2018年01月24日

「ランチタイム・スタディ」の第76問です。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、10月1日の佐藤塾ブログの『「ランチタイム・スタディ2017」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。



さて、76問目は、択一式の労働者災害補償保険法です。

正答率48%の問題です。

※正答率が50%を切っています。


<問題( 択一式 労災 問7)>

〔問〕 労災保険制度に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 労災保険法による保険給付は、同法所定の手続により行政機関が保険給付の決定をすることにより給付の内容が具体的に定まり、受給者は、それ以前においては政府に対し具体的な一定の保険給付請求権を有しないとするのが、最高裁判所の判例の趣旨である。

B 労働基準監督署長の行う労災就学援護費の支給又は不支給の決定は、法を根拠とする優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使とはいえず、被災労働者又はその遺族の権利に直接影響を及ぼす法的効果を有するものではないから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないとするのが、最高裁判所の判例の趣旨である。

C 最高裁判所の判例においては、労災保険法第34条第1項が定める中小事業主の特別加入の制度は、労働者に関し成立している労災保険の保険関係を前提として、当該保険関係上、中小事業主又はその代表者を労働者とみなすことにより、当該中小事業主又はその代表者に対する法の適用を可能とする制度である旨解説している。

D 保険給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない。

E 労働者が、故意に負傷、疾病、障害若しくは死亡又はその直接の原因となった事故を生じさせたときは、政府は、保険給付を行わない。



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step1 正解は・・・


B


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step2 解説

A 〇 (昭29.11.26最高裁第二小法廷労働者災害補償保険金給付請求事件) 本肢のとおりである。労災保険法による保険給付は、同法所定の手続により行政機関が保険給付の決定をすることによって給付の内容が具体的に定まり、受給者は、これによって、始めて政府に対し、その保険給付を請求する具体的権利を取得するのである。したがって、受給者は、行政機関の保険給付の決定以前においては、具体的な一定の保険金給付請求権を有せず、保険給付の支払を請求することはできないものとされている。

B ☓ (平15.9.4最高裁第一小法廷労災就学援護費不支給処分取消請求事件) 労働基準監督署長の行う労災就学援護費の支給又は不支給の決定は、法を根拠とする優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使であり、被災労働者又はその遺族の権利に直接影響を及ぼす法的効果を有するものであるから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるものと解するのが相当である。なお、抗告訴訟とは、行政庁の公権力の行使または不行使から生じた違法状態を除去することを目的としてなされる不服申し立ての訴訟のことをいう。

C 〇 (法34条1項、平9.1.23最高裁第一小法廷姫路労基署長事件) 本肢のとおりである。事業主の特別加入の制度は、労働者に関し成立している労災保険に係る労働保険の保険関係を前提として、当該保険関係上、事業主を労働者とみなすことにより、当該事業主に対する法の適用を可能とする制度である。したがって、当該事業につき当該労働者に関する保険関係が成立していない場合には、中小事業主は特別加入することができない。

D 〇 (法12条の5第1項) 本肢のとおりである。

E 〇 (法12条の2の2第1項) 本肢のとおりである。労災事故発生の直接の原因となった行為が労働者の故意によるものである場合、業務又は通勤との因果関係が成立しないため、保険給付は行われない。



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step3 コメント

・択一式の労働者災害補償保険法の問7は、労災保険制度に関する問題でした。A、B及びCは、最高裁判例からの出題であり、A及びBは難易度が高かったため、問題文の意味がわからなかった方も多かったのではないでしょうか。一度出題された判例の問題は、その判例の意図を明確に押さえておきましょう。



明日もがんばりましょう。




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