2021年05月

2021年05月27日

「ランチタイム・スタディ2021統計数値」の117日目は、「平成29年派遣労働者実態調査(再集計確報版)」から「派遣労働者の実態」の調査記載内容です。

派遣労働者の実態

【平成29年派遣労働者実態調査(再集計確報版)】

(7)派遣業務【派遣労働者調査】

現在行っている派遣業務(複数回答)をみると、「一般事務」が最も高く23.5%、次いで「物の製造」21.1%、「事務用機器操作」12.3%となっている。

これを性別にみると、は「物の製造」が29.2%と最も高く、次いで「倉庫・搬送関連事務」13.3%となっている。

は、「一般事務」が39.0%と最も高く、次いで「事務用機器操作」19.0%となっている。


(8)諸手当等、各種制度の支給・実施状況【派遣労働者調査】【新規調査項目】

諸手当等、各種制度の支給・実施の状況をみると、「通勤手当」の支給がある派遣労働者の割合は51.0%、同じく「賞与・一時金」については19.6%、「昇給」が実施されている派遣労働者の割合は15.2%となっている。

事業所規模別にみると、おおむね規模が大きいほど支給・実施されている割合が高い


(9)派遣労働者の要望【派遣労働者調査】

派遣元への要望がある派遣労働者は51.7%となっている。

要望があると回答した派遣労働者について、要望の内容(複数回答3つまで)をみると、
賃金制度を改善してほしい」が55.8%と最も高く、
次いで「継続した仕事を確保してほしい」31.6%、
派遣先に対して、派遣先での直接雇用に切り替えるよう依頼してほしい」23.1%
の順となっている。

派遣先への要望がある派遣労働者は38.3%となっている。

要望があると回答した派遣労働者について、要望の内容(複数回答3つまで)をみると、
派遣契約期間を長くしてほしい」が30.0%と最も高く、
次いで「指揮命令系統を明確にしてほしい」22.9%、
年次有給休暇を取りやすくしてほしい」21.8%
の順となっている。



明日もがんばりましょう。



2021年05月26日

「ランチタイム・スタディ2021統計数値」の116日目は、「平成29年派遣労働者実態調査(再集計確報版)」から「派遣労働者の実態」の調査記載内容です。


派遣労働者の実態

【平成29年派遣労働者実態調査(再集計確報版)】

(4)紹介予定派遣制度【事業所調査】

紹介予定派遣制度を利用したことがある事業所の割合は6.8%となっている。

紹介予定派遣制度を利用したことがない事業所で「制度を知っている」は32.7%、「制度を知らない」は57.8%となっている。


<紹介予定派遣とは>

紹介予定派遣とは、派遣元が職業紹介することを予定して派遣就業させるもので、派遣期間終了後に派遣先の企業と直接雇用を結ぶことを前提にした派遣のことです。

派遣期間を試用期間と考えて、企業はこの試用期間を通して紹介予定派遣の派遣社員を直接雇用するかどうかを判断します。
派遣期間は6ヶ月を超えてはなりません

紹介予定派遣制度を活用することによって、派遣労働者は、派遣先の仕事の内容や会社の雰囲気を理解した上で就職することができます。
派遣先は労働者の適性、能力をじっくり見極めた上で、その労働者を直接雇用するかどうかを判断することができるというところにメリットがあります。

派遣期間時に企業側から直接雇用を断ることもできますし、逆に派遣社員の方がこの企業とは合わないと感じれば断ることもできます。

通常の派遣の場合には、派遣前に派遣先の企業と派遣希望者が事前面談をすることは禁止されていますが、紹介予定派遣が派遣期間後に企業へ正社員や契約社員として採用される前提があるため、企業側が事前選考を行う必要であり、派遣前に、企業から履歴書の確認や、企業側との事前面談が行なわれます


(5)派遣契約の中途解除【事業所調査】【新規調査項目】

派遣労働者が就業している事業所について、過去1年間に労働者派遣契約を中途解除した派遣労働者の雇用の安定を図るための措置を講じた事業所4.8%である。

対策を講じた措置の内容(複数回答)の内訳をみると、「別の就業機会を提供した」(49.0%)が約半数を占め、「労働者派遣契約の契約期間の終了までの派遣料金全額を派遣元事業主に支払った」(20.4%)も2割程度を占めている。


