労一

2018年11月16日

「ランチタイム・スタディ」の第34問です。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、9月28日の佐藤塾ブログの『「ランチタイム・スタディ2018本試験」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)をご覧ください。

さて、34問目は、択一式の労働一般常識です。

正答率72%の問題です。

<問題( 択一式 労一 問3 )>

〔問〕 労働契約法等に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

ア いわゆる採用内定の制度は、多くの企業でその実態が類似しているため、いわゆる新卒学生に対する採用内定の法的性質については、当該企業における採用内定の事実関係にかかわらず、新卒学生の就労の始期を大学卒業直後とし、それまでの間、内定企業の作成した誓約書に記載されている採用内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立しているものとするのが、最高裁判所の判例である。

イ 使用者は、労働契約に特段の根拠規定がなくとも、労働契約上の付随的義務として当然に、安全配慮義務を負う。

ウ 就業規則の変更による労働条件の変更が労働者の不利益となるため、労働者が、当該変更によって労働契約の内容である労働条件が変更後の就業規則に定めるところによるものとはされないことを主張した場合、就業規則の変更が労働契約法第10条本文の「合理的」なものであるという評価を基礎付ける事実についての主張立証責任は、使用者側が負う。

エ 「使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことをもって足り、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていない場合でも、労働基準法に定める罰則の対象となるのは格別、就業規則が法的規範としての性質を有するものとして拘束力を生ずることに変わりはない。」とするのが、最高裁判所の判例である。

オ 労働契約法第18条第1項の「同一の使用者」は、労働契約を締結する法律上の主体が同一であることをいうものであり、したがって、事業場単位ではなく、労働契約締結の法律上の主体が法人であれば法人単位で、個人事業主であれば当該個人事業主単位で判断される。

A(アとウ) B(イとエ) C(ウとオ) 
D(アとエ) E(イとオ)



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step1 正解は・・・



D
   


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step2 解説


ア ☓ (昭54.7.20最高裁第二小法廷判決大日本印刷事件) いわゆる採用内定の制度は、従来わが国において広く行われているところであるが、その実態は多様であるため、採用内定の法的性質について一義的に論断することは困難というべきである。したがって、具体的事案につき、採用内定の法的性質を判断するにあたっては、当該企業の当該年度における採用内定の事実関係に即してこれを検討する必要があるため、本肢の「当該企業における採用内定の事実関係にかかわらず」という点が誤りである。

イ 〇 (労働契約法5条、平24.8.10基発0810第2号) 本肢のとおりである。法5条は、使用者は、労働契約に基づいてその本来の債務として 賃金支払義務を負うほか、労働契約に特段の根拠規定がなくとも、労働契約上の付随的義務として当然に安全配慮義務を負うことを規定したものである。

ウ 〇 (労働契約法10条、平24.8.10基発0810第2号) 本肢のとおりである。なお、法10条本文の「その他の就業規則の変更に係る事情」は、「労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況」を含め就業規則の変更に係る諸事情が総合的に考慮されることをいうものである。

エ ☓ (労働契約法15条、平15.10.10最高裁第二小法廷判決フジ興産事件) 最高裁判所の判例によると、使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する。そして、就業規則が法的規範としての性質を有するものとして、拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要するものというべきである。

オ 〇 (労働契約法18条1項、平24.8.10基発0810第2号) 本肢のとおりである。なお、使用者が、就業実態が変わらないにもかかわらず、法18条1項に基づき有期契約労働者が無期労働契約への転換を申し込む ことができる権利(無期転換申込権)の発生を免れる意図をもって、派遣形態や請負形態を偽装して、労働契約の当事者を形式的に他の使用者に切り替えた場合は、法を潜脱するものとして、通算契約期間の計算上「同一の使用者」との労働契約が継続していると解される。





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step3 コメント

・択一式の労働一般常識の問3は、労働契約法及び労働契約法絡みの最高裁判例からの出題でした。おそらく、イ、ウ及びエの正誤判断が可能であったことから、組合せ問題ということもあり、正誤判断ができた方が多かったように思われます。



