2024年向け 時期別学習の課題

2023年11月24日

社労士試験は、各科目に基準点が設定されています。
したがって、合格するためには、苦手な科目(学習が手薄な科目)を作ってはなりません。
そうなると、弱点分野の克服をすることが必要になります。

常に弱点分野の克服をするということは理にかなっています。
たとえば、本試験で択一式の健康保険法が4点で、国民年金法、厚生年金保険法が共に8点であった場合、国年、厚年をいくらがんばっても伸びしろは2点ずつしかありませんが、健保には6点の伸びしろがあるわけですから、健保を頑張って学習した方がいいことになります。

ただ、学習する人が機械であればそれでいいのですが、感情を伴う人間です。
常に学習する箇所が弱点分野ということになると、最も不得手な箇所を拾い出して学習することになります。
不得手な箇所は、それなりに不得手になってしまった理由があるはずですから、そこを拾い出して学習するとなると、最も嫌なところ・苦手なところを拾い出して学習することになります。
元々、苦手であるということは、学習が捗らなかったから、気がのらなかったから苦手になってしまったという経緯があるので、そこを懸命に克服しようとしても、徐々に学習する気になれなくなってしまいかねません。

得点状況が芳しい人にとっては、逆にいうと、苦手である箇所が少ないため、我慢してでも学習できるものですが、得点状況が芳しくない人にとっては、苦手な箇所が多く残されていますので、懸命にやっていったとしても、途中で息絶えてしまう可能性があります。

そういう人にとってのアドバイスですが、得意な箇所を作りましょう。
好きな箇所やここだけは他の人に負けないといえる箇所又は科目を作るのです。

学生時代の頃を思い出してください。
国語・数学・理科・社会・英語・・・と教科があって、たとえば、中間テストでちょっとがんばった社会の得点が良くて、先生や親に褒められたとしましょう。
この時には、次の社会の試験もがんばろうとするはずです。
また、社会が出来たのだから、理科もがんばってみようかと思うかもしれません。
要するに、出来たという認識がある教科ができると、他の教科にも波及していくわけです。

社労士の学習も同じです。
できたという科目や箇所があれば、達成感があって、学習意欲が増します。
それを起点に、他の科目も頑張ることができるようになります。

なので、弱点分野の克服も大事ですが、得意分野を作ることも、それに匹敵するくらい、今後の学習のモチベーションに影響していくことになります。
年内の今のうちに、終わっている労働科目の中で何かしら得意分野を作っておきましょう。
ただ、できれば、得点に絡む重要箇所で得意分野ができるといいです。

労基、安衛、労一の中でいうと、やっぱり労基法になります。
労基法の中でも、できれば、労働契約、労働時間、賃金、年次有給休暇(プレミアムテキスト第2~5章)の中で、得意な箇所ができるとより自信が付き、今後の学習への波及効果が高くなります。

なので、たとえば、年次有給休暇を徹底的にやって、得意&好きになってしまい、ここだけは負けないという確固たる箇所を築くと、労働契約、労働時間、賃金辺りも頑張ろうという気になります。
それらができるようになると、せっかくここまでできるようになったんだから、労基の他の箇所で足を引っ張られたくないという気持ちが強くなります。
年少者や妊産婦、就業規則や総則、罰則等で失点したくなくなります。
なので我慢してでも、習得してしまおうということになります。

このように、ひとつの成功体験が他の学習に張りを持たせることにつながります。
新年になって、健保あたりで躓いたとしても、「労基であれだけ頑張れたんだから、健保で躓くことは勿体ない!今だって頑張れるはずだ!!」と思うようになればしめたものです。

ぜひ、今のうちに得意分野を作ってみてください。



2023年11月17日

講義が「労基→安衛→労一→労災」と徐々に進んでくるにつれて、特に11月から年末近くに多くなる質問があります。

「少しは年金をやっておいた方がいいでしょうか。」という質問です。

答えは「ノー」です。
むしろ「やらないでください。」又は「やってはいけません。」と回答しています。

佐藤塾のフルパック☆プラス等のパックを受講いただいている方には、たとえば、労災②③の講義の視聴後には、視聴後1週間以内に講義の倍の時間をかけて、労災②③の過去問と労災②③のテキスト読みをやってくださいとお伝えしています。
労災②③の講義は、1コマ2時間半ですから、2コマで5時間となり、その倍の時間の復習となると10時間になります。
要するに、講義の視聴の時間を含めて、1週あたり15時間の時間をかけて労災②③をじっくりと身につけていくことをお願いしているわけです。

ところが、並行して年金の学習をするとしたら、この労災②③の15時間の学習のうち、たとえば5時間を削って年金にその分、充てることをした場合(すなわち、労災②③はトータル10時間の学習)、どっちも中途半端に終わってしまうことになります。
しっかりと身につけないといけない科目(この週は労災②③)の学習時間を削ることによって、労災②③が仕上がらない状態(消化不良な状態)で終えることになってしまいます。

