2020年10月

2020年10月31日

「ランチタイム・スタディ 2020本試験」の第31問です。

31問目は、択一式の労災保険法です。

正答率72%の問題です。



<問題( 択一式 労災 問7 )>

〔問〕 労災保険の特別支給金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 労災保険特別支給金支給規則第6条第1項に定める特別支給金の額の算定に用いる算定基礎年額は、負傷又は発病の日以前1年間(雇入後1年に満たない者については、雇入後の期間)に当該労働者に対して支払われた特別給与(労働基準法第12条第4項の3か月を超える期間ごとに支払われる賃金をいう。)の総額とするのが原則であるが、いわゆるスライド率(労災保険法第8条の3第1項第2号の厚生労働大臣が定める率)が適用される場合でも、算定基礎年額が150万円を超えることはない。

B 特別支給金の支給の申請は、原則として、関連する保険給付の支給の請求と同時に行うこととなるが、傷病特別支給金、傷病特別年金の申請については、当分の間、休業特別支給金の支給の申請の際に特別給与の総額についての届出を行っていない者を除き、傷病補償年金、複数事業労働者傷病年金又は傷病年金の支給の決定を受けた者は、傷病特別支給金、傷病特別年金の申請を行ったものとして取り扱う。

C 第三者の不法行為によって業務上負傷し、その第三者から同一の事由について損害賠償を受けていても、特別支給金は支給申請に基づき支給され、調整されることはない。

D 休業特別支給金の支給は、社会復帰促進等事業として行われているものであることから、その申請は支給の対象となる日の翌日から起算して5年以内に行うこととされている。

E 労災保険法による障害補償年金、傷病補償年金、遺族補償年金を受ける者が、同一の事由により厚生年金保険法の規定による障害厚生年金、遺族厚生年金等を受けることとなり、労災保険からの支給額が減額される場合でも、障害特別年金、傷病特別年金、遺族特別年金は減額されない。



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step1 正解は・・・



D
   


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step2 解説

A 〇 (特支則6条1項、4項) 本肢のとおりである。算定基礎年額は、①負傷又は発病の日以前1年間に支払われた特別給与の額、②給付基礎日額に365日を乗じて得た額の20%、③150万円のうち、最も低い額とされるため、150万円を超えることはない。

B 〇 (特支則5条の2、昭56.6.27基発393号) 本肢のとおりである。傷病特別支給金及び傷病特別年金については、保険給付たる傷病(補償)等年金が政府の職権により支給決定がされるため、特別支給金の申請は独自に行うことになる。そこで、当分の間、事務処理の便宜を考慮し、傷病補償年金等の支給の決定を受けた者は、傷病特別支給金及び傷病特別年金の申請を行ったものとして取り扱って差し支えないとされている。

C 〇 (特支則20条、法12条の4) 本肢のとおりである。特別支給金については、労災保険法12条の4の規定は準用されないため、第三者行為災害による損害賠償との調整は行われない。

D × (特支則3条6項) 休業特別支給金の支給の申請は、休業特別支給金の支給の対象となる日の翌日から起算して「2年以内」に行わなければならない。

E 〇 (特支則20条、法別表1第1号~3号) 本肢のとおりである。労災保険の保険給付は、同一の事由について社会保険の年金給付が支給されるときは、その額に政令で定める率を乗じて減額調整されるが、特別支給金は、社会復帰促進等事業のうち、被災労働者等援護事業として支給されるものであり、損害のてん補の意義を持つものとはいえないため、損害賠償との調整は行われない。



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step3 コメント

・択一式の労災保険法の問7は、特別支給金に関する問題でした。特別支給金は保険給付の時効に代わり申請期間が定められており、この申請期間を過ぎると申請は受理されないこととなりますが、正解肢のDについては、この申請期間を問う問題でした。休業特別支給金の申請期間は2年ですが、他の傷病特別支給金、障害特別支給金、遺族特別支給金、ボーナス特別支給金については5年と定められており、それさえ理解していれば、他の肢に惑わされることなく正解できる問題です。



明日もがんばりましょう。




令和2年就労条件総合調査」が昨日、発表されました。
就労条件総合調査は、本試験でも頻繁に出題される調査です。

この中で、特に関心が高い調査項目が、年次有給休暇取得率です。

平成31年・令和元年(又は平成30会計年度)1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数は除く。)は、労働者1人平均18.0日、そのうち労働者が取得した日数は10.1日で、取得率は56.3%となっている。(文面抜粋)

なお、今回、男性・女性、すべての企業規模平均も、取得率は50%を上回っていますが、年次有給休暇の強制付与がなされている割には、伸び率が少ないような気がします。

19年の有休取得率56.3% 過去最高も目標遠く(時事通信社)



2020年10月30日

令和2年版過労死等防止対策白書」が本日10月30日、公表されました。

~過労死等の実態把握のために行った、労災認定事案や疫学研究の分析などについて報告~


 政府は、本日、過労死等防止対策推進法に基づき、「令和元年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」(令和2年版過労死等防止対策白書)を閣議決定しました。
 
 「過労死等防止対策白書」は、過労死等防止対策推進法の第6条に基づき、国会に毎年報告を行う年次報告書です。5回目となる今回の白書のポイントは以下のとおりです。

「令和2年版 過労死等防止対策白書」の主なポイント
1. 過労死等の実態把握のための調査研究として行った、労災認定事案の分析、企業の労働者等に対するアンケート調査結果、疫学研究等の分析について報告。
2. 長時間労働の削減やメンタルヘルス対策、国民に対する啓発、民間団体の活動に対する支援など、昨年度の取組を中心とした労働行政機関などの施策の状況について詳細に報告。
3. 企業や民間団体などでのメンタルヘルス対策や勤務間インターバル制度の導入など、過労死等防止対策のための取組事例をコラムとして多く紹介。
 
