労災(2022本試験)

2022年12月28日

「ランチタイム・スタディ( 2022本試験)」の第91問です。

91問目は、択一式の労災保険法です。


正答率26%の問題です。



<問題( 択一式 労災 問2 )>

〔問〕 労災保険法施行規則第33条に定める労災就学援護費に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 労災就学援護費の支給対象には、傷病補償年金を受ける権利を有する者のうち、在学者等である子と生計を同じくしている者であり、かつ傷病の程度が重篤な者であって、当該在学者等に係る学資の支給を必要とする状態にあるものが含まれる。

B 労災就学援護費の支給対象には、障害年金を受ける権利を有する者のうち、在学者等である子と生計を同じくしている者であって、当該在学者等に係る職業訓練に要する費用の支給を必要とする状態にあるものが含まれる。

C 労災就学援護費の額は、支給される者と生計を同じくしている在学者等である子が中学校に在学する者である場合は、小学校に在学する者である場合よりも多い。


D 労災就学援護費の額は、支給される者と生計を同じくしている在学者等である子が特別支援学校の小学部に在学する者である場合と、小学校に在学する者である場合とで、同じである。


E 労災就学援護費は、支給される者と生計を同じくしている在学者等である子が大学に在学する者である場合、通信による教育を行う課程に在学する者か否かによって額に差はない。



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step1 正解は・・・



E


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step2 解説

(則33条1項5号)本肢のとおりである。傷病補償年金、複数事業労働者傷病年金又は傷病年金を受ける権利を有する者のうち、在学者等である子と生計を同じくしている者であり、かつ傷病の程度が重篤な者であって、当該在学者等に係る学資等の支給を必要とする状態にあるものは、労災就学援護費の支給対象とされる。

(則33条1項4号)本肢のとおりである。障害補償年金、複数事業労働者障害年金又は障害年金を受ける権利を有する者のうち、在学者等である子と生計を同じくしている者であって、当該在学者等に係る学資等の支給を必要とする状態にあるものは、労災就学援護費の支給対象とされるが、「学資等の支給を必要とする状態」とは、学資又は職業訓練若しくは教育訓練等に要する費用の支給を必要とする状態にあるものをいう。

(則33条2項1号・2号)本肢のとおりである。労災就学援護費の額は、対象者1人につき、中学校に在学する者は月額18,000円、小学校に在学する者は月額14,000円とされている。

(則33条2項1号)本肢のとおりである。小学校、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部に在学する者については、いずれも、対象者1人につき月額14,000円とされている。

× (則33条2項4号)大学に在学する者は、対象者1人につき月額39,000円とされているが、通信による教育を行う課程に在学する者については、1人につき月額30,000円とされている。



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step3 コメント

・択一式の労災保険法の問2は、労災就学援護費に関する問題でした。そもそも労災就学援護費は、労災テキストの後ろの方に記載があり、どうしても学習が後回しになってしまう箇所ですので、正答率がかなり低くなっていますが、この範囲まで学習が確実にできた人にだけ与えられる1点だったといえます。



明日もがんばりましょう。




2022年12月27日

「ランチタイム・スタディ( 2022本試験)」の第90問です。

90問目は、択一式の労災保険法です。


正答率27%の問題です。



<問題( 択一式 労災 問4 )>

〔問〕 業務災害に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア 工場に勤務する労働者が、作業終了後に更衣を済ませ、班長に挨拶して職場を出て、工場の階段を降りる途中に足を踏み外して転落して負傷した場合、業務災害と認められる。

イ 日雇労働者が工事現場での一日の作業を終えて、人員点呼、器具の点検の後、現場責任者から帰所を命じられ、器具の返還と賃金受領のために事業場事務所へと村道を歩き始めた時、交通事故に巻き込まれて負傷した場合、業務災害と認められる。

ウ 海岸道路の開設工事の作業に従事していた労働者が、12時に監督者から昼食休憩の指示を受け、遠く離れた休憩施設ではなく、いつもどおり、作業場のすぐ近くの崖下の日陰の平らな場所で同僚と昼食をとっていた時に、崖を落下してきた岩石により負傷した場合、業務災害と認められる。