講義を視聴した際には、なんとなく理解できた気がするので週15時間もかけずに週10時間程度の学習でも理解できるのではないかと感じてしまいがちですが、しっかり15時間かけて学習している人にかないっこありません。
こういう方が知識の整理に大幅な遅れが生じていることに気が付くのは、実は5月以降の直前期になってからです。

だからといって、年金を早くやっていたことに対する成果はほとんどありません。
年金の学習がスタートした時点で、労働科目と社会保険科目を極めていて、「あとは一番肝心な年金科目だ。」と気合を入れて3月以降に徹底して学習していった方が明らかに得点状況が良くなります。

では、週20時間の学習時間が取れる方の場合には、労災②③を15時間、年金を5時間の学習すればいいかというと、そうではありません。
せっかく標準時間の15時間を5時間上回る20時間という学習時間の確保ができるのであれば、既に終わっている科目の底上げをしてください。
今、労災②③の学習をしている週だとすれば、労基①~⑥、安衛①②、労一①~④、労災①のいずれかの底上げということになります。

要するに、上乗せの時間が確保できた場合には、未学習部分の学習(いわば予習)をするのではなく、既に学習が終了している箇所の学習(復習)に充ててください。

冒頭のような「少しは年金をやっておいた方がいいでしょうか。」と言う方は、続いて「忘れないために年金を少しずつでもやっておいた方がいいのではないかと思うのですが。」と言われます。

ただ、このように言われる方ほど、実は令和5年度本試験択一式での国年の得点は7点以下、厚年の得点は5点以下という得点の方が多く、守るべき知識の領域にはありません。
たとえば、択一式の国年が9点以上かつ厚年が7点以上だったいう方の場合には、「忘れてしまうのが怖い。」という言葉に頷けますが、そうでない方の場合には、中途半端に学習するより、忘れてしまっても1から(その代わり徹底的に)学習した方がいいのです。

例年、合格者の方が言われることの中に、「私は特別なことはしてきていません。ただ、言われたことだけはしっかりと守ってきました。」と言う方が大半です。
すなわち、「現」学習部分の復習をしっかりとやりきること(1週間以内のおっかけ復習)と、時間があれば、「既」学習部分の幹を太くすることだけをひたすらやってきて合格しているわけです。

この時期、
講義未学習部分よりも既学習部分の幹を太く
先の心配より以前の補強
で、臨んでください。


2023年11月08日

本日、11月8日は二十四節気(にじゅうしせっき)でいう「立冬」です。
二十四節気とは、1年を24節に分けて、その時期ごとに名前を付けているものです。
今年はまだまだ暖かい日が多いとはいえ、暦の上では冬が始まりました。

これからどんどん寒くなっていきます。
そうなると、手足がかじかんだり、冷え性の人は身体を温めたりすることが必要となり、時間的、体調的な面で、学習に支障をきたすことが多い時期になります。

また、冬の一大イベントとして、年末年始・お正月があります。
その前後は何かと慌ただしく、お酒を飲む機会も多く、学習リズムが崩れがちな時期となります。
(忘年会、クリスマス、仕事納め、大掃除、年賀状出状、買い出し、おせち料理作り、帰省、お墓参り、挨拶まわり、初詣、新年会・・・等々)

したがって、寒くなっても、慌ただしい年末年始の時期に差し掛かってもトーンダウンする率(いつもの学習効率が100である場合に、気温や忙しさで目減りしてしまう率(たとえばマイナス20))を少しでも減らしていけるように、今のうちに学習を軌道に乗せておき、やるべきことはやり切っておくことが肝心です。

今年は熊の被害の報道が多く聞かれますが、熊が冬眠前に餌を蓄えておくようなものです。

そういう意味では、まだ気候が穏やかで学習に適した時期といえる11月をどう自分の味方につけることができるかは大きなポイントになります。

学習が捗る時期に的確に学習しておき、ライバルに少しでも差を付けることができればしめたものです。
少なくとも、そういう気持ちを持って学習に取り組むことができれば、去年の自分とは違った展開を描くことができるでしょう。

11月は23日が勤労感謝の日で祝日ですから、その日も上手く使って学習を進めていきましょう。
頑張りどころといえるのがこの11月といえそうです。



2023年10月26日

楽しく学習を開始(10月前半の課題)して、学習する時間と場所を定型化し習慣化(10月後半の課題)することはできていますか。

「何とか出来ているものの、やる気になった時や好きな科目(箇所)の場合は学習する時間が多くなるが、仕事が忙しくなったり、やる気になれない時や好きになれない科目(箇所)の学習となると、学習時間が極端に少なくなってしまいペースを大きく乱してしまう。」という方は、割と多くいらっしゃることと思います。

学習時間は「絶対」ではないものの、不足していると当然のことながら、合格できません。

たとえば、年1,500時間もの学習する時間を費やしても、的を外した学習やダラダラ学習では合格できません。
だからといって、年350時間(1日1時間程度の学習)程度の学習時間では、どんなに集中して学習したとしても、学習範囲をカバーしきれず、繰り返し覚えることやアウトプットも十分にこなせませんので、合格することは到底できません。

