2019年12月
2019年12月23日
「ランチタイム・スタディ」の主旨については、9月23日の佐藤塾ブログの『「ランチタイム・スタディ2019本試験」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。
さて、57問目は、択一式の労働保険徴収法です。
正答率53%&合否を分けた問題です。
※「合否を分けた問題」とは、「合格者だけの正答率」と「全体の正答率(ただし、全体正答率65%未満)」とで、13%以上差が開いた問題で、2019年本試験択一式70問中、全部で15問あります。
<問題( 択一式 徴収 雇問10 )>
〔問〕 労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 事業主は、被保険者が負担すべき労働保険料相当額を被保険者に支払う賃金から控除できるが、日雇労働被保険者の賃金から控除できるのは、当該日雇労働被保険者が負担すべき一般保険料の額に限られており、印紙保険料に係る額については部分的にも控除してはならない。
B 行政庁の職員が、確定保険料の申告内容に疑いがある事業主に対して立入検査を行う際に、当該事業主が立入検査を拒み、これを妨害した場合、30万円以下の罰金刑に処せられるが懲役刑に処せられることはない。
C 労働保険徴収法第2条第2項の賃金に算入すべき通貨以外のもので支払われる賃金の範囲は、労働保険徴収法施行規則第3条により「食事、被服及び住居の利益のほか、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長の定めるところによる」とされている。
D 行政庁は、厚生労働省令で定めるところにより、労働保険の保険関係が成立している事業主又は労働保険事務組合に対して、労働保険徴収法の施行に関して出頭を命ずることができるが、過去に労働保険事務組合であった団体に対しては命ずることができない。
E 事業主は、あらかじめ代理人を選任した場合であっても、労働保険徴収法施行規則によって事業主が行わなければならない事項については、その代理人に行わせることができない。
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step1 正解は・・・
C
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step2 解説
A ✕ (則60条1項) 事業主は、日雇労働被保険者にあっては、印紙保険料の額の2分の1の額に相当する額を賃金から控除することが「できる」。
B ✕ (法46条) 本肢の場合には、「6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金」に処せられる。
C 〇 (法2条2項、則3条) 本肢のとおりである。なお、賃金のうち通貨以外のもので支払われるものの評価に関し必要な事項は、厚生労働大臣が定めるものとされている。
D ✕ (法42条) 行政庁は、厚生労働省令で定めるところにより、保険関係が成立し、若しくは成立していた事業の事業主又は労働保険事務組合若しくは「労働保険事務組合であつた団体」に対して、この法律の施行に関し必要な報告、文書の提出又は出頭を命ずることができる。
E ✕ (則73条1項) 事業主は、あらかじめ代理人を選任した場合には、この省令によって事業主が行なわなければならない事項を、その代理人に行なわせることができる。
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step3 コメント
・択一式の労働保険徴収法の雇用問10は、Bが罰則であり、やや難解であるものの、正解肢のCは基本事項でしたので、ここは正解したいところです。
明日もがんばりましょう。
2019年12月20日
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さて、56目は、択一式の健康保険法です。
正答率56%の問題です。
<問題( 択一式 健保 問3 )>
〔問〕 健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
A 国に使用される被保険者であって、健康保険法の給付の種類及び程度以上である共済組合の組合員であるものに対しては、同法による保険給付を行わない。
B 保険料徴収の対象となる賞与とは、いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として3か月を超える期間ごとに支給されるものをいうが、6か月ごとに支給される通勤手当は、賞与ではなく報酬とされる。
C 保険者から一部負担金等の徴収猶予又は減免の措置を受けた被保険者が、その証明書を提出して保険医療機関で療養の給付を受けた場合、保険医療機関は徴収猶予又は減免された一部負担金等相当額については、審査支払機関に請求することとされている。
D 被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、保険医療機関等のうち自己の選定するものから、評価療養、患者申出療養又は選定療養を受けたときは、その療養に要した費用について、保険外併用療養費を支給する。保険外併用療養費の支給対象となる先進医療の実施に当たっては、先進医療ごとに、保険医療機関が別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合していることを地方厚生局長又は地方厚生支局長に届け出るものとされている。
E 高額介護合算療養費は、一部負担金等の額並びに介護保険の介護サービス利用者負担額及び介護予防サービス利用者負担額の合計額が著しく高額である場合に支給されるが、介護保険から高額医療合算介護サービス費又は高額医療合算介護予防サービス費が支給される場合には支給されない。
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step1 正解は・・・
E
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step2 解説
A 〇 (法200条1項・2項) 本肢のとおりである。共済組合の組合員は、同時に健康保険の被保険者でもあるが、健康保険法による保険給付は行われないため、保険料も徴収されない。
B 〇 (法3条6項、昭40.8.4庁保険発38号) 本肢のとおりである。通勤手当等については、その支給額の計算の基礎が月に対応するものであれば、支払回数が年4回未満となる場合であっても、「報酬」とされる。
