労災

2018年01月12日

「ランチタイム・スタディ」の第68問です。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、10月1日の佐藤塾ブログの『「ランチタイム・スタディ2017」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。



さて、68問目は、択一式の労働者災害補償保険法です。

正答率52%の問題です。



<問題( 択一式 労災 問2)>

〔問〕 傷病補償年金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 所轄労働基準監督署長は、業務上の事由により負傷し、又は疾病にかかった労働者が療養開始後1年6か月経過した日において治っていないときは、同日以降1か月以内に、当該労働者から「傷病の状態等に関する届」に医師又は歯科医師の診断書等の傷病の状態の立証に関し必要な資料を添えて提出させるものとしている。

B 傷病補償年金の支給要件について、障害の程度は、6か月以上の期間にわたって存する障害の状態により認定するものとされている。

C 傷病補償年金の受給者の障害の程度が軽くなり、厚生労働省令で定める傷病等級に該当しなくなった場合には、当該傷病補償年金の受給権は消滅するが、なお療養のため労働できず、賃金を受けられない場合には、労働者は休業補償給付を請求することができる。

D 傷病補償年金を受ける労働者の障害の程度に変更があり、新たに他の傷病等級に該当するに至った場合には、所轄労働基準監督署長は、裁量により、新たに該当するに至った傷病等級に応ずる傷病補償年金を支給する決定ができる。

E 業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合には、労働基準法第19条第1項の規定の適用については、当該使用者は、当該3年を経過した日において同法第81条の規定による打切補償を支払ったものとみなされる。



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step1 正解は・・・


D


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step2 解説

A 〇 (法12条の8第3項、則18条の2第2項) 本肢のとおりである。なお、療養開始後1年6か月を経過した日において、傷病等級に該当しないため休業補償給付を引き続き支給されることとなった労働者は、毎年、1月1日から同月末日までのいずれか日の分の休業補償給付の請求書に添えて、「傷病の状態等に関する報告書」を提出することとなっている(則19条の2第1項)。

B 〇 (法12条の8第3項、則18条2項) 本肢のとおりである。

C 〇 (法12条の8第3項、法14条1項、法18条2項) 本肢のとおりである。傷病補償年金の支給を受けていた者が、傷病等級に該当しなくなった場合は、傷病補償年金の受給権は消滅し、他の支給要件を満たす場合には、その翌月から休業補償給付が支給される。

D ☓ (法18条の2、則18条の3) 傷病補償年金を受ける労働者の当該障害の程度に変更があった場合には、「所轄労働基準監督署長の裁量により、新たに該当するに至った傷病等級に応ずる傷病補償年金を支給する決定ができる」ではなく、「所轄労働基準監督署長は、当該労働者について傷病等級の変更による傷病補償年金の変更に関する決定をしなければならない」とされている。

E 〇 (法19条) 本肢のとおりである。なお、療養の開始後3年を経過した日後において傷病補償年金を受けることとなった場合には、傷病補償年金を受けることとなった日において打切補償を支払ったものとみなされる。



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step3 コメント

・択一式の労働者災害補償保険法の問2の正解肢であるDは、語尾の違いによるものでしたから、注意深く問題文を読んでいないと、見落としてしまう場合もあるのではないでしょうか。一つ一つの肢は、学習した内容であること自体は自覚できるものだと思いますが、本試験前に再度の確認ができていたかで得点できるか否かが分かれるケースもあるように思います。



来週もがんばりましょう。




2017年12月22日

「ランチタイム・スタディ」の第57問です。

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さて、57問目は、択一式の労働者災害補償保険法です。

正答率60%&合否を分けた問題です。

※「合否を分けた問題」とは、「合格者だけの正答率」と「全体の正答率(ただし、全体正答率65%未満)」とで、15%以上差が開いた問題です。
※正答率がちょうど6割になりました。



<問題( 択一式 労災 問6)>

〔問〕 労災保険給付と損害賠償の関係に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 政府が被災労働者に対し労災保険法に基づく保険給付をしたときは、当該労働者の使用者に対する損害賠償請求権は、その保険給付と同一の事由については損害の填補がされたものとしてその給付の価額の限度において減縮するが、同一の事由の関係にあることを肯定できるのは、財産的損害のうちの消極損害(いわゆる逸失利益)のみであり、保険給付が消極損害の額を上回るとしても、当該超過分を、財産的損害のうちの積極損害(入院雑費、付添看護費を含む。)及び精神的損害(慰謝料)を填補するものとして、これらとの関係で控除することは許されないとするのが、最高裁判所の判例の趣旨である。

