2019年10月

2019年10月31日

「令和元年版労働経済白書」が、本日(10月31日)、書店で発売されました。


白書表紙




タイトルは、
人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について
です。



「はじめに」を記載しておきます。

はじめに

我が国の経済は、度重なる自然災害や、通商問題の動向及び中国経済の先行き等に関する不確実性等の影響があったものの、企業収益や雇用・所得環境が改善し、設備投資や個人消費が 持ち直しの動きを示す中、緩やかに回復している。

そのような経済情勢の中、雇用情勢につい ては、完全失業率は2018年度平均で2.4%と1992年度以来26年ぶりの低水準、有効求人倍率 は2018年度平均で1.62倍と1973年度以来45年ぶりの高水準となるなど着実に改善が続いている。

また、雇用者数は増加しており、雇用形態別にみると、不本意非正規雇用労働者数は減少を続け、正規雇用労働者数が4年連続で増加している。

就業者数も6年連続で増加するなど、 女性や高齢者等の労働参加が進んだ結果、労働力率は上昇傾向にある。

さらに、名目賃金は引き続き増加している。

「令和元年版 労働経済の分析」では、第Ⅰ部「労働経済の推移と特徴」において、こうした 2018年度の労働経済をめぐる動向を分析するとともに、第Ⅱ部では「人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について」と題して、人手不足下における「働き方」の在り方について、 「働きやすさ」と「働きがい」の観点から分析を行っている。

我が国では、景気や雇用情勢が改善し、就業者数が増加を続けているものの、2008年をピークに人口減少局面に入っており、 将来的にも生産年齢人口や就業者数の大幅な減少が予想されている。

こうした中で人手不足感が高まるとともに、実体経済にも影響を与える人手不足の問題が顕在化し、職場における働きやすさや働きがいに負の影響を与えている可能性もある。

こうした懸念を払拭するためには、 高齢者も若者も、女性も男性も、誰もが活躍できる一億総活躍社会の実現に向けた取組が重要 であり、そのためには働く方の視点に立って、一人ひとりの意思や能力、個々の抱える事情に応じた多様で柔軟な働き方を選択できるよう「働き方改革」を進めていく必要がある。

その上で、よりよい「働き方」を実現することで、仕事のパフォーマンスを向上させながら、就労を望む誰もが安心していきいきと働き続けられる環境整備を推進し、これが我が国企業にとっての成長、ひいては、日本経済のさらなる発展に結びついていくことが望ましい。

第Ⅱ部第1章「我が国を取り巻く人手不足等の現状」では、我が国が直面している人手不足の現状や今後の展望について様々な観点から特徴を整理するとともに、人手不足の緩和に向けた企業の取組状況、人手不足が企業経営や働く方の職場環境に与える影響を概観している。

その中で、第2章以降に行う検討の視座として、雇用管理の改善等による「働きやすさ」や「働きがい」の向上を通じて、従業員の定着率の改善や離職率の低下を図り、人手不足の緩和に資するような取組の重要性について指摘した。

第Ⅱ部第2章「就労を望む誰もが安心して働き続けられる「働きやすさ」の実現に向けて」 では、職場環境の「働きやすさ」の現状やその要因を明らかにし、雇用管理やワーク・ライ フ・バランスに資する取組が「働きやすさ」を向上させる効果について分析するとともに、こ れらの取組が従業員の離職率、新入社員の定着率、求人募集の充足率など、人手不足に関係す る指標に与える影響について考察する。

第Ⅱ部第3章「「働きがい」をもって働くことのできる環境の実現に向けて」では、「ワーク・ エンゲイジメント」という概念を活用しながら、我が国における「働きがい」をめぐる現状について明らかにするとともに、「働きがい」を向上させることで得られる可能性のある効果や、「働きがい」を向上させる可能性のある企業の雇用管理・人材育成の取組内容等について考察した。




なお、ブログで白書の発売を取り上げたのは、「白書を購入して読み込まなければいけない」という意味ではありません。
掲載されている内容を吟味し、要旨を要約し、抜粋・集約したものが、白書テキストの一部になりますから、白書・統計数値対策講座で学習していただければ試験対策としては十分です。

できれば、今後、少しずつ読み解いていって、本文の要約をみなさんにご紹介していければと思っています。

なお、令和元年版厚生労働白書の発売はまだで、発売時期も定まっていません。



「ランチタイム・スタディ」の第21問です。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、9月23日の佐藤塾ブログの
『「ランチタイム・スタディ2019本試験」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。

