労災

2023年12月26日

「ランチタイム・スタディ( 2023本試験)」の第91問です。
91問目は、択一式の労災保険法です。

正答率27%の問題です。

※労災保険法(選択式・択一式)の中で一番難しかった問題です。
※ついに正答率が3割を割りました。
※難問です。

<問題( 択一式 労災 問1 )>

〔問 1〕「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(平成23年12月26日付け基発1226第1号)における「業務による心理的負荷の強度の判断」のうち、出来事が複数ある場合の全体評価に関する次の記述のうち誤っているものはどれか。

A 複数の出来事のうち、いずれかの出来事が「強」の評価となる場合は、業務による心理的負荷を「強」と判断する。

B 複数の出来事が関連して生じている場合、「中」である出来事があり、それに関連する別の出来事(それ単独では「中」の評価)が生じた場合には、後発の出来事は先発の出来事の出来事後の状況とみなし、当該後発の出来事の内容、程度により「強」又は「中」として全体を評価する。

C 単独の出来事の心理的負荷が「中」である複数の出来事が関連なく生じている場合、全体評価は「中」又は「強」となる。

D 単独の出来事の心理的負荷が「中」である出来事一つと、「弱」である複数の出来事が関連なく生じている場合、原則として全体評価も「中」となる。

E 単独の出来事の心理的負荷が「弱」である複数の出来事が関連なく生じている場合、原則として全体評価は「中」又は「弱」となる。


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step1 正解は・・・


E


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step2 解説

(平23.12.26基発1226第1号)単独の出来事の心理的負荷が「弱」である複数の出来事が関連なく生じている場合、原則として全体評価は「弱」となる。

※対象疾病の発病に関与する業務による出来事が複数ある場合の心理的負荷の程度は、次のように全体的に評価する。
① それぞれの出来事について総合評価を行い、いずれかの出来事が「強」の評価となる場合は、業務による心理的負荷を「強」と判断する。
② いずれの出来事でも単独では「強」の評価とならない場合には、それらの複数の出来事について、関連して生じているのか、関連なく生じているのかを判断した上で、
(a)出来事が関連して生じている場合には、その全体を一つの出来事として評価することとし、原則として最初の出来事を「具体的出来事」として別表1に当てはめ、関連して生じた各出来事は出来事後の状況とみなす方法により、その全体評価を行う。
具体的には、「中」である出来事があり、それに関連する別の出来事(それ単独では「中」の評価)が生じた場合には、後発の出来事は先発の出来事の出来事後の状況とみなし、当該後発の出来事の内容、程度により「強」又は「中」として全体を評価する。
(b)一つの出来事のほかに、それとは関連しない他の出来事が生じている場合には、主としてそれらの出来事の数、各出来事の内容、各出来事の時間的な近接の程度を元に、その全体的な心理的負荷を評価する。
具体的には、単独の出来事の心理的負荷が「中」である出来事が複数生じている場合には、全体評価は「中」又は「強」となる。また、「中」の出来事が一つあるほかには「弱」の出来事しかない場合には原則として全体評価も「中」であり、「弱」の出来事が複数生じている場合には原則として全体評価も「弱」となる。


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step3 コメント

・択一式の労災保険法の問1は、「心理的負荷による精神障害の認定基準について」における「業務による心理的負荷の強度の判断」で、
出来事が複数ある場合の全体評価に関する問題でした。ここは、相当深く学習ができていないと正解できません。ここまで手が届いているという人の択一式は、高得点であったものと思われます。



次回もがんばりましょう。




2023年12月25日

「ランチタイム・スタディ( 2023本試験)」の第90問です。
90問目は、択一式の労災保険法です。

正答率30%の問題です。

※難問です。

<問題( 択一式 労災 問4 )>

〔問 4〕 労災年金と厚生年金・国民年金との間の併給調整に関する次のアからオの記述のうち、正しいものはいくつあるか。なお、昭和60年改正前の厚生年金保険法、船員保険法又は国民年金法の規定による年金給付が支給される場合については、考慮しない。また、調整率を乗じて得た額が、調整前の労災年金額から支給される厚生年金等の額を減じた残りの額を下回る場合も考慮しない。

