「平成30年版労働経済白書」読み解き

2019年02月17日

「平成30年版労働経済白書」読み解き5を始めます。

「平成30年版労働経済白書」読み解きの主旨については、1月20日の佐藤塾ブログの『
『「平成30年版労働経済白書」読み解き』 開始のお知らせ』をご覧ください。

5.我が国の労働生産性

●我が国の労働生産性の水準は、G7の中で最も低い水準となっている
労働生産性の「水準」について、2012年から2016年にかけての5年間の平均値をみると、我が国は名目労働生産性、実質労働生産性ともに、G7の中で最も低い水準にある
実質労働生産性をみると、フランス、ドイツ、米国がおおむね同水準となっており、労働投入量当たり60ドル台とG7の中で高水準となっている。次いで、イタリアの同値が50ドル台、カナダと英国の同値が40ドル台後半となっている。一方で、我が国の実質労働生産性は、労働投入量当たり40ドル台前半となっており、フランス、ドイツ、米国の水準に対して、おおむね0.7倍となっている。

●我が国の労働生産性の企業規模間格差は、国際的にみて大きい
雇用者数が250人以上の企業における労働生産性の水準を100とした際、雇用者数が20~49人の企業の同値がどのくらいなのかについて、OECD諸国のデータをまとたものによると、相対的に規模の大きな企業の労働生産性の水準が高いことは、OECD諸国で共通であり、相対的に規模の小さな企業の労働生産性の水準は、OECD平均でみると55%となっている。
フィンランド、フランス、イタリアでは、70%程度とOECD平均を上回り、大きな格差が生じていない一方で、英国や米国では50%程度、我が国では45%と企業規模による格差が大きい状況にある

●「製造業」「情報通信業」では、大企業の労働生産性が高いことなどにより、企業規模間の格差が生じているが、「小売業」「宿泊・飲食サービス業」では、大企業の労働生産性が低く、中小企業の方が高いことなどにより、同格差が生じている
「製造業」「情報通信業」「卸売業」「小売業」「宿泊・飲食サービス業」の各産業において、大企業(従業員1,000人以上の企業)と中小企業(従業員50~299人以下の企業)の2016年の労働生産性の水準を概観すると、「全産業」では、大企業に対する中小企業は72.2%となっている
各産業別に2016年の同値をみると、「製造業」が61.0%、「情報通信業」が83.4%、「卸売業」が89.2%となっており、特に「製造業」において格差が大きいことが分かる。一方で、「小売業」「宿泊・飲食サービス業」では、中小企業の労働生産性の方が高い水準にあり、中小企業に対する大企業は、「小売業」が94.5%、「宿泊・飲食サービス業」が81.2%となっている。

●労働生産性の企業規模間の格差は拡大している
2012年と2016年を比較し、こうした企業規模間の格差がどのように変化しているのか、確認してみると、「全産業」では、2012年において大企業に対する中小企業が77.1%であり、2016年の同値が72.2%であることを踏まえると、企業規模間の格差は拡大している。各産業別に2012年の同値をみると、「製造業」が72.0%、「情報通信業」が79.2%、「卸売業」が92.1%であり、2016年の同値が「製造業」が61.0%、「情報通信業」が83.4%、「卸売業」が89.2%であることを踏まえると、2016年において「製造業」「卸売業」では、格差が拡大していることが分かる。他方、「小売業」「宿泊・飲食サービス業」では、2016年と同様に、2012年においても中小企業の労働生産性の方が高い水準にあり、中小企業に対する大企業は、「小売業」が95.6%、「宿泊・飲食サービス業」が81.4%となり、格差はおおむね変わらない状況にある。

●「小売業」「宿泊・飲食サービス業」では、大企業と比較し、中小企業における労働生産性のバラつきが大きい
「小売業」「宿泊・飲食サービス業」では、大企業と比較し、中小企業における労働生産性のバラつきが大きくなっており、労働生産性が低い企業の「底上げ」により労働生産性を向上させる余地があるものと考えられる。



お疲れ様でした。
この部分は、タイトルだけを押さえておけば、細かい数値の把握は必要ないような気がします。
次回は、この部分の練習問題です。



2019年02月16日

「平成30年版労働経済白書」読み解き4「賃金の動向」の練習問題です。

「平成30年版労働経済白書」読み解きの主旨については、1月20日の佐藤塾ブログの『
『「平成30年版労働経済白書」読み解き』 開始のお知らせ』をご覧ください。


〔問〕 賃金の動向に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、本問においては「平成30年版労働経済白書」を参照している。

