(法32条、法40条)の適用については、労働時間は通算される。

(法39条5項、昭62.7.10最高裁判決弘前電報電話局事件)本肢のとおりである。労基法39条5項ただし書にいう「事業の正常な運営を妨げる場合」か否かの判断に当たって、代替勤務者配置の難易は、判断の一要素となるというべきであるが、特に、勤務割による勤務体制がとられている事業場の場合には、重要な判断要素であることは明らかである。したがって、そのような事業場において、使用者としての通常の配慮をすれば、勤務割を変更して代替勤務者を配置することが客観的に可能な状況にあると認められるにもかかわらず、使用者がそのための配慮をしないことにより代替勤務者が配置されないときは、必要配置人員を欠くものとして事業の正常な運営を妨げる場合に当たるということはできないと解するのが相当である。

(法32条、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン)本肢のとおりである。


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step3 コメント

・択一式の労働基準法の問7は、正解肢であるCの「休憩に関する規定の適用については、労働時間は通算されない」ところが盲点でした。よく考えれば当たり前のことですが、ただ単に「複数事業労働者の労働時間は通算される」とだけ覚えていた場合には、ひっかかってしまいます。



次回もがんばりましょう。




2023年12月21日

「ランチタイム・スタディ(2023本試験)」の第86問です。

86問目は、選択式の労働基準法です。

正答率34%の問題です。


<問題( 選択式 労基 B)>

最高裁判所は、労働者の指定した年次有給休暇の期間が開始し又は経過した後にされた使用者の時季変更権行使の効力が問題となった事件において、次のように判示した。

「労働者の年次有給休暇の請求(時季指定)に対する使用者の時季変更権の行使が、労働者の指定した休暇期間が開始し又は経過した後にされた場合であつても、労働者の休暇の請求自体がその指定した休暇期間の始期にきわめて接近してされたため使用者において時季変更権を行使するか否かを事前に判断する時間的余裕がなかつたようなときには、それが事前にされなかつたことのゆえに直ちに時季変更権の行使が不適法となるものではなく、客観的に右時季変更権を行使しうる事由が存し、かつ、その行使が B されたものである場合には、適法な時季変更権の行使があつたものとしてその効力を認めるのが相当である。」



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step1 次の選択肢の中から答を選んでください。


⑩ 企業運営上の必要性から
⑫ 行政官庁の許可を受けて
⑬ 厚生労働省令で定めるところにより
⑯ 遅滞なく


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step2 正解は・・・


B → ⑯ 遅滞なく(昭57.3.18最高裁判決此花電報電話局事件)
   

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step3 コメント

・選択式の労働基準法のBは、「此花電報電話局事件」からの出題でした。正解の「遅滞なく」という文言は、届出でよく使われる用語で、判例からの出題としては違和感があるものの、判旨の意味を考えて正解を導き出したいところです。なお、本問は正答率34%ですが、合格者の正答率は5割を超えていましたので、難問表示はしませんでした。



次回もがんばりましょう。



2023年12月19日

「ランチタイム・スタディ( 2023本試験)」の第84問です。
84問目は、択一式の労働基準法です。

正答率37%の問題です。


<問題( 択一式 労基 問1 )>

〔問 1〕 下記のとおり賃金を支払われている労働者が使用者の責に帰すべき事由により半日休業した場合、労働基準法第26条の休業手当に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
賃金:日給 1日10,000円
半日休業とした日の賃金は、半日分の5,000円が支払われた。
平均賃金:7,000円

A 使用者は、以下の算式により2,000円の休業手当を支払わなければならない。
7,000円 - 5,000円 = 2,000円

B 半日は出勤し労働に従事させており、労働基準法第26条の休業には該当しないから、使用者は同条の休業手当ではなく通常の1日分の賃金10,000円を支払わなければならない。

