2022年12月10日

「ランチタイム・スタディ(2022本試験)」の第73問です。

73問目は、選択式の労働一般常識です。

正答率86&45の問題です。

※選択式労一D=86%、E=45%(Dは正答率がEより高いものの同じカテゴリーですので、Eの正答率に合わせここで掲載しています。)



<問題( 選択式 労一 DE )>

最高裁判所は、期間を定めて雇用される臨時員(上告人)の労働契約期間満了により、使用者(被上告人)が行った雇止めが問題となった事件において、次のように判示した。

「(1)上告人は、昭和45年12月1日から同月20日までの期間を定めて被上告人のP工場に雇用され、同月21日以降、期間2か月の本件労働契約が5回更新されて昭和46年10月20日に至つた臨時員である。(2)P工場の臨時員制度は、景気変動に伴う受注の変動に応じて雇用量の調整を図る目的で設けられたものであり、臨時員の採用に当たつては、学科試験とか技能試験とかは行わず、面接において健康状態、経歴、趣味、家族構成などを尋ねるのみで採用を決定するという簡易な方法をとつている。(3)被上告人が昭和45年8月から12月までの間に採用したP工場の臨時員90名のうち、翌46年10月20日まで雇用関係が継続した者は、本工採用者を除けば、上告人を含む14名である。(4)P工場においては、臨時員に対し、例外はあるものの、一般的には前作業的要素の作業、単純な作業、精度がさほど重要視されていない作業に従事させる方針をとつており、上告人も比較的簡易な作業に従事していた。(5)被上告人は、臨時員の契約更新に当たつては、更新期間の約1週間前に本人の意思を確認し、当初作成の労働契約書の「4雇用期間」欄に順次雇用期間を記入し、臨時員の印を押捺せしめていた(もつとも、上告人が属する機械組においては、本人の意思が確認されたときは、給料の受領のために預かつてある印章を庶務係が本人に代わつて押捺していた。)ものであり、上告人と被上告人との間の5回にわたる本件労働契約の更新は、いずれも期間満了の都度新たな契約を締結する旨を合意することによつてされてきたものである。」「P工場の臨時員は、季節的労務や特定物の製作のような臨時的作業のために雇用されるものではなく、その雇用関係はある程度の  D  ものであり、上告人との間においても5回にわたり契約が更新されているのであるから、このような労働者を契約期間満了によつて雇止めにするに当たつては、解雇に関する法理が類推され、解雇であれば解雇権の濫用、信義則違反又は不当労働行為などに該当して解雇無効とされるような事実関係の下に使用者が新契約を締結しなかつたとするならば、期間満了後における使用者と労働者間の法律関係は  E  のと同様の法律関係となるものと解せられる。」



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step1 次の選択肢の中から答を選んでください。


D及びEの選択肢

⑨ 安定性が合意されていた  ⑩ 期間の定めのない労働契約が締結された

⑪ 継続が期待されていた  ⑫ 厳格さが見込まれていた  

⑬ 合理的理由が必要とされていた  ⑭ 採用内定通知がなされた  

⑮ 従前の労働契約が更新された

⑯ 使用者が労働者に従前と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをした




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step3 正解は・・・


D → ⑪ 継続が期待されていた(昭61.12.4最高裁判決日立メディコ事件)

E → ⑮ 従前の労働契約が更新された昭61.12.4最高裁判決日立メディコ事件

   

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step4 コメント


・選択式の労働一般常識のD及びEは、最高裁判決日立メディコ事件からの出題でした。労一の選択式での判例の出題に面食らったという人も多かったに違いありません。令和4年度本試験選択式では、労基、労災、労一で判例の問題が出題されたことにより、問題が長文となり、他にも事例問題などが出題されている関係上、時間がかなり消費してしまうこととなり、焦りが伴うと判断を誤ってしまうことにつながります。今回、労一で判例が出題されたことにより、令和5年度本試験でも出題されることも当然、考えられますので、労働契約法や労働組合法絡みの判例には注意しておきたいところです。



明日もがんばりましょう。



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