(6)派遣労働者の年齢【派遣労働者調査】

派遣労働者を年齢階級別にみると、「40~44歳」が16.7%と最も高く、次いで「35~39歳」13.6%、「45~49歳」13.1%の順となっている。

これを性別にみると、男女ともに「40~44歳」がそれぞれ15.2%、18.1%と最も高くなっており、
男では次いで「35~39歳」の13.0%、女では「45~49歳」の15.4%となっている。



明日もがんばりましょう。



2021年05月25日

「ランチタイム・スタディ2021統計数値」の115日目は、「平成29年派遣労働者実態調査(再集計確報版)」から「派遣労働者の実態」の調査記載内容です。



派遣労働者の実態

【平成29年派遣労働者実態調査(再集計確報版)】

(1)派遣労働者の就業状況と就業させる主な理由【事業所調査】

平成29年10月1日現在で、派遣労働者が就業している事業所の割合は12.7%となっている。

派遣労働者が就業している事業所について、派遣労働者を就業させる主な理由(複数回答3つまで)をみると、
欠員補充等必要な人員を迅速に確保できるため」が73.1%と最も高い割合になっており、
次いで「一時的・季節的な業務量の変動に対処するため」35.8%、
軽作業、補助的業務等を行うため」24.5%、
専門性を活かした人材を活用するため」23.7%
となっている。

<ポイント>
・派遣労働者を依頼する理由の一番は、一時しのぎの要素が強いです。したがって、急に労働者が辞めてしまった穴埋めが一番大きな理由となります。


(2)派遣契約期間【事業所調査】

派遣労働者が就業している事業所について、契約の件数を事業所が結んでいる派遣契約の期間別の割合でみると、
2か月を超え3か月以下」が46.7%と最も高く、
次いで「3か月を超え6か月以下」21.0%、
6か月を超え1年以下」12.5%の順となっている。


(3)派遣労働者に対して行った教育訓練・能力開発の実施状況【事業所調査】

派遣労働者が就業している事業所について、過去1年間(平成28年10月1日~平成29年9月30日、以下同じ。)に派遣労働者に対して教育訓練・能力開発を実施した事業所の割合は59.0%となっている。

派遣労働者に対して教育訓練・能力開発を実施している事業所について教育訓練・能力開発の方法(複数回答)をみると、「働きながら行う教育訓練・能力開発(OJT)を行った」が84.6%と最も高くなっている。



明日もがんばりましょう。



2021年05月24日

「ランチタム・スタディ2021統計数値」の114日目は、「平成28年パートタイム労働者総合実態調査」から「パートタイム労働者の実態」の推定予想問題です。



<推定予想問題(パートタイム労働者の実態)>

〔問〕 パートタイム労働者の実態に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 平成28年10月1日現在で、「パートを雇用している事業所」の割合は約7割であり、事業所規模別にみると、事業所規模が大きくなるほど「パートを雇用している事業所」の割合がおおむね高くなっている。

B 平成28年10月1日現在の正社員以外の労働者割合は37.2%、うちパートの労働者割合は27.4%となっている。

C 正社員とパートの両方を雇用している事業所について、パートを雇用する理由(複数回答)をみると、「1日の忙しい時間帯に対処するため」が41.6%と最も高い割合となっており、次いで「人件費が割安なため(労務コストの効率化)」41.3%、「仕事内容が簡単なため」36.0%の順となっている。

D 正社員とパートの両方を雇用している事業所のうち、パートの労働契約の中での「雇用期間の定めがある」事業所は54.6%、「雇用期間の定めがない」事業所は45.4%となっている。事業所規模別にみると、事業所規模が大きいほど期間の定めが有る事業所の割合が高くなっている。

E 正社員とパートの両方を雇用している事業所のうち、「パートの正社員転換制度がある」事業所の割合は、「制度がない」事業所の割合よりも高くなっている。






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step1 正解は・・・


E



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step2 解説

A 〇 (平成28年パートタイム労働者総合実態調査)本肢のとおりである。平成28年10月1日現在で、「パートを雇用している事業所」の割合は68.8%、「正社員とパートの両方を雇用している事業所」の割合は64.0%、「正社員のみ雇用している事業所」の割合は20.5%となっている。

