労一

2023年12月01日

「ランチタイム・スタディ(2023本試験)」の第66問です。

66問目は、選択式の労働一般常識です。

正答率62&52の問題です。

※選択式労一D=62%、E=52%(Dは正答率がEより高いものの同じカテゴリーですので、Eの正答率に合わせここで掲載しています。)


<問題( 選択式 労一DE )>

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度である。仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされる。したがって、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはならない。また、地域別最低賃金額以上の賃金を支払わない場合については、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められており、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金を支払わない場合については、 D の罰則(30万円以下の罰金)が科せられる。

なお、一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合に、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めるおそれなどがあるため、精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者、試の使用期間中の者等については、使用者が E の許可を受けることを条件として個別に最低賃金の減額の特例が認められている。


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step1 次の選択肢の中から答を選んでください。


Dの選択肢
⑪ 賃金の支払の確保等に関する法律
⑬ パートタイム・有期雇用労働法
⑱ 労働契約法
⑳ 労働基準法


Eの選択肢
⑤ 厚生労働省労働基準局長
⑥ 厚生労働大臣
⑫ 都道府県労働局長
⑲ 労働基準監督署長


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step2 正解は・・・

D → ⑳ 労働基準法(労働基準法24条1項、同法120条1号)

E → ⑫ 都道府県労働局長(最低賃金法7条)

   

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step3 コメント

・選択式の労働一般常識のDは最低賃金の罰則が問われていますが、「特定最低賃金」の場合、定めに違反して差額を支払わなかったときは、賃金の一部が未払いとされ、労働基準法で定める「賃金全額払い原則」(労働基準法24条1項)違反とされています。



次回もがんばりましょう。



2023年11月27日

「ランチタイム・スタディ(2023本試験)」の第60問です。

60問目は、選択式の労働一般常識です。

正答率63&60の問題です。

※選択式労一A=63%、B=60%(Aは正答率がBより高いものの同じカテゴリーですので、Bの正答率に合わせここで掲載しています。)


<問題( 選択式 労一AB )>

最高裁判所は、会社から採用内定を受けていた大学卒業予定者に対し、会社が行った採用内定取消は解約権の濫用に当たるか否かが問題となった事件において、次のように判示した。

大学卒業予定者(被上告人)が、企業(上告人)の求人募集に応募し、その入社試験に合格して採用内定の通知(以下「本件採用内定通知」という。)を受け、企業からの求めに応じて、大学卒業のうえは間違いなく入社する旨及び一定の取消事由があるときは採用内定を取り消されても異存がない旨を記載した誓約書(以下「本件誓約書」という。)を提出し、その後、企業から会社の近況報告その他のパンフレットの送付を受けたり、企業からの指示により近況報告書を送付したなどのことがあり、他方、企業において、「  A  ことを考慮するとき、上告人からの募集(申込みの誘引)に対し、被上告人が応募したのは、労働契約の申込みであり、これに対する上告人からの採用内定通知は、右申込みに対する承諾であつて、被上告人の本件誓約書の提出とあいまつて、これにより、被上告人と上告人との間に、被上告人の就労の始期を昭和44年大学卒業直後とし、それまでの間、本件誓約書記載の5項目の採用内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立したと解するのを相当とした原審の判断は正当であつて、原判決に所論の違法はない。」企業の留保解約権に基づく大学卒業予定者の「採用内定の取消事由は、採用内定当時  B  、これを理由として採用内定を取消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られると解するのが相当である。」


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step1 次の選択肢の中から答を選んでください。


Aの選択肢

⑭ 本件採用内定通知に上告人の就業規則を同封していた
⑮ 本件採用内定通知により労働契約が成立したとはいえない旨を記載していなかつた
⑯ 本件採用内定通知の記載に基づいて採用内定式を開催し、制服の採寸及び職務で使用する物品の支給を行つていた
⑰ 本件採用内定通知のほかには労働契約締結のための特段の意思表示をすることが予定されていなかつた


Bの選択肢

⑦ 知ることができず、また事業の円滑な運営の観点から看過できないような事実であつて
⑧ 知ることができず、また知ることが期待できないような事実であつて
⑨ 知ることができたが、調査の結果を待つていた事実であつて
⑩ 知ることができたが、被上告人が自ら申告しなかつた事実であつて


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step2 正解は・・・

A → ⑰ 本件採用内定通知のほかには労働契約締結のための特段の意思表示をすることが予定されていなかつた(昭54.7.20最高裁判決大日本印刷事件)

B → ⑧ 知ることができず、また知ることが期待できないような事実であつて(昭54.7.20最高裁判決大日本印刷事件)