来週もがんばりましょう。




2018年02月20日

「ランチタイム・スタディ」の第94問です。
2017年本試験問題のラスト前になります。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、10月1日の佐藤塾ブログの『「ランチタイム・スタディ2017」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。



さて、94問目は、選択式の労働一般常識です。

正答率76&52&15%の問題です。

※選択式健保A=76%、B=52%、C=15%(A及びBは正答率がCより高いものの同じカテゴリーですので、Cの正答率に合わせここで掲載しています。)



<問題( 選択式 労一 ABC )>

「平成28年度能力開発基本調査(厚生労働省)」をみると、能力開発や人材育成に関して何らかの「問題がある」とする事業所は A である。能力開発や人材育成に関して何らかの「問題がある」とする事業所のうち、問題点の内訳については、「 B 」、「人材育成を行う時間がない」、「人材を育成しても辞めてしまう」が上位3つを占めている。正社員の自己啓発に対して支援を行っている事業所は C である。



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step1 次の選択肢の中から答を選んでください。


A ① 約3割 ② 約5割 ③ 約7割 ④ 約9割

B ① 育成を行うための金銭的余裕がない ② 鍛えがいのある人材が集まらない
     ③ 指導する人材が不足している ④ 適切な教育訓練機関がない

C ① 約2割 ② 約4割 ③ 約6割 ④ 約8割



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step2 正解は・・・



A → ③ 約7割 (平成28年度能力開発基本調査)

B → ③ 指導する人材が不足している (平成28年度能力開発基本調査)

C → ④ 約8割 (平成28年度能力開発基本調査)



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step3 コメント

・選択式の労働一般常識のA、B及びCについては、「能力開発基本調査」からの出題でした。平成24年択一式でも論点とされていて、Bについては平成24年と同じ論点であることや、正答である③以外の文言が文脈的にも入りにくいことから、多くの受験生が正解できていました。Cは、大半の人が、「②約4割」か「③約6割」のいずれかを入れていましたが、ここは歯が立たない難問であり仕方ありません。



明日はラストです。
がんばりましょう。




2018年02月16日

「ランチタイム・スタディ」の第92問です。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、10月1日の佐藤塾ブログの『「ランチタイム・スタディ2017」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。


さて、92問目は、択一式の労働一般常識です。

正答率19%の問題で、難問です。

※難問とは、合格者でも正答率が50%を割ってしまっている問題を指します。
※正答率が2割を切りました。



<問題( 択一式 労一 問1)>

〔問〕 労働契約法等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 労働契約法第2条第2項の「使用者」とは、「労働者」と相対する労働契約の締結当事者であり、「その使用する労働者に対して賃金を支払う者」をいうが、これは、労働基準法第10条の「使用者」と同義である。

B 「労働契約の内容である労働条件は、労働者と使用者との個別の合意によって変更することができるものであるが、就業規則に定められている労働条件に関する条項を労働者の不利益に変更する場合には、労働者と使用者との個別の合意によって変更することはできない。」とするのが、最高裁判所の判例である。

C 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、労働契約法第11条に定める就業規則の変更に係る手続を履行されていることは、労働契約の内容である労働条件が、変更後の就業規則に定めるところによるという法的効果を生じさせるための要件とされている。

D 従業員が職場で上司に対する暴行事件を起こしたことなどが就業規則所定の懲戒解雇事由に該当するとして、使用者が捜査機関による捜査の結果を待った上で当該事件から7年以上経過した後に諭旨退職処分を行った場合において、当該事件には目撃者が存在しており、捜査の結果を待たずとも使用者において処分を決めることが十分に可能であったこと、当該諭旨退職処分がされた時点で企業秩序維持の観点から重い懲戒処分を行うことを必要とするような状況はなかったことなど判示の事情の下では、当該諭旨退職処分は、権利の濫用として無効であるとするのが、最高裁判所の判例の趣旨である。

E 有期労働契約が反復して更新されたことにより、雇止めをすることが解雇と社会通念上同視できると認められる場合、又は労働者が有期労働契約の契約期間の満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由が認められる場合に、使用者が雇止めをすることが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、雇止めは認められず、この場合において、労働者が、当該使用者に対し、期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなされる。



