2019年12月26日

「ランチタイム・スタディ」の第60問です。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、9月23日の佐藤塾ブログの
『「ランチタイム・スタディ2019本試験」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。

さて、60問目は、択一式の労働基準法です。

正答率51%の問題です。



<問題( 択一式 労基 問1 )>

〔問 1〕 次に示す条件で賃金を支払われてきた労働者について7月20日に、労働基準法第12条に定める平均賃金を算定すべき事由が発生した場合、その平均賃金の計算に関する記述のうち、正しいものはどれか。

【条件】
賃金の構成:基本給、通勤手当、職務手当及び時間外手当
賃金の締切日:基本給、通勤手当及び職務手当については、毎月25日
時間外手当については、毎月15日
賃金の支払日:賃金締切日の月末

A 3月26日から6月25日までを計算期間とする基本給、通勤手当及び職務手当の総額をその期間の暦日数92で除した金額と4月16日から7月15日までを計算期間とする時間外手当の総額をその期間の暦日数91で除した金額を加えた金額が平均賃金になる。

B 4月、5月及び6月に支払われた賃金の総額をその計算期間の暦日数92で除した金額が平均賃金になる。

C 3月26日から6月25日までを計算期間とする基本給及び職務手当の総額をその期間の暦日数92で除した金額と4月16日から7月15日までを計算期間とする時間外手当の総額をその期間の暦日数91で除した金額を加えた金額が平均賃金になる。

D 通勤手当を除いて、4月、5月及び6月に支払われた賃金の総額をその計算期間の暦日数92で除した金額が平均賃金になる。

E 時間外手当を除いて、4月、5月及び6月に支払われた賃金の総額をその計算期間の暦日数92で除した金額が平均賃金になる。




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step1 正解は・・・



A
   


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step2 解説

A  〇  (法12条、昭26.12.27基収5926号) 平均賃金の計算について、算定すべき事由の発生した日以前3箇月間に労働者に対し支払われた賃金の総額を算定するに当たり、賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から起算する。また、賃金ごとに賃金締切日が異なる場合には、直前の賃金締切日は、それぞれ各賃金ごとのその直前の賃金締切日から起算することになる。

B ✕ (法12条、昭26.12.27基収5926号) 本肢では、「基本給、通勤手当及び職務手当」と「時間外手当」について各々賃金締切日が異なるため、それぞれの賃金ごとのその直前の賃金締切日から起算して平均賃金を算定することになる。

C ✕ (法12条4項) 平均賃金の計算における賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び3箇月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものは算入しないとされているが、「通勤手当」は除外されない。

D ✕ (法12条4項) 平均賃金の算定に当たり、「通勤手当」は除外されない。

E ✕ (法12条4項) 平均賃金の算定に当たり、「時間外手当」は除外されない。





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step3 コメント

・択一式の労働基準法の問1は、平均賃金の計算に関する事例問題でした。労基法問1という最初の問題から事例問題がきて、面食らった人も多かったと思いますが、基本事項をしっかり理解していればさほど難なく正解できるものと思われます。
・ここでは、割増賃金の基礎となる賃金を求める場合と混同してしまうとこんがらがってしまいます。平均賃金を求める場合と、割増賃金の基礎となる賃金を求める場合では、計算方法が異なることを理解しておく必要があります。
・平均賃金の計算については、『算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額』を、『その期間の総日数』で除すものとされます。ただし、当該期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算するものとされ、賃金ごとに賃金締切日が異なる場合には、それぞれ各賃金ごとの賃金締切日から起算します。また、算入する賃金には、①臨時に支払われた賃金、②3箇月を超える期間ごとに支払われる賃金、③法令又は労働協約等の定めに基づかない現物給与は算入しないとされていますが、本肢の賃金(基本給、通勤手当、職務手当及び時間外手当)はすべて算入されるものになりますので、正解はAとなります。
・割増賃金の基礎となる賃金を求める場合には、除外される賃金(①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤住宅手当、⑥臨時に支払われた賃金、⑦1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金)がありますが、①~⑥であっても、労働者全員に対し、一律に支給される場合には除外されません。



明日のランチタイム・スタディが年内最後になります。
明日もがんばりましょう。




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