C 〇 (法75条の2、平18.9.14保保発0914001号) 本肢のとおりである。保険者は、災害その他の厚生労働省令で定める特別の事情がある被保険者であって、一部負担金等を支払うことが困難であると認められるものに対し、一部負担金等の減免又は徴収猶予の措置を採ることができる。
D 〇 (法86条、平18.9.29保医発0929002号ほか) 本肢のとおりである。なお、保険医療機関は、保険外併用療養費の支給対象となる先進医療を行うにあたり、あらかじめ患者に対し、その内容及び費用に関して説明を行い、患者の自由な選択に基づき、文書によりその同意を得るものとされている。したがって、先進医療の内容を患者等に説明することが医療上好ましくないと認められる等の場合にあっては、保険外併用療養費の支給対象としないものとされている。
E ✕ (法115条の2第1項) 前段部分は正しいが、介護保険から高額医療合算介護サービス費又は高額医療合算介護予防サービス費が支給される場合であっても、高額介護合算療養費は支給される。
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step3 コメント
・択一式の健康保険法の問3は、A及びBは正しいことが比較的容易に判断できる内容ですが、CとEが難易度が高く、Dは正確に理解していないと正誤判断ができないため、解答に迷う人が多かったのではないでしょうか。
来週もがんばりましょう。
2019年12月19日
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さて、55問目は、択一式の労働保険徴収法です。
正答率57%&合否を分けた問題です。
※「合否を分けた問題」とは、「合格者だけの正答率」と「全体の正答率(ただし、全体正答率65%未満)」とで、13%以上差が開いた問題で、2019年本試験択一式70問中、全部で15問あります。
<問題( 択一式 徴収 雇問9 )>
〔問〕 労働保険事務組合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 金融業を主たる事業とする事業主であり、常時使用する労働者が50人を超える場合、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託することはできない。
B 労働保険事務組合は、労災保険に係る保険関係が成立している二元適用事業の事業主から労働保険事務の処理に係る委託があったときは、労働保険徴収法施行規則第64条に掲げられている事項を記載した届書を、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長を経由して都道府県労働局長に提出しなければならない。
C 労働保険事務組合は、定款に記載された事項に変更を生じた場合には、その変更があった日の翌日から起算して14日以内に、その旨を記載した届書を厚生労働大臣に提出しなければならない。
D 労働保険事務組合は、団体の構成員又は連合団体を構成する団体の構成員である事業主その他厚生労働省令で定める事業主(厚生労働省令で定める数を超える数の労働者を使用する事業主を除く。)の委託を受けて、労災保険の保険給付に関する請求の事務を行うことができる。
E 労働保険事務組合が、委託を受けている事業主から交付された追徴金を督促状の指定期限までに納付しなかったために発生した延滞金について、政府は当該労働保険事務組合と当該事業主の両者に対して同時に当該延滞金に関する処分を行うこととなっている。
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step1 正解は・・・
A
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step2 解説
A 〇 (法33条1項、則62条2項) 本肢のとおりである。常時300人(金融業若しくは保険業、不動産業又は小売業を主たる事業とする事業主については50人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)を超える数の労働者を使用する事業主は、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託することはできない。
B ✕ (則64条1項、則78条3項、整備省令13条2項) 労災保険二元適用事業に係るものにあっては、「所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長」ではなく、「所轄労働基準監督署長」を経由して都道府県労働局長に提出しなければならない。
C ✕ (則65条) 労働保険事務組合は、定款に記載された事項に変更を生じた場合には、その変更があった日の翌日から起算して14日以内に、その旨を記載した届書を「その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長」に提出しなければならない。
D ✕ (法33条1項、平12.3.31発労徴31号) 労働保険事務組合は、労災保険の保険給付に関する請求を行うことは「できいない」。なお、雇用保険の保険給付の請求、雇用保険二事業に係る事務手続き及び印紙保険料に関する事項についても、行うことができない。
E ✕ (法35条2項) 政府が追徴金又は延滞金を徴収する場合において、その徴収について労働保険事務組合の責めに帰すべき理由があるときは、その限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責任を負うため、「労働保険事務組合と当該事業主の両者に対して同時」に延滞金の処分は行われない。また、「追徴金」については、指定された期限までに納付しない場合であっても、延滞金は徴収されない。
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step3 コメント
・択一式の労働保険徴収法の雇用問9は、労働保険事務組合に関する問題でした。正解肢のAが基本事項ですので、ここは確実に得点をしたい問題です。
明日もがんばりましょう。
2019年12月18日
「ランチタイム・スタディ」の主旨については、9月23日の佐藤塾ブログの『「ランチタイム・スタディ2019本試験」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。
さて、54問目は、択一式の労働保険徴収法です。
正答率58%の問題です。
<問題( 択一式 徴収 災問8 )>