   

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step3 コメント

・選択式の労働一般常識のA及びBは、最高裁判例「大日本印刷事件」からの出題で、昨年に引き続き判例が出題されました。判旨に目を通していても、見落としがちな文言が抜かれていましたが、判旨の意味をよく考えながら落ち着いて読み進むことができれば、正解を導き出すことはさほど難しくないように思われます。



次回もがんばりましょう。



2023年11月26日

「ランチタイム・スタディ( 2023本試験)」の第59問です。
59問目は、択一式の労働一般常識です。

正答率60%の問題です。


<問題( 択一式 労一 問4 )>

〔問 4〕 労働関係法規に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 「使用者が誠実交渉義務に違反する不当労働行為をした場合には、当該団体交渉に係る事項に関して合意の成立する見込みがないときであっても、労働委員会は、誠実交渉命令〔使用者が誠実交渉義務に違反している場合に、これに対して誠実に団体交渉に応ずべき旨を命ずることを内容とする救済命令〕を発することができると解するのが相当である。」とするのが、最高裁判所の判例である。

B 職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、特定募集情報等提供事業者、労働者供給事業者及び労働者供給を受けようとする者は、特別な職業上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合でなければ、「人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項」「思想及び信条」「労働組合への加入状況」に関する求職者、募集に応じて労働者になろうとする者又は供給される労働者の個人情報を収集することができない。

C 事業主は、労働者が当該事業主に対し、当該労働者又はその配偶者が妊娠し、又は出産したことその他これに準ずるものとして厚生労働省令で定める事実を申し出たときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者に対して、育児休業に関する制度その他の厚生労働省令で定める事項を知らせるとともに、育児休業申出等に係る当該労働者の意向を確認するための面談その他の厚生労働省令で定める措置を講じなければならない。

D 高年齢者雇用安定法に定める義務として継続雇用制度を導入する場合、事業主に定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務付けるものではなく、事業主の合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば、労働者と事業主との間で労働条件等についての合意が得られず、結果的に労働者が継続雇用されることを拒否したとしても、高年齢者雇用安定法違反となるものではない。


E 厚生労働大臣は、常時雇用する労働者の数が300人以上の事業主からの申請に基づき、当該事業主について、青少年の募集及び採用の方法の改善、職業能力の開発及び向上並びに職場への定着の促進に関する取組に関し、その実施状況が優良なものであることその他の厚生労働省令で定める基準に適合するものである旨の認定を行うことができ、この制度は「ユースエール認定制度」と呼ばれている。



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step1 正解は・・・


E


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step2 解説

(令4.3.18最高裁判決山形大学事件)本肢のとおりである。「団体交渉に係る事項に関して合意の成立する見込みがないと認められる場合には、誠実交渉命令を発しても、労働組合が労働条件等の獲得の機会を現実に回復することは期待できないものともいえる。しかしながら、このような場合であっても、使用者が労働組合に対する誠実交渉義務を尽くしていないときは、その後誠実に団体交渉に応ずるに至れば、労働組合は当該団体交渉に関して使用者から十分な説明や資料の提示を受けることができるようになるとともに、組合活動一般についても労働組合の交渉力の回復や労使間のコミュニケーションの正常化が図られるから、誠実交渉命令を発することは、不当労働行為によって発生した侵害状態を除去、是正し、正常な集団的労使関係秩序の迅速な回復、確保を図ることに資するものというべきである。」とされた。

(職業安定法5条の5第1項、平31.3.29厚労告122号)本肢のとおりである。「人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項」とは、例えば、家族の職業、収入、本人の資産等の情報(税金、社会保険の取扱い等労務管理を適切に実施するために必要なものを除く)が、「思想及び信条」とは、人生観、生活信条、支持政党、購読新聞・雑誌、愛読書が、「労働組合への加入状況」とは、労働運動、学生運動、消費者運動その他社会運動に関する情報が該当する。

(育児介護休業法21条1項)本肢のとおりである。労働者又は配偶者が妊娠又は出産した旨等の申出をしたときは、事業主は育児休業制度等に関する以下の事項の周知と、休業の取得意向の確認を個別に行わなければならない(同則69条の3第1項)。
① 育児休業に関する制度
② 育児休業申出の申出先
③ 雇用保険法に規定する育児休業給付に関すること
④ 労働者が育児休業期間について負担すべき社会保険料の取扱い

(高年齢者雇用安定法9条、Q&A)本肢のとおりである。高年齢者雇用安定法が求めているのは、継続雇用制度の導入であって、事業主に定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務付けるものではなく、事業主の合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば、労働者と事業主との間で労働条件等についての合意が得られず、結果的に労働者が継続雇用されることを拒否したとしても、高年齢者雇用安定法違反となるものではない。

