健保(2022本試験)
2022年12月17日
80問目は、択一式の健康保険法です。
正答率41%の問題です。
<問題( 択一式 健保 問8 )>
〔問〕 定時決定及び随時改定等の手続きに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 被保険者Aは、労働基準法第91条の規定により減給の制裁が6か月にわたり行われることになった。そのため、減給の制裁が行われた月から継続した3か月間(各月とも、報酬支払基礎日数が17日以上あるものとする。)に受けた報酬の総額を3で除して得た額が、その者の標準報酬月額の基礎となった従前の報酬月額に比べて2等級以上の差が生じたため、標準報酬月額の随時改定の手続きを行った。なお、減給の制裁が行われた月以降、他に報酬の変動がなかったものとする。
B 被保険者Bは、4月から6月の期間中、当該労働日における労働契約上の労務の提供地が自宅とされたことから、テレワーク勤務を行うこととなったが、業務命令により、週に2回事業所へ一時的に出社した。Bが事業所へ出社した際に支払った交通費を事業主が負担する場合、当該費用は報酬に含まれるため、標準報酬月額の定時決定の手続きにおいてこれらを含めて計算を行った。
C 事業所が、在宅勤務に通常必要な費用として金銭を仮払いした後に、被保険者Cが業務のために使用した通信費や電気料金を精算したものの、仮払い金額が業務に使用した部分の金額を超過していたが、当該超過部分を事業所に返還しなかった。これら超過して支払った分も含め、仮払い金は、経費であり、標準報酬月額の定時決定の手続きにおける報酬には該当しないため、定時決定の手続きの際に報酬には含めず算定した。
D X事業所では、働き方改革の一環として、超過勤務を禁止することにしたため、X事業所の給与規定で定められていた超過勤務手当を廃止することにした。これにより、当該事業所に勤務する被保険者Dは、超過勤務手当の支給が廃止された月から継続した3か月間に受けた報酬の総額を3で除した額が、その者の標準報酬月額の基礎となった従前の報酬月額に比べて2等級以上の差が生じた。超過勤務手当の廃止をした月から継続する3か月間の報酬支払基礎日数はすべて17日以上であったが、超過勤務手当は非固定的賃金であるため、当該事業所は標準報酬月額の随時改定の手続きは行わなかった。なお、超過勤務手当の支給が廃止された月以降、他に報酬の変動がなかったものとする。
E Y事業所では、給与規定の見直しを行うに当たり、同時に複数の変動的な手当の新設及び廃止が発生した。その結果、被保険者Eは当該変動的な手当の新設及び廃止が発生した月から継続した3か月間(各月とも、報酬支払基礎日数は17日以上あるものとする。)に受けた報酬の総額を3で除して得た額が、その者の標準報酬月額の基礎となった従前の報酬月額に比べて2等級以上の差が生じたため、標準報酬月額の随時改定の手続きを行った。なお、当該変動的な手当の新設及び廃止が発生した月以降、他に報酬の変動がなかったものとする。
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step1 正解は・・・
E
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step2 解説
A × (法43条1項、令3.4.1事務連絡)減給制裁は固定的賃金の変動には当たらないため、随時改定の対象とはならない。
B × (法41条1項、令3.4.1事務連絡)労働契約上、当該労働日の労務提供地が自宅とされており、業務命令により事業所等に一時的に出社し、その移動にかかる実費を事業主が負担する場合には、当該費用は原則として実費弁償と認められ「報酬等」には含まれないため、定時決定の算定基礎には含めない。
C × (法41条1項、令3.4.1事務連絡)在宅勤務に通常必要な費用として使用しなかった場合でも、その金銭を事業主に返還する必要がないものであれば、「報酬等」に含まれる。したがって、本肢の場合、仮払い金額のうち使用しなかった金額については、定時決定の算定基礎に含めなければならない。
D × (法43条1項、令3.4.1事務連絡)超過勤務手当は非固定的賃金に該当するが、その廃止は賃金体系の変更に当たるため、当該手当の廃止により2等級以上の差が生じたときは、随時改定の対象となる。
E 〇 (法43条1項、令3.4.1事務連絡)本肢のとおりである。変動的な手当の廃止と創設が同時に発生した場合等については、手当額の増減と報酬額の増減の関連が明確に確認できないため、3か月の平均報酬月額が増額した場合・減額した場合のどちらも随時改定の対象となる。
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step3 コメント
・択一式の健康保険法の問8は、定時決定及び随時改定等の手続きに関する出題でした。いずれも令和3年4月1日事務連絡からの出題で、実務で対応することがあり得る案件が並び、難易度の高い問題です。今後も同様の問題が出題されることが想定されますので、この箇所は時間をかけてきちんと整理して覚えておくべき内容です。
明日もがんばりましょう。

2022年12月06日
69問目は、択一式の健康保険法です。