B 〇 (平成28年パートタイム労働者総合実態調査)本肢のとおりである。

C 〇 (平成28年パートタイム労働者総合実態調査)本肢のとおりである。

D 〇 (平成28年パートタイム労働者総合実態調査)本肢のとおりである。

E ☓ (平成28年パートタイム労働者総合実態調査)正社員とパートの両方を雇用している事業所のうち、「パートの正社員転換制度がある」事業所の割合は44.2%、「制度がない」事業所の割合は52.1%となっている。


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step3 コメント

・数字も順番も問われる可能性があり、気が抜けないところではありますが、一通りは目を通しておきたいところです。

明日もがんばりましょう。







2021年05月23日

インプット講義を受講していただいている方からの「質問カード」で、これはという質問を取り上げて、ご質問があった事項とその回答を記載する「学習意欲が高まる!素朴な質問・疑問」の8回目です。

第8回は、労働一般常識の「男女雇用機会均等法9条」に関する質問です。


【質問内容】

男女雇用機会均等法の9条(プレミアムテキスト「労働に関する一般常識」の98ページ)2項には、「事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。」とあります。
そして、3項では、「事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法65条に定められた産前休業を請求し、又は産前産後休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」となっています。
どうして婚姻を2項に、妊娠・出産を3項に分けているのでしょうか。
婚姻については「その他不利益な取り扱いをしてはならない」という規定は当てはまらないのでしょうか。

【回答】

男女雇用機会均等法の9条2項・3項に関するご質問ですが、なかなか良いところを突いた質問ですね。
これには、歴史的背景が絡みますので、少々長くなりますが、ご説明させていただきます。

まず、男女平等関連の法制度の全体像からみていきましょう。

男女平等政策に関する法律は「仕事における平等な取り扱い・公正な取り扱いを定めたもの」と「家族的責任を法的に保障するもの」の2つに大別できます。

<仕事における平等公正な取り扱いを定めた法律(職場)>
・男女雇用機会均等法
・労働基準法
・労働契約法
・パート・有期法
・労働者派遣法
・女性活躍推進法  等

<家族的責任の法的保障に関する法律(家庭)>
・育児・介護休業法
・次世代育成支援対策推進法  等

さて、「職場での平等公正な取り扱いを定めた法律」のひとつに位置付けされる男女雇用機会均等法ですが、正式名称は「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律」であり、男女雇用機会均等法は通称です。

ここでは、事業主が募集・採用や配置・昇進・福利厚生、定年・退職・解雇にあたり、性別を理由にした差別を禁止することなどを定めていますが、看護婦が看護師に、スチュワーデスが客室乗務員に名称変更されたのもこの法律によるものです。

男女雇用機会均等法が制定された経緯は、1979年に「女性差別撤廃条約」が国連総会で採択され、個人や企業による差別を含め、女性に対するすべての差別を禁止する立法その他の措置をとることなどを締約国に義務づけられたことによります。
そこで、その当時、日本は国連の「女性差別撤廃条約」の批准にむけ、国内法の整備が必要になりました。
その結果、制定された法律が「男女雇用機会均等法」(1985年(昭和60年)成立、1986年(昭和61年)6月施行)でした。

ちなみに、「女性差別撤廃条約」には、男女平等を旨としながら、女性にのみ妊娠・出産に関する母性保護を適用することは差別に当たらないことを明示している一方、家族的責任に関する保護について男女両方が対象と解されており、同一価値労働同一賃金に関する権利も規定されています。
この条約の第11条に「雇用の分野における差別の撤廃」が規定され、2項(a)に「妊娠又は母性休暇を理由とする解雇及び婚姻をしているかいないかに基づく差別的解雇を制裁を課して禁止すること。」という文言があり、ここが男女雇用機会均等法9条2項・3項の根拠となる箇所です。

それでは、男女雇用機会均等法9条みてみましょう。

<男女雇用機会均等法9条(婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等)>
① 事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。
② 事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。
③ 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法65条に定められた産前休業を請求し、又は産前産後休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
④ 妊娠中の女性労働者及び出産後1年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。