× (若者雇用促進法15条)「ユースエール認定制度」は、常時雇用する労働者の数が「300人以下」の事業主からの申請に基づき認定する制度である。この制度は平成27年10月に創設され、若者の雇用管理が優良な中小企業と若者のマッチングを強化し、若者の適職選択と企業が求める人材の円滑な採用を支援している。


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step3 コメント

・択一式の労働一般常識の問4は、最高裁判例を含む労働関係法規からの出題でした。Aの山形大学事件は、最新の判例でしたので対策できていたと思いますが、B~Eについては、労一法令で学習が後回しになる部分でもあるため、学習が手薄になっていた人も多かったと思われます。



次回もがんばりましょう。




2023年10月02日

「ランチタイム・スタディ(2023本試験)」の第2問です。

2問目は、選択式の労働一般常識です。

正答率93%の問題です。



<問題( 選択式 労一 C )>

労働者派遣法第35条の3は、「派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、 C 年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(第40条の2第1項各号のいずれかに該当するものを除く。)を行つてはならない。」と定めている。



step1 選択肢を見ない状態で、答を紙に書いてみてください。
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step2 次の選択肢の中から答を選んでください。


① 1  ② 2  ③ 3  ④ 5




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step3 正解は・・・



C → ③ 3(労働者派遣法35条の3)


   

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step4 コメント


・労働一般常識のCは、労働者派遣法からの出題でしたが、正解の数字は基本事項でしたので、迷うことなく正解できたことと思われます。




明日もがんばりましょう。



2022年12月21日

「ランチタイム・スタディ( 2022本試験)」の第84問です。

84問目は、択一式の労働一般常識です。


正答率35%の問題です。



<問題( 択一式 労一 問3 )>

我が国の転職者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、本問は、「令和2年転職者実態調査(厚生労働省)」を参照しており、当該調査による用語及び統計等を利用している。

A 転職者がいる事業所の転職者の募集方法(複数回答)をみると、「求人サイト・求人情報専門誌、新聞、チラシ等」、「縁故(知人、友人等)」、「自社のウェブサイト」が上位3つを占めている。

B 転職者がいる事業所において、転職者の処遇(賃金、役職等)決定の際に考慮した要素(複数回答)をみると、「年齢」、「免許・資格」、「前職の賃金」が上位3つを占めている。

C 転職者がいる事業所で転職者を採用する際に問題とした点(複数回答)をみると、「応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと」、「採用時の賃金水準や処遇の決め方」、「採用後の処遇やキャリア形成の仕方」が上位3つを占めている。

D 転職者がいる事業所が転職者の採用に当たり重視した事項(複数回答)をみると、「人員構成の歪みの是正」、「既存事業の拡大・強化」、「組織の活性化」が上位3つを占めている。


E 転職者がいる事業所の転職者に対する教育訓練の実施状況をみると、「教育訓練を実施した」事業所割合は約半数となっている。




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step1 正解は・・・



D


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step2 解説

× (令和2年転職者実態調査)転職者がいる事業所の転職者の募集方法(複数回答)をみると、「ハローワーク等の公的機関」とする事業所割合が57.3%で最も高く、次いで「求人サイト・求人情報専門誌、新聞、チラシ等」が43.2%、「縁故(知人、友人等)」が27.6%となっている。

× (令和2年転職者実態調査)転職者がいる事業所において、転職者の処遇(賃金、役職等)決定の際に考慮した要素(複数回答)をみると、「これまでの経験・能力・知識」とする事業所割合が74.7%と最も高く、次いで「年齢」が45.2%、「免許・資格」が37.3%となっている

× (令和2年転職者実態調査)転職者がいる事業所の転職者を採用する際に「問題がある」とする事業所の問題(複数回答)をみると、「必要な職種に応募してくる人が少ないこと」が67.2%と最も高く、次いで、「応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと」が38.8%、「採用時の賃金水準や処遇の決め方」が32.3%となっている。

(令和2年転職者実態調査)本肢のとおりである。

× (令和2年転職者実態調査)転職者がいる事業所の転職者に対する教育訓練の実施状況をみると、「教育訓練を実施した」事業所割合は「74.5%」となっている。



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step3 コメント

・択一式の労働一般常識の問3は、令和2年転職者実態調査からの出題でした。ここは、転職者実態調査に目を通していないと皆目見当もつかないと思われます。目を通していても、「上位3つ」を正しく覚えている人は少ないでしょうから、かなりの難問といえます。



明日もがんばりましょう。