2021年12月

2021年12月31日

「ランチタイム・スタディ 2021本試験」の第92問で最終回です。

92問目は択一式の労働保険徴収法です。
2021年本試験で一番難しかった問題だといえます。

正答率10%の問題です。


<問題( 択一式 徴収 (雇)問8 )>

〔問〕 特例納付保険料の納付等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 雇用保険の被保険者となる労働者を雇い入れ、労働者の賃金から雇用保険料負担額を控除していたにもかかわらず、労働保険徴収法第4条の2第1項の届出を行っていなかった事業主は、納付する義務を履行していない一般保険料のうち徴収する権利が時効によって既に消滅しているものについても、特例納付保険料として納付する義務を負う。

B 特例納付保険料の納付額は、労働保険徴収法第26条第1項に規定する厚生労働省令で定めるところにより算定した特例納付保険料の基本額に、当該特例納付保険料の基本額に100分の10を乗じて得た同法第21条第1項の追徴金の額を加算して求めるものとされている。

C 政府は、事業主から、特例納付保険料の納付をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うことを希望する旨の申出があった場合には、その納付が確実と認められ、かつ、その申出を承認することが労働保険料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができる。

D 労働保険徴収法第26条第2項の規定により厚生労働大臣から特例納付保険料の納付の勧奨を受けた事業主が、特例納付保険料を納付する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対して書面により申し出た場合、同法第27条の督促及び滞納処分の規定並びに同法第28条の延滞金の規定の適用を受ける。

E 所轄都道府県労働局歳入徴収官は、労働保険徴収法第26条第4項の規定に基づき、特例納付保険料を徴収しようとする場合には、通知を発する日から起算して30日を経過した日をその納期限と定め、事業主に、労働保険料の増加額及びその算定の基礎となる事項並びに納期限を通知しなければならない。



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step1 正解は・・・



D
   


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step2 解説

× (法26条1項)特例納付保険料の納付は任意の制度であり、対象事業主が「納付する義務を負う」のではなく、「納付することができる」とされている。

× (法26条1項、則57条)特例納付保険料の額は、「特例納付保険料の基本額」に「厚生労働省令で定める額」を加算した額とされているが、特例納付保険料の加算額は、「特例納付保険料の基本額に100分の10を乗じて得た額」であるが、この加算額は追徴金ではない。

× (法26条1項、法21条の2、則38条の4)口座振替により納付することができるものは、納付書によって行われる概算保険料と確定保険料に限られるため、特例保険料は口座振替の対象外とされる。

(法26条5項、法27条、法28条)本肢のとおりである。特例納付保険料の納付の申出を行った事業主は、法定期限までに特例納付保険料を納付しなければならず、納付を怠った場合には、法27条の督促及び滞納処分の規定並びに法28条の延滞金の規定が適用される。

× (法26条4項、則59条)前段部分は正しいが、対象事業主に対する通知事項は、「労働保険料の増加額及びその算定の基礎となる事項並びに納期限」ではなく、「特例納付保険料の額及び納期限」とされている。




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step3 コメント

・択一式の労働保険徴収法の雇用問8は、特例納付保険料の納付等に関する問題でした。どの肢も難易度が高く、受験生が選んだ解答はすべての肢にばらける結果となっていて、一般的な学習では太刀打ちできない問題だったといえます。



これでランチタイム・スタディ2021本試験は終了です。

今年もお世話になりました。

良いお年をお迎えください。




2021年12月30日

「ランチタイム・スタディ」の第91問で、ラスト2問です。

91問目は、選択式の労働一般常識です。

正答率42&36&38&15の問題です。

※選択式労一B=42%、C=36%、D=38%、E=15%(B、C及びDは正答率がEより高いものの同じカテゴリーですので、Eの正答率に合わせここで掲載しています。)



<問題( 選択式 労一 BCDE )>

生涯現役社会の実現に向けた環境を整備するため、65歳以降の定年延長や66歳以降の継続雇用延長、高年齢者の雇用管理制度の整備や定年年齢未満である高年齢の有期契約労働者の無期雇用への転換を行う事業主に対して、「  B  」を支給している。また、 C  において高年齢退職予定者の情報を登録して、その能力の活用を希望する事業者に対してこれを紹介する高年齢退職予定者キャリア人材バンク事業を実施している。

