ランチタイム・スタディ2021統計数値

2021年01月22日

「ランタイム・スタディ2021統計数値」の14日目は、「令和2年就労条件総合調査」から「割増賃金率」の調査記載事項です。



割増賃金率

【令和2年就労条件総合調査結果の概況】


(1)時間外労働の割増賃金率

時間外労働の割増賃金率を「一律に定めている」企業割合81.6%となっており、そのうち、時間外労働の割増賃金率を「25%」とする企業割合は93.3%、「26%以上」とする企業割合は4.5%となっている。

時間外労働の割増賃金率を「26%以上」とする企業割合を企業規模別にみると、1,000人以上21.3%、300~999人が13.5%、100~299人が5.9%、30~99人が2.5%となっている。

<ポイント>
・時間外労働の割増賃金率を一律に定めている企業のうち、9割以上の企業が、時間外労働の割増賃金率は法定の25%です。

・ちなみに、時間外労働の割増賃金率を「一律に定めている」企業割合は約8割となりますが、約2割の企業は時間外労働の割増賃金率を定めていないのではありません。約2割の企業の中の約12%ほどの企業は、一律ではなく、「変則的」に定めています。また、約7%ほどの企業は定めていないものの、それは「就業規則等に定めていない」という意味で、実際に割増賃金を支払っていないということではありません。すなわち、時間外労働の割増賃金率を「一律に定めている」企業とは、25%とか、30%とか、一律に定めている企業が約8割ということになります。

・時間外労働の割増賃金率を「26%以上」とする企業割合は、企業規模が大きいほど多くなっていきますが、1,000人以上規模企業では約2割です。


(2)1か月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率

時間外労働の割増賃金率を定めている企業のうち、1か月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を定めている企業割合31.1%となっており、そのうち、時間外労働の割増賃金率を「25~49%」とする企業割合は37.2%、「50%以上」とする企業割合は60.1%となっている。

1か月60 時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を定めている企業割合を中小企業該当区分別にみると、「中小企業」が25.9%、「中小企業以外」が58.7%となっている。

<ポイント>

・月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率は50%以上とされていますが、中小企業については適用が猶予されており、令和5年4月1日からの適用となります。

・1か月60 時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を定めている企業割合は、「中小企業」が少ないのは理解できますが、「中小企業以外(すなわち大企業)」が約6割ということは、定めていない中小企業以外は約4割(41.3%)となり、法令に違反している企業が約4割もあると思ってしまう方がいると思います。ここは、60 時間超えの割増賃金を実際に支払っているかどうかではなく、「就業規則等に明文化されていない企業」が約4割あるということです。ということは、中小企業であれば、なおさら就業規則等に明記されていないので、令和5年4月1日以降、社労士が活躍できるひとつの切り口になります。令和3年11月に合格して、令和4年中に事務指定講習を受けて登録すれば、令和5年4月1日前からそれらを材料に営業していくことが可能となりますから、頑張っていってください。


来週もがんばりましょう。



2021年01月21日

「ランチタイム・スタディ 2021統計数値」の13日目は、「令和2年就労条件総合調査結果の概況」から「諸手当」の推定予想問題です。


<推定予想問題(諸手当)>

〔問〕 諸手当に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、本問は、「令和2年就労条件総合調査結果の概況」を参照しており、当該調査による用語及び統計等を利用している。

A 令和元年11月分の常用労働者1人平均所定内賃金は319.7千円となっており、そのうち諸手当は79.6千円、所定内賃金に占める諸手当の割合は24.9%となっている。

B 所定内賃金に占める諸手当の割合を企業規模別にみると、規模が大きいほど高くなっている。

C 令和元年11月分の諸手当を支給した企業割合を諸手当の種類別(複数回答)にみると、 「通勤手当など」が最も高く、次いで「役付手当など」、「家族手当、扶養手当、育児支援手当など」の順となっている。

D 企業規模別にみると、「特殊作業手当など」、「特殊勤務手当など」、「地域手当、勤務地手当など」、「住宅手当など」、「単身赴任手当、別居手当など」、「調整手当など」、及び「精皆勤手当、出勤手当など」は、規模が大きいほど支給企業割合が高く「役付手当など」は規模が小さいほど支給企業割合が高い。

E 令和元年11月分として支給された労働者1人平均の諸手当の支給額を諸手当の種類別にみると、「役付手当など」が最も高く、次いで「単身赴任手当、別居手当など」、「業績手当など」の順となっている。




