2020年12月
2020年12月29日
90問目は、択一式の労働基準法です。
正答率15%の問題で、難問です。
※難問とは、合格者でも正答率が50%を割ってしまっている問題を指します。
※令和2年度社労士本試験の中で、3番目に正答率が低かった問題です。
<問題( 択一式 労災 問3 )>
〔問〕 労災保険法第33条第5号の「厚生労働省令で定める種類の作業に従事する者」は労災保険に特別加入することができるが、「厚生労働省令で定める種類の作業」に当たる次の記述のうち、誤っているものはどれか。
A 国又は地方公共団体が実施する訓練として行われる作業のうち求職者を作業環境に適応させるための訓練として行われる作業
B 家内労働法第2条第2項の家内労働者又は同条第4項の補助者が行う作業のうち木工機械を使用して行う作業であって、仏壇又は木製若しくは竹製の食器の製造又は加工に係るもの
C 農業(畜産及び養蚕の事業を含む。)における作業のうち、厚生労働大臣が定める規模の事業場における土地の耕作若しくは開墾、植物の栽培若しくは採取又は家畜(家きん及びみつばちを含む。)若しくは蚕の飼育の作業であって、高さが1メートル以上の箇所における作業に該当するもの
D 日常生活を円滑に営むことができるようにするための必要な援助として行われる作業であって、炊事、洗濯、掃除、買物、児童の日常生活上の世話及び必要な保護その他家庭において日常生活を営むのに必要な行為
E 労働組合法第2条及び第5条第2項の規定に適合する労働組合その他これに準ずるものであって厚生労働大臣が定めるもの(常時労働者を使用するものを除く。以下「労働組合等」という。)の常勤の役員が行う集会の運営、団体交渉その他の当該労働組合等の活動に係る作業であって、当該労働組合等の事務所、事業場、集会場又は道路、公園その他の公共の用に供する施設におけるもの(当該作業に必要な移動を含む。)
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step1 正解は・・・
C
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step2 解説
(則46条の18) Cは、高さ「1メートル」以上ではなく「2メートル」以上が正しい記述である。農業(畜産及び養蚕の事業を含む。)における次に掲げる作業は、厚生労働省令で定める種類の作業に該当する。
①厚生労働大臣が定める規模の事業場における土地の耕作若しくは開墾、植物の栽培若しくは採取又は家畜(家きん及びみつばちを含む。)若しくは蚕の飼育の作業であって、次のいずれかに該当するもの
(ア)動力により駆動される機械を使用する作業
(イ)高さが2メートル以上の箇所における作業
(ウ)労働安全衛生法施行令別表第6第7号に掲げる酸素欠乏危険場所における作業
(エ)農薬の散布の作業
(オ)牛、馬又は豚に接触し、又は接触するおそれのある作業
②土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽培若しくは採取の作業であって、厚生労働大臣が定める種類の機械を使用するもの
なお、C以外については、「厚生労働省令で定める種類の作業」に当たる。
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step3 コメント
・択一式の労災保険法の問3は、一人親方等の特別加入のうち、特定作業従事者に係る具体的な作業の内容に関する問題でした。特に正解肢であるCの内容は、細かいところであり正解するのは困難であると思われます。
明日もがんばりましょう。
2020年12月28日
89問目は、択一式の労働基準法です。
正答率19%の問題で、難問です。
※難問とは、合格者でも正答率が50%を割ってしまっている問題を指します。
<問題( 択一式 厚年 問6 )>
〔問〕 厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 第2号厚生年金被保険者に係る厚生年金保険法第84条の5第1項の規定による拠出金の納付に関する事務は、実施機関としての国家公務員共済組合が行う。
B 任意適用事業所の認可を受けようとする事業主は、当該事業所に使用される者(厚生年金保険法第12条に規定する者及び特定4分の3未満短時間労働者を除く。)の3分の1以上の同意を得たことを証する書類を添えて、厚生年金保険任意適用申請書を日本年金機構に提出しなければならない。
C 船舶所有者による船員被保険者の資格の取得の届出については、船舶所有者は船長又は船長の職務を行う者を代理人として処理させることができる。
D 船舶所有者は、船舶が適用事業所に該当しなくなったときは、当該事実があった日から5日以内に、所定の事項を記載した届書を提出しなければならない。
E 株式会社の代表取締役は、70歳未満であっても被保険者となることはないが、代表取締役以外の取締役は被保険者となることがある。
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step1 正解は・・・
C
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step2 解説
A × (法2条の5第1項) 本肢の事務は、「国家公務員共済組合及び国家公務員共済組合連合会」が行う。
B × (法6条4項、則13条の3) 任意適用事業所の認可を受けようとする事業主は、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(厚生年金保険法12条に規定する者を除く。)の「2分の1」以上の同意を得たことを証する書類を添えて、厚生年金保険任意適用申請書を機構に提出しなければならない。
C 〇 (則29条の2) 本肢のとおりである。
D × (則13条の2第4項) 「5日以内」ではなく「10日以内」に、所定の事項を記載した届書を機構に提出しなければならない。
E × (法9条、昭24.7.28保発74号) 株式会社の代表取締役であっても、法人から労働の対償として報酬を受けている者は、その法人に使用される者として被保険者の資格を取得する。
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step3 コメント
・択一式の厚生年金保険法の問6は、BとDが誤っていることはすぐに見抜けても、A、C及びEの難易度が比較的高く、この3つに解答が割れてしまっています。
明日もがんばりましょう。
2020年12月27日