※「過労死等」とは
(1)業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡
(2)業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
(3)死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害 


[参考] 精神疾患で自殺、発症後「29日以下」が51%…過労死白書(読売新聞)



「ランチタイム・スタディ 2020本試験」の第30問です。

30問目は、択一式の雇用保険法です。

正答率73%の問題です。



<問題( 択一式 雇用 問5 )>

〔問〕 給付制限に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 日雇労働被保険者が公共職業安定所の紹介した業務に就くことを拒否した場合において、当該業務に係る事業所が同盟罷業又は作業所閉鎖の行われている事業所である場合、日雇労働求職者給付金の給付制限を受けない。

B 不正な行為により基本手当の支給を受けようとしたことを理由として基本手当の支給停止処分を受けた場合であっても、その後再就職し新たに受給資格を取得したときには、当該新たに取得した受給資格に基づく基本手当を受けることができる。

C 公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けることを拒んだことにより基本手当の支給停止処分を受けた受給資格者が、当該給付制限期間中に早期に就業を開始する場合には、他の要件を満たす限り就業手当を受けることができる。

D 不正な行為により育児休業給付金の支給を受けたとして育児休業給付金に係る支給停止処分を受けた受給資格者は、新たに育児休業給付金の支給要件を満たしたとしても、新たな受給資格に係る育児休業給付金を受けることができない。

E 偽りその他不正の行為により高年齢雇用継続基本給付金の給付制限を受けた者は、当該被保険者がその後離職した場合に当初の不正の行為を理由とした基本手当の給付制限を受けない。



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step1 正解は・・・



D
   


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step2 解説

A 〇 (法52条1項) 本肢のとおりである。争議中の事業所など、職業安定法20条の規定に該当する事業所に紹介されたときは、給付制限を受けないものとされている。

B 〇 (法34条2項) 本肢のとおりである。本肢の支給停止処分は、新たな受給資格に基づく基本手当には及ばないこととされている。

C 〇 (法56条の3第1項、行政手引57003) 本肢のとおりである。法32条又は法33条の給付制限期間中の受給資格者は、早期に就業を開始することにより、給付制限期間中であっても就業手当を受給できる。なお、就業手当受給後、当該給付制限期間中に再び離職した場合であっても給付制限が解除されるわけではないので、就業していない日について、当該給付制限期間中は基本手当の支給は行わない。

D × (法61条の8第2項) 不正な行為により育児休業給付金の支給を受けたとして育児休業給付金に係る支給停止処分を受けた受給資格者であっても、新たに育児休業を開始し、育児休業給付金の支給を受けることができる者となった場合には、当該休業に係る育児休業給付金が「支給される」。

E 〇 (法61条の3) 本肢のとおりである。偽りその他不正の行為により高年齢雇用継続基本給付金の支給を受け、又は受けようとした者には、当該給付の支給を受け、又は受けようとした日以後、高年齢雇用継続基本給付金は支給されないが、当該被保険者がその後離職した場合における基本手当の支給については、給付制限は行われない。



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step3 コメント

・択一式の雇用保険法の問5は、給付制限に関する問題でした。AとBは正しいことがわかったとしても、Cの難易度が高かったように思われますので、C~Eで判断に迷った方がいることと思われます。



明日もがんばりましょう。




2020年10月29日

「ランチタイム・スタディ 2020本試験」の第29問です。

29問目は、択一式の社会保険一般常識です。

正答率74%の問題です。



<問題( 択一式 社一 問7 )>

〔問〕 船員保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 育児休業等をしている被保険者(産前産後休業による保険料免除の適用を受けている被保険者を除く。)を使用する船舶所有者が、厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣に申出をしたときは、その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日の属する月の前月までの期間、当該被保険者に関する保険料は徴収されない。

B 遺族年金を受けることができる遺族の範囲は、被保険者又は被保険者であった者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものである。なお、年齢に関する要件など所定の要件は満たしているものとする。

C 被保険者又は被保険者であった者が被保険者の資格を喪失する前に発した職務外の事由による疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき療養のため職務に服することができないときは、その職務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から職務に服することができない期間、傷病手当金を支給する。

D 障害年金及び遺族年金の支給は、支給すべき事由が生じた月の翌月から始め、支給を受ける権利が消滅した月で終わるものとする。

E 被保険者が職務上の事由により行方不明となったときは、その期間、被扶養者に対し、行方不明手当金を支給する。ただし、行方不明の期間が1か月未満であるときは、この限りでない。



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step1 正解は・・・



C
   


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step2 解説

A 〇 (法118条) 本肢のとおりである。なお、育児休業期間中の被保険者に係る保険料の徴収の特例の申出は、所定事項を記載した申出書を日本年金機構に提出することによって行うものとされている。

B 〇 (法35条1項) 本肢のとおりである。なお、遺族年金を受けるべき遺族の順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹の順序である。

C × (法69条1項) 船員保険法の傷病手当金については、3日間の待期は必要とされない。したがって、「職務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日」ではなく「職務に服することができなくなった日」から支給される。

D 〇 (法41条1項) 本肢のとおりである。

E 〇 (法93条) 本肢のとおりである。



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step3 コメント

・択一式の社会保険一般常識の問7は、珍しく船員保険法から丸々1問が出題されました。社一の該当法令の中では、どちらかというとマイナーな法令になりますので、対策が遅れがちな面があると思われます。船員保険法は、健康保険法との比較で押さえておくことが肝心ですが、Cはその点では、明確な違いと認識しているところでもありますので、比較的よく出来ていたといえます。



明日もがんばりましょう。