2020年04月11日
我が国を取り巻く人手不足等の現状
① 我が国を取り巻く人手不足等の現状
我が国の人手不足をめぐる状況について、まず、企業の所感を通じた人手不足等の現状をみると、2013年に過剰感から不足感に転じた後、人手不足感は趨勢的に高まっており、足下では1990年代初頭のバブル期に次ぐ水準の高さとなっている。
企業規模別では中小企業で、産業別では非製造業で人手不足感の水準が特に強い状況にあるほか、人手不足感の高まりに着目すると、製造業においてとりわけ強くなっている。
また、雇用形態別に人手不足感を概観すると、パートタイム等よりも正社員に対して人手不足感が高まっており、当該人手不足感は、相対的に従業員規模300人未満の中小企業において、また、業種としては「製造業」「建設業」などにおいて高まっている。
続いて、地域別に人手不足感を概観すると、正社員については、大企業では2016年以降、中小企業では2014年以降、地方圏の正社員に対する人手不足感D.Iの水準が、三大都市圏を上回って推移している傾向が確認され、三大都市圏の人手不足感の方が強かった2002から2008年までの景気拡大局面とは異なる特徴を示している。
非正社員については、大企業では、三大都市圏と地方圏で人手不足感D.Iの水準に大きな違いはみられないが、中小企業では、2013年以降、小規模企業では2011年以降、地方圏において相対的に人手不足感が高まっている。
なお、企業における人材のニーズをスキル別にみると、「現場の技能労働者」のニーズが最も高く、次いで、「研究開発等を支える高度人材」等が高い状況にあるが、産業別にみれば、そのニーズは多様な状況にある。
また、人手不足感が相対的に高まっている地方圏では、特に、M&Aのための専門人材に対する人手不足感が高まっており、経営者の高齢化に伴い、事業継承の課題が顕在化し、M&Aに対するニーズが高まっている可能性が示唆される。
最後に、働く方の所感をみると、企業だけでなく、働く方にとっても人手不足感は高い水準にある中、職場のマネジメントを担う管理職では働く方全体と比べて人手不足を感じる割合が高く、危機感が強い可能性が考えられる。
第6回へ続く