2020年04月12日

「「令和元年版労働経済白書」一読」の7回目は、「我が国を取り巻く人手不足等の現状 ③我が国における人手不足解消に向けた企業の取組状況」のまとめの文章です。



我が国を取り巻く人手不足等の現状

我が国における人手不足解消に向けた企業の取組状況

過去3年間に人手不足を緩和するための対策に取り組んできた企業
は、全体の8割を超えており、多くの企業にとって喫緊の課題となっていることが分かる。

具体的な取組内容をみると、「求人募集時の賃金を引き上げる」「中途採用を強化する」といった外部労働市場から人材を確保する「外部調達」、「現従業員の配置転換」「定年の延長・再雇用による雇用継続」「現従業員の追加就労」のように、企業内でマンパワーを確保する「内部調達」などに取り組んでいる企業が多い一方、「省力化・合理化投資」「離職率の低下改善に向けた雇用管理の改善」「従業員への働きがいの付与」といった人材の調達以外の方法で人手不足の緩和を目指す「業務の見直し等」に取り組む企業は相対的に少ない

「外部調達」について考察するため、求人を募集した際の状況をみると、「募集しても応募がない」企業が最も多く、特に「地方圏」でその傾向が強い

また、人手が不足していると感じる理由をみると、「新規の人材獲得が困難になっている」を挙げる企業が最も多く、多くの企業が新規人材の確保に関して厳しい状況に直面していることが明らかになった。

このような中、採用対象を拡大してきた企業の拡大対象をみると、人手が適当になっている企業では、人手不足企業と比較して、「55歳以上」の正社員の採用拡大に積極的に取り組んできており、こうした違いが現在の人手の過不足状況に影響を与えている可能性がある。

「内部調達」について考察するため、労働者の就業時間の増減希望をみると、家計の主な担い手となっている者が多いと思われる「男性」「15~54歳」の非正規雇用労働者を中心に、就業時間の増加を希望する者が存在する一方で、人手不足感が相対的に高まっている正規雇用労働者では、週就業時間が60~64時間の長時間労働者だけでなく、週就業時間が43~45時間の労働者においても、就業時間の減少を希望する者が多い傾向にある。

このことから、企業における内部調達による人材供給の余力は、それほど大きくない可能性が示唆される。

「業務の見直し等」について「業務プロセスの見直しによる効率化の強化」に取り組んできた企業「情報通信業」「学術研究,専門・技術サービス業」「製造業」等で相対的に多い

具体的には「不要業務・重複業務の削減」「業務の標準化」等に取り組む企業が多く、人手不足感が相対的に高まっている製造業を中心に労働生産性の向上や人手不足の解消に効果のあった企業が多い

「省力化・合理化投資」に取り組む企業についても同様の傾向が認められる。

以上のように、外部調達や内部調達が厳しい状況にあって、業務プロセスの見直し、離職率の低下改善に向けた雇用管理の改善、従業員への働きがいの付与などの人材の調達以外の人手不足の緩和策を導入する動がみられ、これらの取組は人材不足の解消や労働生産性の向上、離職率の改善に一定の効果のあることが見込まれるものの、相対的に実施率が少ない傾向にあり、まだ十分に浸透していないことが示唆される。



第8回へ続く



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