正答率47%の問題です。
<問題( 択一式 健保 問4 )>
〔問〕 健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定については、夫婦とも被用者保険の被保険者である場合には、被扶養者とすべき者の員数にかかわらず、健康保険被扶養者(異動)届が出された日の属する年の前年分の年間収入の多い方の被扶養者とする。
B 被保険者の事実上の婚姻関係にある配偶者の養父母は、世帯は別にしていても主としてその被保険者によって生計が維持されていれば、被扶養者となる。
C 全国健康保険協会が管掌する健康保険の被保険者に係る介護保険料率は、各年度において保険者が納付すべき介護納付金(日雇特例被保険者に係るものを除く。)の額を、前年度における当該保険者が管掌する介護保険第2号被保険者である被保険者の標準報酬月額の総額及び標準賞与額の合算額で除して得た率を基準として、保険者が定める。
D 患者自己負担割合が3割である被保険者が保険医療機関で保険診療と選定療養を併せて受け、その療養に要した費用が、保険診療が30万円、選定療養が10万円であるときは、被保険者は保険診療の自己負担額と選定療養に要した費用を合わせて12万円を当該保険医療機関に支払う。
E 全国健康保険協会の役員若しくは役職員又はこれらの職にあった者は、健康保険事業に関して職務上知り得た秘密を正当な理由がなく漏らしてはならず、健康保険法の規定に違反して秘密を漏らした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処すると定められている。
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step1 正解は・・・
E
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step2 解説
A × (法3条7項、令3.4.30保保発0430第2号)被保険者の年間収入については、令和3年8月から、「被扶養者届が提出された日の属する年の前年分の年間収入」ではなく、「過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだものとする」とされたため、本肢は誤りとなる。
B × (法3条7項)被保険者の事実上の婚姻関係にある配偶者の養父母は、被保険者と同一の世帯に属していることが、被扶養者の要件とされる。
C × (法160条16項)介護保険料率は、介護納付金の額を、「当該年度」における当該保険者が管掌する介護保険第2号被保険者である被保険者の総報酬額の総額の「見込額」で除して得た率を基準として、保険者が定める。
D × (法86条2項)本肢の場合、保険診療の部分については3割である9万円の負担、選定療養の部分10万円は全額の負担となり、合計で「19万円」を保険医療機関に支払うことになる。
E 〇 (法7条の37第1項、法207条の2)本肢のとおりである。
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step3 コメント
・択一式の健康保険法の問4は、正解肢Eの罰則を含め、細かい箇所が問われていますので、やや難易度が高い問題だと思われます。
明日もがんばりましょう。

2022年12月05日
昨日の分を飛ばしてしまったので、本日は2問、アップします。
67問目は、択一式の健康保険法です。
正答率48%の問題です。
<問題( 択一式 健保 問1 )>
〔問〕 健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 被保険者又は被扶養者の業務災害(労災保険法第7条第1項第1号に規定する、労働者の業務上の負傷、疾病等をいう。)については健康保険法に基づく保険給付の対象外であり、労災保険法に規定する業務災害に係る請求が行われている場合には、健康保険の保険給付の申請はできない。
B 健康保険組合の理事長は、規約の定めるところにより、毎年度2回通常組合会を招集しなければならない。また、理事長は、必要があるときは、いつでも臨時組合会を招集することができる。
C 事業主は、被保険者が資格を喪失したときは、遅滞なく被保険者証を回収して、これを保険者に返納しなければならないが、テレワークの普及等に対応した事務手続きの簡素化を図るため、被保険者は、被保険者証を事業主を経由せずに直接保険者に返納することが可能になった。
D 介護保険適用病床に入院している要介護被保険者である患者が、急性増悪等により密度の高い医療行為が必要となったが、当該医療機関において医療保険適用病床に空きがないため、患者を転床させずに、当該介護保険適用病床において療養の給付又は医療が行われた場合、当該緊急に行われた医療に係る給付については、医療保険から行うものとされている。
E 育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定の要件に該当する被保険者の報酬月額に関する届出は、当該育児休業等を終了した日から5日以内に、当該被保険者が所属する適用事業所の事業主を経由して、所定の事項を記載した届書を日本年金機構又は健康保険組合に提出することによって行う。
