2016年11月22日

「ランチタイム・スタディ」の第35問です。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、9月29日の佐藤塾ブログの
「ランチタイム・スタディ」開始のお知らせをご覧ください。

「ランチタイム・スタディ」の活用法については、10月22日の佐藤塾ブログの「ランチタイム・スタディの活用法」をご覧ください。


さて、35問目は、択一式の健康保険法です。

正答率64%&合否を分けた問題です。

※「合否を分けた問題」とは、「合格者だけの正答率」と「全体の正答率(ただし、全体正答率65%以下)」とで、20%以上差が開いた問題で、「2016年本試験 合否を分けた12問」(ガイダンス)で取り上げた問題です。なお、明日11月23日(水・祝)11時より大阪本校で本ガイダンスを実施しますので、お近くの方はぜひお越しください。



<問題(択一式健保問1)>

〔問〕 保険者及び適用事業所に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

ア 健康保険組合がその設立事業所を増加させ、又は減少させようとするときは、その増加又は減少に係る適用事業所の事業主の全部の同意を得なければならないが、併せて、その適用事業所に使用される被保険者の2分の1以上の同意も得なければならない。

イ 任意適用事業所に使用される者(被保険者である者に限る。)の4分の3以上が事業主に対して任意適用取消しの申請を求めた場合には、事業主は当該申請を厚生労働大臣に対して行わなければならない。

ウ 外国の在日大使館が健康保険法第31条第1項の規定に基づく任意適用の認可を厚生労働大臣に申請したときは、当該大使館が健康保険法上の事業主となり、保険料の納付、資格の得喪に係る届の提出等、健康保険法の事業主としての諸義務を遵守する旨の覚書を取り交わされることを条件として、これが認可され、その使用する日本人並びに派遣国官吏又は武官でない外国人(当該派遣国の健康保険に相当する保障を受ける者を除く。)に健康保険法を適用して被保険者として取り扱われる。

エ 健康保険組合連合会は、全国健康保険協会の後期高齢者支援金に係る負担の不均衡を調整するために、全国健康保険協会に対する交付金の交付事業を行っている。

オ 全国健康保険協会は、毎事業年度において、当該事業年度及びその直前の2事業年度内において行った保険給付に要した費用の額の1事業年度当たりの平均額の3分の1に相当する額までは、当該事業年度の剰余金の額を準備金として積み立てなければならない。なお、保険給付に要した費用の額は、前期高齢者納付金(前期高齢者交付金がある場合には、これを控除した額)を含み、国庫補助の額を除くものとする。

A (アとイ)  B (アとウ)  C (イとエ)
D (ウとオ)  E (エとオ)




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step1 正解は・・・



B



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step2 解説

ア 〇 (法25条1項)本肢のとおりである。なお、増加又は減少に係る適用事業所が2以上ある場合においては、適用事業所ごとに被保険者の2分の1以上の同意が必要である(法25条4項)。

イ ☓ (法33条)被保険者の4分の3以上の希望があったとしても、事業主は、任意適用取消の認可申請をする義務はない。

ウ 〇 (法31条、昭30.7.25省発保123号の2)本肢のとおりである。日本にある外国公館(大使館)に勤務している者は、強制適用の対象とならないが、当該外国公館が事業主として健康保険法及び厚生年金保険法の規定に基づく任意適用の認可を申請したときは、保険料の納付、資格得喪届の提出等健康保険法及び厚生年金保険法の事業主としての諸義務を遵守する旨の覚書が取り交わされることを条件として、これを認可し、その使用する日本人職員等に両法を適用して被保険者として取り扱う。

エ ☓ (法附則2条1項)健康保険組合連合会は、「健康保険組合が管掌する健康保険の医療に関する給付、保健事業及び福祉事業の実施又は健康保険組合に係る前期高齢者納付金等、後期高齢者支援金等、日雇拠出金若しくは介護納付金の納付に要する費用の財源の不均衡を調整する」ために交付金の交付事業を行っている。