ご質問の主旨としては、(1)9条2項、3項が別々の項になっている理由と、(2)3項は「妊娠、出産、産前産後休業等」については「解雇その他不利益な取扱い」を禁止しているのに対し、2項では、「婚姻」に関して「解雇」のみを禁止しているのは、何か理由があるのか、という2点ですが、順を追ってご説明いたします。

まず、(1)の9条2項、3項が別々の項立てになっている理由ですが、2項の「婚姻」と3項の「妊娠・出産」は実は意味的に大きな違いがあります。
というのも、「婚姻」については、男性、女性共に当てはまることですが、「妊娠・出産」は女性だけに当てはまるものだからです。
この違いから、9条1項では、「婚姻・妊娠・出産を退職理由として予定する定めをしてはならない」と「婚姻・妊娠・出産」を並列にしているにもかかわらず、「婚姻」が2項、「妊娠・出産」が3項と使い分けているひとつの理由になっています。

ただ、3項の「女性労働者が妊娠したこと、出産したこと」の「女性労働者」という表現は、「妊娠・出産は「女性」だけのことですから本来、「労働者」という表現でも、別段、通じるわけですが、わかりやすく「女性労働者」という表現にしているだけのことになります。
ところが、2項の「女性労働者が婚姻」という表現は、あえて「男性労働者は含まれない」ことを意図して作られた条文となります。
というのも、男性労働者が婚姻して解雇されたという話は聞いたことがない(通常、考えられない。)からです。
一方、女性の場合はどうかというと、法制定の昭和の頃は「結婚退職制度」がまかり通っていて、「寿退職」が奨励(当然視)されていました。
これは、日本における性差別の極めて象徴的なものであり、これらのことを特に禁止することが国際的にも必要でした。
たとえば、女性が結婚退職する場合に退職金を上積みするいわゆる「結婚退職上積制度」が就業規則に記載されている企業もあるほどで、こういった制度は、男女同一賃金の原則を定める労働基準法4条に違反する行為となりますが、女性の婚姻については、とにかく真っ先に「解雇」又は「退職」する風潮を無くすことが、「女性差別撤廃条約」の批准上、急務とされたわけです。

したがって、2項と3項に分けた理由ですが、「婚姻」(2項)と「妊娠・出産」(3項)は対象が違ううえに、2項は「男性労働者は含まれない」が、3項は「元々女性労働者でしかありえない」ものであることから、意味の違いを明確にするため別立てとされています。
また、「女性差別撤廃条約」の文面の中には、婚姻による差別的解雇を禁止する旨、明記されており、3項に「婚姻」を入れてしまうと、他の「妊娠・出産・産前産後休業・その他厚生労働省令で定めるもの」の中に埋没してしまい、意味合いが薄れてしまったり、国連や諸外国の首脳が読み取れないと困ることになりますので、独立した2項ですっきりとした一文にしたわけです。
それに加えて、「女性の婚姻=退職」の日本の悪しき慣習を変えるためにも、独立した項立てが必要でした。

ところで、9条3項の「妊娠・出産」についても、当初は「解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」ではなく、「解雇してはならない」とされていました。
ところが、平成19年改正で「不利益取扱い」が追加され、「解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」という表現に改められ、改正の柱とされています。
なお、ここはプレミアムテキスト労働一般常識90ページの最後の5行にも記載されています。

<プレミアムテキスト労働一般常識90ページ最後の5行>
さらに、差別事案の複雑化や妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い事案などが増加していることから、平成17年12月の労働政策審議会の建議を受け、間接差別の禁止を含む性差別禁止の範囲の拡大とともに、妊娠、出産等を理由とする解雇以外の不利益取扱いを禁止するなどの見直しを行うことを内容とする男女雇用機会均等法等の改正法案を第164回通常国会に提出し、平成18年6月15日に成立した。