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step1 正解は・・・



C



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step2 解説

A ☓ (令和2年就労条件総合調査結果の概況) 令和元年11月分の常用労働者1人平均所定内賃金は319.7千円となっており、そのうち諸手当は「47.5千円」、所定内賃金に占める諸手当の割合は「14.9%」となっている。

B ☓ (令和2年就労条件総合調査結果の概況) 所定内賃金に占める諸手当の割合を企業規模別にみると、規模が「小さい」ほど高くなっている。

C 〇 (令和2年就労条件総合調査結果の概況) 本肢のとおりである。


D ☓ (令和2年就労条件総合調査結果の概況) 「精皆勤手当、出勤手当など」は、規模が小さいほど支給企業割合が高い。

E ☓ (令和2年就労条件総合調査結果の概況) 令和元年11月分として支給された労働者1人平均の諸手当の支給額を諸手当の種類別にみると、「業績手当など」が52.2千円で最も高く、次いで「単身赴任手当、別居手当など」47.6千円、「役付手当など」41.6千円となっている。



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step3 コメント


・「令和2年就労条件総合調査結果の概況」から「諸手当」の択一式問題です。この「諸手当」の調査項目に関して注目されることとしては、「同一労働同一賃金ガイドライン」(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針)が出されたことです。これにより、正社員と非正規雇用労働者(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)との間で、業務や仕事量等の勤務状況に差がない場合、同等の賃金、手当を支払わなければなりません。このところの最高裁判例では、各手当ごとに支払の有無が合理的か不合理に当たるかが争われていて、たとえば、これまで正社員だけにしか支払わなかった「精皆勤手当」があれば、非正規雇用労働者にも支払うようにしなければならなくなっています。このガイドラインは大企業では令和2年4月から、中小企業では令和3年4月から適用され、賃金だけでなく、「教育訓練」や「福利厚生」も対象になります。諸手当の前回調査は、平成27年であり5年前のことになりますが、今回、あえてこの項目を取り上げたのも、働き方改革に伴う賃金の支給状況を知るうえで意味があるからだと思われます。したがって、ここは、各種調査の中でも極めて重要な箇所であるといえます。

・会社から支給される手当には、時間外労働手当、通勤手当、家族手当、住宅手当など様々ありますが、実は手当は「法律上、支給しなければならない手当」と「会社が任意で決める手当」の2種類に分けられます。就労条件総合調査では、「所定内賃金」に占める「諸手当」とその種類、額等を調査していますので、時間外労働手当、深夜労働手当、休日出勤手当などの「法律上、支給しなければならない手当」(=割増賃金)は、対象外であり、本調査には含まれていません。

・諸手当の項目の中で、最重要なのがAとBになります。すなわち、所定内賃金に占める諸手当の割合は「約15%」であり、規模が「小さい」ほど高くなっているところです。基本給を高くできない小企業にとって、賃金を手当で補う形を取っているわけです。

・本問のC~Eは、C:諸手当の中で企業が多く取り入れている手当の種類の順、D:その企業規模別傾向、E:額が多い手当の順、を問うています。

・Cの諸手当の中で企業が多く取り入れている手当の種類の順としては、ほぼ社員全員に支払っているであろう 「通勤手当など」が最も多くなることは頷けます。次いで、たとえば、係長に昇格したら手当として2万円、課長に昇格したら手当として5万円支払うなどの「役付手当など」がきます。3番目にくるのが、家族の扶養に係る「家族手当、扶養手当、育児支援手当など」になります。このあたりは、みなさんの勤務する会社の手当をイメージして覚えてしまいましょう。

・Dの企業が多く取り入れている手当の種類の順の企業規模別傾向ですが、規模が小さい企業ほど、社員の遅刻や欠勤が多くなる傾向がありますので、「精皆勤手当、出勤手当など」を取り入れる企業が高くなる傾向にあります。それと、「役付手当など」については、前回調査では、規模で大きな差が見られなかったものが、今回は規模が小さいほど支給企業割合が高い方に加わったので、この2つを押さえておきましょう。

