2023年01月

2023年01月31日

「ランチタイム・スタディ2023統計数値」の23日目は、「令和3年就労条件総合調査」から「労働費用」の調査記載内容です。


労働費用

【令和3年就労条件総合調査】

(1)労働費用総額

令和2年(平成31(令和元)会計年度)の「労働費用総額」は常用労働者1人1か月平均408,140円となっている。「労働費用総額」に占める「現金給与額」の割合82.0%「現金給与以外の労働費用」の割合18.0%となっている。



<内容の確認>
・「労働費用」とは、使用者が労働者を雇用することによって生じる一切の費用(企業負担分)をいいます。「現金給与額」、「法定福利費」、「法定外福利費」、「現物給与の費用」、「退職給付等の費用」、「教育訓練費」、「募集費」等をいいます。

<ポイント>
・労働費用総額は約40万円で、うち、給与部分である「現金給与額」は約8割で、「現金給与以外」が約2割です。



(2)現金給与以外の労働費用

「現金給与以外の労働費用」73,296円の内訳は、「法定福利費」50,283円(構成割合68.6%)、「退職給付等の費用」15,955円(同21.8%)、「法定外福利費」4,882円(同6.7%)などとなっている。


<内容の確認>
・「法定福利費」とは、法律で義務づけられている社会保障制度の費用(企業負担分)をいい、「健康保険料」、「介護保険料」、「厚生年金保険料」、「労働保険料」、「子ども・子育て拠出金」(平成 27 年までは「児童手当拠出金」)、「障害者雇用納付金」、「法定保障費」等をいいます。

・「法定外福利費」とは、法律で義務付けられていない福利厚生関係の費用で、「住居に関する費用」、「医療保健に関する費用」、「食事に関する費用」、「文化・体育・娯楽に関する費用」、「私的保険制度への拠出金」、「労災付加給付の費用」、「慶弔見舞等の費用」、「財形貯蓄奨励金、給付金及び基金への拠出金」等をいいます。

<ポイント>
・「現金給与以外の労働費用」は約7万円であり、そのうち、法定福利費が約7割を占め一番多くなっています。

・前回調査の平成28年調査では、「現金給与以外の労働費用」は79,632円と約8万円でしたから、「現金給与以外の労働費用」は6千円強、下がっています。そのため「法定福利費」の割合が前回は約6割でしたが、今回は約7割と上がっています。

・2番目にくるのが「退職給付等の費用」、3番目にくるのが「法定外福利費」となります。



次回もがんばりましょう。



2023年01月30日

「ランチタイム・スタディ2023統計数値」の22日目は、「令和2年就労条件総合調査」から「諸手当」の推定予想問題です。
なお、諸手当①に追記をしていますので、ご確認ください。


<推定予想問題(諸手当)>

〔問〕 諸手当に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、本問は、「令和2年就労条件総合調査結果の概況」を参照しており、当該調査による用語及び統計等を利用している。

A 令和元年11月分の常用労働者1人平均所定内賃金は319.7千円となっており、そのうち諸手当は79.6千円、所定内賃金に占める諸手当の割合は24.9%となっている。

B 所定内賃金に占める諸手当の割合を企業規模別にみると、規模が大きいほど高くなっている。

C 令和元年11月分の諸手当を支給した企業割合を諸手当の種類別(複数回答)にみると、 「通勤手当など」が最も高く、次いで「役付手当など」、「家族手当、扶養手当、育児支援手当など」の順となっている。

D 令和元年11月分の諸手当を支給した企業割合を諸手当の種類別(複数回答)を企業規模別にみると、「特殊作業手当など」、「特殊勤務手当など」、「地域手当、勤務地手当など」、「住宅手当など」、「単身赴任手当、別居手当など」、「調整手当など」、及び「精皆勤手当、出勤手当など」は、規模が大きいほど支給企業割合が高く「役付手当など」は規模が小さいほど支給企業割合が高い。

E 令和元年11月分として支給された労働者1人平均の諸手当の支給額を諸手当の種類別にみると、「役付手当など」が最も高く、次いで「単身赴任手当、別居手当など」、「業績手当など」の順となっている。




-------------------------------------------------------------------------------------------------------
step1 正解は・・・



C



-------------------------------------------------------------------------------------------------------
step2 解説

