2022年12月27日
90問目は、択一式の労災保険法です。
正答率27%の問題です。
<問題( 択一式 労災 問4 )>
〔問〕 業務災害に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア 工場に勤務する労働者が、作業終了後に更衣を済ませ、班長に挨拶して職場を出て、工場の階段を降りる途中に足を踏み外して転落して負傷した場合、業務災害と認められる。
イ 日雇労働者が工事現場での一日の作業を終えて、人員点呼、器具の点検の後、現場責任者から帰所を命じられ、器具の返還と賃金受領のために事業場事務所へと村道を歩き始めた時、交通事故に巻き込まれて負傷した場合、業務災害と認められる。
ウ 海岸道路の開設工事の作業に従事していた労働者が、12時に監督者から昼食休憩の指示を受け、遠く離れた休憩施設ではなく、いつもどおり、作業場のすぐ近くの崖下の日陰の平らな場所で同僚と昼食をとっていた時に、崖を落下してきた岩石により負傷した場合、業務災害と認められる。
エ 仕事で用いるトラックの整備をしていた労働者が、ガソリンの出が悪いため、トラックの下にもぐり、ガソリンタンクのコックを開いてタンクの掃除を行い、その直後に職場の喫煙所でたばこを吸うため、マッチに点火した瞬間、ガソリンのしみこんだ被服に引火し火傷を負った場合、業務災害と認められる。
オ 鉄道事業者の乗客係の労働者が、T駅発N駅行きの列車に乗車し、折り返しのT駅行きの列車に乗車することとなっており、N駅で帰着点呼を受けた後、指定された宿泊所に赴き、数名の同僚と飲酒・雑談ののち就寝し、起床後、宿泊所に食事の設備がないことから、食事をとるために、同所から道路に通じる石段を降りる途中、足を滑らせて転倒し、負傷した場合、業務災害と認められる。
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step1 正解は・・・
E
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step2 解説
ア 〇 (法7条1項1号、昭50.12.25基収1724号)本肢のとおりである。事業場施設内における業務に就くための出勤又は業務を終えた後の退勤で「業務」と接続しているものは、業務行為そのものではないが、業務に通常付随する準備後始末行為と認められる。本件災害に係る退勤は、就業直後の行為であって、業務と接続する行為と認められること、当該災害が労働者の積極的な私的行為又は恣意行為によるものとは認められないこと及び当該災害は、通常発生しうるような災害であることから見て事業主の支配下に伴う危険が現実化した災害であると認められる。したがって、本件については、業務災害として取り扱うこととする。
イ 〇 (法7条1項1号、昭28.11.14基収5088号)本肢のとおりである。本肢の場合、作業終了後に作業用具の返還や賃金受領のため事務所へ戻ることは、被災者の業務に当然付随するものとみるべきであり、線路上を歩行したことの故をもってこれを否定すべき事情もないから、その間に発生した本件死亡は、被災者の業務に起因するものとして業務上と解すべきである。
ウ 〇 (法7条1項1号、昭27.10.13基災収3552号)本肢のとおりである。本件においては、作業場には休憩所及び事務所の設備があるが、事務所は約180メートルはなれており、また休憩所は小高くなっているところにあるため、被災者たちは休憩所まで行くのに歩きにくい坂道(道らしいものはない)を登って行かねばならないため、たいてい現場の日陰になっている崖下等を利用して休憩昼食を行なっていたものである。したがって、業務に伴う危険が現実化して生じたものと認められる。
エ 〇 (法7条1項1号、昭30.5.12基発298号)本肢のとおりである。本肢の場合、喫煙行為自体は私的行為であるものの、火傷は、トラックの整備作業に従事して被服にガソリンがしみ込んでいたために生じたものであり、トラック整備作業による汚染に起因するものであるから業務上の負傷である。
オ 〇 (法7条1項1号、昭41.6.8基災収38号)本肢のとおりである。本件は、折返し列車の待ち時間中に起こった災害であり、業務災害と認められる。
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step3 コメント
・択一式の労災保険法の問4は、業務災害に関する個数問題でした。業務災害と認められるかどうかの問題は、そもそも難しく、しかも個数問題の上に、正解肢が全て正しいというEでしたから、全ての肢の正誤が正しいと判断できた場合のみに正解できるものになり、難易度は相当高くなりました。
明日もがんばりましょう。