ア 同一の事由により障害補償年金と障害厚生年金及び障害基礎年金を受給する場合、障害補償年金の支給額は、0.73の調整率を乗じて得た額となる。

イ 障害基礎年金のみを既に受給している者が新たに障害補償年金を受け取る場合、障害補償年金の支給額は、0.83の調整率を乗じて得た額となる。

ウ 障害基礎年金のみを受給している者が遺族補償年金を受け取る場合、遺族補償年金の支給額は、0.88の調整率を乗じて得た額となる。

エ 同一の事由により遺族補償年金と遺族厚生年金及び遺族基礎年金を受給する場合、遺族補償年金の支給額は、0.80の調整率を乗じて得た額となる。

オ 遺族基礎年金のみを受給している者が障害補償年金を受け取る場合、障害補償年金の支給額は、0.88の調整率を乗じて得た額となる。

A 一つ
B 二つ
C 三つ
D 四つ
E 五つ



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step1 正解は・・・


B


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step2 解説

(法別表第1第1号、令2条)本肢のとおりである。

× (法別表第1第1号)本肢の障害基礎年金と障害補償年金は、同一の事由により支給されるものではないため調整されない。

× (法別表第1第1号)障害基礎年金と遺族補償年金は、同一の事由により支給されるものではないため調整されない。

(法別表第1第1号、令2条)本肢のとおりである。

× (法別表第1第1号)遺族基礎年金と障害補償年金は、同一の事由により支給されるものではないため調整されない。


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step3 コメント

・択一式の労災保険法の問4は、労災年金と厚生年金・国民年金との間の併給調整に関する問題でした。本問は調整率まで覚えていないと正誤判断できません。調整率を正確に覚えていたという人は少なかったでしょうし、そのうえ個数問題ということで極めて難易度が高かった問題であったといえます。



次回もがんばりましょう。




2023年12月17日

「ランチタイム・スタディ( 2023本試験)」の第82問です。
82問目は、択一式の労災保険法です。

正答率39%の問題です。

※ついに正答率が4割を割りました。
※難問です。

<問題( 択一式 労災 問7 )>

〔問 7〕 新卒で甲会社に正社員として入社した労働者Pは、入社1年目の終了時に、脳血管疾患を発症しその日のうちに死亡した。Pは死亡前の1年間、毎週月曜から金曜に1日8時間甲会社で働くと同時に、学生時代からパートタイム労働者として勤務していた乙会社との労働契約も継続し、日曜に乙会社で働いていた。また、死亡6か月前から4か月前は丙会社において、死亡3か月前から死亡時までは丁会社において、それぞれ3か月の期間の定めのある労働契約でパートタイム労働者として、毎週月曜から金曜まで甲会社の勤務を終えた後に働いていた。Pの遺族は、Pの死亡は業務災害又は複数業務要因災害によるものであるとして所轄労働基準監督署長に対し遺族補償給付又は複数事業労働者遺族給付の支給を求めた。当該署長は、甲会社の労働時間のみでは業務上の過重負荷があったとはいえず、Pの死亡は業務災害によるものとは認められず、また甲会社と乙会社の労働時間を合計しても業務上の過重負荷があったとはいえないが、甲会社と丙会社・丁会社の労働時間を合計した場合には業務上の過重負荷があったと評価でき、個体側要因や業務以外の過重負荷により発症したとはいえないことから、Pの死亡は複数業務要因災害によるものと認められると判断した。Pの遺族への複数事業労働者遺族給付を行う場合における給付基礎日額の算定に当たって基礎とする額に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 甲会社につき算定した給付基礎日額である。

B 甲会社・乙会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。

C 甲会社・丁会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。

D 甲会社・丙会社・丁会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。

E 甲会社・乙会社・丁会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。


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step1 正解は・・・


E


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step2 解説

(令2.8.21基発0821第2号) 複数事業労働者の給付基礎日額は、当該複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額を基礎として算定されるが、給付基礎日額の原則的な算定期間は、算定事由発生日以前3か月間である。設問の場合、労働者Pは、「脳血管疾患を発症しその日のうちに死亡した」とあるので、脳血管疾患を発症した日(診断が確定した日)が算定事由発生日となり、当該日に甲会社・乙会社・丁会社で使用されているため、当該日以前3か月間を算定期間として、「甲会社・乙会社・丁会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額」により複数事業労働者遺族給付の額が算定される。丙会社で就業していたのは死亡6か月前から4か月前であるため、算定の対象とならない。