A ☓ (令和2年就労条件総合調査結果の概況) 令和元年11月分の常用労働者1人平均所定内賃金は319.7千円となっており、そのうち諸手当は「47.5千円」、所定内賃金に占める諸手当の割合は「14.9%」となっている。

B ☓ (令和2年就労条件総合調査結果の概況) 所定内賃金に占める諸手当の割合を企業規模別にみると、規模が「小さい」ほど高くなっている。

C 〇 (令和2年就労条件総合調査結果の概況) 本肢のとおりである。

D ☓ (令和2年就労条件総合調査結果の概況) 「精皆勤手当、出勤手当など」は、規模が小さいほど支給企業割合が高い。


E ☓ (令和2年就労条件総合調査結果の概況) 令和元年11月分として支給された労働者1人平均の諸手当の支給額を諸手当の種類別にみると、「業績手当など」が52.2千円で最も高く、次いで「単身赴任手当、別居手当など」47.6千円、「役付手当など」41.6千円となっている。


-------------------------------------------------------------------------------------------------------
step3 コメント

・「令和2年就労条件総合調査結果の概況」から「諸手当」の択一式問題です。この「諸手当」の調査項目に関して注目されることとしては、「同一労働同一賃金ガイドライン」(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針)が出されていることです。これにより、正社員と非正規雇用労働者(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)との間で、業務や仕事量等の勤務状況に差がない場合、同等の賃金、手当を支払わなければなりません。近年、最高裁判例では、各手当ごとに支払の有無が合理的か不合理に当たるかが争われていて、たとえば、これまで正社員だけにしか支払わなかった「精皆勤手当」があれば、非正規雇用労働者にも支払うようにしなければならなくなっています。このガイドラインは大企業では令和2年4月から、中小企業では令和3年4月から適用され、賃金だけでなく、「教育訓練」や「福利厚生」も対象になります。働き方改革に伴う賃金の支給状況を知るうえで意味があることから各種調査の中でも重要なポジショニングにあるといえます。

・会社から支給される手当には、時間外労働手当、通勤手当、家族手当、住宅手当など様々ありますが、実は手当は「法律上、支給しなければならない手当」と「会社が任意で決める手当」の2種類に分けられます。就労条件総合調査では、「所定内賃金」に占める「諸手当」とその種類、額等を調査していますので、時間外労働手当、深夜労働手当、休日出勤手当などの「法律上、支給しなければならない手当」(=割増賃金)は、対象外であり、本調査には含まれていません。

・諸手当の項目の中で、最重要なのがAとBになります。すなわち、所定内賃金に占める諸手当の割合は「約15%」であり、規模が「小さい」ほど高くなっているところです。基本給を高くできない小企業にとって、賃金を手当で補う形を取っているわけです。

・Cの「諸手当の中で企業が多く取り入れている手当の種類」としては、ほぼ社員全員に支払っているであろう 「通勤手当など」が最も多くなることは頷けます。次いで、たとえば、係長に昇格したら手当として2万円、課長に昇格したら手当として5万円支払うなどの「役付手当など」がきます。3番目にくるのが、家族の扶養に係る「家族手当、扶養手当、育児支援手当など」になります。このあたりは、みなさんの勤務する会社の手当をイメージして覚えてしまいましょう。

・Dの「企業が多く取り入れている手当の種類の企業規模別傾向」ですが、規模が小さい企業ほど、社員の遅刻や欠勤が多くなる傾向がありますので、「精皆勤手当、出勤手当など」を取り入れる企業が高くなる傾向にあります。それと、「役付手当など」については、前回調査では、規模で大きな差が見られなかったものが、今回は規模が小さいほど支給企業割合が高い方に加わったので、この2つを押さえておきましょう。

・Eの「額が多い手当」としては、売り上げを伸ばしたい企業にとって、やはり「業績手当など」が一番になります。単に、業績手当といっても、個人に対して支給するものもあれば、部門やグループに対して行うものもありますが、ここでは実際に支払われている社員のみを対象に、実際に支払われている額の1人当たりに換算した額が掲載されています。業績に寄与したともなれば、それなりの額が出せますし、少額だと「馬の鼻先ににんじんをぶら下げる」効果が薄くなってしまいますから、一番にくるものと認識してください。額としては「約5万円」であり、この金額は実際に支払われている社員の「業績手当など」の額の平均です。(要するに、「業績を達成できた者には5万円を支給する」という規定があっても、実際に支払われている社員が1人もいなければゼロ円となり、対象となる人が100人いるのに、実際に支払われている社員が2人いて、それぞれ5万円ずつ支払われていた場合には5万円となります。)