B 労働者が使用者の不法行為によって死亡し、その損害賠償請求権を取得した相続人が遺族補償年金の支給を受けることが確定したときは、損害賠償額を算定するにあたり、当該遺族補償年金の填補の対象となる損害は、特段の事情のない限り、不法行為の時に填補されたものと法的に評価して、損益相殺的な調整をすることが相当であるとするのが、最高裁判所の判例の趣旨である。

C 労災保険法に基づく保険給付の原因となった事故が第三者の行為により惹起され、第三者が当該行為によって生じた損害につき賠償責任を負う場合において、当該事故により被害を受けた労働者に過失があるため損害賠償額を定めるにつきこれを一定の割合で斟酌すべきときは、保険給付の原因となった事由と同一の事由による損害の賠償額を算定するには、当該損害の額から過失割合による減額をし、その残額から当該保険給付の価額を控除する方法によるのが相当であるとするのが、最高裁判所の判例の趣旨である。

D 政府が被災労働者に支給する特別支給金は、社会復帰促進等事業の一環として、被災労働者の療養生活の援護等によりその福祉の増進を図るために行われるものであり、被災労働者の損害を填補する性質を有するということはできず、したがって、被災労働者の受領した特別支給金を、使用者又は第三者が被災労働者に対し損害賠償すべき損害額から控除することはできないとするのが、最高裁判所の判例の趣旨である。

E 労災保険法に基づく保険給付の原因となった事故が第三者の行為により惹起された場合において、被災労働者が、示談により当該第三者の負担する損害賠償債務を免除した場合でも、政府がその後労災保険給付を行えば当該第三者に対し損害賠償を請求することができるとするのが、最高裁判所の判例の趣旨である。



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step1 正解は・・・


E


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step2 解説

A 〇 (昭62.7.10最高裁第二小法廷青木鉛鉄事件) 本肢のとおりである。政府が被害者に対し保険給付をしたときは、被害者が使用者に対して取得した損害賠償請求権は、保険給付と同一の事由については、損害が填補されたものとして、その給付の価額の限度において減額するものと解されるが、同一の事由の関係にあるとみられるのは民事上の財産的損害のうちの消極的損害(いわゆる逸失利益)のみであり、積極損害及び精神的損害はこれに当たらない。

B 〇 (平27.3.4最高裁大法廷フォーカスシステムズ事件) 本肢のとおりである。被害者が不法行為によって死亡した場合において、その損害賠償請求権を取得した相続人が遺族補償年金の支給を受けることが確定したときは、制度の予定するところと異なってその支給が著しく遅滞するなどの特段の事情のない限り、その遺族補償年金の填補の対象となる損害は不法行為の時に填補されたものと法的に評価して損益相殺的な調整をすることが公平の見地からみて相当である。

C 〇 (平1.4.11最高裁第三小法廷高田建設事件) 本肢のとおりである。本件は、民事損害賠償額を算定するに当たって、被災労働者の過失分の減額(過失相殺)について、労災保険給付を控除する前に行うべきなのか、控除した後に行うべきなのかが争点となった事案であるが、最高裁判所の判例によると、「第三者行為災害の場合において被災労働者に過失があるときの労災保険給付の原因となった事由と同一の事由による損害賠償額の算定は、損害額から過失割合による減額をし、その残額から保険給付の価額を控除する方法によるのが相当である(控除前相殺説)」とされた。

D 〇 (平8.2.23最高裁第二小法廷コック食品事件) 本肢のとおりである。社会復帰促進等事業の一環として支給される特別支給金は、被災労働者の福祉の増進を図るためのもので、損害賠償義務の履行との関係についての調整規定も置かれていないことに照らすと、被災労働者の損害を填補する性質を有するものとはいえず、これを損害賠償の額から控除することはできない。

E ☓ (昭38.6.4最高裁第三小法廷小野運送事件) 補償を受けるべき者が、第三者から損害賠償を受け又は第三者の負担する損害賠償債務を免除したときは、その限度において損害賠償請求権は消滅するのであるから、政府がその後保険給付をしても、当該第三者に対し損害賠償を請求することはできない。



