時期別の課題

2023年05月14日

インプットが終了し、直前期に入る段階での課題は、次の3点です。

① 積み残し科目をやりきる

② 苦手科目の克服

③ 横断整理で効率学習


まず、①の「積み残し科目をやりきる」ですが、インプットの学習でまだ手を付けていない科目があったり、中途半端に終わってしまっている科目があれば、まずはやりきってしまいましょう。
とりあえず、全科目のインプット学習を終えることが肝心です。


そして、2点目に苦手科目の克服です。

苦手科目は人それぞれですが、択一式の得点状況が思わしくない方の半数は「年金」だと思われます。
苦手なことは自分自身でよくわかっているので、「よーし、徹底的にやるぞ!」と、意気込んで計画を立てますが、多くの方がその半分もできずに終わってしまいます。

苦手ということは、よくわからない箇所が多く、それだけにやる気も起きなくて、途中で投げ出してしまいたくなるからです

苦手科目の学習には鉄則があります。


苦手な科目の復習は、頭からやらない

食事を例にたとえると、「おいしいもの」「栄養価の高いもの」から食べるようにします。

・おいしいもの=とりあえず、投げ出さずできそうな箇所
・栄養価の高いもの=試験に出題されやすい重要箇所
となります。

たとえば、年金を例にとると、年金の核となる「年金給付」を押さえてしまいましょう。
次の図の黄色で塗られた部分です。

年金科目の学習法

全部をやろうとせずに、まずは黄色で塗られた部分だけやります。

やる順番としては、「国年の年金給付」を終えてから「厚年の年金給付」の学習を行うのではなく、
①「老齢基礎」→「老齢厚生
②「障害基礎」→「障害厚生
③「遺族基礎」→「遺族厚生
④「1号独自給付

国年と厚年の重なる部分をくくってしまうように復習をしてください。

計算式でいうと、
・A×B+A×C=A(B+C)
のようなものです。

・老齢基礎+老齢厚生=老齢(基礎+厚生)
として、老齢というくくりで国年・厚年を学習していってください。

この黄色の部分で着色された「年金給付」をやり終えると、力が付きますし、自信にもなって、その次の部分も比較的ラクにやれるようになります。
(嫌々ながらではなく。)

そして、第2弾が「被保険者」「保険料」「届出」です。
勢いよくやりきってしまいましょう。
これも国年・厚年を横断的にやるべきです。

ここまでやりきると、残りはあと少しです。
仮にこれ以上やりきれなくて、ここでとん挫してしまっても、「おいしいところ」と「栄養価の高いところ」は終了していますので、本試験でもなんとかなります。


そして、各科目の横断事項を押さえてしまうことです。

特に、テキストの後ろの方にある「時効」「書類の保存」「不服申立て」「国庫負担・国庫補助」「延滞金」「給付制限」等や、テキストの前の方にある「目的条文」「強制・任意適用事業」「保険関係の成立・消滅」等は、1科目ごとよりまとめて押さえてしまった方が効率的で、短時間で多くの成果を見込めます。
(ご自分でまとめていくよりも、資格学校の横断講座を利用した方が早いし効率的です。)


参考にしてみてください。



2023年03月09日

このところ、週15時間の学習時間が確保できないという人が多くいます。
今の時期に週15時間の学習時間程度が確保できないのであれば、合格はかなり難しくなります。
合格できない人の大半は、ゴールデンウィーク前までの期間で上手く学習がコントロールできていません。
そうはいっても、誰もがそれなりに学習はしています。
ただ、学習時間が短かったり、集中して学習できていないなど、今、やれていないツケが直前期に回ってしまいます。
そうなると、気づいたときには手遅れになってしまいます。
今回は、他の資格試験の受験生と比較してお伝えします。

辰巳法律研究所東京本校の講師控室で、司法書士の松本先生が電話で個別相談をしていました。


その中で、次のような会話がありました。
(受講生の方の発言は予測です。)

松本先生「今の状況では、ちょっと厳しいですね。1日の学習時間はどの位ですか?」
受講生「それは、仕事がある日の勉強時間のことでしょうか?」
松本先生「そうです。」
受講生「仕事が忙しいので時間があまり取れないのですが、1日あたりだいたい2時間半位はやっています。」
松本先生「うーん、それでは足りませんね。あと1時間ほど上乗せしてください。受かりたいのであれば、1日3時間半の学習時間は絶対必要です。」
(・・・以下途中略・・・)
松本先生「それでは、4時半起きでお願いします。」