・諸手当の問題は、試験委員にとって作問しやすい箇所でもあります。それに、企業の賃金実態を受験生が正しく理解できているかの試金石ともいえる問題にもなりますので、択一式の1肢、場合によっては選択式の1肢に出題されてもおかしくありません。確実に押さえてしまってください。

・実務としては、会社により労働者の勤務状況は異なりますし、同じ会社でも職種や就労する場所、勤務時間等に応じて労働条件が異なることになりますから、そこで働く労働者の実情にあった釣り合いのとれた手当を支給することが企業には求められています。したがって、諸手当に関しては、中小企業に対する就業規則や賃金体系等のアドバイスにおいて、社労士の腕の見せ所にもなるところであるといえます。みなさんが将来、活躍できるところであると思って、がんばって覚えてしまいましょう。



次回もがんばりましょう。



現在、「労災認定らくらくマスター」のWeb無料視聴期間です。

Webで無料で視聴できるのは、2月2日(木)までとなりますので、ご興味のある方は、早めに視聴してください。

よろしくお願いします。


 


2023年01月29日

2月4日(土)「個別相談」を実施いたします。

お一人様25分とさせていただきます。
対象となる方は、次の方です。

〇既に佐藤塾で2023年向けフルパック☆プラス等のパックコースを受講いただいている方
① 学習の方法等で悩みや相談のある方
② モチベーションを高めたい方
③ 今後の学習で巻き返しを図りたい方

既に佐藤塾で2023年向けフルパック☆プラス、フルパック等のパックコースを受講いただいている方は、全3回、個別相談を受けることができますが、いよいよ2回目の個別相談を行う時期になりました。2回目の個別相談は2月~4月に予約するようにしてください。
※既に佐藤塾で2023年向けフルパック☆プラス、フルパック等のパックコースを受講いただいている方の個別相談の「初回」は、事前に個別相談シートを記載してください。
☞「2023年向けパックコース受講生向け個別相談の初回の注意事項


〇2023年の本試験に向けて、佐藤塾の何らかの講座を検討している人
① 独学で学習しているものの、上手く軌道に乗れていない
② 他の資格の学校を利用しているものの、不足な部分や苦手な箇所を補いたいと思っている方
③ 佐藤塾の講座の特長を知りたい方(聞けばすぐに済むような簡単な事柄でも結構です。)


〇佐藤塾の講座を利用して合格された方
① どのような学習が功を奏したのか、喜びの声をお聞かせください。今後の参考にさせていただきます。


東京本校に来所いただくか、電話でお話をするかのいずれでも結構ですので、予約をしてください。

時間割ですが、相談開始時刻で次の設定としています。(1枠25分)
①11:45~  ②12:20~  ③12:55~  ④13:30~  ⑤14:05~


お越しいただける方は、できるだけお越しいただきたいのですが、コロナ対策として、次の点をご了承ください。
・衝立を立てて相談
・マスク着用
・入室の際、手指の要消毒


[予約の手順]
・「2023年向け佐藤塾個別学習相談会Web予約」画面から予約入力をしてください。☞予約画面はこちら
・空いている時間帯をクリックしていただき、必要事項を入力してください。
( 「SOLD OUT」となっている時間帯は、既に埋まってしまっています。)

予約画面の「備考欄」には、次の①、②を必ず入れてください。
① 電話か、来所か。⇒ここの記入は重要ですので忘れないようにしてください。
② パック受講中(パック名)か、独学又は他社受講か、合格者か。
③ 相談内容(簡単で結構です。)


[予約日当日]
・東京本校にお越しいただける方は、その時刻までに東京本校へお越しください。
・電話の方は、その時刻に電話がかかってくるのをお待ちください。
 (5分過ぎても電話が無い場合はお手数ですが、東京本校に電話でその旨、連絡してください。)
 (非通知でかけることになりますので、非通知でも電話がつながるようにしておいてください。)