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step1 正解は・・・
D
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step2 解説
A × (法1条、平成25.8.14事務連絡)健康保険の保険者においては、保険給付の時効期間(2年間)を考慮し、労災保険給付の請求が行われている場合であっても、「健康保険給付の申請が可能である」ことを被保険者等に対して周知するなどの十分な配慮を行うこと、とされている。
B × (令7条2項・3項)理事長は、規約で定めるところにより、「毎年度1回」通常組合会を招集しなければならない。なお、後段部分は正しい。
C × (則51条1項、令3.8.13事務連絡)本肢のような規定はない。令和3年10月から、被保険者証の交付については、保険者から被保険者に直接送付されることが可能とされたが、被保険者証等の返納については、事業主経由を省略することはできない。
D 〇 (令2.3.27保医発0327第3号)本肢のとおりである。介護保険適用病床に入院している要介護被保険者である患者が、急性増悪等により密度の高い医療行為が必要となった場合については、当該患者を医療保険適用病床に転床させて療養を行うことが原則であるが、患者の状態、当該病院又は診療所の病床の空き状況等により、患者を転床させず、当該介護保険適用病床において緊急に医療行為を行う必要のある場合の当該緊急に行われた医療に係る給付については、医療保険から行われる。
E × (則26条の2)育児休業等を終了した際の報酬月額変更の届出は、「速やかに」、所定の事項を記載した届出を日本年金機構又は健康保険組合に提出することによって行うものとされている。
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step3 コメント
・択一式の健康保険法の問1は、BとEが誤りであることはおそらくわかると思われますが、それ以外の3つの肢で迷うのではないでしょうか。ただ、Cは被保険者証の保険者から被保険者への直接交付はあってもその逆はないため、混乱しなければ誤りであることがわかります。Aの内容がわかっていなければAを選んでしまうことが想定されます。
明日もがんばりましょう。

2022年12月02日
65問目は、択一式の健康保険法です。
正答率49%の問題です。
<問題( 択一式 健保 問10 )>
〔問〕 費用の負担に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問は、二重解答と試験センターから発表されているが、Aについては、問題としてそぐわないと判断し、本問から除いている。したがって、本問はB~Eの4択としている。
B 6月25日に40歳に到達する被保険者に対し、6月10日に通貨をもって夏季賞与を支払った場合、当該標準賞与額から被保険者が負担すべき一般保険料額とともに介護保険料額を控除することができる。
C 4月1日にA社に入社し、全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者資格を取得した被保険者Xが、4月15日に退職し被保険者資格を喪失した。この場合、同月得喪に該当し、A社は、被保険者Xに支払う報酬から4月分としての一般保険料額を控除する。その後、Xは4月16日にB社に就職し、再び全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者資格を取得し、5月以降も継続して被保険者である場合、B社は、当該被保険者Xに支払う報酬から4月分の一般保険料額を控除するが、この場合、A社が徴収した一般保険料額は被保険者Xに返還されることはない。
D 育児休業期間中に賞与が支払われた者が、育児休業期間中につき保険料免除の取扱いが行われている場合は、当該賞与に係る保険料が徴収されることはないが、標準賞与額として決定され、その年度における標準賞与額の累計額に含めなければならない。
E 日雇特例被保険者が、同日において、午前にA健康保険組合管掌健康保険の適用事業所で働き、午後に全国健康保険協会管掌健康保険の適用事業所で働いた。この場合の保険料の納付は、各適用事業所から受ける賃金額により、標準賃金日額を決定し、日雇特例被保険者が提出する日雇特例被保険者手帳に適用事業所ごとに健康保険印紙を貼り、これに消印して行われる。
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step1 正解は・・・
E
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step2 解説
B 〇 (法167条2項)本肢のとおりである。40歳に到達した月に賞与が支払われた場合には、当該標準賞与額から被保険者が負担すべき一般保険料額とともに介護保険料額を控除することができる。
C 〇 (法156条、昭19.6.6保発363号)本肢のとおりである。同一月に複数回資格の取得及び喪失があった月は、2か月分以上の保険料を徴収されることがある。