どうやら、その受験生は、5時か5時半に起きて学習していたようですが、平日の学習時間が不足していたため、明日からは4時半に起きて学習することになったようです。

受講相談が終わり、電話を切った後、松本先生に、「仕事のある平日に3時間半の学習が必要と仰っていましたが、土日祝日のような休みの日は何時間の学習が必要ですか?」とお聞きしたところ、「10時間です。」と、あっさり言われました。

「えっ、10時間ですか?」と返すと、「私は休みの日は16時間、やってましたけどね。」とのことです。
松本先生曰く「本当は休みの日は13時間やってほしいんですが、まあ、生活もありますからね。」

1年で休みの日が仮に120日あるとして、残りの365日ー120日=245日が仕事のある日だとした場合、年間の学習時間は、10時間×120日+3.5時間×245日=2,057.5時間≒2,000時間となります。

司法書士の場合、1年で受かろうとするのであれば、2,000時間は最低でも必要とのことで、この時間が確保できないと合格はまず無理だと明確に仰っていました。

「社労士の受験生の場合、週15時間は割らないように伝えているのですが、それでもなかなかできなかったりするんですよねぇ。」と言うと、松本先生が「なぜですかね?受かりたいと思う気持ちが薄いんですかねぇ。受かりたいならその程度の時間であればやれるはずでしょう。」と仰っていました。

司法書士合格者の中には、1歳の子供がいる女性が、働きながら、子供を保育所に預けながら、司法書士の勉強をして、1年で合格した人もいるとのことです。

この時期、どれだけやれるかにかかっています。
仕事や体調など、いろいろ大変なこととは思いますが、受かりたいと本気で思うならひたすらやることです。
今の時期にきつい思いをしている人ほど、直前期には自分を見失うことなく学習に専念することができます
司法書士受験生に負けてはなりません。
この時期を乗り越えて、新たな領域に踏み込めた喜びをかみしめられる自分になりましょう。



2023年02月11日

これからここに記載する<1><2>の2つの内容は、基本的には同じですが、表面的には異なっています。
どちらでいくのがいいのかは、ご自分の学習の進捗度合い等を考慮して判断してください。

<1>社会保険のインプットの時期は、脇目も降らず社会保険だけに学習を集中させる

以前のブログにも書きましたが、社会保険科目が合否を分けます。
逆にいうと、「社会保険科目ができない」、「社会保険科目の学習が疎かであった」という場合に、まず合格することはありません。

したがって、社会保険科目のインプットの学習をする際の注意事項としては、他の科目の学習はやらずに社会保険科目だけを徹底的に学習することです。

学習が手薄な労働科目があったとしても、この時期は社会保険科目だけに傾斜して学習をしていくべきです。

というのも、健保・社一(の医療保険絡みの法令)・国年・厚年には、学習していく上での連動性があるからです。
たとえば、国年の老齢基礎年金を学習したら、その知識は厚年の老齢厚生年金にも波及します。
健保を学習したら、社一の医療保険絡みの法令(国保・高齢者医療・介護・船員)にも波及します。
波及するとは、A法の学習をしていなくても、B法のある箇所を学習すれば、それだけで科目のその箇所の理解も一定程度、進むことを意味します。

ところが、労働科目はそうはいきません。
労働基準法を丹念に学習したら、労災保険法の得点が連動して上がるということはほとんどありません。
すなわち、労働科目は単独であり細切れであり、社会保険科目は共通性があり連動する箇所が多いということになります。

ということは、できれば短期間に集中して、社会保険科目の全体を俯瞰して学習を進めてしまい、理解したての直後に次の項目に入ってしまった方が得策です。
そうすることで、短期間に知識の整理=得点の大幅アップが見込めます。
ところが、途中で労働科目を挟むと、せっかくの連動性が損なわれてしまい、再度、準備運動的な時間が必要になり、時間のロスとなります。

たとえば、学生時代に1日6時限の授業が組まれていたとして、通常、月曜日は、1時限目「国語」、2時限目「数学」、3時限目「理科」、4時限目「社会」、5時限目「英語」、6時限目「音楽」などと組まれているのが普通です。
もし、毎日がこの時間割だとして、1時限目の「国語」は、1週間の授業が月~金の5日間だとした場合、週5回授業を受けることになり、6週間経過すれば30回の授業を受けることになります。
もし、月曜日から金曜日までの各6時限が全部「国語」の授業であれば、1週間で30回の授業をこなすことができます。
「国語」が苦手な生徒の場合には、一気にやるのは苦痛かもしれませんが、細切れにやるよりも、「昨日の授業では、ここまでをやりましたよね。」という確認に要する時間がいらず、授業の時間の間隔が短い方がはかどることになります。