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step3 コメント

・択一式の労働者災害補償保険法の問6は、労災保険給付と損害賠償の関係に関する最高裁判例からの出題でした。それぞれの問題が長文であり、その意味するところを整理しくみ取るのに時間を要します。労基や労一での判例問題は今までも多く出題されていましたが、択一式において労災における判例の出題は予期せぬ問題だったと思います。焦らず落ち着いて対応したいところです。



来週もがんばりましょう。




2017年12月04日

「ランチタイム・スタディ」の第43問です。

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さて、43問目は、選択式の労働者災害補償保険法です。

正答率93&76&68%の問題です。

※選択式労災A=93%、B=76%、C=68%(A及びBは正答率がCより高いものの同じカテゴリーですので、Cの正答率に合わせここで掲載しています。)



<問題( 選択式 労災 ABC )>

労災保険の保険給付に関する決定に不服のある者は、 A に対して審査請求をすることができる。審査請求は、正当な理由により所定の期間内に審査請求することができなかったことを疎明した場合を除き、原処分のあったことを知った日の翌日から起算して3か月を経過したときはすることができない。審査請求に対する決定に不服のある者は、 B に対して再審査請求をすることができる。審査請求をしている者は、審査請求をした日から C を経過しても審査請求についての決定がないときは、 A が審査請求を棄却したものとみなすことができる。



step1 選択肢を見ない状態で、答を紙に書いてみてください。
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step2 次の選択肢の中から答を選んでください。


A及びBの選択肢

⑬ 厚生労働大臣
⑭ 中央労働委員会
⑮ 都道府県労働委員会
⑯ 都道府県労働局長
⑰ 労働基準監督署長
⑱ 労働者災害補償保険審査会
⑲ 労働者災害補償保険審査官
⑳ 労働保険審査会


Cの選択肢

① 60日     ② 90日
③ 1か月   ④ 2か月
⑤ 3か月   ⑥ 6か月
⑦ 1年



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step3 正解は・・・


A → ⑲ 労働者災害補償保険審査官(法38条1項)

B → ⑳ 労働保険審査会(法38条1項)

C → ⑤ 3か月(法38条2項)



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step4 コメント


・選択式の労働者災害補償保険法のA、B及びCは、不服申立てに関する基本条文からの出題でした。不服申立ては、社労士試験では頻出事項であり、多くの受験生にとっては容易に解答できたと思われます。


明日もがんばりましょう。



2017年11月27日

「ランチタイム・スタディ」の第38問です。

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さて、38問目は、択一式の労働者災害補償保険法です。

正答率71%の問題です。



<問題( 択一式 労災 問1 )>

〔問〕 業務災害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 企業に所属して、労働契約に基づき労働者として野球を行う者が、企業の代表選手として実業団野球大会に出場するのに備え、事業主が定めた練習計画以外の自主的な運動をしていた際に負傷した場合、業務上として取り扱われる。

B A会社の大型トラックを運転して会社の荷物を運んでいた労働者Bは、Cの運転するD会社のトラックと出会ったが、道路の幅が狭くトラックの擦れ違いが不可能であったため、D会社のトラックはその後方の待避所へ後退するため約20メートルバックしたところで停止し、徐行に相当困難な様子であった。これを見かねたBが、Cに代わって運転台に乗り、後退しようとしたが運転を誤り、道路から断崖を墜落し即死した場合、業務上として取り扱われる。

C 乗組員6名の漁船が、作業を終えて帰港途中に、船内で夕食としてフグ汁が出された。乗組員のうち、船酔いで食べなかった1名を除く5名が食後、中毒症状を呈した。海上のため手当てできず、そのまま帰港し、直ちに医師の手当てを受けたが重傷の1名が死亡した。船中での食事は、会社の給食として慣習的に行われており、フグの給食が慣習になっていた。この場合、業務上として取り扱われる。

D 会社が人員整理のため、指名解雇通知を行い、労働組合はこれを争い、使用者は裁判所に被解雇者の事業場立入禁止の仮処分申請を行い、労働組合は裁判所に協議約款違反による無効確認訴訟を提起し、併せて被解雇者の身分保全の仮処分を申請していたところ、労働組合は裁判所の決定を待たずに被解雇者らを就労させ、作業中に負傷事故が発生した。この場合、業務外として取り扱われる。