一方で、日頃の生活もありますし、仕事もあり、家族も健康(栄養や睡眠)も大事なことですから、そういった時間を削って無理してまで学習時間を確保することもできません。

ただ、学習時間は一定のバロメーターになることだけは確かです。
知識習得のバロメーターはもちろんのこと、「これだけやったんだから合格できる」という精神的なバロメーターにもなります。

学習時間が増えるということは、それだけ多くの条文等に目を通すことが可能であり、反復する時間も生まれますから、より記憶が鮮明になります。

したがって、社労士試験に合格するために必要な標準的な学習時間を考慮したうえで、自分自身の能力や確保できる学習時間を考え合わせて、日々の学習をする時間を決めるべきです。

①仕事や健康や家族など日常の生活を犠牲にすることなく、②集中力が途切れない学習時間の確保を週単位で定め、③最低限の学習時間の確保を図る、ことを心がけてください。

佐藤塾のパックを受講していただいている人については、週15時間を確保してくださいとお願いをしていますが、そこだけは最低限の時間だと思ってください。

今までの学習で、週15時間の学習時間の確保ができているかどうか、振り返ってみてください。
「できた週もあれば、できなかった週もある」では、合格できません。

学習は楽しくやるに越したことはないのですが、楽しくやるとなると、①一部の興味ある箇所だけ時間を割いてしまい、深堀りした学習ができる箇所とそうでない箇所が入り混じる、②やる気のでる週(疲れていない、仕事が忙しくない週)だけ学習ははかどるものの、そうでない週はほとんどできない、などという事態になってしまうことが想定されます。

どんな状態の時でも、週15時間の確保ができれば、穴が無くなります。
講義で興味関心を引き起こして、その勢いでテキスト読みと過去問に目を通してしまいましょう。
それを前回、お伝えした学習する時間帯と学習する場所を習慣化することで、学習時間の確保を図ります。
そうすれば、比較的楽しい状態で勉強できながら、学習時間の確保ができます。

そういった意味では、日々の学習時間を付けていくのも結構励みになりますよ。
時間の確保を気に留めつつ、学習に励んでいきましょう。



2023年10月07日

できれば1週間単位で、学習する場所時間定型化し、習慣にしてしまいましょう。

予備校を利用する場合であれば、「いつ・どこで」講義を視聴して、その後の復習(おっかけ復習)を「いつ・どこで・何を」するかを決め、表か何かに落とし込みます。

まずは、講義を「いつ」聴くかです。
講義を聴く場合には、音声を伴いますから、どこでもいいという訳にはいきません。
たとえイヤホンを使用するとしても、周りに迷惑にならない環境でなければなりません。

また、できたらですが、疲れている時に視聴するのは得策ではないので、自分にとって頭が冴えている日時を選ぶ方がいいです。
勿論、過去問を解いたり、テキストを読んだりする際も、疲れていないに越したことはないのですが、講義視聴はぼんやりと聴いてしまってはもったいないからです。
集中して聴きたいこともあり、できるだけ頭が冴えている時間帯を選んでください。

それが平日の朝なのか、土曜日なのか、日曜日なのか、人によって違ってくるものと思いますが、自分自身のクオリティが一番高い時を選定してください。

また、講義視聴には、一定の時間が必要となりますから、通勤電車の中の細切れ時間で視聴するということもできませんから、ある程度、まとまった時間の確保が必要になります。

講義視聴する日時が決まったら、続いてその後の復習に当てる時間を決めましょう。
佐藤塾のパックで受講されている方には、講義の倍の時間の復習をお願いしていますので、1週間当たり講義時間を含めて15時間(講義視聴時間を除くと10時間)の復習をする時間帯を設定してください。

あまりきつきつに入れ込むと、できなかったときに穴があいてしまいますから、「予備」のような時間も入れておくとよいでしょう。

ある程度の時間帯が決まれば、次は「どこで」学習するかです。
外で学習を行う場合には、テキストや過去問の教材を持ち運ばないといけませんから、持ち運べる状態である必要があります。

煮詰まらないためにも、自宅以外の場所もリストアップしておきましょう。

なお、週間学習スケジュールは、基本的なものを作ってからは、一定の期間、試してみて、実際にできるかどうかを確認し、できない場合には、少しずつでも時間帯や場所の修正をしていくといいです。

また、週間学習スケジュールは、1つだけでなく、「仕事が忙しい場合」とか「日曜に予定が入ってしまった場合」など、スケジュール2、スケジュール3など、いくつか作っておいてもいいでしょう。
ただ、あまり作り過ぎると、訳が分からなくなってしまいますので、3つ程度がいいのではないかと思われます。

10月後半は、「捗る時間帯」はいつで、「捗る場所」はどこかを明確にして、週間学習スケジュール通りにこなせるかどうかを試してみてください。
これだというスケジュールが定まったら、あとはそれを習慣にしていけばしめたものです。

インプットの時期は長丁場になりますから、習慣化して学習をこなしていくことができれば楽になります。
また、ある程度、こなすことができるようになれば、逆にできないと気持ち悪いという感覚になっていきます。

10月中に設定し、試行錯誤してみてください。
11月からの学習が花開くことになるでしょう。
がんばってみてください。


参考 ☞ 「「学習時間を増やす工夫」について