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step1 正解は・・・


D


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step2 解説

A ☓ (労働契約法2条2項、平20.1.23基発0123004号) 労働契約法における使用者とは、労働者との間で労働契約を締結する当事者であり、個人事業にあっては事業主個人、法人にあっては法人そのものをいう。これは、労働基準法10条に規定する使用者のうち事業主に相当するものであり、「労働基準法の使用者よりも狭い概念」となる。

B ☓ (平28.2.19最高裁第二小法廷判決山梨県民信用組合事件) 労働契約の内容である労働条件は、労働者と使用者との個別の合意によって変更することができるものである。労働契約法9条では、「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。」と規定されていることから、裏を返せば、労働者の同意があれば就業規則の不利益変更は可能とされている。

C ☓ (労働契約法10条、同法11条、平24.8.10基発0810第2号) 労働基準法89条及び90条に規定する就業規則に関する手続は、労働契約法10条本文の法的効果を生じさせるための「要件ではない」。ただし、同条本文の合理性判断に際しては、就業規則の変更に係る諸事情が総合的に考慮されることから、使用者による労働基準法89条及び90条の遵守の状況は、合理性判断に際して考慮され得るものである。

D 〇 (平18.10.6最高裁第2小法廷判決ネスレ日本懲戒解雇事件) 本肢のとおりである。事件から7年以上経過した後になされた諭旨退職処分について、処分時点において企業秩序維持の観点からそのような重い懲戒処分を必要とする客観的合理性に欠けるとして無効とされた。

E  ☓ (労働契約法19条) 本肢の後段部分が誤りである。「労働者が、当該使用者に対し、期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなされる」ではなく、「労働者が有期労働契約の更新の申込みをしたとき又は有期労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなされる」である。についての一般保険料率を乗じて得た額とされ、各保険年度ごとに算定するものではない。



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step3 コメント

・択一式の労働一般常識の問1は、労働契約法等に関する問題でした。最高裁判例の問題2つを含んでいたこともあり、解答はA以外のすべてに散らばっていました。正解肢Dは、「ネスレ日本懲戒解雇事件」を学習していれば正解できたかもしれませんが、そうでない場合、A以外の他のどの選択肢も簡単には正誤を判断できず、むしろ正しいと思わせる記載内容であり、かなり難解な問題といえます。



来週もがんばりましょう。




2018年02月14日

「ランチタイム・スタディ」の第90問です。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、10月1日の佐藤塾ブログの『「ランチタイム・スタディ2017」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。


さて、90問目は、択一式の労働一般常識です。

正答率25%の問題で、難問です。

※難問とは、合格者でも正答率が50%を割ってしまっている問題を指します。
※正答率が4人に1人の問題です。



<問題( 択一式 労一 問5)>

〔問〕 我が国の高齢者に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問は、「平成28年版厚生労働白書(厚生労働省)」を参照しており、当該白書又は当該白書が引用している調査による用語及び統計等を利用している。

A 世帯主の年齢階級別に世帯人員1人当たりの平均所得額をみると、世帯主が65歳以上の世帯では全世帯の平均額を2割以上下回っている。

B 60歳以上の高齢者の自主的社会活動への参加状況をみると、何らかの自主的な活動に参加している高齢者の割合は、増加傾向を示している。

C 65歳以上の非正規の職員・従業員の雇用者について、現在の雇用形態についた主な理由(「その他」を除く。)をみると、「自分の都合のよい時間に働きたいから」が最も多く、次いで「家計の補助・学費等を得たいから」、「専門的な技能等をいかせるから」が続いている。

D 65歳以上の高齢者のいる世帯について、世帯構造別の構成割合の推移をみると、1986年時点で1割強であった単独世帯の構成割合は、その後、一貫して上昇し、2015年では全体の約4分の1が単独世帯となっており、夫婦のみ世帯と合わせると半数を超える状況となっている。