男女雇用機会均等法は、先にも触れたとおり、昭和61年に施行されていますが、平成になってからの大きな改正が2度ありました。

最初の大きな改正は、平成9年(1997年)に行われ、法律制定時には努力義務とされていた募集・採用、配置・昇進において、女性であることを理由とする差別的取り扱いが禁止されました。これにより、法律制定時から差別的な取り扱いが禁止されていた定年・退職を合わせ、募集・採用から定年・退職に至る雇用管理において、事業主が、女性に対して差別することが禁止されることとなりました。
また、女性のみの募集や女性のみの配置などの女性に対する優遇については、女性の職域を固定化したり、男女の職務分離をもたらしたりする等の弊害を招くことから、原則として「女性に対する差別」として新たに禁止されました。一方で、事業主が講ずるポジティブ・アクション(=男女労働者の間に事実上生じている格差を解消するための取り組み)に対し、国が相談その他の援助を行うことができる規定が新設されました。

続く2つ目の改正は、平成19年(2007年)改正となります。
項目としては、①差別禁止の範囲が拡大され、「女性差別」禁止から「性差別禁止」へ拡大し、男性も対象になったこと、②セクシュアル・ハラスメント対策の強化として、すべての事業所が講ずべき義務になり、セクハラも防止の対象拡大され、男性や同性間を含むこととなったこと、③直接的な差別だけでなく、間接差別(=一見性別が関係ないように見えるルールや取り扱いを運用した結果、どちらかの性別が不利益になってしまうこと)の禁止、④妊娠・出産を理由とする不利益取り扱いの禁止、⑤法に違反した場合の制裁規定を整備(企業名公表対象の拡大、過料創設)などが挙げられます。

このように、平成19年に施行された改正男女雇用機会均等法は、男性を基準として女性の機会や待遇をその基準に近づけていくという規制のあり方から一歩進んで、男女に等しく適用されるべきユニバーサル的な規制の在り方を示したといえます。
そこには、男性中心の雇用社会から男女が等しく支える雇用社会へという、新たな雇用社会の構築に向けた動きを読み取ることができます。

それでは、本題に戻りますが、9条2項では、「婚姻」に関して「解雇」のみを禁止しているのに対し、なぜ、3項は「妊娠、出産、産前産後休業等」については「解雇その他不利益な取扱い」を禁止しているという違いが出てきたのかについてですが、先ほど記載した平成19年改正では、妊娠・出産の際に休業することで辞めさせる(解雇)ことまではいかないものの、配置転換をして通えないほどの距離の通勤をさせたり、契約の更新を拒否するなど、昇進・昇格・賃金・異動・待遇・契約等に関して不利になる事例が多く見受けられたことが挙げられます。
それまで法での規制が「解雇」のみで、「不利益な取扱い」の禁止までされていなかったことから、事業主としては「解雇」はしないものの、「不利益取扱い」をすることで結局、会社を辞めざるをえない状況に追い込まれる女性労働者が後を絶たなかったわけです。

ただ、「婚姻」については、「会社を辞める」ということ自体の問題がとにかく大きかった(裏を返すと、不利益取扱いをすること以前に辞めてしまうことが多かった。)ことから、とにかく辞めないで仕事を続けるということに力点が置かれました。
それに、「女性差別撤廃条約」においても、「婚姻」することで「解雇」されることを明確に禁止していましたから、条約の内容を我が国での法制度の中に確実に担保する必要がありました。
そこで、女性労働者の婚姻における「解雇」の禁止を9条2項で明記したわけですが、条約では「不利益な取扱い」までは禁止項目とされていませんでしたから、平成19年改正では、2項に関してはあえて触れずにそのまま同じ表現に留められた次第です。

ただし、2013年改正で、「婚姻を理由とする差別的取扱い禁止の明示」が省令・指針で加わりましたが、法律そのものを改正することが叶わなかったことが課題とされています。
そのため、将来的には、2項は「解雇」だけでなく、「不利益な取扱い」の禁止が加わるものと考えられます。

今回のご質問のような素朴な疑問は、紐解いていくと、歴史的背景や改正の経緯が絡んでくることがあります。
勿論、「ただ単にそうなっているだけ」としか、回答できないケースもあるでしょうが、今回のご質問の回答の主旨の部分に関しては、厚生労働省雇用環境均等局雇用機会均等室の方にご尽力いただき、解釈便覧のようなもの(おそらく書庫にある古い資料ではないかと思われます。)で調べていただいていますのでより確かです。