2018年08月01日
「ランチタイム・スタディ白書・統計数値」の27問目は、「厚生労働白書」から「社会保障制度」の問題です。
「ランチタイム・スタディ白書・統計数値」の主旨については、3月5日の佐藤塾ブログの『「ランチタイム・スタディ白書・統計数値」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。
〔問〕 社会保障制度に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問においては「平成26年版及び平成29年版厚生労働白書」を参照している。
A 日本の社会保障制度は社会保険方式を基本とするものであり、現在は、保険料で約6割、公費で約4割が賄われている状況であるが、保険料の負担が困難な低所得者等への公費による支援や、高齢化への対応等のための基礎年金の国庫負担割合の引き上げ等の影響で、近年、公費の負担割合が増加してきている。
B 社会保障の給付・負担のバランスの考え方について、年齢別と所得階級別に見てみる。まず給付面では、全体では現行の社会保障の給付水準の「維持」又は「引上げ」を望む者が4割を超えている。ただし、「引上げ」を求める者は1割程度にとどまっている。また、負担面では、全体では国民の約6割が、何らかの形での負担増をやむを得ないと考えている。年齢別には、それほど大きな違いがあるとはいえないが、若年層より高齢層で、給付水準の維持を望む者や、負担増を容認する者の割合がやや高い傾向が見られる。逆に、若年層は負担の増加に対してより慎重になっているといえる。
C 等価総所得階級別に見ると、まず給付面では、等価所得1,000万円未満で、所得が多いほど現行の給付の「維持」を望む割合が強まる傾向が見られる。また、負担増をやむを得ないと考える者の割合は、等価所得階級が200万円未満では半数程度、200~400万円未満では6割程度、600~800万円未満では7割程度、1,000万円以上では8割近くと、等価所得が高いほど増加する。一方、等価所得階級が低い層では「わからない」とする者の割合が増える傾向にある。
D 雇用保険制度は、失業中の家計収入を下支えする効果に加え、マクロ経済的には個人消費の減少による景気の落ち込みを抑制する効果(スタグフレーション)がある。
E 現役世代の安心という観点から社会保障を考える際、負担や給付の在り方についても考える必要がある。国民の意識を見る限り、若年層ほど社会保障の費用負担の増加に慎重な傾向が見られる中、これまで「世代間」再分配を中心に構築されてきた我が国の社会保障は、今後、人口高齢化に伴い現役世代の負担がますます過重となることが懸念される。これまで一律に「支援される側」として扱われる傾向にあった高齢層の理解も十分に得ながら、年齢にかかわらず、あらゆる世代がその負担能力に応じて公平に負担を分かち合い、同時に恩恵を感じられる「全世代型」社会保障への方向転換を更に進めていく必要がある。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------
step1 正解は・・・
D
-------------------------------------------------------------------------------------------------------
step2 解説
A 〇 (平成26年版厚生労働白書) 本肢のとおりである。
B 〇 (平成29年版厚生労働白書) 本肢のとおりである。
C 〇 (平成29年版厚生労働白書) 本肢のとおりである。
D ☓ (平成29年版厚生労働白書) 雇用保険制度は、失業中の家計収入を下支えする効果に加え、マクロ経済的には個人消費の減少による景気の落ち込みを抑制する効果(スタビライザー機能)がある。
E 〇 (平成29年版厚生労働白書) 本肢のとおりである。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------
step3 コメント
・「厚生労働白書」から、社会保障制度に関する問題です。社会保障や経済に関連するカタカナの用語は、意味を知らないと正誤の判断ができなくなります。テキスト等で用語が出てきた際には、意味も明確に押さえておきましょう。
明日もがんばりましょう。
この記事へのコメント
本件、今週中に対応させていただきます。
猛暑の最中です。
体調に留意して、がんばってください。