エ 仕事で用いるトラックの整備をしていた労働者が、ガソリンの出が悪いため、トラックの下にもぐり、ガソリンタンクのコックを開いてタンクの掃除を行い、その直後に職場の喫煙所でたばこを吸うため、マッチに点火した瞬間、ガソリンのしみこんだ被服に引火し火傷を負った場合、業務災害と認められる。

オ 鉄道事業者の乗客係の労働者が、T駅発N駅行きの列車に乗車し、折り返しのT駅行きの列車に乗車することとなっており、N駅で帰着点呼を受けた後、指定された宿泊所に赴き、数名の同僚と飲酒・雑談ののち就寝し、起床後、宿泊所に食事の設備がないことから、食事をとるために、同所から道路に通じる石段を降りる途中、足を滑らせて転倒し、負傷した場合、業務災害と認められる。



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step1 正解は・・・



E


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step2 解説

(法7条1項1号、昭50.12.25基収1724号)本肢のとおりである。事業場施設内における業務に就くための出勤又は業務を終えた後の退勤で「業務」と接続しているものは、業務行為そのものではないが、業務に通常付随する準備後始末行為と認められる。本件災害に係る退勤は、就業直後の行為であって、業務と接続する行為と認められること、当該災害が労働者の積極的な私的行為又は恣意行為によるものとは認められないこと及び当該災害は、通常発生しうるような災害であることから見て事業主の支配下に伴う危険が現実化した災害であると認められる。したがって、本件については、業務災害として取り扱うこととする。

(法7条1項1号、昭28.11.14基収5088号)本肢のとおりである。本肢の場合、作業終了後に作業用具の返還や賃金受領のため事務所へ戻ることは、被災者の業務に当然付随するものとみるべきであり、線路上を歩行したことの故をもってこれを否定すべき事情もないから、その間に発生した本件死亡は、被災者の業務に起因するものとして業務上と解すべきである。

(法7条1項1号、昭27.10.13基災収3552号)本肢のとおりである。本件においては、作業場には休憩所及び事務所の設備があるが、事務所は約180メートルはなれており、また休憩所は小高くなっているところにあるため、被災者たちは休憩所まで行くのに歩きにくい坂道(道らしいものはない)を登って行かねばならないため、たいてい現場の日陰になっている崖下等を利用して休憩昼食を行なっていたものである。したがって、業務に伴う危険が現実化して生じたものと認められる。

(法7条1項1号、昭30.5.12基発298号)本肢のとおりである。本肢の場合、喫煙行為自体は私的行為であるものの、火傷は、トラックの整備作業に従事して被服にガソリンがしみ込んでいたために生じたものであり、トラック整備作業による汚染に起因するものであるから業務上の負傷である。

(法7条1項1号、昭41.6.8基災収38号)本肢のとおりである。本件は、折返し列車の待ち時間中に起こった災害であり、業務災害と認められる。



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step3 コメント

・択一式の労災保険法の問4は、業務災害に関する個数問題でした。業務災害と認められるかどうかの問題は、そもそも難しく、しかも個数問題の上に、正解肢が全て正しいというEでしたから、全ての肢の正誤が正しいと判断できた場合のみに正解できるものになり、難易度は相当高くなりました。



明日もがんばりましょう。




2022年12月12日

「ランチタイム・スタディ( 2022本試験)」の第75問です。

75問目は、択一式の労災保険法です。


正答率43%の問題です。



<問題( 択一式 労災 問7 )>

〔問〕 業務起因性が認められる傷病が一旦治ゆと認定された後に「再発」した場合は、保険給付の対象となるが、「再発」であると認定する要件として次のアからエの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

ア 当初の傷病と「再発」とする症状の発現との間に医学的にみて相当因果関係が認められること

イ 当初の傷病の治ゆから「再発」とする症状の発現までの期間が3年以内であること

ウ 療養を行えば、「再発」とする症状の改善が期待できると医学的に認められること

エ 治ゆ時の症状に比べ「再発」時の症状が増悪していること

A(アとイ)  B(アとエ)  C(アとイとエ)
D(アとウとエ)  E(アとイとウとエ)