さて、21問目は、択一式の厚生年金保険法です。

正答率76%の問題です。



<問題( 択一式 厚年 問1 )>

〔問〕 厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 昭和36年4月2日以後生まれの男性である第1号厚生年金被保険者(坑内員たる被保険者であった期間及び船員たる被保険者であった期間を有しないものとする。)は特別支給の老齢厚生年金の支給対象にはならないが、所定の要件を満たす特定警察職員等は昭和36年4月2日以後生まれであっても昭和42年4月1日以前生まれであれば、男女を問わず特別支給の老齢厚生年金の支給対象になる。

B 厚生年金保険法第86条第2項の規定により厚生労働大臣が保険料の滞納者に対して督促をしたときは、保険料額に所定の割合を乗じて計算した延滞金を徴収するが、当該保険料額が1,000円未満の場合には、延滞金を徴収しない。また、当該保険料額に所定の割合を乗じて計算した延滞金が100円未満であるときも、延滞金を徴収しない。

C 老齢厚生年金の額の計算において、受給権者がその権利を取得した月以後における被保険者であった期間は、その計算の基礎としないこととされているが、受給権取得後の受給権者の被保険者であった期間については、被保険者である受給権者がその被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとする。

D 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている場合であっても、1年以上の厚生年金保険の被保険者期間を有していない場合には、特別支給の老齢厚生年金の受給権は生じない。

E 平成26年4月1日以後に被保険者又は被保険者であった者が死亡し、その者の夫と子に遺族厚生年金の受給権が発生した。当該夫に対する当該遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、当該夫が国民年金法の規定による遺族基礎年金の受給権を有する場合でも、60歳に到達するまでの間、その支給を停止する。




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step1 正解は・・・



E
   


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step2 解説

A 〇 (法附則8条の2)  本肢のとおりである。特定警察職員等の支給開始年齢の引き上げは、男女を問わず、第1号厚生年金被保険者である男性と比べ6年遅れとされている。

B 〇 (法87条1項・4項)  本肢のとおりである。

C 〇 (法43条2項・3項)  本肢のとおりである。被保険者である受給権者がその被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、資格を喪失した日(事業所に使用されなくなったときは、その日)から起算して1月を経過した日の属する月から、年金額を改定する。

D 〇 (法附則8条)  本肢のとおりである。60歳台前半の老齢厚生年金については、厚生年金保険の被保険者期間が「1年以上」必要とされる。

E ✕ (法65条の2)  夫は、被保険者等の死亡の当時 55歳以上であれば受給権者となり得るが、60歳に達するまでは支給停止となる。ただし、夫が遺族基礎年金の受給権を有するときは、60歳に到達していなくても、遺族厚生年金は支給される。




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step3 コメント

・択一式の厚生年金保険法の問1は、AからDまでの肢は、さほど迷わず正しいであろうことがわかるレベルの問題でしたので、Eの知識があやふやであったとしても、正解できた人が多かったことと思われます。



明日もがんばりましょう。




2019年10月30日

「ランチタイム・スタディ」の第20問です。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、9月23日の佐藤塾ブログの
『「ランチタイム・スタディ2019本試験」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。

さて、20問目は、択一式の厚生年金保険法です。

正答率77%の問題です。



<問題( 択一式 厚年 問6 )>

〔問〕 厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 行方不明となった航空機に乗っていた被保険者の生死が3か月間わからない場合は、遺族厚生年金の支給に関する規定の適用については、当該航空機の到着予定日から3か月が経過した日に当該被保険者が死亡したものと推定される。

B 老齢厚生年金の受給権者の属する世帯の世帯主その他その世帯に属する者は、当該受給権者の所在が3か月以上明らかでないときは、速やかに、所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならないとされている。

C 被保険者は、老齢厚生年金の受給権者でない場合であっても、国会議員となったときは、速やかに、国会議員となった年月日等所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならないとされている。

D 障害等級1級又は2級の障害の状態にある障害厚生年金の受給権者は、当該障害厚生年金の加給年金額の対象者である配偶者が65歳に達したときは、10日以内に所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならないとされている。

E 被保険者が故意に障害を生ぜしめたときは、当該障害を支給事由とする障害厚生年金又は障害手当金は支給されない。また、被保険者が重大な過失により障害を生ぜしめたときは、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。




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step1 正解は・・・



E
   


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step2 解説

〔問 6〕 解 答 E
A ✕ (法59条の2) 航空機が行方不明となった際、現にその航空機に乗っていた被保険者の生死が3月間わからない場合には、航空機が「行方不明となった日」に、当該被保険者が死亡したものと推定される。

