2021年01月21日

「ランチタイム・スタディ 2021統計数値」の13日目は、「令和2年就労条件総合調査結果の概況」から「諸手当」の推定予想問題です。


<推定予想問題(諸手当)>

〔問〕 諸手当に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、本問は、「令和2年就労条件総合調査結果の概況」を参照しており、当該調査による用語及び統計等を利用している。

A 令和元年11月分の常用労働者1人平均所定内賃金は319.7千円となっており、そのうち諸手当は79.6千円、所定内賃金に占める諸手当の割合は24.9%となっている。

B 所定内賃金に占める諸手当の割合を企業規模別にみると、規模が大きいほど高くなっている。

C 令和元年11月分の諸手当を支給した企業割合を諸手当の種類別(複数回答)にみると、 「通勤手当など」が最も高く、次いで「役付手当など」、「家族手当、扶養手当、育児支援手当など」の順となっている。

D 企業規模別にみると、「特殊作業手当など」、「特殊勤務手当など」、「地域手当、勤務地手当など」、「住宅手当など」、「単身赴任手当、別居手当など」、「調整手当など」、及び「精皆勤手当、出勤手当など」は、規模が大きいほど支給企業割合が高く「役付手当など」は規模が小さいほど支給企業割合が高い。

E 令和元年11月分として支給された労働者1人平均の諸手当の支給額を諸手当の種類別にみると、「役付手当など」が最も高く、次いで「単身赴任手当、別居手当など」、「業績手当など」の順となっている。




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step1 正解は・・・



C



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step2 解説

A ☓ (令和2年就労条件総合調査結果の概況) 令和元年11月分の常用労働者1人平均所定内賃金は319.7千円となっており、そのうち諸手当は「47.5千円」、所定内賃金に占める諸手当の割合は「14.9%」となっている。

B ☓ (令和2年就労条件総合調査結果の概況) 所定内賃金に占める諸手当の割合を企業規模別にみると、規模が「小さい」ほど高くなっている。

C 〇 (令和2年就労条件総合調査結果の概況) 本肢のとおりである。


D ☓ (令和2年就労条件総合調査結果の概況) 「精皆勤手当、出勤手当など」は、規模が小さいほど支給企業割合が高い。

E ☓ (令和2年就労条件総合調査結果の概況) 令和元年11月分として支給された労働者1人平均の諸手当の支給額を諸手当の種類別にみると、「業績手当など」が52.2千円で最も高く、次いで「単身赴任手当、別居手当など」47.6千円、「役付手当など」41.6千円となっている。



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step3 コメント


・「令和2年就労条件総合調査結果の概況」から「諸手当」の択一式問題です。この「諸手当」の調査項目に関して注目されることとしては、「同一労働同一賃金ガイドライン」(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針)が出されたことです。これにより、正社員と非正規雇用労働者(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)との間で、業務や仕事量等の勤務状況に差がない場合、同等の賃金、手当を支払わなければなりません。このところの最高裁判例では、各手当ごとに支払の有無が合理的か不合理に当たるかが争われていて、たとえば、これまで正社員だけにしか支払わなかった「精皆勤手当」があれば、非正規雇用労働者にも支払うようにしなければならなくなっています。このガイドラインは大企業では令和2年4月から、中小企業では令和3年4月から適用され、賃金だけでなく、「教育訓練」や「福利厚生」も対象になります。諸手当の前回調査は、平成27年であり5年前のことになりますが、今回、あえてこの項目を取り上げたのも、働き方改革に伴う賃金の支給状況を知るうえで意味があるからだと思われます。したがって、ここは、各種調査の中でも極めて重要な箇所であるといえます。

・会社から支給される手当には、時間外労働手当、通勤手当、家族手当、住宅手当など様々ありますが、実は手当は「法律上、支給しなければならない手当」と「会社が任意で決める手当」の2種類に分けられます。就労条件総合調査では、「所定内賃金」に占める「諸手当」とその種類、額等を調査していますので、時間外労働手当、深夜労働手当、休日出勤手当などの「法律上、支給しなければならない手当」(=割増賃金)は、対象外であり、本調査には含まれていません。

・諸手当の項目の中で、最重要なのがAとBになります。すなわち、所定内賃金に占める諸手当の割合は「約15%」であり、規模が「小さい」ほど高くなっているところです。基本給を高くできない小企業にとって、賃金を手当で補う形を取っているわけです。

・本問のC~Eは、C:諸手当の中で企業が多く取り入れている手当の種類の順、D:その企業規模別傾向、E:額が多い手当の順、を問うています。

・Cの諸手当の中で企業が多く取り入れている手当の種類の順としては、ほぼ社員全員に支払っているであろう 「通勤手当など」が最も多くなることは頷けます。次いで、たとえば、係長に昇格したら手当として2万円、課長に昇格したら手当として5万円支払うなどの「役付手当など」がきます。3番目にくるのが、家族の扶養に係る「家族手当、扶養手当、育児支援手当など」になります。このあたりは、みなさんの勤務する会社の手当をイメージして覚えてしまいましょう。

・Dの企業が多く取り入れている手当の種類の順の企業規模別傾向ですが、規模が小さい企業ほど、社員の遅刻や欠勤が多くなる傾向がありますので、「精皆勤手当、出勤手当など」を取り入れる企業が高くなる傾向にあります。それと、「役付手当など」については、前回調査では、規模で大きな差が見られなかったものが、今回は規模が小さいほど支給企業割合が高い方に加わったので、この2つを押さえておきましょう。

・Eの額が多い手当の順としては、売り上げを伸ばしたい企業にとって、やはり「業績手当など」が一番になります。単に、業績手当といっても、個人に対して支給するものもあれば、部門やグループに対して行うものもありますが、ここでは実際に支払われている社員のみを対象に、実際に支払われている額の1人当たりに換算した額が掲載されています。業績に寄与したともなれば、それなりの額が出せますし、少額だと「馬の鼻先ににんじんをぶら下げる」効果が薄くなってしまいますから、一番にくるものと認識してください。額としては「約5万円」であり、この金額は実際に支払われている社員の「業績手当など」の額の平均です。(要するに、「業績を達成できた者には5万円を支給する」という規定があっても、実際に支払われている社員が1人もいなければゼロ円となり、対象となる人が100人いるのに、実際に支払われている社員が2人いて、それぞれ5万円ずつ支払われていた場合には5万円となります。)

・諸手当の問題は、試験委員にとって作問しやすい箇所でもあります。それに、企業の賃金実態を受験生が正しく理解できているかの試金石ともいえる問題にもなりますので、択一式の1肢、場合によっては選択式の1肢に出題されてもおかしくありません。確実に押さえてしまってください。

・実務としては、会社により労働者の勤務状況は異なりますし、同じ会社でも職種や就労する場所、勤務時間等に応じて労働条件が異なることになりますから、そこで働く労働者の実情にあった釣り合いのとれた手当を支給することが企業には求められています。したがって、諸手当に関しては、中小企業に対する就業規則や賃金体系等のアドバイスにおいて、社労士の腕の見せ所にもなるところであるといえます。みなさんが将来、活躍できるところであると思って、がんばって覚えてしまいましょう。


明日もがんばりましょう。



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