同じように、漫画にたとえると、たとえば「少年ジャンプ」のような漫画の雑誌は、10位の別々の漫画が少しずつ掲載されていて、続きは「また来週」となりますが、10の漫画を並行的に読むのではなく、1つの漫画を一気に10話、読む方が満足感が高くなると思います。
「少しずつ読む位なら、ためておいて一気に読んでしまいたい。」という気持ちが生じることがあるはずです。

これと同じで、社会保険科目の学習は途中に別の科目で中断せずに、一気に全体を把握して、横断的に短期間で押さえてしまう方が理解が進みます。
要は、密着して徹底的に学習してしまった方が効率がいいのです。

ところが、学習が捗っていないという受験生ほど、ある科目を学習していたら違う科目が気になってしまい、落ち着いて学習できず、あっちやりこっちやりという状況になりがちです。

よく、労働科目のインプット学習の際には、「年金をやっておかないと忘れてしまう。」と言って年金も同時にやり、社会保険科目のインプット学習の際には、「労働科目の復習もしておかないと。」と言って、どっちつかずの中途半端な学習に終始してしまうケースがあります。

他の人よりも倍の時間の学習時間があるというのであればまだしも、仮に倍の時間の学習時間が取れるのであっても、連動する科目を選んで横断的に学習をしていく方が効率的です。

ぜひ、この期間は、社会保険科目だけの学習に終始して、脇目も降らず社会保険科目の学習に没頭してください。

科目の連動性があるだけに、できるだけ短期間に多くを詰め込んでしまう方が、隅々まで理解できることになりますし、しっかりと確実に覚えることができますから、覚えたことの記憶も長続きすることになります。

第一、学習の配点やインプット講義のコマ数から鑑みると、労働科目と社会保険科目はおおよそ1対1であり、50%・50%となりますが、学習のウェートや重要度からすると、約3分の2を社会保険科目が占めるといってもいいくらいです。


学習のウェート



こう考えると、もはや3分の1のウェートの労働科目にかかわっている時間は無く、社会保険科目の方に徹底的に切り込んでいかないと、時間切れになってしまいます。


<2>労働科目がどうしても気になる方は・・

ただ、そうはいっても、たとえば、「労災保険法や雇用保険法の理解がいまいちで、こんな状態であっても、労働科目の学習を全くやらずに社会保険科目だけをやっていいものか?」という疑問が生じ、「もし、ここでやり方を間違えれば、6月以降の直前期に大変なことになる。」と思う人もいるに違いありません。

労働科目のインプットの時期に、自分自身で納得できるくらいに学習ができていれば、社会保険科目のインプットの時期には、社会保険科目だけを徹底的に学習するということは理解できるものの、自分は労働科目の学習に遅れを取ってしまっていて、この状態では気になって社会保険科目の学習を落ち着いてすることができない、という状態になってしまう人も見受けられます。

そういう方の場合は、気になる労働科目を学習する日を「1か月の中で2日間だけ」と決めて、その日だけは気になる科目にまい進するとするのはどうでしょうか。

一番良くないのは、こっちやってあっちやってというように、1日又は1週間のうちに、連動しない科目をまたぐ学習をしてしまうことにあります。
せっかく、一気果敢に知識を取り込めるところを、中断することによって、再びその箇所の要点を再度、記憶に呼び起こす必要が生じ、その時間がもったいないことになります。
そういう科目を細切れにした学習の仕方は、直前期の学習の仕方であって、インプットの時期を乗り越えて多くを身につけた状態の時期の学習の仕方になります。

そこで、丸々1日学習できる日を2日間ほど選んでください。
(2月、3月は、それぞれ1日ずつ祝日がありますので、それを上手く活用して、通常の学習の復習に食い込まないようにしてください。)
その2日だけは、たとえば「労災」をやる日と決めてしまって、その日だけは集中して「労災」をやってしまい、逆にいうと、その日だけしかやる日は設けないようにします。

2日間で①全体を確認し、②一通りテキストでチェックし、③重要箇所を自分で選定し、④その箇所だけを頭に叩き込みます。

ただし、2日間しかないので、たとえばフルパック☆プラス等の労災の講義5コマを再度、視聴することはできません。
それをすると、講義視聴だけで終わってしまうことになり、頭に入れ込むところまで及びません。

