2021年10月09日
9問目は、択一式の労働基準法です。
正答率86%の問題です。
<問題( 択一式 労基 問4 )>
〔問〕 労働基準法第26条(以下本問において「本条」という。)に定める休業手当に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 本条は、債権者の責に帰すべき事由によって債務を履行することができない場合、債務者は反対給付を受ける権利を失わないとする民法の一般原則では労働者の生活保障について不十分である事実にかんがみ、強行法規で平均賃金の100分の60までを保障しようとする趣旨の規定であるが、賃金債権を全額確保しうる民法の規定を排除する点において、労働者にとって不利なものになっている。
B 使用者が本条によって休業手当を支払わなければならないのは、使用者の責に帰すべき事由によって休業した日から休業した最終の日までであり、その期間における労働基準法第35条の休日及び労働協約、就業規則又は労働契約によって定められた同法第35条によらない休日を含むものと解されている。
C 就業規則で「会社の業務の都合によって必要と認めたときは本人を休職扱いとすることがある」と規定し、更に当該休職者に対しその休職期間中の賃金は月額の2分の1を支給する旨規定することは違法ではないので、その規定に従って賃金を支給する限りにおいては、使用者に本条の休業手当の支払義務は生じない。
D 親会社からのみ資材資金の供給を受けて事業を営む下請工場において、現下の経済情勢から親会社自体が経営難のため資材資金の獲得に支障を来し、下請工場が所要の供給を受けることができず、しかも他よりの獲得もできないため休業した場合、その事由は本条の「使用者の責に帰すべき事由」とはならない。
E 新規学卒者のいわゆる採用内定について、就労の始期が確定し、一定の事由による解約権を留保した労働契約が成立したとみられる場合、企業の都合によって就業の始期を繰り下げる、いわゆる自宅待機の措置をとるときは、その繰り下げられた期間について、本条に定める休業手当を支給すべきものと解されている。
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step1 正解は・・・
E
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step2 解説
A × (法26条、昭22.12.15基発502号)法26条は、民法の一般原則が労働者の最低生活保障について不十分である事実に鑑み、強行法規で平均賃金の100分の60までを保証せんとする趣旨の規定であって、民法536条2項の規定(賃金債権を全額確保し得る規定)を排除するものではないから、民法の規定に比して「不利ではない」。
B × (法26条、昭24.3.22基収4077号)本肢の場合は、休日は「含まない」。休業期間中に労働協約、就業規則又は労働契約により休日と定められている日がある場合、その休日については、休業手当を支給する義務は生じない。
C × (法26条、昭23.7.12基発1031号)就業規則に本肢のような規則を定めると否とにかかわらず、使用者の責に帰すべき事由による休業に対しては、休業手当を支払わなければならない。したがって、「会社の業務の都合」が使用者の責に帰すべき事由による休業に該当する場合において、賃金規則に休業手当に満たない額の賃金を支給することを規定しても無効である。
D × (法26条、昭23.6.11基収1998号)親工場の経営難から下請工場が資材・資金の獲得ができず休業した場合は、使用者の責に帰すべき事由による休業に「該当する」。
E 〇 (法26条、昭63.3.14基発150号)本肢のとおりである。新規学卒採用内定者の自宅待機は、使用者の責に帰すべき事由に該当する。
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step3 コメント
・択一式の労働基準法の問4は、休業手当からの出題でした。正解肢のEの新規学卒採用内定者の自宅待機は、最近の新型コロナウィルス感染症対策によりあり得ることであり、関心の高い箇所からの出題といえます。
明日もがんばりましょう。