2020年02月12日

先日のブログで、「社会保険科目の学習は丹念に」を掲載しましたが、実は、労働科目で差が付かないのは、もうひとつ、理由があります。

次の表をご覧ください。

社労士本試験組合せ問題・個数問題の推移


この表は、2010年から2019年の本試験択一式の「平均点」、「合格ライン」、「ページ数」、「組合せ問題」、「個数問題」の推移を表にまとめたものです。

平均点は、開示された2015年から、表示しています。
組合せ問題が最初に出題された年は2012年であり、個数問題が最初に出題された年は2014年です。

個数問題に関しては、科目別に表示しています。
これをみると、過去に出題された問題数の合計は、労基は3問、安衛は1問、労災は7問で最多、雇用と徴収は共に5問、労一は過去に1回だけですが、社会保険の方になると、社一、健保での個数問題の出題は過去になく、厚年が3問、国年が2問となっています。

すなわち、個数問題は、圧倒的に労働科目で多いことがわかります。
(特に、労災・雇用・徴収)

これが何を意味しているかというと、個数問題の場合、ア~オのすべての肢の正誤が判断できないと正解できないため、正答率が低くなり、すなわち難問化するわけです。

難問化した場合、誰もが苦戦(特に合格できる実力の持ち主が苦戦)するため、合否の差が付きにくくなります。

では、組合せ問題はどうかというと、たとえば、誤り探しの通常の5肢択一の問題と、誤りが2つある組合せ問題を考えた場合の比較をしてみましょう。

次の設定で考えてみてください。(〇は正しい、✕は誤り)
①誤り探しの通常の5肢択一の問題 A✕、B〇、C〇、D〇、E〇
②誤り2つを探す組合せ問題 ア✕、イ✕、ウ〇、エ〇、オ〇
  選択肢:Aアとイ、Bアとウ、Cイとエ、Dウとオ、Eエとオ

この状態で、どれかひとつの肢だけ、確実に正誤がわかったとしましょう。
(ただし、他の肢の正誤判断はできなかったとします。)

<1>
①の5肢択一の問題でAの誤りがわかれば、他の選択肢の正誤がわからなくても、それだけで正解となります。
ところが、②の組合せ問題の場合には、アが誤りだと判断できても、AかBの2択までには追い込めますが、この場合、正解できる可能性は50%となります。

<2>
また、①の5肢択一の問題でEが正しいと判断できても、4択になるだけで、正解できる可能性は25%です。
②の組合せ問題の場合に、オが正しいと判断できたら、DとEを消去できますから、3択になり、正解できる可能性は33%です。

まず、5肢択一の問題のケースを考えてみましょう。
<1>のように、①の5肢択一の問題でAの誤りがわかれば、正解率は100%ですが、<2>のように、B~Eの中でどれかひとつだけが正しいと判断できた場合には、正解率は25%となります。
これを合わせると、100%+25%×4=200%となります。

続いて、組合せ問題のケースを考えてみましょう。
<1>のように、②の組合せ問題のアが誤りだと判断できたら正解率は50%になります。同じく、イが誤りだと判断できた場合にも、正解率は50%になります。
<2>のように、ウ~オの中でどれかひとつだけが正しいと判断できた場合には、正解率は33.3%となります。
これを合わせると、50%×2+33.3%×3=200%となります。

すなわち、5肢択一と組合せ問題の難易度は等しいということになります。


これを個数問題で考えてみましょう。
設定は、次のとおりです。

[問題] アからオの中で正しいものはいくつあるか。
[解答] A 一つ、 B 二つ、 C 三つ、 D 四つ、 E 五つ

<3>
アが正しいと判断でき、イ~オはわからないとしましょう。
この場合、A~Eまでのどの可能性もあり、正解できる確率は20%であり、ひとつの肢の正誤もわからない場合と同じ確率です。
同様に、イ~オの中のどれか一つだけ、正しいと判断できた場合も同じになり、正解できる確率は20%です。

<4>
次にアが誤っていると判断できた場合は、正しいものが五つになることはありませんので、Eが答である可能性が無くなりますので、4択になりますから、正解できる確率は25%になります。
同様に、イ~オののどれか一つだけ、誤っていると判断できた場合も同じになり、正解できる確率は25%です。

したがって、<3>と<4>の確率を合計して、この場合は先ほどの「5肢択一の問題」や「組合せ問題」の場合と比べ、ダブルカウントになっている状況ですから「2」で割ります。
すると、(20%×5+25%×5)÷2=112.5%という数値になります。

正解できる確率を「5肢択一の問題」や「組合せ問題」と比較すると、「112.5%÷200%=0.5625」となり、「5肢択一の問題」や「組合せ問題」の正解率を仮に「1」とすると、「個数問題」の場合、「0.5625」となりますから、正解率は約半分となります。


長々と書いてきましたが、要するに、個数問題が多いと、正解率が低くなる(難易度が高くなる)ので、合否を分ける問題が少なくなる傾向があります。
また、簡単すぎても合否を分ける問題にはなりにくくなりますから、正答率がだいたい40%~65%程度の問題が多いと、学習を積んできた人は正解でき、そうでない人は正解できない問題が多くなるというわけです。

なお、ここに書かれていることを理解しようとしなくて構いません。
試験とは関係ないデータ上のことですから、余談としてとらえてください。



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