2019年01月24日

「ランチタイム・スタディ」の第76問です。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、9月28日の佐藤塾ブログの『「ランチタイム・スタディ2018本試験」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)をご覧ください。

さて、76問目は、択一式の労働基準法です。

正答率47%&合否を分けた問題です。
※「合否を分けた問題」とは、「合格者だけの正答率」と「全体の正答率(ただし、全体正答率65%未満)」とで、17%以上差が開いた問題で、2018年本試験択一式70問中、全部で11問あります。
※「合否を分けた問題」の最後の問題(「合否を分けた問題」の中で最も難しい問題)です。


<問題( 択一式 労基 問7 )>

〔問〕 労働基準法に定める就業規則等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 同一事業場において、パートタイム労働者について別個の就業規則を作成する場合、就業規則の本則とパートタイム労働者についての就業規則は、それぞれ単独で労働基準法第89条の就業規則となるため、パートタイム労働者に対して同法第90条の意見聴取を行う場合、パートタイム労働者についての就業規則についてのみ行えば足りる。

B 就業規則の記載事項として、労働基準法第89条第1号にあげられている「休暇」には、育児介護休業法による育児休業も含まれるが、育児休業の対象となる労働者の範囲、育児休業取得に必要な手続、休業期間については、育児介護休業法の定めるところにより育児休業を与える旨の定めがあれば記載義務は満たしている。

C 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則に制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項を必ず記載しなければならず、制裁を定めない場合にはその旨を必ず記載しなければならない。

D 労働基準法第91条による減給の制裁に関し平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、制裁事由発生日(行為時)とされている。

E 都道府県労働局長は、法令又は労働協約に抵触する就業規則を定めている使用者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができ、勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。




-------------------------------------------------------------------------------------------------------
step1 正解は・・・



B
  


-------------------------------------------------------------------------------------------------------
step2 解説


A ☓ (法89条、平11.3.31基発168号、昭63.3.14基発150号) 本肢の場合、就業規則の本則とパートタイム労働者についての就業規則を合わせたものが法89条の就業規則となるのであって、「それぞれが単独で同条の就業規則となるものではない」。また、パートタイム労働者に適用される就業規則も当該事業場の就業規則の一部分であるから、その作成又は変更に際しては、当該「事業場全体の」労働者の過半数で組織する労働組合又は過半数を代表する者の意見を聴くこととなる。

B 〇 (法89条、平11.3.31基発168号) 本肢のとおりである。育児休業法においては、育児休業の対象者、申出手続、育児休業期間等が具体的に定められているので、就業規則に育児介護休業法の定めるところにより育児休業を与える旨の定めがあれば記載義務は満たしていると解される。

C ☓ (法89条9号) 制裁の定めは、就業規則の絶対的必要記載事項ではなく、定めをする場合に記載しなければならない相対的必要記載事項であるため、制裁を定めない場合にはその旨を「記載する必要はない」。

D ☓ (法12条、昭30.7.19基収5875号) 本肢の場合の算定事由発生日は、「減給の意思表示が相手方に到達した日」である。

E ☓ (法92条2項、則50条) 本肢の場合には、「行政官庁(所轄労働基準監督署長)は、法令又は労働協約に抵触する就業規則の変更を命ずることができる」とされている。




-------------------------------------------------------------------------------------------------------
step3 コメント

・択一式の労働基準法の問7は、就業規則等に関する問題でした。正解肢であるBの正誤判断が容易ではなかったと思われますので、他の選択肢から消去法で正解を導き出したいところです。本問の肢は、どれもテキストに掲載されていたり、講義で解説している項目ではあるものの、うっかり見落としてしまっていた場合には、おそらくBとその見落としの肢で迷うことになります。そのため、解答は正解肢以外の肢も、万遍なく選ばれている状況です。



明日もがんばりましょう。



コメントする

名前
 
  絵文字