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step1 正解は・・・



D


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step2 解説

(「業務災害及び通勤災害の理論と実務」、昭51.1.16神戸地裁判決)再発とは、一旦治ゆとされた者について、その後にその傷病との間に医学上の因果関係が認められる傷病が発生したときをいうものであり、次の要件を満たした場合に「再発」として取り扱われる。

①当初の負傷又は疾病と再発後の症状の発現との間に医学的にみて相当因果関係が認められること

②治ゆ時の状態からみて明らかに症状が悪化していること

③療養によってその症状が改善される見込みがあると医学的に認められること

なお、当初の傷病の治ゆから「再発」とする症状の発現までの期間については特段の定めはされていないため、ウは誤りである。



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step3 コメント

・択一式の労災保険法の問7は、「再発」であると認定する要件の問題でした。イの再発は3年以内という期間が定められていないであろうことと、エの症状が悪化していることを指すことは明らかであろうと考えたと思われますので、結局、イが入っていなくて、エが入っているものを探すとBとDが残りますので、解答はこの2つに割れていました。したがって、ウの「療養を行えば、「再発」とする症状の改善が期待できると医学的に認められること」が再発の要件に入っているか否かが解答の分かれ目になりますが、いずれにせよ、難しい部類の問題といえます。
・組合せ問題は通常、問題の肢がア~オの5つですが、初めて問題の肢がア~エの4つであり、そのため、解答も正しいものが2つのところと3つのところに分かれて出題されています。アはA~Eの全てに入っているため、正誤判断を必要としない(=初めから正しいとされている)ことになりますが、それではアは必要なく、イ~エの中での組合せにすればいいのではないかと思う人がいると思います。なぜ、アがわざわざ入っているかというと、アを無くすと解答が、A(イ) B(エ) C(イとエ) D(ウとエ) E(イとウとエ)となりますが、この場合のA(イ) B(エ) は、「組合せ」とならなくなってしまうからだと考えられます。




明日もがんばりましょう。




2022年11月22日

「ランチタイム・スタディ(2022本試験)」の第54問です。

54問目は、選択式の労災保険法です。

正答率86&60&85の問題です。

※選択式労災C=86%、D=60%、E=85%(C及びEは正答率がDより高いものの同じカテゴリーですので、Dの正答率に合わせここで掲載しています。)



<問題( 選択式 労災 CDE )>

最高裁判所は、中小事業主が労災保険に特別加入する際に成立する保険関係について、次のように判示している(作題に当たり一部改変)。

労災保険法(以下「法」という。)が定める中小事業主の特別加入の制度は、労働者に関し成立している労災保険の保険関係(以下「保険関係」という。)を前提として、当該保険関係上、中小事業主又はその代表者を  C  とみなすことにより、当該中小事業主又はその代表者に対する法の適用を可能とする制度である。そして、法第3条第1項、労働保険徴収法第3条によれば、保険関係は、労働者を使用する事業について成立するものであり、その成否は当該事業ごとに判断すべきものであるところ、同法第4条の2第1項において、保険関係が成立した事業の事業主による政府への届出事項の中に「事業の行われる場所」が含まれており、また、労働保険徴収法施行規則第16条第1項に基づき労災保険率の適用区分である同施行規則別表第1所定の事業の種類の細目を定める労災保険率適用事業細目表において、同じ建設事業に附帯して行われる事業の中でも当該建設事業の現場内において行われる事業とそうでない事業とで適用される労災保険率の区別がされているものがあることなどに鑑みると、保険関係の成立する事業は、主として場所的な独立性を基準とし、当該一定の場所において一定の組織の下に相関連して行われる作業の一体を単位として区分されるものと解される。そうすると、土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体又はその準備の事業(以下「建設の事業」という。)を行う事業主については、個々の建設等の現場における建築工事等の業務活動と本店等の事務所を拠点とする営業、経営管理その他の業務活動とがそれぞれ別個の事業であって、それぞれその業務の中に  D  を前提に、各別に保険関係が成立するものと解される。