そこで、講義視聴は短時間で行うように、今回、発売した「重要事項総まとめ」を活用して、次のような時間割でこなす手があります。
(追い上げたい科目だけ購入してください。)


2日で労災



1日目のやり方を簡単に記すと、次のようになります。

1 労災保険法①の重要事項総まとめ講義を2時間半で視聴する。
⇒ 一時停止などを押さずに、一気に講義を視聴してください。

2 重要事項総まとめで講師が説明した箇所のみテキストを読み、頭に焼き付ける。
⇒ 限られた2時間程度の時間でのテキストを読み込んで、再度、意味を理解します。深堀りせずに、さらっと全体を軽めに確認で構いません。

3 重要だと思われる1~3箇所をセレクトして、フルパック☆プラス等の佐藤先生のインプット講義を視聴する。
⇒ たとえば、労災保険法であれば、「認定基準」や「特別加入」などの箇所が該当すると思いますので、その箇所を再度、視聴します。最低でもその箇所だけは押さえてしまいます。

4 全体整理
⇒ 2と3を踏まえて、頭の整理の時間です。

このようにして、2日間だけやってみて心配が晴れるのであればそれでもいいかもしれません。

労働科目が気になって仕方が無く、社会保険科目を落ち着いて学習できないという方にとっては、限られた2日間を用意して、「その2日だけは気になる科目を学習する日」として、その代わり、その日以外は社会保険科目にまい進するようにすれば、メリハリが付いた学習ができるようになるのではないでしょうか。

このように、たとえば、2月には「労災」、3月には「雇用」、4月には「労基」といった2日間学習で、とりあえず標準ラインまで押し戻しておくことが可能です。

ただし、通常の社会保険科目のインプット学習は、今まで通りの復習のやり方を崩さず学習をしてください。
復習は講義の時間の倍=10時間とありますが、この時間をできれば少しずつでも多くしていくように心がけていってください。

講義後の伏流



2023年02月05日

2月に入って数日経ちました。
2月は28日しかありませんので、うかうかしているとあっという間に3月になってしまいます。
みなさんの学習の進捗はいかがですか。

例年、2月~4月の時期は、社労士試験の学習をしている人にとって、「差が付く」時期になります。
というのは、次のことが考えられるからです。

① ゴールデン・ウィークを過ぎた辺りから、目の色を変えて学習し始める人が多い。
(ゴールデン・ウィーク中に願書を書いて、ゴールデン・ウィーク後に出す人が多く、さすがに願書を出した以上、真剣にやらないといけないと思う人が多いからです。)

② 2月は寒い日が多く、学習に身が入らないという人も多い。
(寒いのが苦手という方は特に。)
(冷え性の人は、特に足が冷えてしまって、場所の選定に苦労するという人もいます。)

③ 3月・4月は、年度末及び年度始で仕事が忙しく、まとまった学習時間の確保が難しい。
(転勤や異動も多く、これらに該当した場合はなおさら忙しくなります。)
(自分自身が転勤・異動した場合は当然、仕事で忙しくなりますが、そうではなくても、異動してきた人がいたり、新入社員が配属になったりした際には、仕事を教えなければならないことも通常業務に加わることになりますから、残業が多くなることも考えられます。)

④ 2月~4月は、花粉症に悩まされるなど、学習に集中できない人も多い。
(今年は10年に1回のスギ花粉大飛散の年との観測もあります。)

①にあるように、5月以降は大半の人が真剣に学習し始めるわけですから、社労士受験合格を目指す他の受験生となかなか差が付きにくいことになります。
令和4年の合格率は5.3%であり、約19人に1人しか合格できない試験と言えますから、ある意味、他の人よりも少しでも秀でていないとなりません。

そう考えると、2月~4月に頑張る価値はありそうです。
少なくとも、「寒いのが苦手ではない方」、「3月・4月の仕事がさほど忙しくない方」や、「例年、花粉症に悩まされることがない方」は、他の人よりも有利な状況にあると考えられますので、この状況を活かせるように心がけてください。

また、昨今のコロナ渦では、いつ、コロナに感染してもおかしくありません。
高熱が出て学習どころではなくなってしまいますし、自宅待機等強いられると学習のペースが乱されます。
それに、回復した後の後遺症といわれる「倦怠感」で、回復後のたまった仕事をこなすだけでもきつい(場合によっては会社を辞めなければならなくなるケースもあり得ます。)のに、学習時間を確保し、集中して覚えることまでとてもできないという事態になってしまいます。
コロナの症状は人によって差があるようですが、コロナにかかってしまうと、後遺症も含めて完全回復までおそらく1か月位はかかる(1か月位の学習ブランクが生じる)ことになるかもしれないことと考えると、早いうちになるべく多くを学習しておくに越したことはありません。