どのように学習すれば合格できるかをアドバイスさせていただきます。
疑問や不安や心配事は、今のうちに解消してしまいましょう。



2023年01月28日

「ランチタイム・スタディ2023統計数値」の21日目は、「令和2年就労条件総合調査結果の概況」から「諸手当」の調査記載内容です。


諸手当

【令和2年就労条件総合調査結果の概況】

令和元年11月分の常用労働者1人平均所定内賃金319.7千円となっており、そのうち諸手当47.5千円所定内賃金に占める諸手当の割合14.9%となっている。

所定内賃金に占める諸手当の割合を企業規模別にみると、規模が小さいほど高くなっている。

令和元年11月分の諸手当を支給した企業割合を諸手当の種類別(複数回答)にみると、 「通勤手当など」が92.3%最も高く、次いで「役付手当など」86.9%、「家族手当、扶養手当、育児支援手当など」68.6%などとなっている。

企業規模別にみると、「特殊作業手当など」、「特殊勤務手当など」、「地域手当、勤務地手当など」、「住宅手当など」、「単身赴任手当、別居手当など」、及び「調整手当など」は、規模が大きいほど支給企業割合が高く、「役付手当など」「精皆勤手当、出勤手当など」は規模が小さいほど支給企業割合が高い

令和元年11月分として支給された労働者1人平均の諸手当の支給額を諸手当の種類別にみると、「業績手当など」が52.2千円最も高く、次いで「単身赴任手当、別居手当など」47.6千円、「役付手当など」41.6千円となっている。




[追記(1月30日5時半記載)]
令和2年就労条件総合調査は、2年前の調査になりますが、「試験対策として必要なのは最新の調査であって2年前は関係ないのではないか。」という疑問が生じることと思います。

ところで、就労条件総合調査は、毎年、同じ項目だけを調査するものではありません。
その年によって、調査項目が異なります。
たとえば、ここ3年では、次のとおりです。

〇令和2年就労条件総合調査項目 ①労働時間制度 ②賃金制度
〇令和3年就労条件総合調査項目 ①労働時間制度 ②賃金制度 ③労働費用
〇令和4年就労条件総合調査項目 ①労働時間制度 ②定年制等 ③賃金制度


この3年では、「労働時間制度」と「賃金制度」は毎年ある項目ですが、令和4年の「定年制」と令和3年の「労働費用」は、特別な調査項目になります。
そうなると、令和3年調査の「労働費用」は上書きされていないため、現在も活きている調査項目となります。

実際に、「労働費用」は、「平成28年」の本試験で「平成23年」の就労条件総合調査が出題されています。
このように、統計数値の問題はここ1年に発表された統計だけが出題されるのではなく、2年以上前のものが出題されることがあります。
毎回、同じ内容の調査であれば、一番最新の統計を確認しておけば大丈夫ですが、就労条件総合調査の調査項目は、「年次有給休暇の取得状況」などのように、毎年、必ず調査している項目もある反面、その年によって違う項目もあります。
その場合、以前の統計が現在も活きていることになり、出題範囲に入ってくるので要注意です。
この年(平成28年)の社労士試験に向けた大手予備校の講義では、労働費用は平成23年就労条件総合調査と古い内容でしたので、ほとんどの予備校が白書講座で取りあげていませんでしたが、佐藤塾では念入りに学習していた箇所です。

更に、毎年ある「賃金制度」の内容も、年によって違いが見られます。

〇令和2年就労条件総合調査の「賃金制度」
①時間外労働の割増賃金率 ②1か月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率 ③諸手当

〇令和3年就労条件総合調査の「賃金制度」
①時間外労働の割増賃金率 ②1か月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率 

〇令和4年就労条件総合調査の「賃金制度」
①基本給 ②賃金制度の改定状況 ③時間外労働の割増賃金率 ④1か月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率 ⑤賞与

以上のことから、令和2年就労条件総合調査の「賃金制度」にある「諸手当」は、令和3年・令和4年就労条件総合調査で取り上げられていない調査項目ですから、本試験に出題される可能性があるわけです。

では、古い調査であっても出題されるには何が必要かというと、次の2点が必要だと思われます。
①現在とあまり変わりない数値であろうこと。
②古い調査にもかかわらず出題されるということは、試験委員がそれだけ重要だと考えていること。




次回もがんばりましょう。