D 〇 (法45条1項、法159条)本肢のとおりである。育児休業期間中に賞与が支払われた場合には保険料免除の対象となるが、当該賞与についても標準賞与額として決定され、年度の累計額(573万円)に算入される。このため、育児休業期間中に支払われる賞与額についても、賞与支払届の提出が必要となる。
E × (法125条1項、法169条2項)日雇特例被保険者が1日において2以上の事業所に使用される場合には、初めに使用される事業所から受ける賃金により標準賃金日額が決定され、初めにその者を使用する事業主のみが保険料の納付義務を負うこととされている。
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step3 コメント
・択一式の健康保険法の問10は、Eの取扱いがわかっていれば問題なく正解できますが、そうでないとCの事例問題や、B辺りで迷いかねません。
明日もがんばりましょう。

2022年12月01日
64問目は、択一式の健康保険法です。
正答率50%の問題です。
<問題( 択一式 健保 問9 )>
〔問〕 現金給付である保険給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 被保険者が自殺により死亡した場合は、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行う者がいたとしても、自殺については、健康保険法第116条に規定する故意に給付事由を生じさせたときに該当するため、当該給付事由に係る保険給付は行われず、埋葬料は不支給となる。
B 被保険者が出産手当金の支給要件に該当すると認められれば、その者が介護休業期間中であっても当該被保険者に出産手当金が支給される。
C 共済組合の組合員として6か月間加入していた者が転職し、1日の空白もなく、A健康保険組合の被保険者資格を取得して7か月間加入していた際に、療養のため労務に服することができなくなり傷病手当金の受給を開始した。この被保険者が、傷病手当金の受給を開始して3か月が経過した際に、事業所を退職し、A健康保険組合の任意継続被保険者になった場合でも、被保険者の資格を喪失した際に傷病手当金の支給を受けていることから、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者から傷病手当金の給付を受けることができる。
D 療養費の支給対象に該当するものとして医師が疾病又は負傷の治療上必要であると認めた治療用装具には、義眼、コルセット、眼鏡、補聴器、胃下垂帯、人工肛門受便器(ペロッテ)等がある。
E 移送費の支給が認められる医師、看護師等の付添人による医学的管理等について、患者がその医学的管理等に要する費用を支払った場合にあっては、現に要した費用の額の範囲内で、診療報酬に係る基準を勘案してこれを評価し、現に移送に要した費用とともに移送費として支給を行うことができる。
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step1 正解は・・・
B
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step2 解説
A × (法116条、昭26.3.19保文発721号)自殺は、故意に基づく事故だが、死亡は最終的1回限りの絶対的な事故であるとともに、この死亡に対する保険給付としての埋葬料は、被保険者であった者に生計を依存していた者で埋葬を行う者に対して支給されるという性質のものであるから、法116条に該当しないものとして取り扱い、埋葬料を支給しても差し支えない。
B 〇 (法102条、平11.3.31保険発46号・庁保険発9号)本肢のとおりである。傷病手当金及び出産手当金の支給要件に該当すると認められる者については、その者が介護休業期間中であっても傷病手当金又は出産手当金が支給される。
C × (法104条)傷病手当金の継続給付については、被保険者の資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者であったことが支給要件とされているが、この「引き続き1年以上被保険者であった期間」には、共済組合の組合員である被保険者であった期間は含まれない。本肢の場合、A健康保険組合の被保険者資格を取得して7か月間加入した際に傷病手当金の受給を開始し、受給を開始して3か月が経過した際に事業所を退職しているため、傷病手当金の継続給付を受けることはできない。
D × (法87条1項、昭25.11.7保険発235号)眼鏡(小児弱視等の治療用眼鏡等は除く)、補聴器、胃下垂帯、人工肛門受便器は、療養費の支給対象となる治療材料の範囲には含まれない。
E × (法97条、法87条、平6.9.9保険発119号・庁保険発9号)本肢の場合には、現に要した費用の額の範囲内で、移送費とは別に、診療報酬に係る基準を勘案してこれを評価し、療養費の支給を行うことができるとされている。
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step3 コメント
・択一式の健康保険法の問9は、現金給付である保険給付という若干、変わったタイトルの問題でした。正解肢であるBとCの難易度が比較的高く、どちらかで迷う人が多かったように見受けられます。
明日もがんばりましょう。