A 2017年度の名目賃金の動向をみると、これまでパートタイム労働者比率の上昇がマイナスに寄与し続けてきたが、一般労働者の増加がパートタイム労働者の増加を十分に上回ったことにより、パートタイム労働者比率が横ばいで推移したことから、そのマイナスの寄与が剥落していることが分かる。他方、一般労働者の所定内給与や特別給与がプラスに寄与した結果、2017年度の名目賃金の前年比は、4年連続でプラスとなった。

B パートタイム労働者比率の動向を確認すると、2008年度から2015年度にかけて一貫して下降傾向にあったが、2016年度には下降幅が鈍化し、2017年度には横ばいの推移となった。

C 女性一般労働者の賃金自体は増加しているが、60歳以上の一般労働者の賃金自体は減少している。

D 年齢階級別に男性一般労働者の現金給与総額の推移をみると、2007年と比較し、40歳台の賃金の増加幅が大きく、「40~44歳」では月額7.5万円、「45~49歳」では月額5.3万円の増加となっているように、男性一般労働者の現金給与総額の推移をみると、40歳台の賃金の増加幅が大きい。

E 係長級、課長級、部長級といった役職に就いている労働者の割合(以下「役職者比率」という。)について年齢階級別に状況をみると、2007年と比較し、「40~44歳」では6.2%ポイント上昇、「45~49歳」では4.8%ポイント上昇となっている。このように、男性一般労働者の役職者比率の推移をみると、40歳台における上昇幅が大きい。




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step1 正解は・・・



A



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step2 解説

A 〇 (平成30年版労働経済白書) 本肢のとおりである。

B ☓ (平成30年版労働経済白書) パートタイム労働者比率の動向を確認すると、2008年度から2015年度にかけて一貫して「上昇」傾向にあったが、2016年度には「上昇」幅が鈍化し、2017年度には横ばいの推移となった。なお、一般労働者とパートタイム労働者別に労働者数の推移をみると、パートタイム労働者は、2008年度以降一貫して増加している一方で、一般労働者は2008年度から2013年度にかけて減少傾向で推移していたが、2014年度以降、増加傾向に転じている。結果として、パートタイム労働者が引き続き増加傾向にある中、一般労働者の増加が顕著となり、パートタイム労働者比率が横ばいで推移したことが分かる。

C ☓ (平成30年版労働経済白書) 女性一般労働者や60歳以上の一般労働者の賃金自体は増加しており、男女計・年齢計との相対的な賃金水準の差は、2012年と比較すると、いずれも縮小している。なお、総じてみると、正規の働き方により女性や高齢者の労働参加が進む中、女性や高齢者の賃金自体は増加しているが、一般労働者間でも女性や高齢者の賃金水準は相対的に低いことから、これらの労働者比率の上昇は一般労働者の現金給与総額に対してマイナスに寄与する結果となっており、女性・高齢者の相対賃金の全体との格差は縮小している。

D ☓ (平成30年版労働経済白書) 年齢階級別に男性一般労働者の現金給与総額の推移をみると、2007年と比較し、40歳台の賃金の「減少」幅が大きく、「40~44歳」では月額7.5万円、「45~49歳」では月額5.3万円の「減少」となっているように、男性一般労働者の現金給与総額の推移をみると、40歳台の賃金の「減少」幅が大きい。

E ☓ (平成30年版労働経済白書) 係長級、課長級、部長級といった役職に就いている労働者の割合(以下「役職者比率」という。)について年齢階級別に状況をみると、2007年と比較し、「40~44歳」では6.2%ポイント「低下」、「45~49歳」では4.8%ポイント「低下」となっている。このように、男性一般労働者の役職者比率の推移をみると、40歳台における「低下」幅が大きい。


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step3 コメント

・平成30年版労働経済白書から、賃金の動向に関する問題です。賃金の増減の推移は、パートタイム労働者比率や女性労働者、60歳以上の労働者の動向などの要因も複雑に重なるため、やっかいな箇所ですが、増減を中心におおまかに押さえておき、反対に入れてあった場合には見抜けるようにしておきたいところです。

・Cについては、賃金格差は縮小傾向にあることや、Eについては、ポスト不足により、本来、様々な役職を期待される年代の40歳台で役職者比率の低下幅が大きく、その結果、Eの40歳台の賃金の減少幅が大きいと、連動して押さえておきましょう。



