2021年04月30日
「ランチタイム・スタディ2021統計数値」の95日目は、「平成30年就労条件総合調査結果の概況」から「退職給付(一時金・年金)制度」の調査記載内容です。
退職給付(一時金・年金)制度
【平成30年就労条件総合調査結果の概況】
(1)退職給付(一時金・年金)制度の有無及び形態
退職給付(一時金・年金)制度がある企業数割合は、80.5%で、企業規模別にみると、規模が大きいほど制度がある企業数割合が高くなっている。
これを産業別にみると、複合サービス事業が96.1%と最も高く、次いで鉱業,採石業,砂利採取業(92.3%)、電気・ガス・熱供給・水道業(92.2%)となっている。
退職給付(一時金・年金)制度がある企業について、制度の形態別にみると、「退職一時金制度のみ」が73.3%、「退職年金制度のみ」が8.6%、「両制度併用」が18.1%となっている。
<ポイント>
・退職一時金制度は、退職金を一括で受け取ることです。これに対して、退職年金制度は、年金形式で退職金を受け取ります。これとは他に「前払い制」もありますが、通常、退職給付制度という場合には、退職年金制度と退職一時金制度のことを指します。
・退職年金制度というのは、退職金をある一定の期間に分別して支給する制度を指しており、企業側にとっては「一度に多額の出費が出ない」という利点がありますが、その分、退職者といつまでもつながりを持たないといけないことにもなります。
・退職給付(一時金・年金)制度がある企業割合は約8割で、そのうち、「退職一時金制度のみ」が約7割です。
・企業としては、退職年金制度のように、退職金を退職してから何年もにかけて支払うより、一時金により、退職時に支払ってしまった方が楽です。したがって、「退職一時金制度のみ」が最も多く、退職年金制度を活用する場合には、「両制度併用」が次にきて、「年金制度のみ」は1桁台の企業しか、活用していません。ここでは、「退職一時金制度のみ」が約7割であることと、この3つの順番を押さえておきましょう。
(2)支払準備形態
① 退職一時金制度がある企業について、支払準備形態(複数回答)別の企業割合をみると、「社内準備」が57.0%、「中小企業退職金共済制度」が44.0%、「特定退職金共済制度」が11.5%となっている。
② 退職年金制度がある企業について、支払準備形態(複数回答)別の企業割合をみると、「厚生年金基金(上乗せ給付)」が20.0%、「確定給付企業年金(CBPを含む)」が43.3%、「確定拠出年金(企業型)」が47.6%となっている。
<ポイント>
・「社内準備」>「中小企業退職金共済制度」>「特定退職金共済制度」です。中でも、共済制度等を使わず、自力で退職金を準備する「社内準備」が半数を超えます。
・CBPとは、「キャッシュバランスプラン」のことで、確定給付企業年金法において認められた「確定給付型」と「確定拠出型」の両方の特徴を併せ持つ企業年金です。個人ごとの勘定で仮想的に管理され、将来の給付額が市場金利等に連動する仕組みで、 退職給付会計上の退職給付債務や費用の増加が抑制されるため、メリットが大きいとされています。平成14年4月より開始された新しい制度ですが、制度上は確定給付企業年金に分類されています。
明日もがんばりましょう。