・Eの額が多い手当の順としては、売り上げを伸ばしたい企業にとって、やはり「業績手当など」が一番になります。単に、業績手当といっても、個人に対して支給するものもあれば、部門やグループに対して行うものもありますが、ここでは実際に支払われている社員のみを対象に、実際に支払われている額の1人当たりに換算した額が掲載されています。業績に寄与したともなれば、それなりの額が出せますし、少額だと「馬の鼻先ににんじんをぶら下げる」効果が薄くなってしまいますから、一番にくるものと認識してください。額としては「約5万円」であり、この金額は実際に支払われている社員の「業績手当など」の額の平均です。(要するに、「業績を達成できた者には5万円を支給する」という規定があっても、実際に支払われている社員が1人もいなければゼロ円となり、対象となる人が100人いるのに、実際に支払われている社員が2人いて、それぞれ5万円ずつ支払われていた場合には5万円となります。)

・諸手当の問題は、試験委員にとって作問しやすい箇所でもあります。それに、企業の賃金実態を受験生が正しく理解できているかの試金石ともいえる問題にもなりますので、択一式の1肢、場合によっては選択式の1肢に出題されてもおかしくありません。確実に押さえてしまってください。

・実務としては、会社により労働者の勤務状況は異なりますし、同じ会社でも職種や就労する場所、勤務時間等に応じて労働条件が異なることになりますから、そこで働く労働者の実情にあった釣り合いのとれた手当を支給することが企業には求められています。したがって、諸手当に関しては、中小企業に対する就業規則や賃金体系等のアドバイスにおいて、社労士の腕の見せ所にもなるところであるといえます。みなさんが将来、活躍できるところであると思って、がんばって覚えてしまいましょう。


明日もがんばりましょう。



2021年01月20日

「ランチタイム・スタディ2021統計数値」の12日目は、「令和2年就労条件総合調査結果の概況」から「諸手当」の調査記載内容です。


諸手当

【令和2年就労条件総合調査結果の概況】

令和元年11月分の常用労働者1人平均所定内賃金319.7千円となっており、そのうち諸手当47.5千円所定内賃金に占める諸手当の割合14.9%となっている。

所定内賃金に占める諸手当の割合を企業規模別にみると、規模が小さいほど高くなっている。

令和元年11月分の諸手当を支給した企業割合を諸手当の種類別(複数回答)にみると、 「通勤手当など」が92.3%最も高く、次いで「役付手当など」86.9%、「家族手当、扶養手当、育児支援手当など」68.6%などとなっている。

企業規模別にみると、「特殊作業手当など」、「特殊勤務手当など」、「地域手当、勤務地手当など」、「住宅手当など」、「単身赴任手当、別居手当など」、及び「調整手当など」は、規模が大きいほど支給企業割合が高く、「役付手当など」「精皆勤手当、出勤手当など」は規模が小さいほど支給企業割合が高い

令和元年11月分として支給された労働者1人平均の諸手当の支給額を諸手当の種類別にみると、「業績手当など」が52.2千円最も高く、次いで「単身赴任手当、別居手当など」47.6千円、「役付手当など」41.6千円となっている。


明日もがんばりましょう。



2021年01月19日

「ランチタイム・スタディ 2021統計数値」の11日目は、「令和2年就労条件総合調査結果の概況」から「勤務間インターバル制度」の推定予想問題です。



<推定予想問題(勤務間インターバル制度)>

〔問〕 勤務間インターバル制度に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問は、「令和2年就労条件総合調査結果の概況」を参照しており、当該調査による用語及び統計等を利用している。

A 「勤務間インターバル制度」とは、労働者の健康確保などを目的として、実際の終業時刻から始業時刻までの間隔を一定時間以上空ける制度をいうが、実際の終業時刻から始業時刻までの具体的な時間数を定めていない場合はこれに該当しないが、具体的な時間数を定めていても、11時間未満の場合にはこれに該当しない。

B 1年間を通じて実際の終業時刻から始業時刻までの間隔が11 時間以上空いている労働者がどの程度いるかを企業に聞いたところ、「全員」又は「ほとんど全員」と回答した企業割合は6割を超えている。

C 1年間を通じて実際の終業時刻から始業時刻までの間隔が11 時間以上空いている労働者がどの程度いるかを企業に聞いたところ、「ほとんどいない」又は「全くいない」と回答した企業割合は1割を上回っている。

D 勤務間インターバル制度の導入状況別の企業割合をみると、「導入している」が4.2%である。これを企業規模別にみると、企業規模が大きい方が導入している企業割合が高いが、「1企業平均間隔時間」(各企業で定められている実際の終業時刻から始業時刻までの間に空けることとしている間隔の時間で、各企業で複数ある場合は最も短い間隔の時間の平均)は、企業規模が大きい方が短い。