E 川の護岸築堤工事現場で土砂の切取り作業をしていた労働者が、土蜂に足を刺され、そのショックで死亡した。蜂の巣は、土砂の切取り面先約30センチメートル程度の土の中にあったことが後でわかり、当日は数匹の蜂が付近を飛び回っており、労働者も使用者もどこかに巣があるのだろうと思っていた。この場合、業務上として取り扱われる。




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step1 正解は・・・



A



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step2 解説

A ☓ (法7条1項、平12.5.18基発366号) 運動競技に伴う災害の業務上外の認定については、運動競技が労働者の業務行為又はそれに伴う行為として行われ、かつ、労働者の被った災害が運動競技に起因するものである場合に業務上と認められる。また、労働者が行う練習については、事業主が予め定めた練習計画に従って行われるものでなければならず、練習計画とは別に、労働者自らの意思で行う運動は、「業務外」とされる。

B 〇 (法7条1項、昭31.3.31基収5597号) 本肢のとおりである。本件は、作業に伴う必要又は合理的な行為中の災害であり、労働者の担当業務行為とはいえないが、作業に伴う必要行為又は合理的行為中と認められるため、業務上として取扱われる。

C 〇 (法7条1項、昭26.2.16基災収111号) 本肢のとおりである。本件は、事業場施設の利用中の災害であり、また、船内での食事は会社の給食としての慣習でもあることから、業務上として取扱われる。

D 〇 (法7条1項、昭28.12.18基収4466号) 本肢のとおりである。業務災害と認定されるためには、業務遂行性(労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態)及び業務起因性の2つの要件を満たす必要があるが、指名解雇通知が行われ、会社と労働組合との抗争中に被解雇者が就労し作業中に負傷した場合は、業務遂行性は認められないため、業務外として取り扱われる。

E 〇 (法7条1項、昭25.10.27基収2693号) 本肢のとおりである。作業中に土蜂に刺されてショック死した作業員の事故は、業務に伴う危険が現実化して生じたものと認められるため、業務上として取り扱われる。



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step3 コメント

・択一式の労災保険法の問1は、業務災害に関する問題でした。問題文が長いため、読むのに時間がかかってしまいますが、問題文の状況を思い浮かべながら「業務遂行性」「業務起因性」を考慮して考えると正解にたどりつくことができると思います。



明日もがんばりましょう。




2017年11月17日

「ランチタイム・スタディ」の第33問です。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、10月1日の佐藤塾ブログの『「ランチタイム・スタディ2017」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。



さて、33問目は、択一式の労働者災害補償保険法です。

正答率74%の問題です。



<問題( 択一式 労災 問4 )>

〔問〕 労災保険法の適用に関する次の講述のうち、正しいものはどれか。

A 労災保険法は、市の経営する水道事業の非常勤職員には適用されない。

B 労災保険法は、行政執行法人の職員に適用される。

C 労災保険法は、非現業の一般職の国家公務員に適用される。

D 労災保険法は、国の直営事業で働く労働者には適用されない。

E 労災保険法は、常勤の地方公務員に適用される。



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step1 正解は・・・



D
   


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step2 解説

A ☓ (法3条2項、昭42.10.27基発1000号) 市の経営する水道事業の非常勤職員(現業部門の非常勤職員)については、労災保険法が適用される。

B ☓ (法3条2項、独立行政法人通則法59条1項1号) 行政執行法人の職員には、国家公務員災害補償法が適用されるため、労災保険法は適用されない。

C ☓ (法3条2項) 国家公務員については、国家公務員災害補償法が適用されるため、労災保険法は適用されない。

D 〇 (法3条2項) 本肢のとおりである。なお、現在、国の直営事業という形態で行われている具体的な事業はない。

E ☓ (法3条2項、地公災法67条2項、昭42.10.27基発1000号) 地方公務員については、現業部門の非常勤職員を除き、原則として地方公務員災害補償法が適用されるため、労災保険法は適用されない。


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step3 コメント

・択一式の労働者災害補償保険法の問4は、労災保険法の適用に関する問題でした。問題文が短い1行問題とはいえ、正解肢であるD以外のひとつひとつの肢の正誤判断は難しかったと思いますが、Dが基本事項でしたので正解できた人が多かったのではないでしょうか。



来週もがんばりましょう。