一方、働きたい高年齢求職者の再就職支援のため、全国の主要なハローワークに「生涯現役支援窓口」を設置し、特に65歳以上の高年齢求職者に対して職業生活の再設計に係る支援や支援チームによる就労支援を重点的に行っている。ハローワーク等の紹介により60歳以上の高年齢者等を雇い入れた事業主に対しては、「  D  」を支給し、高年齢者の就職を促進している。


既存の企業による雇用の拡大だけでなく、起業によって中高年齢者等の雇用を創出していくことも重要である。そのため、中高年齢者等(  E  )が起業を行う際に、従業員の募集・採用や教育訓練経費の一部を「中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)」により助成している。



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step1 次の選択肢の中から答を選んでください。

Bの選択肢
① 65歳超雇用推進助成金  ② キャリアアップ助成金
③ 高年齢労働者処遇改善促進助成金  ④ 産業雇用安定助成金


Cの選択肢
① (公財)産業雇用安定センター  ② 職業能力開発促進センター
③ 中央職業能力開発協会  ④ ハローワーク


Dの選択肢
① 高年齢者雇用継続助成金  ② 人材開発支援助成金
③ 人材確保等支援助成金  ④ 特定求職者雇用開発助成金


Eの選択肢
① 40歳以上 ② 45歳以上  ③ 50歳以上  ④ 55歳以上



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step2 正解は・・・

B → ① 65歳超雇用推進助成金

C → 
① (公財)産業雇用安定センター

D → ④ 特定求職者雇用開発助成金

E → ① 40歳以上



   

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step3 コメント

・選択式の労働一般常識のB~Eは、各肢ごとに選択肢が分かれていたものの、助成金の名称を問う問題が2問も出題され、全ての肢で苦戦する内容であったといえます。選択式労一が1点救済されたものうなずけます。自信を持って解答した受験生はほとんどいなかったのではないでしょうか。




明日は最終回です。
明日もがんばりましょう。




2021年12月29日

「ランチタイム・スタディ 2021本試験」の第90問で、ラスト3問です。

90問目は、択一式の労災保険法です。


正答率20%の問題です。


<問題( 択一式 労災 問2 )>

〔問〕 通勤災害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 3歳の子を養育している一人親世帯の労働者がその子をタクシーで託児所に預けに行く途中で追突事故に遭い、負傷した。その労働者は、通常、交通法規を遵守しつつ自転車で託児所に子を預けてから職場に行っていたが、この日は、大雨であったためタクシーに乗っていた。タクシーの経路は、自転車のときとは違っていたが、車であれば、よく利用される経路であった。この場合は、通勤災害と認められる。

B 腰痛の治療のため、帰宅途中に病院に寄った労働者が転倒して負傷した。病院はいつも利用している駅から自宅とは反対方向にあり、負傷した場所はその病院から駅に向かう途中の路上であった。この場合は、通勤災害と認められない。

C 従業員が業務終了後に通勤経路の駅に近い自動車教習所で教習を受けて駅から自宅に帰る途中で交通事故に遭い負傷した。この従業員の勤める会社では、従業員が免許取得のため自動車教習所に通う場合、奨励金として費用の一部を負担している。この場合は、通勤災害と認められる。

D 配偶者と小学生の子と別居して単身赴任し、月に1~2回、家族の住む自宅に帰っている労働者が、1週間の夏季休暇の1日目は交通機関の状況等は特段の問題はなかったが単身赴任先で洗濯や買い物等の家事をし、2日目に家族の住む自宅へ帰る途中に交通事故に遭い負傷した。この場合は、通勤災害と認められない。

E 自家用車で通勤していた労働者Xが通勤途中、他の自動車との接触事故で負傷したが、労働者Xは所持している自動車運転免許の更新を失念していたため、当該免許が当該事故の1週間前に失効しており、当該事故の際、労働者Xは、無免許運転の状態であった。この場合は、諸般の事情を勘案して給付の支給制限が行われることはあるものの、通勤災害と認められる可能性はある。



