2016年10月08日


平成28年版厚生労働白書が発売されました。

今回のテーマは、「人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える」です。

過去の厚生労働白書のテーマは次のとおりです。
平成27年版  人口減少社会を考える
平成26年版  健康長寿社会の実現に向けて~健康・予防元年~
平成25年版  若者の意識を探る
平成24年版  社会保障を考える
平成23年版  社会保障の検証と展望 
         ~国民皆保険・皆年金制度実現から半世紀~


やはり、このところ取り上げられている大きな問題は、「少子高齢化・人口減少」の問題です。


高齢化率(65歳以上人口の割合)は、ここ数年で次のように変化しています。

・5年前の国勢調査では、「23.0%
 ・「国勢調査(抽出速報集計)」結果(2016.6.29)では、「26.7%

他の国と比べても、抜きんでている数字であり、
4人に1人(以上)が高齢者」となっています。

高齢化 国別比較

                         出典元:「国勢調査(抽出速報集計)」結果(2016.6.29)

このグラフを見る限り、驚くべき実態が浮かび上がります。

日本の高齢化率は、1990年には世界第6位だったものの、その後、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアをごぼう抜きして現在、世界一となっただけでなく、その後の進展(グラフの傾斜)も他の諸国の追随を許さないほどの伸び率で高齢化が進んでいます。
(いわば、独走態勢(ぶっちぎり状態)に入ったかのような・・)

国がこの件にやっきになるのもうなずけます。
というのも、「少子高齢化・人口減少」が進むと、さまざまな問題が生じるからです。


<その1> 労働力が不足する

現在は、労働力人口は増加していますが、それは女性の労働力人口が増えているからであって、男性は減少しています。
少子高齢化で人口減少となれば、当然、労働力不足が懸念されることになります。

そのため、政府は、女性の社会進出(子育て支援策、ポジティブ・アクション等)、若年者の正規雇用化(ニート・フリーター対策、非正規対策等)、障害者雇用の促進(企業への法定雇用率の義務付け)、高齢者の雇用確保(勤務延長制度・再雇用制度、高年齢者雇用確保措置等)、外国人労働者の活用(高度外国人材の受入れ等)等、積極的にならざるを得ません。
(これらのことは、当然、試験の対象であり、狙われる箇所となります。)


<その2> 財政が破たんする

高齢者が多くなるということは、年金、医療、福祉(介護等)等の社会保障給付費がますます増大することを意味します。

国民皆保険・皆年金を維持していくうえでも喫緊の課題といえます。



これらのことを踏まえ、今回の平成28年版厚生労働白書は、どのようなことが書かれているのか、まだ、読んでいないのでわかりませんが、社会保険労務士を目指すみなさんとしては、知らないといけない知識となりますから、当然、試験で問われることになります。


現在、こういう政策に通じ、国がかかえる課題克服の実現に協力できる社労士が求められています。
昨今の情勢では、社労士本試験における白書の意味合いはますます深くなるといえそうです。



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