B ✕ (則40条の2) 老齢厚生年金の受給権者の属する世帯の世帯主その他その世帯に属する者は、当該受給権者の所在が「1月以上」明らかでないときは、速やかに、所定事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならない。

C ✕ (則32条の3第1項) 老齢厚生年金の受給権者が国会議員等となったときは、速やかに、所定事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならないが、老齢厚生年金の受給権者でない場合は、当該届出は不要である。

D ✕ (則46条) 障害厚生年金の受給権者の「加給年金額対象者不該当の届出」は、その事由が年齢到達による場合は、届出は必要ない。

E 〇 (法73条、法73条の2) 本肢のとおりである。




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step3 コメント

・択一式の厚生年金保険法の問6は、A、B及びDについては、誤りであることがすぐにわかる基本問題です。迷うとすればCになりますが、正解肢であるEは、給付制限の問題であり、必ず目を通しておかねばならない項目でもあるため、正解できた人が多かったようです。



明日もがんばりましょう。




2019年10月29日

「ランチタイム・スタディ」の第19問です。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、9月23日の佐藤塾ブログの
『「ランチタイム・スタディ2019本試験」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。


さて、19問目は、選択式の厚生年金保険法です。

正答率77%の問題です。



<問題( 選択式 厚年 C )>

政府は、財政の現況及び見通しを作成するに当たり、厚生年金保険事業の財政が、財政均衡期間の終了時に保険給付の支給に支障が生じないようにするために必要な積立金(年金特別会計の厚生年金勘定の積立金及び厚生年金保険法第79条の2に規定する実施機関積立金をいう。)を政府等が保有しつつ当該財政均衡期間にわたってその均衡を保つことができないと見込まれる場合には、 C  を調整するものとされている。




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step1 次の選択肢の中から答を選んでください。



⑨ 国庫負担金の額  ⑭ 積立金の額
⑲ 保険給付の額  ⑳ 保険料の額



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step2 正解は・・・


⑲ 保険給付の額 (法34条)

   

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step3 コメント


・選択式の厚生年金保険法のCは、保険給付の調整(マクロ経済スライド)からの出題でした。ここは、平成22年の択一式で出題されている箇所でしたので、過去問対策を施している方にとっては、割とあっさりと解答できたのではないかと思われます。


<参考(H22-6D)>
・政府は、厚生年金保険事業の財政の長期にわたる均衡を保つため、保険給付の額を調整することとし、当該調整期間の開始年度を政令により平成18年度と定めた。

⇒ ✕  (法34条1項、令2条) 設問の調整期間の開始年度は、「平成17年度」とされている。なお、調整期間とは、マクロ経済スライドの仕組みにより、年金給付の額を調整する期間をいう。



明日もがんばりましょう。




2019年10月28日

「ランチタイム・スタディ」の第18問です。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、9月23日の佐藤塾ブログの
『「ランチタイム・スタディ2019本試験」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。

さて、18問目は、択一式の労働者災害補償保険法です。

正答率78%の問題です。



<問題( 択一式 労災 問7 )>

〔問〕 政府が労災保険の適用事業に係る労働者及びその遺族について行う社会復帰促進等事業として誤っているものは、次のうちどれか。

A 被災労働者に係る葬祭料の給付

B 被災労働者の受ける介護の援護

C 被災労働者の遺族の就学の援護

D 被災労働者の遺族が必要とする資金の貸付けによる援護

E 業務災害の防止に関する活動に対する援助




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step1 正解は・・・



A
   


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step2 解説

A ✕ (法12条の8、法17条) 「被災労働者に係る葬祭料の給付」は、保険給付として支給されるものであり、社会復帰促進等事業として行われるわけではない。

B 〇 (法29条2項) 社会復帰促進等事業として行われる。「被災労働者の受ける介護の援護」は、被災労働者等援護事業に該当する。

C 〇 (法29条2項) 社会復帰促進等事業として行われる。「被災労働者の遺族の就学の援護」は、被災労働者等援護事業に該当する。

D 〇 (法29条2項) 社会復帰促進等事業として行われる。「被災労働者の遺族が必要とする資金の貸付けによる援護」は被災労働者等援護事業に該当する。

E 〇 (法29条3項) 「業務災害の防止に関する活動に対する援助」は、安全衛生確保・賃金支払確保事業に該当する。




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step3 コメント

・択一式の労災保険法の問7は、社会復帰促進等事業に関する問題でした。選択肢Aの「葬祭料の給付」は、給付とあるとおり、保険給付として支給されるものであり、たやすく正解できるはずです。



明日もがんばりましょう。