2016年10月01日


本音の質問が届きました。社労士の将来性に関する質問です。
実は、いくつか同じような質問が届いていますので、今回、[質問]と[回答]の代表例を掲載させていただきます。

 

[質問]

懸命に勉強をして社労士に合格できたとしても、独立して成功するのは、2世等の既にコネクションを持っている方を除くと困難を極めると友人から聞きました。もちろん、能力等の個人差があるため、一概に言うことはできないのはわかっていますが、社労士の資格を取得して、この先、食っていけるのでしょうか。私は現在まで総務や人事等の社労士が関わる仕事とは全く畑違いの仕事に従事しています。

 

[回答]

まず、理解していただきたいのは、資格とは人生の道具です。

単に資格を取得したからといって、バラ色の世界が広がっているはずがありません。これは、どんな資格でもそうです。たとえ、弁護士、公認会計士、司法書士又は税理士であっても、資格を取得するだけで金儲けができるかといえば、それだけではできません。

もちろん、社労士資格も同じで、取得しただけですぐに収入に直結するはずがありません。資格は、自分の生き方、稼ぎ方の一つの道具に過ぎないのです。

 

でも、この道具を持っているのと持っていないのでは、その人の人生における選択肢が大きく変わってきます。道具を持てば、その人の人生における選択肢が一つ増えるわけです。これは人生にとって、大きなプラスだと思います。自分の人生が大きく変わる可能性があるものです。

 

さて、社労士だけで食えるのかというご質問ですが、これはその人のその道具の使い方で、食えるでしょうし、また、食えないでしょう。社労士の2世でないと、ものにならないというのは、全く当てはまらないと思いますよ。それは、その世界で負けた人が言う言葉じゃないでしょうか? もちろん、その人の資質にもよるとは思いますが、私自身の周りには何人もの方が社労士一本で頑張っています。

私の知る限りでは、社労士のみで億からの売上を上げている方も存じ上げています。従業員を何人も抱え、各社の給与計算を含めて社労士業を幅広くやっています。もちろん、2世ではありません。

また、特に何の考えもなく、とりあえずムードにのって開業したものの、結局廃業してサラリーマンに戻ったという方もいます。これは、スタートする時の考えが甘かったのではないでしょうか。

逆に社労士2世の方が親の業を引き継いだものの、評判が悪く、顧客を減らしているという方もいます。もちろん2世で親の業を引き継ぎ、その人の新たな考えを織り込んで、大きく伸ばしている方もいます。

また、2世の場合、それはそれで親と比べられたりしますから、肩身が狭い思いをしたり、親の職業を継がないとならない制約があるなど、2世ならではのさまざまなプレッシャーがあることも耳にします。

 

「社労士では食えない!」と言う方は、逆に何なら食べていけると思っているのでしょうか? それであれば、その食べられる世界に行かれたらよいと思います。サラリーマンですら、最近はのんべんだらりでは食べていけない時代になっています。何処の世界でどうやっていくのかを考え、その道の努力をするのが、人の生き方ではないでしょうか?

 

また、総務人事など社労士分野の実務経験が無い事を気にされているようですが、逆に他の世界の経験が、士業の業務に活きてくるものです。これからの社労士は、総務人事分野だけでなく、経営全体に対するアドバイスをしていく必要があるからです。企業を取り巻く諸問題は複雑化していて、「これは人事の問題」、「これは経理の問題」など明確に分けられなくなってきています。だから、社労士でも経理や製造、物流など様々な視点が必要です。

私個人の意見としては、人事総務経験者でない方が、大成するポテンシャルを持っていると思います。最近は、理系の社労士も増えてきています。「人事総務経験がない」ではなく、「他の分野に強みを持っている」と考えた方がよいと思います。

 

更に、昨今、社労士の専門性が発揮される分野は、広がってきています。

例えば、メンタルヘルスの問題。「うつ」が社会的問題になっていますが、職場におけるメンタルヘルス対策には、社労士の専門性が不可欠です。メンタルヘルス不調者が出た場合、一定期間休職できる制度を作るのか、もし休職するのであればその間の処遇はどう決めるのか、元気になって職場に戻る際の配属はどうするのか。このような事をしっかり定め、就業規則を作成するためには、社労士の力が必要です。

少子高齢化問題にも社労士の力が必要です。定年後、再雇用した方のお給料や賞与や退職金の有無なども決めなければなりません。企業の原資と社会のニーズを調整することも社労士の腕の見せ所です。

育児休業を取る人も増えています。育児休業後の復職時、短時間勤務制度を導入した場合は、どういう給料にして、人事考課はどのように行うのか。やはり普通の社員と同じようにはできないため、他社事例などを用いて経営者に制度提案するのも社労士の仕事です。

最近では、親や身内の介護のために仕事を続けられない人が多くなってきています。こういった状況にどう対応すべきかを考え、企業に合った就業規則を作成していくこともりっぱな社労士の業務です。

 

何れにしろ、今後の人生、どう選択されるかは貴方自身が考えなければならないことですが、やれない理由を考えたらきりがありません。もし、社労士の勉強をされているのであれば、それも貴方の人生の道具の一つとして、取得されたらよいのではないですか? その経験、貴方の人生に必ずや活きると思いますが・・・。

あえて、自分で人生を狭める必要はないと思います。また、社労士を取得したからといって、それが人生の全てでもありません。もし、ご自分で意味がないと思われるなら、違う道を探される方がいいと思います。

 

今回、いろいろ書かせていただいたことが参考になるかどうかわかりませんが、少しでもお役に立つことができれば幸いです。

末筆になりますが、今後のご成功を心よりお祈りいたしております。




 



この記事へのコメント

1. Posted by の   2021年09月07日 02:52
5 ネットを徘徊してたどり着いた、一応社労士受験生です。
私は本来の専門も別にありますので、開業や社労士としての勤務は考えておらず、単に労働や社会保障などの勉強をして、それを仕事に役立てよう(ついでに資格も取っておこう)という動機です。先生(この記事を書かれたのは講師の先生でしょうか?)のおっしゃるとおり、弁護士でさえ、その資格だけで「食える」ことはないし、そもそも一度大学を出た程度の知識で定年まで逃げ切れる時代はとっくに終わっていると思います。そして本当におっしゃるとおり、弁護士であれ社労士であれ、他の分野を一度やった上で、資格を取ることが強みになるのだと思います。また、お金になるか、経済的にペイするかは別として、多くの会社に社労士の資格者や受験生が生まれ、社労士レベルの知識を持った人が身近になっていくことで、労使の関係も健全なものになっていくと思います。
資格試験予備校の先生のお立場からは、資格を取ることの魅力を前面に出せば良いのかもしれませんが、この記事を拝見して、誠実なアドバイスだなぁと感じました。
私は上記の事情から、予備校に通うことまでは考えていないので(ごめんなさい)、本当に通りすがりですみません。
2. Posted by 管理人   2021年09月12日 18:59
のさん、コメントいただきありがとうございます。
このところ、少々、忙しかったので、返信するのが遅くなりました。

通りすがりとのことですが、コメントいただき、ありがたく存じます。
実は、佐藤塾のパンフレットの表紙には、小さな文字で一番目立たない場所に次の文言を入れています。
「資格は自分の人生に立ち向かうために、1歩を踏み出した人への贈物」

とても好きな言葉で、電車の中刷りのような佐藤塾のパンフレットの表紙の中に毎回、ひそかに忍び込ませています。
この言葉の延長線上に、あの回答の内容があるように思っています。

今後ともよろしくお願いします。

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