2025年01月22日
職業能力開発
【令和5年度能力開発基本調査】
(8)労働者の主体的なキャリア形成に向けた取組について【事業所調査】
労働者の主体的なキャリア形成に向けて実施した取組は、「上司による定期的な面談の実施(1on1ミーティング等)」が65.8%と最も高く、「職務の遂行に必要なスキル・知識等に関する情報提供」(52.7%)、「自己啓発に対する支援」(45.8%)と続いている。
(9)技能の継承について【事業所調査】
技能継承の取組を行っている事業所の割合は、総数で85.1%となっている。
企業規模別にみると、「300~999人」(92.7%)で最も高く、最も低い「30~49人」(80.9%)でも8割を超えている。
<ポイント>
・技能承継の取組みは、企業規模にかかわらず企業にとっても重要な課題であることがわかります。
・技能継承の取組を行っている事業所の割合を企業規模別にみると、「300人~999人」の企業が最も高く、最も低いのが「30人~49人」(能力開発基本調査は「30人以上の常用労働者を雇用する企業」が対象なので、この調査の中では一番小さい規模の企業になります。)とあるのは違和感があるかもしれません。ここでは、いずれの企業も8割を超えているとする箇所が最も重要ですが、「1000人以上」(能力開発基本調査では、一番規模が大きい。)を大企業とすると、「300人~999人」の企業は準大手クラスの企業となりますが、このクラスになると、技能は企業機密である場合も多いので、多くの人に技能を承継することができません。一定の信頼ある人物のみ技能承継させるとなると、一番、技能承継の取組みに頭を悩ませていることがうかがえます。逆に「30~49人」のクラスになると、技術流出よりも、人手不足で技能承継の取組みが重要視されていますので、相対的に低くなっていると考えたらいいかもしれません。
技能継承の取組の内容の内訳をみると、「中途採用を増やしている」(55.7%)が最多となっており、次いで「退職者の中から必要な者を選抜して雇用延長、嘱託による再雇用を行い、指導者として活用している」(48.9%)、「新規学卒者の採用を増やしている」(33.1%)と続いている。
<ポイント>
・以前、「退職者の再雇用」が一番多かったのですが、「中途採用」が多くなったということは、退職者だけでは対応しきれなくなっていることが読み取れます。本来であれば、退職者への依頼が一番、手っ取り早い取組みですから、それが難しくなってきていると思われます。
次回もがんばりましょう。