E 65歳以上の者の役員を除いた雇用者の雇用形態をみると、他の年齢層に比べて非正規の職員・従業員の割合がきわめて大きくなっており、2015年には全体の約4分の3を占めている。




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step1 正解は・・・


A


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step2 解説

A ☓ (平成28年版厚生労働白書) 世帯主の年齢階級別に1世帯当たりの平均所得金額を見てみると、世帯主が65歳以上の世帯では417.9万円と全世帯の541.9万円と比較して少ない。ただし、世帯人員1人当たりの平均所得額で見てみると、世帯主が65歳以上の世帯では192.4万円と全世帯の211万円と比較して大きくは変わらない。

B 〇 (平成28年版厚生労働白書) 本肢のとおりである。なお、具体的な活動について見てみると、「健康・スポーツ」、「趣味」、「地域行事」の順となっており、特に「健康・スポーツ」は年々増加している。

C 〇 (平成28年版厚生労働白書) 本肢のとおりである。65歳以上の非正規の職員・従業員の雇用者について、現在の雇用形態についた主な理由別にみると、「自分の都合のよい時間に働きたいから」が31.7%と最も高く、次いで「家計の補助・学費等を得たいから」が20.1%、「専門的な技能等をいかせるから」が14.9%などとなっている。

D 〇 (平成28年版厚生労働白書) 本肢のとおりである。

E 〇 (平成28年版厚生労働白書) 本肢のとおりである。



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step3 コメント

・択一式の労働一般常識の問5は、我が国の高齢者に関する「平成28年版厚生労働白書(厚生労働省)」からの問題でした。解答もBを除くC、D及びEにまんべんなく散らばっていて、解答を絞り込むのが困難だったことがうかがえます。正解となるAは、高齢化が進む中で、高齢者一人当たりの所得は、もはや現役世代一人当たりの所得と変わらない水準であることを指摘したかったものだと思われますが、同じような記述が平成29年版厚生労働白書にも記載されていますので要注意です。



明日もがんばりましょう。




2017年12月14日

「ランチタイム・スタディ」の第51問です。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、10月1日の佐藤塾ブログの『「ランチタイム・スタディ2017」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。



さて、51問目は、選択式の労働一般常識です。

正答率70&63%の問題です。

※選択式労一D=70%、E=63%(Dは正答率がEより高いものの同じカテゴリーですので、Eの正答率に合わせここで掲載しています。)



<問題( 選択式 労一 DE )>

雇用対策法に基づく外国人雇用状況の届出制度は、外国人労働者(特別永住者、在留資格「外交」・「公用」の者を除く。)の雇用管理の改善や再就職支援などを目的とし、 D の事業主に、外国人労働者の雇入れ・離職時に、氏名、在留資格、在留期間などを確認し、厚生労働大臣(ハローワーク)へ届け出ることを義務付けている。平成28年10月末現在の「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(厚生労働省)」をみると、国籍別に最も多い外国人労働者は中国であり、 E 、フィリピンがそれに続いている。



step1 選択肢を見ない状態で、答を紙に書いてみてください。
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step2 次の選択肢の中から答を選んでください。



Dの選択肢
① 従業員数51人以上     ② 従業員数101人以上 
③ 従業員数301人以上   ④ すべて

Eの選択肢 
① ネパール ② ブラジル 
③ ベトナム   ④ ペルー



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step3 正解は・・・


D → ④ すべて(雇用対策法28条1項、同則12条)

E → ③ ベトナム(「外国人雇用状況」の届出状況まとめ)




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step4 コメント


・選択式の労働一般常識のD及びEは、外国人雇用状況の届出に関する問題でした。外国人労働者数は100万人を超え、届出義務化以来、過去最高を更新されていますので、今回、初めて出題されたものと思われます。Dについては雇用対策法の知識があれば、十分解答できるはずです。Eに関しては、正解の③と②で迷った受験生が多かったようですが、国籍別では、中国が最も多く、外国人労働者全体の31.8%を占め、次いでベトナム、フィリピン、ブラジルの順であることを押さえておきましょう。



明日もがんばりましょう。