2過去問焼き直し問題(2023統計数値)
2023年08月19日
<問題(現金給与総額、一般労働者の賃金)>
〔問〕 賃金の動向に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
A 「毎月勤労統計調査令和4年分結果確報」(事業所規模5人以上)によると、令和4年の一人平均月間現金給与総額は、所定内給与、所定外給与、特別に支払われた給与共に増加している。
B 賃金には名目賃金と実質賃金という概念がある。ある時点の賃金が月額20万円で、その1年後に月額22万円に増加したとする。この場合、名目賃金が10%増加したのであって、これだけでは実質賃金がどれだけ増加したのかは分からない。
C 「毎月勤労統計調査令和4年分結果確報」によると、令和4年の実質賃金は、1.0%増となった。
D 「平成13年版労働経済の分析(労働経済白書)」では、一般労働者に比べ賃金の低いパートタイム労働者の増加は、平均賃金を押し下げる効果を持っている、と分析している。
E 「令和4年賃金構造基本統計調査結果の概況」によれば、一般労働者の賃金がピークとなる年齢階級は、男女共に55~59歳となっているが、男性に比べ賃金の上昇が緩やかとなっている。
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step1 正解は・・・
C
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step2 解説
A 〇 (毎月勤労統計調査令和4年分結果確報) 本肢のとおりである。(H11-3E改)
B 〇 本肢のとおりである。(H13-4C)
C × (令和4年賃金構造基本統計調査) 令和4年の実質賃金は、1.0%「減」である。
D 〇 (平成12年毎月勤労統計調査、平成13年版「労働経済白書」) 本肢のとおりである。(H14-1A)
E 〇 (令和4年賃金構造基本統計調査) 本肢のとおりである。(H19-5D改)
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step3 コメント
・賃金の動向からの出題で、毎月勤労統計調査及び賃金構造基本統計調査からの過去問焼き直し問題です。最近ではこのあたりはさほど出題されない傾向にありますが、過去に問われている問題については、念のため再び同様の問題が出題されても解答できるようにしておきたいものです。
・Bについては、「名目賃金」と「実質賃金」の違いを明確に押さえておきましょう。「名目賃金」とは、貨幣単位、つまり市中に流通している通貨の単位で表した賃金のことです。それに対して、「実質賃金」とは、労働者がその労働の対価として受け取る報酬である名目賃金を、その時点での物価水準で除した実際の購買力を示す賃金のことです。したがって、いくら名目賃金が上昇したとしても、それを上回る物価上昇であった場合には、実質賃金はマイナスになってしまいます。
次回もがんばりましょう。

2023年08月11日
<問題(労働組合の実態)>
〔問〕 労働組合の実態に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問はA及びBは「令和3年労働組合活動等に関する実態調査の概況」を、C、D及びEは「平成29年労使間の交渉等に関する実態調査」を参照しており、当該調査による用語及び統計等を利用している。
A 使用者側との労使関係の維持について労働組合の認識をみると、安定的(「安定的に維持されている」と「おおむね安定的に維持されている」の合計)だとする割合が約4分の3になっている。
B 過去3年間において、「何らかの労使間の交渉があった」事項をみると、「賃金・退職給付に関する事項」、「労働時間(労働時間の適正把握を含む)・休日・休暇」、「組合員の雇用の維持」が上位3つを占めている。
C 過去3年間において、使用者側との間で行われた団体交渉の状況をみると、「団体交渉を行った」労働組合が全体の約3分の2、「団体交渉を行わなかった」労働組合が約3分の1になっている。
D 過去3年間において、労働組合と使用者との間で発生した労働争議の状況をみると、「労働争議があった」労働組合は5%未満になっている。
E 労働組合と使用者(又は使用者団体)の間で締結される労働協約の締結状況をみると、労働協約を「締結している」労働組合は9割を超えている。
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step1 正解は・・・
A
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step2 解説
A × (令和3年労働組合活動等に関する実態調査の概況) 「安定的に維持されている」59.0%、「おおむね安定的に維持されている」33.8%であり、「安定的」と認識している労働組合は92.9%である。(R1-2E)
B 〇 (令和3年労働組合活動等に関する実態調査の概況) 本肢のとおりである。(R1-2B改)
C 〇 (平成29年労使間の交渉等に関する実態調査) 本肢のとおりである。(R1-2C)
D 〇 (平成29年労使間の交渉等に関する実態調査) 本肢のとおりである。(R1-2D)
E 〇 (平成29年労使間の交渉等に関する実態調査)本肢のとおりである。(R1-2A)
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step3 コメント