E 勤務間インターバル制度の導入状況別の企業割合をみると、「導入の予定はなく、検討もしていない」が約8割である。勤務間インターバル制度の導入予定はなく、検討もしていない企業について、導入予定はなく、検討もしていない理由(複数回答)別の企業割合をみると、「超過勤務の機会が少なく、当該制度を導入する必要性を感じないため」が最も多い。




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step1 正解は・・・



A



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step2 解説

A ☓ (令和2年就労条件総合調査結果の概況) 前段部分は正しいが、具体的な時間数が11時間以上であることは要しない。

B 〇 (令和2年就労条件総合調査結果の概況) 本肢のとおりである。

C 〇 (令和2年就労条件総合調査結果の概況) 本肢のとおりである。


D 〇 (令和2年就労条件総合調査結果の概況) 本肢のとおりである。

E 〇 (令和2年就労条件総合調査結果の概況) 本肢のとおりである。





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step3 コメント


・「令和2年就労条件総合調査結果の概況」から「勤務間インターバル制度」の択一式問題です。長時間労働を無くすために政府が力を入れていることであり、以前は調査項目に無かった内容ですから、押さえておきたい箇所となります。



明日もがんばりましょう。



2021年01月18日

「ランチタイム・スタディ2021統計数値」の10日目は、「令和2年就労条件総合調査結果の概況」から「勤務間インターバル制度」の調査記載内容です。



勤務間インターバル制度

【令和2年就労条件総合調査結果の概況】


(1)実際の終業時刻から始業時刻までの間隔が11 時間以上空いている労働者の状況

1年間を通じて実際の終業時刻から始業時刻までの間隔が11 時間以上空いている労働者が「全員」の企業割合は32.4%、「ほとんど全員」の企業割合は33.7%となっている。

ほとんどいない」の企業割合は2.1%、「全くいない」の企業割合は13.1%となっている。


(2)勤務間インターバル制度の導入状況

勤務間インターバル制度の導入状況別の企業割合をみると、「導入している」が4.2%、「導入を予定又は検討している」が15.9%、「導入の予定はなく、検討もしていない」が78.3%となっている。

[勤務間インターバル制度の導入状況別企業割合及び1企業平均間隔時間](単位:%)
勤務間インターバル



(3)勤務間インターバル制度を導入していない理由

勤務間インターバル制度の導入予定はなく、検討もしていない企業について、導入予定はなく、検討もしていない理由(複数回答)別の企業割合をみると、「超過勤務の機会が少なく、当該制度を導入する必要性を感じないため」が56.7%と最も多く、次いで、「当該制度を知らなかったため」が13.7%となっている。


<ポイント>
・勤務間インターバル(終業から始業までの間に一定の休息時間を確保する制度)は、働く人の健康を確保するなどの観点から、EUなどで導入されている制度です。

・終業時刻から始業時刻までの間隔が11 時間以上空いている労働者が「全員」又は「ほとんど全員」の企業割合は、66.1%(32.4%+33.7%)ですから、3社に2社は問題ない状況ですが、3社に1社は少なくとも3分の1以上の労働者が11時間空いていない状況です。

・政府が推進する勤務間インターバルですが、企業の導入割合が4.2%ですから、浸透しているとはいえません。

・勤務間インターバルを導入していない理由については、3年前まで最も多かったのは「当該制度を知らなかったため」でしたが、今は「必要性を感じない」が最も多くなっています。これは、表向きでは「制度を採り入れなくても実施できているので必要がない」となりますが、それなら助成金も出ることですし、制度を導入してもいいはずです。
実は、企業としては、不測の事態が起こり得る可能性があるので、そういった時に、勤務間インターバルを理由として「残業できない」ではたまりません。必要最小限の社員で業務を回している中で、社員の誰かがけが(またはインフルエンザ等の疾病や休業、退職等)をしてしまったり、社員の配偶者の転勤や子供の病気、親の介護等の致し方ない理由で急遽、出勤できなくなってしまったというときや、クレーム対応、あるいは、急な取引先からの業務依頼や納期に間に合わせるために夜を徹して働かなければならない時もあるはずですので、企業としては、勤務間インターバル制度を採り入れたくはないという本音もあるようです。



明日もがんばりましょう。