今まで学習がうまくいっていないという方や、これから学習を本格的にやろうという方は、特に2月~4月の学習が命運を握ります。
この時期をどう味方につけるかです。

仕事や家庭や体調等でいろいろ大変なこともあるとは思いますが、学習するスタンス(いつ、どこで、何をやるか。)をきっちり定めて、やりきってください。



2023年01月31日

佐藤塾の講義は社会保険科目に入っていきます。

「労働科目が終わり、インプット学習の半分が終わった。やれやれ。」と思っている方もいらっしゃることでしょう。
ただ、合格するためには労働科目よりも、社会保険科目の方が重要度が明らかに高いので、これからの学習が大切です。

例年、「労働科目は自信があるけれど、社保(特に年金)が苦手だ。」という方よりも、「社保(特に年金)はかなり学習したので何とかなるけれど、労働科目の方が心配だ。」という方の方が圧倒的に合格しています。

なぜならば、他の受験生との差が付く科目が社会保険科目であり、特に、健保、国年、厚年だからです。

次の表は、令和4年度本試験択一式の正答率の表になります。

合否を分けた問題


左側の表が労働科目、右側の表が社会保険科目となっていますが、ここでは「佐藤塾集計全体の正答率」と「合格者だけの正答率」とその2項目の正答率の差(乖離)を示しています。

たとえば、この表の左上の労働基準法の問1の場合には、「全体の正答率」は89%で、「合格者だけの正答率」は90%となり、1%だけしか差がついていないことが読み取れます。

「合格者正答率」と「全体正答率」の乖離が大きい問題ほど、合格者と合格できなかった人の差が付いた問題といえますから、そこがきちっとできていれば合格が近くなることがわかります。

そこで択一式全70問の中で乖離が大きい問題を拾い出してみました。

令和4年度本試験の場合には、指標を「合格者正答率」と「全体正答率」の差が19%以上あり、かつ、「全体正答率」が65%未満のものとし、それを拾い出すと、全部で10問ありました。
(「全体正答率」が65%以上を排除しているのは、あまりに易しい問題で差が付いたとしても、その問題は元々、基本事項である可能性が高く、その問題は当然に身につけておかないといけない問題とされるため、合否の差が付いた問題として抽出して、そこを中心に学習をするという意味をなさなくなると思われるためです。)

この指標となる乖離が19%以上のものを、表の左側に①~⑩の突起を出して太実線で囲んでいます。
これを見ると、労働科目は全部で4問、社保科目は全部で6問あり、社保科目で差が付いた問数が多いことが読み取れます。

続いて、難問の数をみていきましょう。
ここでは、全体正答率が30%未満の問題を難問としていますが、労働で5問、社保で1問あり、労働科目に多くみられます。

準難問はどうかというと、労働が7問、社保が9問あり、難問とは逆に、社会保険科目の方に多くみられます。
(準難問とは、全体正答率が30%以上50%未満の問題を指しています。)

難問と準難問の意味合いですが、平たく言うと、難問はどんなに勉強しても正解するのが難しい問題であり、準難問は、学習次第では得点できることを意味します。
すなわち、労働科目は、どんなに一生懸命学習しても正解できない問題が多いのに対し、社会保険科目は学習次第では得点できる問題が多いことを意味します。

したがって、合否を分けた問題が社会保険科目に多いことと、難易度からしても、社会保険科目の学習を綿密にしていけば取れる問題が社会保険科目に多いことが読み取れますので、それだけ社会保険科目に力を入れた方がよいことになります。

このような傾向は、過去の本試験に関しても、同様の傾向にあります。

実は過去10年の本試験すべてにおいて、合否を分けた問題は社保の方が多く、逆の年は1年もありません。
むしろ、過去の本試験の方が、合否を分けた問題が社会保険の方に明らかに偏っているという年が多いくらいです。

これらのことから、社会保険科目の学習が合否を左右するといっても過言ではありません。

ということは、今までの学習があまり捗っていなかったとしても逆転のチャンスがあり、逆に、今までの学習が上手くいっていたとしても、うかうかすると抜かされてしまう可能性があるということになります。

気を引き締めて頑張っていきましょう。