88問目は、択一式の健康保険法です。
正答率20%の問題で、難問です。
※難問とは、合格者でも正答率が50%を割ってしまっている問題を指します。
<問題( 択一式 健保 問2 )>
〔問〕 健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 保険医又は保険薬剤師の登録の取消しが行われた場合には、原則として取消し後5年間は再登録を行わないものとされているが、過疎地域自立促進特別措置法に規定する過疎地域を含む市町村(人口5万人以上のものを除く。)に所在する医療機関又は薬局に従事する医師、歯科医師又は薬剤師については、その登録の取消しにより当該地域が無医地区等となる場合は、取消し後2年が経過した日に再登録が行われたものとみなされる。
B 高額介護合算療養費に係る自己負担額は、その計算期間(前年の8月1日からその年の7月31日)の途中で、医療保険や介護保険の保険者が変更になった場合でも、変更前の保険者に係る自己負担額と変更後の保険者に係る自己負担額は合算される。
C 特定健康保険組合とは、特例退職被保険者及びその被扶養者に係る健康保険事業の実施が将来にわたり当該健康保険組合の事業の運営に支障を及ぼさないこと等の一定の要件を満たしており、その旨を厚生労働大臣に届け出た健康保険組合をいい、特定健康保険組合となるためには、厚生労働大臣の認可を受ける必要はない。
D 指定訪問看護事業者が、訪問看護事業所の看護師等の従業者について、厚生労働省令で定める基準や員数を満たすことができなくなったとしても、厚生労働大臣は指定訪問看護事業者の指定を取り消すことはできない。
E 被保険者資格を取得する前に初診日がある傷病のため労務に服することができず休職したとき、療養の給付は受けられるが、傷病手当金は支給されない。
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step1 正解は・・・
B
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step2 解説
A × (法71条、平10.7.27老発485号・保発101号) 過疎地域活性化特別措置法に規定する過疎地域を含む市町村に所在する医療機関等に従事する医師等(その登録取消により、当該地域が無医地区等となるものに限る。)その他地域医療の確保を図るために再登録をしないと支障が生じると認められる医師等については、「取消し後2年が経過した日に再登録が行われたものとみなされる」のではなく、「取消後2年未満で再登録を認めることができる」。
B 〇 (法115条の2、令43条の2第1項、介保令22条の3第2項) 本肢のとおりである。高額介護合算療養費に係る自己負担額は、計算期間の途中で保険者が変更になった場合でも合算される。
C × (法附則3条1項、則163条) 特定健康保険組合とは、厚生労働省令で定める要件に該当するものとして厚生労働大臣の認可を受けた健康保険組合をいう。なお、厚生労働省令で定める要件とは、本肢に規定するもののほか、①特例退職被保険者に係る保険給付及び保険料等の徴収を適切かつ確実に行うことができること、②特例退職被保険者等に対し特例退職被保険者等以外の被保険者及びその被扶養者に対すると同程度又はこれを超える水準の保健事業及び福祉事業を行うことができること、がある。
D × (法95条) 本肢の場合には、厚生労働大臣は、指定訪問看護事業者に係る指定を取り消すことができる。
E × (法63条1項、法99条、昭26.5.1保文発1346号) 被保険者の資格取得が適正である限り、被保険者資格取得前の疾病、負傷に対しても、療養の給付及び傷病手当金が支給される。
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step3 コメント
・択一式の健康保険法の問2は、正解肢であるBの内容を知っていればすぐに正解できるものの、難易度が高かったため、AやEに解答してしまった方が多かったようです。
明日もがんばりましょう。
2020年12月26日
統計数値の問題は択一式・選択式のどちらにも出題され、出題頻度が増してきていることや、合否に直接、影響を与える問題となることも多いことからも、重要度が増してきています。
これは、単に手続きができる社労士ではなく、広い視野で厚生労働行政に関心を持って業務にまい進できる社労士を求めているからだと思われます。
統計数値については、本試験の直前期に一気に学習をする方が多いと思いますが、やることが多い時期に苦手な統計数値を押さえること(時間と労力)に抵抗がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そうはいっても、日ごろから厚生労働行政を確認していくことも難しく、また、新聞やテレビ等で報道されるニュースを目にしても、大事なこと(試験に出題される内容)かどうかもわからず、聞き流してしまう・・・そんなところでしょう。
また、過去問題集を使って押さえていこう(問題を解いて覚える)と思っても、掲載されているのは出題当時の内容ですから、今年に当てはまっているかどうかの判断がつきません。
下手に今年とは違う数値を覚えるのはよくないと思えば、むしろ過去問題集の統計数値の部分はやらない方がよいのではないかと考えるのが普通です。
そこで日ごろから接していくことで苦手意識をなくし、一気に覚えなければならないリスクを軽減するために、ランチタイム・スタディで統計数値を取り上げることにしました。
昨年も実施しましたが、更にバージョンアップして、最新の数値でお伝えします。
まずは押さえるべきポイントを項目ごとに掲載していきます。
その後に、過去問や練習問題を掲載していきます。
ただ、開始序盤は、まだ最新の統計数値が公表されていないものもありますので、必ずしも系統だった順番で掲載できるとは限りません。
過去問で取り上げている統計数値の各問題については、適宜、問題の調整を行い、出題当時の問題文を今でも使えるものはそのまま取り上げ、数字等の内容を変更すべきところは変更し、できるだけ5択で出題していきます。
なお、ランチタイム・スタディは、お昼休みを使って無理なく気軽に学習できるよう、平日の11時半にアップする予定です。
ただし、過去問を焼き直すのにかなり時間を要する場合があり(調べるのにかなりの時間を要する場合があり)、アップ時間が遅くなってしまうことも考えられますのでご了承ください。
今回は、土・日・祝日はお休みです。
まずは、始めてみてください。
それでは、新年1月4日(月)からスタートしますので、お楽しみに!