次回もがんばりましょう。




2019年02月11日

「平成30年版労働経済白書」読み解き4を始めます。

「平成30年版労働経済白書」読み解きの主旨については、1月20日の佐藤塾ブログの『
『「平成30年版労働経済白書」読み解き』 開始のお知らせ』をご覧ください。

4.賃金の動向

●一般労働者の所定内給与の寄与により、名目賃金は4年連続で増加している
2017年度の名目賃金の動向をみると、これまでパートタイム労働者比率の上昇がマイナスに寄与し続けてきたが、一般労働者の増加がパートタイム労働者の増加を十分に上回ったことにより、パートタイム労働者比率が横ばいで推移したことから、そのマイナスの寄与が剥落していることが分かる。他方、一般労働者の所定内給与や特別給与がプラスに寄与した結果、2017年度の名目賃金の前年比は、4年連続でプラスとなった。

●パートタイム労働者の時給は引き続き増加し、過去最高の水準を更新した
パートタイム労働者比率の動向を確認すると、2008年度から2015年度にかけて一貫して上昇傾向にあったが、2016年度には上昇幅が鈍化し、2017年度には横ばいの推移となった。

一般労働者とパートタイム労働者別に労働者数の推移をみると、パートタイム労働者は、2008年度以降一貫して増加している一方で、一般労働者は2008年度から2013年度にかけて減少傾向で推移していたが、2014年度以降、増加傾向に転じている。結果として、パートタイム労働者が引き続き増加傾向にある中、一般労働者の増加が顕著となり、パートタイム労働者比率が横ばいで推移したことが分かる。

時給換算したパートタイム労働者の賃金(以下単に「時給」という。)をみると、2017年度の時給の水準は、2010年度と比較して99円増の1,116円となった。これは、毎月勤労統計調査でパートタイム労働者の賃金の把握を始めた1993年度以降で最高の水準となっている。
産業別にみると、2017年度では「教育,学習支援業」「医療,福祉」において時給の水準が高く、2010年度と比較すると、調査産業計で増加しているが、特に「医療,福祉」「学術研究,専門・技術サービス業」において増加幅が大きいことが分かる。

●女性や高齢者の労働参加により、平均賃金は低下したが、女性や高齢者の賃金自体は増加しており、総雇用者所得も増加している
女性一般労働者60歳以上の一般労働者賃金自体は増加しており、男女計・年齢計との相対的な賃金水準の差は、2012年と比較すると、いずれも縮小している。

総じてみると、正規の働き方により女性や高齢者の労働参加が進む中、女性や高齢者の賃金自体は増加しているが、一般労働者間でも女性や高齢者の賃金水準は相対的に低いことから、これらの労働者比率の上昇は一般労働者の現金給与総額に対してマイナスに寄与する結果となっており、女性・高齢者の相対賃金の全体との格差は縮小ている。

●40歳台の男性一般労働者の賃金が減少傾向にある
年齢階級別に男性一般労働者の現金給与総額の推移をみると、2007年と比較し、40歳台の賃金の減少幅が大きく、「40~44歳」では月額7.5万円、「45~49歳」では月額5.3万円の減少となっているように、男性一般労働者の現金給与総額の推移をみると、40歳台の賃金の減少幅が大きい

係長級、課長級、部長級といった役職に就いている労働者の割合(以下「役職者比率」という。)について年齢階級別に状況をみると、2007年と比較し、「40~44歳」では6.2%ポイント低下、「45~49歳」では4.8%ポイント低下となっている。このように、男性一般労働者の役職者比率の推移をみると、40歳台における低下幅が大きい




お疲れ様でした。
次回は、この部分の練習問題です。



2019年02月10日

「平成30年版労働経済白書」読み解き3「労働時間・有給休暇の動向」の練習問題です。

「平成30年版労働経済白書」読み解きの主旨については、1月20日の佐藤塾ブログの『
『「平成30年版労働経済白書」読み解き』 開始のお知らせ』をご覧ください。


〔問〕 労働時間・有給休暇の動向に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、本問においては「平成30年版労働経済白書」を参照している。

A 2008年から2017年にかけての5人以上規模事業所における月間総実労働時間の推移をみると、2009年から2012年にかけて減少傾向となっていたが、2013年以降増加傾向で推移しており、2012年には143.4時間であった水準は、2017年には147.1時間まで増加している。

B 2008年から2017年にかけての5人以上規模事業所における月間総実労働時間について所定内労働時間、所定外労働時間に分けてみると、所定外労働時間は2013年以降横ばい圏内で推移している一方で、所定内労働時間は減少傾向で推移しており、2012年には156.7時間であった水準は、2017年には152.5時間にまで減少している。

C 一般労働者の月間総実労働時間の推移をみると、2009年から2012年にかけて減少傾向で推移し、2012年から2013年にかけて増加したが、2013年以降、緩やかに減少している。