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step3 コメント

・択一式の労災保険法の問7は、複数事業労働者に係る給付基礎日額の算定についての事例問題でした。このような事例問題の場合には、頭の中だけで考えると混乱する可能性が出てきますので、余白にメモ書きをするなどして、落ち着いて解答するように心がけましょう。



次回もがんばりましょう。




2023年12月11日

「ランチタイム・スタディ( 2023本試験)」の第76問です。
76問目は、択一式の労災保険法です。

正答率45%の問題です。


<問題( 択一式 労災 問3 )>

〔問 3〕「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」(令和3年9月14日付け基発0914第1号)で取り扱われる対象疾病に含まれるものは、次のアからオの記述のうちいくつあるか。


ア 狭心症

イ 心停止(心臓性突然死を含む。)

ウ 重篤な心不全

エ くも膜下出血

オ 大動脈解離


A 一つ

B 二つ

C 三つ

D 四つ

E 五つ



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step1 正解は・・・


E


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step2 解説

(令3.9.14基発0914第1号)「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」によると、認定基準は、次に掲げる脳・心臓疾患を対象疾病として取り扱う。したがって、アからオはいずれも対象疾病に該当する。

1.脳血管疾患

(1)脳内出血(脳出血)、(2)くも膜下出血、(3)脳梗塞、(4)高血圧性脳症

2.虚血性心疾患等

(1)心筋梗塞、(2)狭心症、(3)心停止(心臓性突然死を含む)、(4)重篤な心不全、(5)大動脈解離


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step3 コメント

・択一式の労災保険法の問3は、認定基準の対象疾病に入るものの個数問題でした。おそらく対象疾病を正確に覚えている人はなかなかいないのではないかと思われますが、DかEかという選択で悩んだ人が多かったように思われます。



次回もがんばりましょう。




2023年11月24日

「ランチタイム・スタディ( 2023本試験)」の第57問です。
57問目は、択一式の労災保険法です。

正答率61%の問題です。


<問題( 択一式 労災 問6 )>

〔問 6〕 労災保険給付に関する決定(処分)に不服がある場合の救済手続に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 労災保険給付に関する決定に不服のある者は、都道府県労働局長に対して審査請求を行うことができる。

B 審査請求をした日から1か月を経過しても審査請求についての決定がないときは、審査請求は棄却されたものとみなすことができる。

C 処分の取消しの訴えは、再審査請求に対する労働保険審査会の決定を経た後でなければ、提起することができない。

D 医師による傷病の治ゆ認定は、療養補償給付の支給に影響を与えることから、審査請求の対象となる。

E 障害補償給付の不支給処分を受けた者が審査請求前に死亡した場合、その相続人は、当該不支給処分について審査請求人適格を有する。


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step1 正解は・・・


E


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step2 解説

× (法38条1項)保険給付に関する決定に不服のある者は、「都道府県労働局長」ではなく、「労働者災害補償保険審査官」に対して審査請求を行うことができる。なお、その決定に不服のある者は、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。

× (法38条2項)審査請求をした日から「3か月」を経過しても審査請求についての決定がないときは、審査請求は棄却されたものとみなすことができる。

× (法40条)処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する「労働者災害補償保険審査官」の決定を経た後でなければ、提起することができない。

× (法38条、昭35.8.17基発691号)医師による傷病の治ゆ認定等、保険給付の決定の前提となる事実認定については、保険給付に関する決定に該当しないので、審査請求の対象とはならない。

(法38条、コンメンタール)本肢のとおりである。審査請求をすることができる者(審査請求人適格を有する者)は、「保険給付に関する決定に不服のある者」であり、原処分を受けた者が該当するが、原処分を受けた者が審査請求前に死亡した場合の相続人及び行方不明となっている遺族(補償)等給付受給権者の財産管理人もこれに該当する。


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step3 コメント

・択一式の労災保険法の問6は、不服申し立てからの出題でした。Eは、コンメンタールからの出題であり、難易度が高かったものの、他の選択肢から消去法でのアプローチもできますので、得点したい問題です。



次回もがんばりましょう。