87問目は、択一式の健康保険法です。
正答率20%の問題で、難問です。
※難問とは、合格者でも正答率が50%を割ってしまっている問題を指します。
<問題( 択一式 健保 問1 )>
〔問〕 健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
A 全国健康保険協会は、被保険者の保険料に関して必要があると認めるときは、事業主に対し、文書その他の物件の提出若しくは提示を命じ、又は当該協会の職員をして事業所に立ち入って関係者に質問し、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
B 被保険者が同一疾病について1年6か月間傷病手当金の支給を受けたが疾病が治癒せず、その療養のため労務に服することができず収入の途がない場合であっても、被保険者である間は保険料を負担する義務を負わなければならない。
C 患者申出療養の申出は、厚生労働大臣が定めるところにより、厚生労働大臣に対し、当該申出に係る療養を行う医療法第4条の3に規定する臨床研究中核病院(保険医療機関であるものに限る。)の開設者の意見書その他必要な書類を添えて行う。
D 特定適用事業所に使用される短時間労働者の被保険者資格の取得の要件である「1週間の所定労働時間が20時間以上であること」の算定において、短時間労働者の所定労働時間が1か月の単位で定められ、特定の月の所定労働時間が例外的に長く又は短く定められているときは、当該特定の月以外の通常の月の所定労働時間を12分の52で除して得た時間を1週間の所定労働時間とする。
E 地域型健康保険組合は、不均一の一般保険料率に係る厚生労働大臣の認可を受けようとするときは、合併前の健康保険組合を単位として不均一の一般保険料率を設定することとし、当該一般保険料率並びにこれを適用すべき被保険者の要件及び期間について、当該地域型健康保険組合の組合会において組合会議員の定数の3分の2以上の多数により議決しなければならない。
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step1 正解は・・・
A
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step2 解説
A × (法198条1項) 被保険者の保険料に関して必要があると認めるとき、事業主に対し、文書その他の物件の提出若しくは提示を命じ、又は当該「職員」をして事業所に立ち入って関係者に質問し、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができるのは、「厚生労働大臣」である。
B 〇 (法158条、法159条、法159条の3、昭2.8.18保理2664号) 健康保険の保険料が免除されるのは、刑事施設等に拘禁された場合や育児休業等期間中及び産前産後休業期間中であり、本肢の期間中については保険料は免除されない。
C 〇 (法63条4項) 本肢のとおりである。なお、厚生労働大臣は、本肢の申出に係る療養を患者申出療養として定めることとした場合には、その旨を当該申出を行った者に速やかに通知するものとされている。
D 〇 (法3条1項9号、平28.5.13保保発0513第2号) 本肢のとおりである。なお、1週間の所定労働時間とは、就業規則、雇用契約書等により、その者が通常の週に勤務すべきこととされている時間をいうが、この場合の「通常の週」とは、祝祭日及びその振替休日、年末年始の休日、夏季休暇等の特別休日(週休日その他概ね1か月以内の期間を周期として規則的に与えられる休日以外の休日)を含まない週をいう。
E 〇 (法附則3条の2第1項、令25条の2) 本肢のとおりである。地域型健康保険組合は、合併が行われた日の属する年度及びこれに続く5箇年度に限り、1,000分の30から1,000分の130までの範囲内において、不均一の一般保険料率を決定することができる。
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step3 コメント
・択一式の健康保険法の問1は、A、C及びDの難易度が比較的高く、自信を持って正解できた人は少ないように見受けられます。
明日もがんばりましょう。