2016年10月20日

「ランチタイム・スタディ」の第13問です。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、9月29日の佐藤塾ブログの
「ランチタイム・スタディ」開始のお知らせをご覧ください。

さて、13問目は、択一式の労基法が、またまた登場です。
いよいよ、正答率は70%台に突入です。

正答率79%の問題です。




<問題(択一式労基問4)>


〔問〕 労働基準法に定める労働時間等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 労働基準法第32条の労働時間とは「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まる」とするのが、最高裁判所の判例である。

B 労働基準法第32条の3に定めるいわゆるフレックスタイム制は始業及び終業の時刻の両方を労働者の決定に委ねることを要件としており、始業時刻又は終業時刻の一方についてのみ労働者の決定に委ねるものは本条に含まれない。

C 労働基準法第32条の4に定めるいわゆる一年単位の変形労働時間制の対象期間は、1か月を超え1年以内であれば、3か月や6か月でもよい。

D 労働基準法第32条の5に定めるいわゆる一週間単位の非定型的変形労働時間制は、小売業、旅館、料理店若しくは飲食店の事業の事業場、又は、常時使用する労働者の数が30人未満の事業場、のいずれか1つに該当する事業場であれば採用することができる。

E 労働基準法第34条に定める休憩時間は、労働者が自由に利用することが認められているが、休憩時間中に企業施設内でビラ配布を行うことについて、就業規則で施設の管理責任者の事前の許可を受けなければならない旨を定めることは使用者の企業施設管理権の行使として認められる範囲内の合理的な制約であるとするのが、最高裁判所の判例である。



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step1 正解は・・・



D


   

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step2 解説


A 〇 (法32条、平12.3.9最判三菱重工業長崎造船所事件)本肢のとおりである。労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない。

B 〇 (法32条の3、平11.3.31基発168号)本肢のとおりである。フレックスタイム制は、始業及び終業の時刻の両方を労働者の決定にゆだねることを要件としており、始業時刻又は終業時刻の一方についてのみ労働者の決定にゆだねるものでは足りない。

C 〇 (法32条の4第1項)本肢のとおりである。1年単位の変形労働時間制に係る対象期間とは、その期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、1箇月を超え1年以内の期間に限るものとされている。

D ☓ (法32条の5、則12条の5)1週間単位の非定型的変形労働時間制の対象となる事業場は、小売業、旅館、料理店又は飲食店の事業であって、「かつ」、常時使用する労働者の数が30人未満の場合である。

E 〇 (法34条3項、昭52.12.13最判目黒電報電話局事件)休憩時間の自由利用は、時間を自由に利用することが認められたものに過ぎず、その利用が企業施設内で行われる場合には施設管理権の合理的な行使として是認される範囲内の適法な規制による制約を免れず、また企業秩序維持の要請に基づく規律による制約を免れないから、企業施設内における演説、集会、貼紙、掲示、ビラ配布等を休憩時間中であっても使用者の許可にかかわらしめることは合理的な制約である。



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step3 コメント

・労基法問4は、労働時間に関する判例を交えた出題です。正解肢のDは、「または」ではなく、「かつ」であるから誤りというひっかけ問題でしたが、1週間単位の非定型的変形労働時間制の採用要件さえ押さえていれば、容易に解答することができたと思われます。

・Cで出題された、いわゆる一年単位の変形労働時間制の対象期間は、1か月を超え1年以内であれば、3か月や6か月でもよいとされていますが、1か月ちょうどを対象期間にすることはできないことも合わせて押さえておきましょう。



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step4 プラスα(一読しておこう)(長いですが、頑張ってください)


法32条の3(フレックスタイム制)

使用者は、就業規則その他これに準ずるものにより、その労働者に係る始業及び終業の時刻をその労働者の決定にゆだねることとした労働者については、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、その協定で第2号の清算期間として定められた期間を平均し1週間当たりの労働時間が第32条第1項の労働時間を超えない範囲内において、同条の規定にかかわらず、1週間において同項の労働時間又は1日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。

1.この条の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の範囲
2.清算期間(その期間を平均し1週間当たりの労働時間が第32条第1項の労働時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、1箇月以内の期間に限るものとする)
3.清算期間における総労働時間
4.その他厚生労働省令で定める事項



法32条の4(1年単位の変形労働時間制)

① 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、第32条の規定にかかわらず、その協定で第2号の対象期間として定められた期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において、当該協定で定めるところにより、特定された週において同条第1項の労働時間又は特定された日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。

1. この条の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の範囲
2. 対象期間(その期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、1箇月を超え1年以内の期間に限るものとする)
3. 特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間をいう)
4. 対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間(対象期間を1箇月以上の期間ごとに区分することとした場合においては、当該区分による各期間のうち当該対象期間の初日の属する期間(以下「最初の期間」という)における労働日及び当該労働日ごとの労働時間並びに当該最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間
5. その他厚生労働省令で定める事項

② 使用者は、前項の協定で同項第4号の区分をし当該区分による各期間のうち最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間を定めたときは、当該各期間初日の少なくとも30日前に、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の同意を得て、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働日数を超えない範囲内において当該各期間における労働日及び当該総労働時間を超えない範囲内において当該各期間における労働日ごとの労働時間を定めなければならない。

③ 厚生労働大臣は、労働政策審議会の意見を聴いて、厚生労働省令で、対象期間における労働日数限度並びに1日及び1週間の労働時間の限度並びに対象期間(第1項の協定で特定期間として定められた期間を除く)及び同項の協定で特定期間として定められた期間における連続して労働させる日数の限度を定めることができる。