C 使用者は、以下の算式により1,000円の休業手当を支払わなければならない。
10,000円 × 0.6 - 5,000円 = 1,000円

D 使用者は、以下の算式により1,200円の休業手当を支払わなければならない。
(7,000円 - 5,000円)× 0.6 = 1,200円

E 使用者が休業手当として支払うべき金額は発生しない。


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step1 正解は・・・


E


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step2 解説

(法26条、昭27.8.7基収3445号)休業手当の対象となる労働日について、当該労働日の一部を休業した場合は、労働した時間の割合で既に賃金が支払われていても、その日につき、全体として平均賃金の100分の60までは支払われなければならず、実際に支給された賃金が平均賃金の100分の60に達しない場合には、その差額を支給しなければならない。したがって、本問の場合、休業した日について、4,200円(平均賃金(7,000円)×60/100)以上の休業手当を支払わなければならないこととなるが、すでに賃金として5,000円が支払われているため、使用者が休業手当として支払うべき金額は発生しない。


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step3 コメント

・択一式の労働基準法の問1は、事例問題でした。労基法の最初の問題が事例とあって、出鼻をくじかれた方もいたでしょう。正解であるEだけ、理由の算式が示されていないことからも、確固たるものが無い限り、なかなかEを選ぶのは勇気がいることと思われます。



次回もがんばりましょう。




2023年12月16日

「ランチタイム・スタディ( 2023本試験)」の第81問です。
81問目は、択一式の労働基準法です。

正答率40%の問題です。


<問題( 択一式 労基 問3 )>

〔問 3〕 労働基準法の年少者及び妊産婦等に係る規定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 年少者を坑内で労働させてはならないが、年少者でなくても、妊娠中の女性及び坑内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出た女性については、坑内で行われるすべての業務に就かせてはならない。

B 女性労働者が妊娠中絶を行った場合、産前6週間の休業の問題は発生しないが、妊娠4か月(1か月28日として計算する。)以後行った場合には、産後の休業について定めた労働基準法第65条第2項の適用がある。

C 6週間以内に出産する予定の女性労働者が休業を請求せず引き続き就業している場合は、労働基準法第19条の解雇制限期間にはならないが、その期間中は女性労働者を解雇することのないよう行政指導を行うこととされている。

D 災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等を規定した労働基準法第33条第1項は年少者にも適用されるが、妊産婦が請求した場合においては、同項を適用して時間外労働等をさせることはできない。

E 年少者の、深夜業に関する労働基準法第61条の「使用してはならない」、危険有害業務の就業制限に関する同法第62条の「業務に就かせてはならない」及び坑内労働の禁止に関する同法第63条の「労働させてはならない」は、それぞれ表現が異なっているが、すべて現実に労働させることを禁止する趣旨である。



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step1 正解は・・・


A


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step2 解説

× (法63条、法64条の2)坑内で行われるすべての業務に就かせてはならないのは、妊娠中の女性及び坑内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出た「産後1年を経過しない女性」である。

(法65条2項、昭23.12.23基発1885号)本肢のとおりである。出産とは妊娠4箇月以上(1箇月は28日として計算するため、妊娠4箇月以上とは、妊娠85日(28日×3月+1日)以上をいう)の分娩をいい、早産、流産(人工流産を含む)、死産も含まれる。

(法19条1項、昭25.6.16基収1526号)本肢のとおりである。

(法66条2項)本肢のとおりである。使用者は、妊産婦が請求した場合においては、法33条1項及び3項(臨時の必要がある場合の時間外・休日労働)並びに法36条1項(36協定による時間外・休日労働)の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。

(法61条、法62条、法63条、昭23.5.18基収1625号)本肢のとおりである。


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step3 コメント

・択一式の労働基準法の問3は、
年少者及び妊産婦等に関する問題でした。労働基準法の中で一番学習が後手に回る箇所であり、また、本試験に必ず出題されるとも限らないため、学習が手薄になりがちですが、最低限度の知識は持って臨みたいところです。



次回もがんばりましょう。




2023年11月29日

「ランチタイム・スタディ(2023本試験)」の第62問です。

62問目は、選択式の労働基準法です。

正答率59%の問題です。

※いよいよ正答率が6割を割りました。このあたりの問題が解けるかどうかが合否の分かれ目になります。

<問題( 選択式 労基 A )>

労働基準法の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から  A  間行わない場合においては、時効によって消滅することとされている。



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step1 次の選択肢の中から答を選んでください。


① 2年  ② 3年  ③ 5年  ④ 10年


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step2 正解は・・・


A → ① 2年(法115条)
   

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step3 コメント

・選択式の労働基準法のAは、時効からの出題でしたが、基本事項であり、解答を導き出すのは比較的容易であったと思われます。



明日もがんばりましょう。