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step1 正解は・・・



C
   


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step2 解説

(法7条2項、平18.3.31基発0331042号)本肢のとおりである。タクシー等を利用する場合に、通常利用することが考えられる経路が2、3あるような場合には、その経路は、いずれも合理的な経路となる。さらに、他に子供を監護する者がいない共稼労働者が託児所、親せき等にあずけるためにとる経路などは、そのような立場にある労働者であれば、当然、就業のためにとらざるを得ない経路であるので、合理的な経路となるものと認められる。

(法7条3項、則8条)本肢のとおりである。病院又は診療所において診察又は治療を受けることは日常生活上必要な行為と認められるが、病院はいつも利用している駅から自宅とは反対方向にあり、負傷した場所はその病院から駅に向かう途中の路上であったため、通常の経路とは認められず、通勤災害と認められない。

× (法7条3項、平18.3.31基発0331042号)従業員が業務終了後に通勤経路の駅に近い「自動車教習所に通う行為」は、「職業訓練、学校教育法に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為」に該当しないため、本件は、通勤災害と認められない。

(法7条2項2号、平18.3.31基発0331042号)本肢のとおりである。労災保険法第7条2項3号の住居間移動における赴任先住居から帰省先住居への移動の場合であるが、実態等を踏まえて、業務に従事した当日又はその翌日に行われた場合は、就業との関連性を認めて差し支えない。ただし、翌々日以後に行われた場合は、交通機関の状況等の合理的理由があるときに限り、就業との関連性が認められる。

(法7条2項、平18.3.31基発0331042号)本肢のとおりである。免許証更新による無免許運転の場合等は、必ずしも、合理性を欠くものとして取り扱う必要はないが、この場合において、諸般の事情を勘案し、給付の支給制限が行われることがある。




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step3 コメント

・択一式の労災保険法の問2は、通勤災害に関する問題でした。B、C及びDの難易度が高く、この3つで迷った人が大半だったと思われます。



明日もがんばりましょう。




2021年12月28日

「ランチタイム・スタディ 2021本試験」の第89問です。

89問目は、択一式の社会保険一般常識です。


正答率25%の問題です。


<問題( 択一式 社一 問9 )>

〔問〕 社会保険制度の目的条文に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 国民健康保険法第1条では、「この法律は、被保険者の疾病、負傷、出産又は死亡に関して必要な保険給付を行い、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」と規定している。

B 健康保険法第1条では、「この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第七条第一項第一号に規定する業務災害をいう。)以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」と規定している。

C 高齢者医療確保法第1条では、「この法律は、国民の高齢期における適切な医療の確保を図るため、医療費の適正化を推進するための計画の作成及び保険者による健康診査等の実施に関する措置を講ずるとともに、高齢者の医療について、国民の共同連帯の理念等に基づき、前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整、後期高齢者に対する適切な医療の給付等を行うために必要な制度を設け、もつて国民保健の向上及び高齢者の福祉の増進を図ることを目的とする。」と規定している。

D 船員保険法第1条では、「この法律は、船員又はその被扶養者の職務外の事由による疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行うとともに、労働者災害補償保険による保険給付と併せて船員の職務上の事由又は通勤による疾病、負傷、障害又は死亡に関して保険給付を行うこと等により、船員の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」と規定している。

E 介護保険法第1条では、「この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。」と規定している。



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step1 正解は・・・



A
   


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step2 解説

× (国民健康保険法1条、同法2条)国民健康保険法1条は、「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」と規定し、同法2条において、「国民健康保険は、被保険者の疾病、負傷、出産又は死亡に関して必要な保険給付を行うものとする。」と規定している。

