2023年12月17日
82問目は、択一式の労災保険法です。
正答率39%の問題です。
※ついに正答率が4割を割りました。
※難問です。
<問題( 択一式 労災 問7 )>
〔問 7〕 新卒で甲会社に正社員として入社した労働者Pは、入社1年目の終了時に、脳血管疾患を発症しその日のうちに死亡した。Pは死亡前の1年間、毎週月曜から金曜に1日8時間甲会社で働くと同時に、学生時代からパートタイム労働者として勤務していた乙会社との労働契約も継続し、日曜に乙会社で働いていた。また、死亡6か月前から4か月前は丙会社において、死亡3か月前から死亡時までは丁会社において、それぞれ3か月の期間の定めのある労働契約でパートタイム労働者として、毎週月曜から金曜まで甲会社の勤務を終えた後に働いていた。Pの遺族は、Pの死亡は業務災害又は複数業務要因災害によるものであるとして所轄労働基準監督署長に対し遺族補償給付又は複数事業労働者遺族給付の支給を求めた。当該署長は、甲会社の労働時間のみでは業務上の過重負荷があったとはいえず、Pの死亡は業務災害によるものとは認められず、また甲会社と乙会社の労働時間を合計しても業務上の過重負荷があったとはいえないが、甲会社と丙会社・丁会社の労働時間を合計した場合には業務上の過重負荷があったと評価でき、個体側要因や業務以外の過重負荷により発症したとはいえないことから、Pの死亡は複数業務要因災害によるものと認められると判断した。Pの遺族への複数事業労働者遺族給付を行う場合における給付基礎日額の算定に当たって基礎とする額に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 甲会社につき算定した給付基礎日額である。
B 甲会社・乙会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。
C 甲会社・丁会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。
D 甲会社・丙会社・丁会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。
E 甲会社・乙会社・丁会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。
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step1 正解は・・・
E
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step2 解説
(令2.8.21基発0821第2号) 複数事業労働者の給付基礎日額は、当該複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額を基礎として算定されるが、給付基礎日額の原則的な算定期間は、算定事由発生日以前3か月間である。設問の場合、労働者Pは、「脳血管疾患を発症しその日のうちに死亡した」とあるので、脳血管疾患を発症した日(診断が確定した日)が算定事由発生日となり、当該日に甲会社・乙会社・丁会社で使用されているため、当該日以前3か月間を算定期間として、「甲会社・乙会社・丁会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額」により複数事業労働者遺族給付の額が算定される。丙会社で就業していたのは死亡6か月前から4か月前であるため、算定の対象とならない。
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step3 コメント
・択一式の労災保険法の問7は、複数事業労働者に係る給付基礎日額の算定についての事例問題でした。このような事例問題の場合には、頭の中だけで考えると混乱する可能性が出てきますので、余白にメモ書きをするなどして、落ち着いて解答するように心がけましょう。
次回もがんばりましょう。