D 月末1週間の就業時間が1~34時間の雇用者において、就業時間の増減希望の2017年の状況をみると、減少を希望する者が127万人である一方で、就業時間数の増加を希望する者は249万人となっており、増加を希望する者が減少を希望する者の約2倍の水準となっている。男女別にみると、女性において、減少を希望する者が82万人である一方で、就業時間数の増加を希望する者が176万人となっており、女性において就業時間の増加を希望する方が多いことが分かる。

E 産業別に年次有給休暇の取得率の動向を確認すると、2012年時点と比較し、調査産業計では横ばいとなっているが、人手不足感が高まっている「運輸業,郵便業」「宿泊業,飲食サービス業」では、年次有給休暇の取得率が上昇している。




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step1 正解は・・・



D



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step2 解説

A ☓ (平成30年版労働経済白書) 2008年から2017年にかけての5人以上規模事業所における月間総実労働時間の推移をみると、2009年から2012年にかけて「増加」傾向となっていたが、2013年以降「減少」傾向で推移しており、2012年には「147.1時間」であった水準は、2017年には「143.4時間」まで「減少」している。

B ☓ (平成30年版労働経済白書) 2008年から2017年にかけての5人以上規模事業所における月間総実労働時間について所定内労働時間、所定外労働時間に分けてみると、所定外労働時間は2013年以降横ばい圏内で推移している一方で、所定内労働時間は減少傾向で推移しており、2012年には「136.7時間」であった水準は、2017年には「132.5時間」にまで減少している。

C ☓ (平成30年版労働経済白書) 一般労働者の月間総実労働時間の推移をみると、2009年から2012年にかけて「増加」傾向で推移し、2012年から2013年にかけて「減少」したが、2013年以降、緩やかに「増加」している。

D 〇 (平成30年版労働経済白書) 本肢のとおりである。

E ☓ (平成30年版労働経済白書) 産業別に年次有給休暇の取得率の動向を確認すると、2012年時点と比較し、調査産業計では横ばいとなっているが、人手不足感が高まっている「運輸業,郵便業」「宿泊業,飲食サービス業」では、年次有給休暇の取得率が「低下」している。



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step3 コメント

・平成30年版白書から、労働時間・有給休暇の動向に関する問題です。労働時間の増減の推移は、覚えずらくやっかいな問題ではありますが、「増減」と「おおまかな数字」を押さえておきましょう。



次回もがんばりましょう。




2019年02月09日

「平成30年版労働経済白書」読み解き3を始めます。

「平成30年版労働経済白書」読み解きの主旨については、1月20日の佐藤塾ブログの『
『「平成30年版労働経済白書」読み解き』 開始のお知らせ』をご覧ください。

3.労働時間・有給休暇の動向

●月間総実労働時間の推移
2008年から2017年にかけての5人以上規模事業所における月間総実労働時間の推移をみると、2009年から2012年にかけて増加傾向となっていたが、2013年以降減少傾向で推移しており、2012年には147.1時間であった水準は、2017年には143.4時間まで減少している。

2008年から2017年にかけての5人以上規模事業所における月間総実労働時間について所定内労働時間、所定外労働時間に分けてみると、所定外労働時間は2013年以降横ばい圏内で推移している一方で、所定内労働時間は減少傾向で推移しており、2012年には136.7時間であった水準は、2017年には132.5時間にまで減少している。

●一般労働者の月間総実労働時間は緩やかに増加
一般労働者の月間総実労働時間の推移をみると、2009年から2012年にかけて増加傾向で推移し、2012年から2013年にかけて減少したが、2013年以降、緩やかに増加している。

●短時間労働者では、女性を中心に就業時間を増やしたいと希望する者が多い
月末1週間の就業時間が1~34時間の雇用者において、就業時間の増減希望の2017年の状況をみると、減少を希望する者が127万人である一方で、就業時間数の増加を希望する者は249万人となっており、増加を希望する者が減少を希望する者の約2倍の水準となっている。
男女別にみると、女性において、減少を希望する者が82万人である一方で、就業時間数の増加を希望する者が176万人となっており、女性において就業時間の増加を希望する方が多いことが分かる。

●「運輸業,郵便業」「宿泊業,飲食サービス業」などの人手不足産業では、年次有給休暇取得率が低下している
産業別に年次有給休暇の取得率の動向を確認すると、2012年時点と比較し、調査産業計では横ばいとなっているが、人手不足感が高まっている「運輸業,郵便業」「宿泊業,飲食サービス業」では、年次有給休暇の取得率が低下している。



お疲れ様でした。
明日は、この部分の練習問題です。