2020年04月12日

「「令和元年版労働経済白書」一読」の8回目は、「我が国を取り巻く人手不足等の現状 ④人手不足等が企業経営や職場環境に与える影響」のまとめの文章です。



我が国を取り巻く人手不足等の現状

人手不足等が企業経営や職場環境に与える影響

人手不足は企業経営や職場環境に大きな影響を与えている。

人手不足が会社経営に影響を与えていると感じている企業は全体の7割を超えており、多くは経営にとって「悪い」影響である。

特に、地方圏の相対的に企業規模の小さな企業では、人手不足により、事業所の閉鎖、営業時間の短縮化、サービスの提供削減等といった既存事業の縮小を強いられているほか、後継者の確保や育成が追いついていないため、技術やノウハウが十分に伝承されておらず、こうした影響が、自社の経営に影響を及ぼしている可能性がある。

次に職場環境に与える影響について、人手不足による影響を感じるという回答割合をみると、労使ともに高い水準にあるが、労働者の方が企業よりも影響を感じる割合が高く、労使間で認識に差異が生じている。

具体的な影響をみると、労使ともに「残業時間の増加、休暇取得数の減少」「離職者の増加」を多く挙げているが、「従業員の働きがいや意欲の低下」「メンタルヘルスの悪化などによる休職者の増加」では労使間のギャップが大きく、企業が感じる以上に労働者が人手不足による影響を感じている。

なお、こうした影響は職種によって異なるが、非定型的業務に従事する者は、労働時間・日数の増加等といった影響を、定型的業務に従事する者は、働きがいや意欲の低下等といった影響を受けやすい傾向にある。

最後に3年先を見据えた際の人手不足感をみると、引き続き、正社員の人手不足感が高い見込みであり、特に「医療・福祉」「宿泊業・飲食サービス業」等といった、人材確保が厳しい状況にあると思われる産業を中心に、一層高まる可能性が示唆される。




第9回へ続く



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