〔問〕 労働保険の保険料に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 労働保険徴収法第10条において政府が徴収する労働保険料として定められているものは、一般保険料、第1種特別加入保険料、第2種特別加入保険料、第3種特別加入保険料及び印紙保険料の計5種類である。
B 一般保険料の額は、原則として、賃金総額に一般保険料率を乗じて算出されるが、労災保険及び雇用保険に係る保険関係が成立している事業にあっては、労災保険率、雇用保険率及び事務経費率を加えた率がこの一般保険料率になる。
C 賃金総額の特例が認められている請負による建設の事業においては、請負金額に労務費率を乗じて得た額が賃金総額となるが、ここにいう請負金額とは、いわゆる請負代金の額そのものをいい、注文者等から支給又は貸与を受けた工事用物の価額等は含まれない。
D 継続事業で特別加入者がいない場合の概算保険料は、その保険年度に使用するすべての労働者(保険年度の中途に保険関係が成立したものについては、当該保険関係が成立した日からその保険年度の末日までに使用するすべての労働者)に係る賃金総額(その額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。以下本肢において同じ。)の見込額が、直前の保険年度の賃金総額の100分の50以上100分の200以下である場合は、直前の保険年度に使用したすべての労働者に係る賃金総額に当該事業についての一般保険料に係る保険料率を乗じて算定する。
E 政府は、厚生労働省令で定めるところにより、事業主の申請に基づき、その者が労働保険徴収法第15条の規定により納付すべき概算保険料を延納させることができるが、有期事業以外の事業にあっては、当該保険年度において9月1日以降に保険関係が成立した事業はその対象から除かれる。
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step1 正解は・・・
D
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step2 解説
A ✕ (法10条2項) 労働保険料は「5種類」でなく、一般保険料、第1種特別加入保険料、第2種特別加入保険料、第3種特別加入保険料、印紙保険料及び特例納付保険料の「6種類」である。
B ✕ (法11条1項、法12条1項) 労災保険及び雇用保険に係る保険関係が成立している事業にあっては、「労災保険率と雇用保険率」とを加えた率が一般保険料率となる。
C ✕ (法11条、則13条2項) 「請負金額」とは、法所定の方法により算定した金額であり、いわゆる「請負代金」とは必ずしも一致しない。事業主が注文者その他の者からその事業に使用する物の支給を受け、又は機械器具等の貸与を受けた場合には、支給された物の価額に相当する額又は機械器具等の損料に相当する額(工事用物の価額等)を請負代金の額に加算するとされている。したがって、当該工事用物の価額等は、請負金額に含まれる。
D 〇 (法15条1項、則24条1項、則11条) 本肢のとおりである。
E ✕ (法18条、則27条) 前段部分は正しいが、有期事業以外の事業(継続事業)にあっては、当該保険年度において、「10月1日」以降に保険関係が成立したものは、延納の対象から除かれる。
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step3 コメント
・択一式の労働保険徴収法の労災問8は、労働保険の保険料に関する問題でした。A、Bはうっかりひっかからないようにしたい問題で、Eは普通に誤りだとわかると思います。Cの難易度が高かったものの、Dが正しいことがわかれば得点できる問題といえます。
明日もがんばりましょう。
2019年12月17日
「ランチタイム・スタディ」の主旨については、9月23日の佐藤塾ブログの『「ランチタイム・スタディ2019本試験」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。
さて、53問目は、選択式の労働基準法です。
正答率92&59%の問題です。
※選択式労基A=92%、B=59%(Aは正答率がBより高いものの同じカテゴリーですので、Bの正答率に合わせここで掲載しています。)
<問題( 選択式 労基 AB )>
最高裁判所は、使用者がその責めに帰すべき事由による解雇期間中の賃金を労働者に支払う場合における、労働者が解雇期間中、他の職に就いて得た利益額の控除が問題となった事件において、次のように判示した。
「使用者の責めに帰すべき事由によつて解雇された労働者が解雇期間中に他の職に就いて利益を得たときは、使用者は、右労働者に解雇期間中の賃金を支払うに当たり右利益(以下「中間利益」という。)の額を賃金額から控除することができるが、右賃金額のうち労働基準法12条1項所定の A の6割に達するまでの部分については利益控除の対象とすることが禁止されているものと解するのが相当である」「使用者が労働者に対して有する解雇期間中の賃金支払債務のうち A 額の6割を超える部分から当該賃金の B 内に得た中間利益の額を控除することは許されるものと解すべきであり、右利益の額が A 額の4割を超える場合には、更に A 算定の基礎に算入されない賃金(労働基準法12条4項所定の賃金)の全額を対象として利益額を控除することが許されるものと解せられる」
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step1 次の選択肢の中から答を選んでください。
Aの選択肢
⑧ 勤務時間数に応じた賃金 ⑬ 諸手当を含む総賃金
⑯ 特定最低賃金 ⑰ 平均賃金
Bの選択肢
⑩ 支給対象期間から2年を超えない期間
⑪ 支給対象期間から5年を超えない期間
⑫ 支給対象期間と時期的に対応する期間
⑭ 全支給対象期間
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step2 正解は・・・
A → ⑰ 平均賃金 (昭62.4.2最高裁第一小法廷判決あけぼのタクシー事件)
B → ⑫ 支給対象期間と時期的に対応する期間 (昭62.4.2最高裁第一小法廷判決あけぼのタクシー事件)
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step3 コメント
・選択式の労働基準法のA及びBは、最高裁判例「あけぼのタクシー事件」からの出題でした。平成21年択一式、平成23年選択式でも出題されており、過去問対策が十分であった受験生は正解できたと思われます。
明日もがんばりましょう。