(健康保険法1条)本肢のとおりである。

(高齢者医療確保法1条)本肢のとおりである。

(船員保険法1条)本肢のとおりである。

(介護保険法1条)本肢のとおりである。




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step3 コメント

・択一式の社会保険一般常識の問9は、社会保険法令の目的条文からの出題でした。Aが国民健康保険法の目的条文である法1条と法2条を組み合わせているため誤りとしています。本問を解く場合、通常、「何かおかしいところはないか」、「重要な語句が抜け落ちていないか」と意識しながら問題文に目を通していくことになるはずですが、この観点ではおそらく誤りに気付かないと思います。かなりの難問といえますが、逆にAと解答できた方はテキストの読み込みが十分にできていたか、目的条文にしぼって学習していたかのいずれかであったと思われます。



明日もがんばりましょう。




2021年12月27日

「ランチタイム・スタディ 2021本試験」の第88問です。

88問目は、択一式の労働一般常識です。


正答率26%の問題です。


<問題( 択一式 労一 問3 )>

〔問〕 労働契約法等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 労働契約法第7条は、「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。」と定めているが、同条は、労働契約の成立場面について適用されるものであり、既に労働者と使用者との間で労働契約が締結されているが就業規則は存在しない事業場において新たに就業規則を制定した場合については適用されない。

B 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合について定めた労働契約法第10条本文にいう「労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情」のうち、「労働組合等」には、労働者の過半数で組織する労働組合その他の多数労働組合や事業場の過半数を代表する労働者だけでなく、少数労働組合が含まれるが、労働者で構成されその意思を代表する親睦団体は含まれない。

C 労働契約法第13条は、就業規則で定める労働条件が法令又は労働協約に反している場合には、その反する部分の労働条件は当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約の内容とはならないことを規定しているが、ここでいう「法令」とは、強行法規としての性質を有する法律、政令及び省令をいい、罰則を伴う法令であるか否かは問わず、労働基準法以外の法令も含まれる。

D 有期労働契約の更新時に、所定労働日や始業終業時刻等の労働条件の定期的変更が行われていた場合に、労働契約法第18条第1項に基づき有期労働契約が無期労働契約に転換した後も、従前と同様に定期的にこれらの労働条件の変更を行うことができる旨の別段の定めをすることは差し支えないと解される。

E 有期労働契約の更新等を定めた労働契約法第19条の「更新の申込み」及び「締結の申込み」は、要式行為ではなく、使用者による雇止めの意思表示に対して、労働者による何らかの反対の意思表示が使用者に伝わるものでもよい。



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step1 正解は・・・



B
   


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step2 解説

(労働契約法7条、平24.8.10基発0810第2号)本肢のとおりである。法7条本文に「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において」と規定されているとおり、法7条は労働契約の成立場面について適用されるものであり、既に労働者と使用者との間で労働契約が締結されているが就業規則は存在しない事業場において新たに就業規則を制定した場合については適用されない。

× (労働契約法10条、平24.8.10基発0810第2号)「労働組合等」には、労働者で構成されその意思を代表する親睦団体等労働者の意思を代表するものが広く「含まれる」。

(労働契約法13条、平24.8.10基発0810第2号)本肢のとおりである。

(労働契約法18条1項、平24.8.10基発0810第2号)本肢のとおりである。なお、無期労働契約に転換した後における解雇については、個々の事情により判断されるものであるが、一般的には、勤務地や職務が限定されている等労働条件や雇用管理がいわゆる正社員と大きく異なるような労働者については、こうした限定等の事情がない、いわゆる正社員と当然には同列に扱われることにならないと解される。

(労働契約法19条、平24.8.10基発0810第2号)本肢のとおりである。なお、雇止めの効力について紛争となった場合における法19条の「更新の申込み」又は「締結の申込み」をしたことの主張・立証については、労働者が雇止めに異議があることが、例えば、訴訟の提起、紛争調整機関への申立て、団体交渉等によって使用者に直接又は間接に伝えられたことを概括的に主張立証すればよいと解される。




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step3 コメント

・択一式の労働一般常識の問3は、労働契約法からの出題でした。いずれの肢も難解な問題ですが、特にAとBとDの難易度が高く、この3つで迷ってしまう方が多かったと思われます。



明日もがんばりましょう。