オ ☓ (法160条の2、令46条1項)全国健康保険協会は、毎事業年度において、当該事業年度及びその直前の2事業年度内において行った保険給付に要した費用の額の1事業年度当たりの平均額の「12分の1」に相当する額までは、当該事業年度の剰余金の額を準備金として積み立てなければならない。




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step3 コメント

・健康保険法の問1は、保険者及び適用事業所に関する組み合わせ問題でした。基本事項を問う問題が多かったため、比較的正解しやすかったと思われます。

・合格者だけの正答率は95%でしたから、全体正答率64%と比べ、31%の開きが生じています。すなわち、この問題を正解できるか否かが合否の分岐点となりうる問題だったと言えます。



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step4 プラスα(一読しておこう)

健康保険組合の設立事業所の増減(法25条1項)

健康保険組合がその設立事業所を増加させ、又は減少させようとするときは、その増加又は減少に係る適用事業所の事業主の全部及びその適用事業所に使用される被保険者の2分の1以上の同意を得なければならない。


任意適用取消の要件(法33条)

① 第31条1項の事業所(任意適用の認可を受けた事業所)の事業主は、厚生労働大臣認可を受けて、当該事業所を適用事業所でなくすることができる。
② 前項の認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(被保険者である者に限る)の4分の3以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。


準備金(法160条の2)

協会は、毎事業年度末において、当該事業年度及びその直前の2事業年度内において行った保険給付に要した費用の額(前期高齢者納付金等、後期高齢者支援金等及び日雇拠出金並びに介護納付金の納付に要した費用の額(前期高齢者交付金がある場合には、これを控除した額)を含み、法153条及び法154条の規定による国庫補助の額を除く)の1事業年度当たりの平均額の12分の1に相当する額に達するまでは、当該事業年度の剰余金の額を準備金として積み立てなければならない(令46条1項)。




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step5 練習問題(チャレンジしてみよう!)

健康保険組合の設立事業所の増減(法25条1項)

健康保険組合がその設立事業所を増加させ、又は減少させようとするときは、その増加又は減少に係る適用事業所の事業主の A 及びその適用事業所に使用される被保険者の B 以上の同意を得なければならない。


任意適用取消の要件(法33条

① 第31条1項の事業所(任意適用の認可を受けた事業所)の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所でなくすることができる。
② 前項の認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(被保険者である者に限る)の C 以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。


準備金(法160条の2)

協会は、毎事業年度末において、当該事業年度及びその直前の D 事業年度内において行った保険給付に要した費用の額(前期高齢者納付金等、後期高齢者支援金等及び日雇拠出金並びに介護納付金の納付に要した費用の額(前期高齢者交付金がある場合には、これを控除した額)を含み、法153条及び法154条の規定による国庫補助の額を除く)の1事業年度当たりの平均額の E に相当する額に達するまでは、当該事業年度の剰余金の額を準備金として積み立てなければならない(令46条1項)。




step6 選択肢はありません。答を紙に書いてみてください。
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step7 正解は・・・



A → 全部
B → 2分の1
C → 4分の3
D → 2
E → 12分の1



明日は勤労感謝の日ですね。
ランチタイム・スタディはお休みです。
明後日もがんばりましょう。

☞ 次の【ランチタイム・スタディ 36 】をご覧になりたい方はこちら




この記事へのコメント

1. Posted by ふぃりっぷ・うぇざぁ   2016年11月22日 21:30
お世話になります。

問題とは無関係になりますが、本日受講した安衛法(DVD)では、57条や57条の3(追加)改正については反映されておらず、佐藤先生も何も触れてらっしゃいませんでしたが、法改正講座を待たねばならないのでしょうか? あるいはその後の講座で言及なさっているのでしょうか?
2. Posted by 管理人   2016年11月25日 13:32
ふぃりっぷ・うぇざぁさん、コメントありがとうございます。
こちらこそ、いつもお世話になっています。

ご質問の件ですが、安衛法のインプット講義は2コマ5時間という時間設定で他の科目よりも短い時間で講義を行わないとなりませんが、改正の話を加えると結構な延長時間になってしまうことを考慮して、今回の講義では触れていません。
ここは改正法対策講座でまとめてお伝えすることにしています。
よろしくお願いします。

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