したがって、建設の事業を行う事業主が、その使用する労働者を個々の建設等の現場における事業にのみ従事させ、本店等の事務所を拠点とする営業等の事業に従事させていないときは、営業等の事業につき保険関係の成立する余地はないから、営業等の事業について、当該事業主が特別加入の承認を受けることはできず、 E  に起因する事業主又はその代表者の死亡等に関し、その遺族等が法に基づく保険給付を受けることはできないものというべきである。



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step1 次の選択肢の中から答を選んでください。


Cの選択肢
⑮ 使用者  ⑯ 特別加入者  ⑰ 一人親方  ⑱ 労働者

Dの選択肢
⑬ 事業主が自ら行うものがあること  ⑭ 事業主が自ら行うものがないこと
⑲ 労働者を使用するものがあること  ⑳ 労働者を使用するものがないこと

Eの選択肢
⑨ 営業等の事業に係る業務  ⑩ 建設及び営業等以外の事業に係る業務
⑪ 建設及び営業等の事業に係る業務  ⑫ 建設の事業に係る業務



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step2 正解は・・・


C → ⑱ 労働者(平24.2.24最高裁判決広島中央労基署長事件)

D → ⑲ 労働者を使用するものがあること(平24.2.24最高裁判決広島中央労基署長事件)

E → ⑨ 営業等の事業に係る業務(平24.2.24最高裁判決広島中央労基署長事件)

   

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step3 コメント


・選択式の労災保険法のC、D及びEは、最高裁判決広島中央労基署長事件からの出題でした。以前には、平成27年選択式で、最高裁判決高田建設事件が出題されたことがあります。久しぶりの判例からの出題ですが、中小事業主の特別加入の仕組みを知っていれば比較的得点しやすい問題です。



明日もがんばりましょう。



2022年11月03日

「ランチタイム・スタディ( 2022本試験)」の第35問です。

35問目は、択一式の労災保険法です。


正答率72%の問題です。


<問題( 択一式 労災 問5 )>

〔問〕 労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間の往復を、合理的な経路及び方法により行うことによる負傷、疾病、障害又は死亡は、通勤災害に当たるが、この「住居」、「就業の場所」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 同一市内に住む長女が出産するため、15日間、幼児2人を含む家族の世話をするために長女宅に泊まり込んだ労働者にとって、長女宅は、就業のための拠点としての性格を有する住居と認められる。

B アパートの2階の一部屋に居住する労働者が、いつも会社に向かって自宅を出発する時刻に、出勤するべく靴を履いて自室のドアから出て1階に降りようとした時に、足が滑り転倒して負傷した場合、通勤災害に当たらない。

C 一戸建ての家に居住している労働者が、いつも退社する時刻に仕事を終えて自宅に向かってふだんの通勤経路を歩き、自宅の門をくぐって玄関先の石段で転倒し負傷した場合、通勤災害に当たらない。

D 外回りの営業担当の労働者が、夕方、得意先に物品を届けて直接帰宅する場合、その得意先が就業の場所に当たる。

E 労働者が、長期入院中の夫の看護のために病院に1か月間継続して宿泊した場合、当該病院は就業のための拠点としての性格を有する住居と認められる。



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step1 正解は・・・



B


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step2 解説

(法7条2項、昭52.12.23基収1027号)本肢のとおりである。

× (法7条2項、昭49.4.9基収314号)本肢の場合、労働者が居住するアパートの外戸(ドア)が住居と通勤通路との境界であるので、当該アパートの階段は、通勤の経路と認められるため、通勤災害に当たる。

(法7条2項、昭49.7.15基収2110号)本肢のとおりである。一戸建て住居の場合は、敷地内に入る地点が住居と通勤との境界であるため、自宅の門をくぐって玄関先の石段で転倒し負傷したとしても通勤災害とは認められない。

(法7条2項、平18.3.31基発331042号)本肢のとおりである。

(法7条2項、昭25.12.23基収981号)本肢のとおりである。



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step3 コメント

・択一式の労災保険法の問5は、通勤災害に関する問題でした。B及びCのアパートと一戸建ての家の住居と通勤通路との境界は、あまりにも初歩的な内容を問う基本通達からの出題でしたので、ここは迷わず即答できなければならないサービス問題といえます。



明日もがんばりましょう。