・労働組合の実態からの過去問です。難易度的には、かなり難しい設問であり、Aは、正解である「92.9%」と問題文の「約4分の3」の違いで誤りと見抜くのは、かなり難しいです。また、他のB~Eが正しいことを見抜き、消去法でAにたどり着くことも難しい内容です。本問のように、統計数値の問題は、明らかに正誤を見抜くのが難しい問題も散見されます。
次回もがんばりましょう。

2023年07月21日
<問題(労働者の健康状況)>
〔問〕 労働者の健康状況に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、本問は「令和3年「労働安全衛生調査」(実態調査)の概況(事業所調査・労働者調査)」を参照しており、当該調査による用語及び統計等を利用している。
A 労働者調査によると、仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合は、約5割となっている。仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスの内容(3つ以内の複数回答)をみると、「仕事の質」が最も多く、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」、「仕事の量」となっている。
B 事業所調査によると、メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業所の割合は半数を超えている。
C 事業所調査によると、過去1年間(令和2年11月1日から令和3年10月31日までの期間)にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者又は退職した労働者がいた事業所の割合は約2割になっている。
D 労働者調査によると、現在の自分の仕事や職業生活での不安、悩み、ストレスについて「相談できる人がいる」とする労働者がいた事業所の割合は、約6割になっている。
E 労働者調査によると、職場で他の人のたばこの煙を吸入すること(受動喫煙)があるとする労働者の割合は、「ほとんど毎日ある」と「ときどきある」をあわせて約1割になっている。
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step1 正解は・・・
B
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step2 解説
A × (令和3年「労働安全衛生調査」(実態調査)の概況) 前段部分は正しいが、仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスの内容(3つ以内の複数回答)をみると、「仕事の量」が最も多く、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」、「仕事の質」となっている。(R2-2E)
B 〇 (令和3年「労働安全衛生調査」(実態調査)の概況) 本肢のとおりである。 (H26-3B)
C × (令和3年「労働安全衛生調査」(実態調査)の概況) 過去1年間(令和2年11月1日から令和3年10月31日までの期間)にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者又は退職した労働者がいた事業所の割合は「10.1%」になっている。(H26-3C改)
D × (令和3年「労働安全衛生調査」(実態調査)の概況) 「相談できる人がいる」とする労働者の割合は「92.1%」である。 (H26-3D)
E × (令和3年「労働安全衛生調査」(実態調査)の概況) 「ほとんど毎日ある」、「ときどきある」をあわせて「20.7%」である。 (H26-3E改)
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step3 コメント
・「令和3年「労働安全衛生調査」(実態調査)の概況」から「労働者の健康状況」の出題です。ここは、令和2年本試験でも出題されていますが、割と狙われやすい調査です。身近で考えやすい内容ですが、割合や順番など、覚えておくべき項目が多いのでやっかいな箇所といえます。
次回もがんばりましょう。

2023年07月14日
<問題(職業能力開発)>
〔問〕 職業能力開発に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、本問は「令和3年度能力開発基本調査」を参照しており、当該調査による用語及び統計等を利用している。
A 能力開発や人材育成に関して何らかの「問題がある」とする事業所の割合は約75%であり、問題点の内容としては、「指導する人材が不足している」、「人材育成を行う時間がない」、「人材を育成しても辞めてしまう」が上位3つを占めている。
B 正社員に対してキャリア・コンサルティング制度を行うしくみを導入している事業所は、約4割であるが、制度を導入しておらず、かつ、導入を予定していない事業所にその理由をたずねると、「制度を知らない」、「労働者から制度導入の要望がない」、「制度導入のメリットを感じない」が上位3つを占めている。
C 職業能力評価を行っている事業所の評価結果の活用方法としては、「人材の採用」、「人材戦略・計画の策定」、「技能継承のための手段」が上位3つを占めている。
D 正社員または正社員以外の自己啓発に対する支援を行っている事業所の割合は約8割であり、支援内容としては、「受講料などの金銭的援助」が最も多く、「教育訓練休暇(有給、無給の両方を含む。)の付与」は少ない。