④ 第32条の2第2項の規定は、第1項の協定について準用する。



法32条の5、則12条の5第1項・2項(1週間単位の非定型的変形労働時間制)

① 使用者は、日ごとの業務に著しい繁閑の差が生ずることが多く、かつ、これを予測した上で就業規則その他これに準ずるものにより各日の労働時間を特定することが困難であると認められる小売業旅館料理店又は飲食店の事業であって、常時使用する労働者の数が30人未満のものに従事する労働者については、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、第32条第2項の規定にかかわらず、1日について10時間まで労働させることができる。

② 使用者は、前項の規定により労働者に労働させる場合においては、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働させる1週間の各日の労働時間を、あらかじめ、当該労働者に通知しなければならない。

③ 第32条の2第2項の規定は、第1項の協定について準用する。




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step5 練習問題1(チャレンジしてみよう!)

法32条の3(フレックスタイム制)

使用者は、 A その他これに準ずるものにより、その労働者に係る始業及び終業の時刻をその労働者の決定にゆだねることとした労働者については、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、その協定で第2号の B 期間として定められた期間を平均し1週間当たりの労働時間が第32条第1項の労働時間を超えない範囲内において、同条の規定にかかわらず、1週間において同項の労働時間又は1日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。

1.この条の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の C 
2. B 期間(その期間を平均し1週間当たりの労働時間が第32条第1項の労働時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、 D 以内の期間に限るものとする)
3. B 期間における E 
4.その他厚生労働省令で定める事項




step6 選択肢はありません。答を紙に書いてみてください。
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step7 正解は・・・



A → 就業規則
B → 清算
C → 範囲
D → 1箇月
E → 総労働時間



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step8 練習問題2(チャレンジしてみよう!)


法32条の4(1年単位の変形労働時間制)

① 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、第32条の規定にかかわらず、その協定で第2号の対象期間として定められた期間を平均し1週間当たりの労働時間が F を超えない範囲内において、当該協定で定めるところにより、 G された週において同条第1項の労働時間又は G された日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。

1. この条の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の範囲
2. 対象期間(その期間を平均し1週間当たりの労働時間が F を超えない範囲内において労働させる期間をいい、1箇月を超え1年以内の期間に限るものとする)
3.  G 期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間をいう)
4. 対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間(対象期間を1箇月以上の期間ごとに区分することとした場合においては、当該区分による各期間のうち当該対象期間の初日の属する期間(以下「最初の期間」という)における労働日及び当該労働日ごとの労働時間並びに当該最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間)
5. その他厚生労働省令で定める事項

② 使用者は、前項の協定で同項第4号の区分をし当該区分による各期間のうち最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間を定めたときは、当該各期間の初日の少なくとも H 前に、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の I を得て、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働日数を超えない範囲内において当該各期間における労働日及び当該総労働時間を超えない範囲内において当該各期間における労働日ごとの労働時間を定めなければならない。

③ 厚生労働大臣は、 J の意見を聴いて、厚生労働省令で、対象期間における労働日数の限度並びに1日及び1週間の労働時間の限度並びに対象期間(第1項の協定で特定期間として定められた期間を除く)及び同項の協定で特定期間として定められた期間における連続して労働させる日数の限度を定めることができる。

④ 第32条の2第2項の規定は、第1項の協定について準用する。




step9 選択肢はありません。答を紙に書いてみてください。
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step10 正解は・・・



F → 40時間
G → 特定
H → 30日
I  → 同意
J → 労働政策審議会




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step11 練習問題3(チャレンジしてみよう!)


法32条の5、則12条の5第1項・2項(1週間単位の非定型的変形労働時間制)

① 使用者は、 K ごと業務に著しい L の差が生ずることが多く、かつ、これを予測した上で就業規則その他これに準ずるものにより各日の労働時間を特定することが困難であると認められる M 、旅館、料理店又は飲食店の事業であって、常時使用する労働者の数が N のものに従事する労働者については、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、第32条第2項の規定にかかわらず、1日について O まで労働させることができる。

② 使用者は、前項の規定により労働者に労働させる場合においては、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働させる1週間の各日の労働時間を、あらかじめ、当該労働者に通知しなければならない。

③ 第32条の2第2項の規定は、第1項の協定について準用する。




step12 選択肢はありません。答を紙に書いてみてください。
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step13 正解は・・・



K → 日
L → 繁閑
M → 小売業
N → 30人未満
O → 10時間




練習問題が多くて大変だったと思います。お疲れ様でした。

明日もがんばりましょう。

☞ 次の【ランチタイム・スタディ 14 】をご覧になりたい方はこちら



この記事へのコメント

1. Posted by MI   2016年10月20日 22:20
労基法は、得意な方なので、読んで正解がわかりました。

他の科目も一読すれば、ピンと来るようになれば、いいのですが・・・・。



練習問題は、やはり難しい。記述式でないのが救いです。
2. Posted by 管理人   2016年10月21日 07:52
> 練習問題は、やはり難しい。記述式でないのが救いです。

記述式として出題されることとなった場合は、掲載している練習問題よりももっと簡単なところが抜かれると思いますので、それほど初回で(最初に)(1回で)できたかどうかを気にしなくても大丈夫だと思います。

おそらく、アップしたての問題に毎日、目を通されて、その後、日をおいて再度やってみることがあると思いますので、何度かやるうちに完全にできるようになればしめたものです。
(何しろ結構な分量の練習問題をこなすことになりますから。)
(後々に手ごたえを感じてくるはずです。)

頑張ってください。

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