2019年03月10日

「平成30年版労働経済白書」読み解き8を始めます。

「平成30年版労働経済白書」読み解きの主旨については、1月20日の佐藤塾ブログの『
『「平成30年版労働経済白書」読み解き』 開始のお知らせ』をご覧ください。

8.働き方の多様化に応じた人材育成の現状と課題


●キャリアコンサルティングや職業能力評価の導入・実施が大きく進んでいる状況にはない
雇用形態別に「キャリアコンサルティング」を行う仕組みのある事業所割合をみると、2017年においては正社員を対象に行う仕組みのある事業所の割合は38.1%、非正社員を対象に行う仕組みのある事業所の割合は26.6%となっており、以前と比べ進んでいる状況にはない

雇用形態別にキャリアコンサルティングを実施していない理由をみると、正社員・非正社員ともに、「労働者からの希望がない」が最も多く挙げられており、次いで、「労働者がキャリアに関する相談をする時間を確保することが難しい」「相談を受けるための人員を割くことが難しい」が多く挙がっている。

キャリアコンサルティングを実施している事業所における雇用形態別の課題については、正社員・非正社員ともに、「労働者からのキャリアに関する相談件数が少ない」が最も多く挙がっており、次いで、「キャリアに関する相談を行っても、その効果が見えにくい」「労働者がキャリアに関する相談をする時間を確保することが難しい」が挙がっている。

「職業能力評価」を実施する上での課題をみると、「全部門・職種で公平な評価項目の設定が難しい」「評価者が評価基準を把握していないため、評価内容にばらつきが見られる」「評価者の負担が大きい」などが挙がっている。


●多様な人材の能力発揮に向けて課題がある企業では、上長等の育成能力や指導意識を高めること等に、人手不足の企業では、人材育成への投資の果実が得られる環境を整備することが重要
正社員をめぐる人材育成における課題は、全企業では、「従業員の業務が多忙で、人材育成に充てる時間を確保できない」が53.5%と最も多く挙げられており、次いで、「上長等の育成能力や指導意識が不足している」が45.4%、「従業員が能力開発に取り組むため不在にしても、その間、他の人が業務を代替できる体制が構築できていない」が39.5%、「人材育成を受ける従業員側の意欲が低い」が39.1%、「社内で人材育成を積極的に行う雰囲気がない」が30.4%と多く挙げられている。

「人手が適当等である企業」と「人手が不足している企業」を比較し、「人手が不足している企業」において挙げられることの多い課題は、「転職・離職等で人材育成投資の成果が回収できない」が11.4%ポイントと最も挙げられることの多い課題となっており、次いで、「従業員が能力開発に取り組むため不在にしても、その間、他の人が業務を代替できる体制が構築できていない」が10.5%ポイント、「従業員の業務が多忙で、人材育成に充てる時間を確保できない」が8.7%ポイント、「上長等の育成能力や指導意識が不足している」が7.9%ポイント、「人材育成を受ける従業員側の意欲が低い」が7.5%ポイントとなっている。


●限定正社員をめぐる人材育成における課題は正社員と同様
限定正社員をめぐる人材育成における課題は、全企業では、「従業員の業務が多忙で、人材育成に充てる時間を確保できない」が43.3%と最も多く挙げられており、次いで、「上長等の育成能力や指導意識が不足している」が38.3%、「人材育成を受ける従業員側の意欲が低い」が36.1%、「従業員が能力開発に取り組むため不在にしても、その間、他の人が業務を代替できる体制が構築できていない」が31.6%、「社内で人材育成を積極的に行う雰囲気がない」が30.3%と多く挙げられている。順序は異なるものの、上位5つに挙がっている課題については、いわゆる正社員と同様となっている。


●非正社員をめぐる人材育成における課題
非正社員をめぐる人材育成における課題は、全企業では、「人材育成を受ける従業員側の意欲が低い」が36.0%と最も多く挙げられており、次いで、「従業員の業務が多忙で、人材育成に充てる時間を確保できない」が34.1%、「社内で人材育成を積極的に行う雰囲気がない」が33.8%、「上長等の育成能力や指導意識が不足している」が29.3%、「人材育成に係る予算が限定される中で、他の雇用区分と比較し、優先順位が低い」が29.0%と多く挙げられている。




お疲れ様でした。
人材育成は、企業にとっては重要なテーマであるにもかかわらず、十分にできていないのが現状です。
課題や理由は、一番多いものをまずは頭に入れましょう。
後順位のものを一番多いものとして、誤りとするケースがありますので、問題文を読んだ際に、違和感を感じることができればしめたものです。

次回は、この部分の練習問題です。



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