E 技能継承の取り組みを行っている事業所は総数で約5割となっている。取組みの内容は、「中途採用を増やしている」が最も多く、「退職者の中から必要な者を選抜して雇用延長、嘱託による再雇用を行い、指導者として活用している」、「新規学卒者の採用を増やしている」と続いている。
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step1 正解は・・・
A
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step2 解説
A 〇 (令和3年度能力開発基本調査)本肢のとおりである。(H24-4A)
B × (令和3年度能力開発基本調査)キャリアコンサルティングを行うしくみを導入していない事業所のうち、キャリアコンサルティングを行っていない理由としては、「労働者からの希望がない」が最も多く、次いで、「キャリアコンサルタント等相談を受けることのできる人材を内部で育成することが難しい」となっている。なお、前段部分は正しい。(H24-4C改)
C × (令和3年度能力開発基本調査)活用方法の上位3つは、「人事考課の判断基準」、「人材配置の適正化」、「労働者に必要な能力開発の目標」である。(H24-4D改)
D × (令和3年度能力開発基本調査)「正社員」の自己啓発に対する支援を行っている事業所の割合は約8割であるが、「正社員以外」の自己啓発に対する支援を行っている事業所の割合は「約6割」である。なお、後段部分は正しい。(H24-4B改)
E × (令和3年度能力開発基本調査)技能継承の取り組みを行っている事業所は総数で「約8.5割」となっている。取組みの内容は、「退職者の中から必要な者を選抜して雇用延長、嘱託による再雇用を行い、指導者として活用している」が最も多く、「中途採用を増やしている」、「新規学卒者の採用を増やしている」と続いている。(H24-4E改)
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step3 コメント
・「令和3年度能力開発基本調査」から、平成24年に択一式から出題された「職業能力開発」の過去問の焼き直しになりますが、かなりの難問です。Aについては、先日、取り上げた選択式の過去問焼き直し問題でお伝えしてきているので、Aが正しいとすぐにわかったという方もいらっしゃるでしょうが、通常、そうはいきません。前段の約75%と同時に、上位3つも正しいかどうかを判断しなければなりません。「能力開発基本調査」は、調査の年によって、微妙に聞かれ方が変わっていたりして、内容が異なってきています。このレベルはできなくても仕方ないと割り切るくらいの気持ちで臨んでください。
・Bについては、キャリアコンサルティング自体を知らないということはなく、「労働者が乗り気でない」のが一番の原因です。
・Cについては、職業能力開発をやる以上、「人事考課や配置転換に活かしたい」のが企業として当然のことです。
・Dについては、企業は「お金の支給で済ませ、休みは与えたくない」のが本音です。また、正社員と正社員以外で同じ割合の場合は疑ってかかった方がよさそうです。
・Eについては、企業にとって、「技能承継の問題は、人手不足の問題と絡んで、企業存続のための重要な課題」ですから、関心も高く、取り組みを行う企業は8割を超えるのは当然といえます。
次回もがんばりましょう。

2023年07月08日
<問題(職業能力開発)>
「令和3年度能力開発基本調査(厚生労働省)」をみると、能力開発や人材育成に関して何らかの「問題がある」とする事業所は A である。
能力開発や人材育成に関して何らかの「問題がある」とする事業所のうち、問題点の内訳については、「 B 」、「人材育成を行う時間がない」、「人材を育成しても辞めてしまう」が上位3つを占めている。
正社員の自己啓発に対して支援を行っている事業所は C である。
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step1 次の選択肢の中から答を選んでください。
Aの選択肢
① 約15% ② 約35% ③ 約55% ④ 約75%
Bの選択肢
① 育成を行うための金銭的余裕がない
② 鍛えがいのある人材が集まらない
③ 指導する人材が不足している
④ 適切な教育訓練機関がない
Cの選択肢
① 約2割 ② 約4割 ③ 約6割 ④ 約8割
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step2 正解は・・・
A ④ 約75% (令和3年度職業能力開発基本調査)
B ③ 指導する人材が不足している (令和3年度能力開発基本調査)
C ④ 約8割 (令和3年度能力開発基本調査)
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step3 コメント
・平成29年度本試験選択式で「平成28年度能力開発基本調査」から「職業能力開発」が出題されています。Aについては、出題当時は「約70%」でしたが、現在の統計数値では、若干、上がって「約75%」になっています。
・令和元年度本試験の労一の選択式のA「技能士」、B「35歳未満の者が技能検定を受ける際の受講料を減免」の問題は、職業能力開発促進法からの出題です。ということは、職業能力開発に関しては、選択式で平成29年には「統計」から3肢、令和元年には「法令」から2肢が出題されていることになります。狙われやすい箇所です。これ以外の能力開発基本調査の内容は熟読しておいてください。
次回もがんばりましょう。
