2022年11月11日

「ランチタイム・スタディ( 2022本試験)」の第43問です。

43問目は、択一式の労働基準法です。


正答率65%の問題です。



<問題( 択一式 労基 問7 )>

〔問〕 労働基準法に定める労働時間等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 使用者は、労働基準法別表第1第8号(物品の販売、配給、保管若しくは賃貸又は理容の事業)、第10号のうち映画の製作の事業を除くもの(映画の映写、演劇その他興行の事業)、第13号(病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業)及び第14号(旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業)に掲げる事業のうち常時10人未満の労働者を使用するものについては、労働基準法第32条の規定にかかわらず、1週間について48時間、1日について10時間まで労働させることができる。

B 労働基準法第32条の2に定めるいわゆる1か月単位の変形労働時間制を労使協定を締結することにより採用する場合、当該労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出ないときは1か月単位の変形労働時間制の効力が発生しない。

C 医療法人と医師との間の雇用契約において労働基準法第37条に定める時間外労働等に対する割増賃金を年俸に含める旨の合意がされていた場合、「本件合意は、上告人の医師としての業務の特質に照らして合理性があり、上告人が労務の提供について自らの裁量で律することができたことや上告人の給与額が相当高額であったこと等からも、労働者としての保護に欠けるおそれはないから、上告人の当該年俸のうち時間外労働等に対する割増賃金に当たる部分が明らかにされておらず、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができないからといって不都合はなく、当該年俸の支払により、時間外労働等に対する割増賃金が支払われたということができる」とするのが、最高裁判所の判例である。

D 労働基準法第37条第3項に基づくいわゆる代替休暇を与えることができる期間は、同法第33条又は同法第36条第1項の規定によって延長して労働させた時間が1か月について60時間を超えた当該1か月の末日の翌日から2か月以内の範囲内で、労使協定で定めた期間とされている。

E 年次有給休暇の権利は、「労基法39条1、2項の要件が充足されることによつて法律上当然に労働者に生ずる権利ということはできず、労働者の請求をまつて始めて生ずるものと解すべき」であり、「年次〔有給〕休暇の成立要件として、労働者による『休暇の請求』や、これに対する使用者の『承認』を要する」とするのが、最高裁判所の判例である。



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step1 正解は・・・



D


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step2 解説

× (法40条、則25条の2第1項)本肢の労働時間の特例に係る事業においては、1週間について「44時間」、1日について「8時間」まで労働させることができる。

× (法32条の2、コンメンタール)いわゆる1か月単位の変形労働時間制については、労使協定を届け出ていなくとも「効力は発生する」。ただし、法32条の2第2項(労使協定の届出)違反として罰則の対象になる。

× (平29.7.7最高裁判決医療法人康心会事件)「事実関係等によれば、上告人と被上告人との間においては、本件時間外規程に基づき支払われるもの以外の時間外労働等に対する割増賃金を年俸に含める旨の本件合意がされていたものの、このうち時間外労働等に対する割増賃金に当たる部分は明らかにされていなかったというのである。そうすると、本件合意によっては、上告人に支払われた賃金のうち時間外労働等に対する割増賃金として支払われた金額を確定することすらできないのであり、上告人に支払われた年俸について、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することはできない。したがって、被上告人の上告人に対する年俸の支払により、上告人の時間外労働及び深夜労働に対する割増賃金が支払われたということはできない」とするのが、最高裁判所の判例である。

(法37条3項)本肢のとおりである。なお、代替休暇の単位は、1日又は半日とされており、労使協定では、その一方又は両方を代替休暇の単位として定める必要がある。

× (法39条5項、昭48.3.2最高裁判決白石営林署事件)「年次有給休暇の権利は、労働基準法に定める要件の充足により法律上当然に労働者に生じ、その具体的行使である休暇の時季指定の効果は、使用者の適法な時季変更権の行使を解除条件として成立し、労働者による休暇の請求や、これに対する使用者の承認の観念を容れる余地はなく、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である」とするのが、最高裁判所の判例である。



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step3 コメント

・択一式の労働基準法の問7は、労働時間等に関する問題でした。CやEの判例からの出題もあり、Aを含めて長文であるため、問題文を読みこなすのに時間がかかりやっかいな面はありますが、CやEの判例は十分、学習してきた内容ですからあまり間違いようが無く、Aは数字の誤りであるため、正解にたどり着くことはそれほど困難ではなかったように思われます。



明日もがんばりましょう。




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