2018年02月

2018年02月16日

「ランチタイム・スタディ」の第92問です。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、10月1日の佐藤塾ブログの『「ランチタイム・スタディ2017」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。


さて、92問目は、択一式の労働一般常識です。

正答率19%の問題で、難問です。

※難問とは、合格者でも正答率が50%を割ってしまっている問題を指します。
※正答率が2割を切りました。



<問題( 択一式 労一 問1)>

〔問〕 労働契約法等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 労働契約法第2条第2項の「使用者」とは、「労働者」と相対する労働契約の締結当事者であり、「その使用する労働者に対して賃金を支払う者」をいうが、これは、労働基準法第10条の「使用者」と同義である。

B 「労働契約の内容である労働条件は、労働者と使用者との個別の合意によって変更することができるものであるが、就業規則に定められている労働条件に関する条項を労働者の不利益に変更する場合には、労働者と使用者との個別の合意によって変更することはできない。」とするのが、最高裁判所の判例である。

C 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、労働契約法第11条に定める就業規則の変更に係る手続を履行されていることは、労働契約の内容である労働条件が、変更後の就業規則に定めるところによるという法的効果を生じさせるための要件とされている。

D 従業員が職場で上司に対する暴行事件を起こしたことなどが就業規則所定の懲戒解雇事由に該当するとして、使用者が捜査機関による捜査の結果を待った上で当該事件から7年以上経過した後に諭旨退職処分を行った場合において、当該事件には目撃者が存在しており、捜査の結果を待たずとも使用者において処分を決めることが十分に可能であったこと、当該諭旨退職処分がされた時点で企業秩序維持の観点から重い懲戒処分を行うことを必要とするような状況はなかったことなど判示の事情の下では、当該諭旨退職処分は、権利の濫用として無効であるとするのが、最高裁判所の判例の趣旨である。

E 有期労働契約が反復して更新されたことにより、雇止めをすることが解雇と社会通念上同視できると認められる場合、又は労働者が有期労働契約の契約期間の満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由が認められる場合に、使用者が雇止めをすることが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、雇止めは認められず、この場合において、労働者が、当該使用者に対し、期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなされる。



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step1 正解は・・・


D


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step2 解説

A ☓ (労働契約法2条2項、平20.1.23基発0123004号) 労働契約法における使用者とは、労働者との間で労働契約を締結する当事者であり、個人事業にあっては事業主個人、法人にあっては法人そのものをいう。これは、労働基準法10条に規定する使用者のうち事業主に相当するものであり、「労働基準法の使用者よりも狭い概念」となる。

B ☓ (平28.2.19最高裁第二小法廷判決山梨県民信用組合事件) 労働契約の内容である労働条件は、労働者と使用者との個別の合意によって変更することができるものである。労働契約法9条では、「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。」と規定されていることから、裏を返せば、労働者の同意があれば就業規則の不利益変更は可能とされている。

C ☓ (労働契約法10条、同法11条、平24.8.10基発0810第2号) 労働基準法89条及び90条に規定する就業規則に関する手続は、労働契約法10条本文の法的効果を生じさせるための「要件ではない」。ただし、同条本文の合理性判断に際しては、就業規則の変更に係る諸事情が総合的に考慮されることから、使用者による労働基準法89条及び90条の遵守の状況は、合理性判断に際して考慮され得るものである。

D 〇 (平18.10.6最高裁第2小法廷判決ネスレ日本懲戒解雇事件) 本肢のとおりである。事件から7年以上経過した後になされた諭旨退職処分について、処分時点において企業秩序維持の観点からそのような重い懲戒処分を必要とする客観的合理性に欠けるとして無効とされた。

E  ☓ (労働契約法19条) 本肢の後段部分が誤りである。「労働者が、当該使用者に対し、期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなされる」ではなく、「労働者が有期労働契約の更新の申込みをしたとき又は有期労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなされる」である。についての一般保険料率を乗じて得た額とされ、各保険年度ごとに算定するものではない。



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step3 コメント

・択一式の労働一般常識の問1は、労働契約法等に関する問題でした。最高裁判例の問題2つを含んでいたこともあり、解答はA以外のすべてに散らばっていました。正解肢Dは、「ネスレ日本懲戒解雇事件」を学習していれば正解できたかもしれませんが、そうでない場合、A以外の他のどの選択肢も簡単には正誤を判断できず、むしろ正しいと思わせる記載内容であり、かなり難解な問題といえます。



来週もがんばりましょう。




2018年02月15日

「ランチタイム・スタディ」の第91問です。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、10月1日の佐藤塾ブログの『「ランチタイム・スタディ2017」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。


さて、91問目は、択一式の労働保険徴収法です。

正答率21%の問題で、難問です。

※難問とは、合格者でも正答率が50%を割ってしまっている問題を指します。
※正答率が約2割の問題です。



<問題( 択一式 徴収 雇問8)>

〔問〕 労働保険料の還付等に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア 事業主が、納付した概算保険料の額のうち確定保険料の額を超える額(イにおいて「超過額」という。)の還付を請求したときは、国税通則法の例にはよらず、還付加算金は支払われない。

イ 事業主による超過額の還付の請求がない場合であって、当該事業主から徴収すべき次の保険年度の概算保険料その他未納の労働保険料等があるときは、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、当該超過額を当該概算保険料等に充当することができるが、この場合、当該事業主による充当についての承認及び当該事業主への充当後の通知は要しない。

ウ 都道府県労働局歳入徴収官により認定決定された概算保険料の額及び確定保険料の額の通知は、納入告知書によって行われる。

エ 有期事業(一括有期事業を除く。)について、事業主が確定保険料として申告すべき労働保険料の額は、特別加入者がいない事業においては一般保険料の額となり、特別加入者がいる事業においては第1種又は第3種特別加入者がいることから、これらの者に係る特別加入保険料の額を一般保険料の額に加算した額となる。

オ 平成29年4月1日から2年間の有期事業(一括有期事業を除く。)の場合、概算保険料として納付すべき一般保険料の額は、各保険年度ごとに算定し、当該各保険年度に使用するすべての労働者に係る賃金総額の見込額の合計額に当該事業の一般保険料率を乗じて得た額となる。この場合、平成30年度の賃金総額の見込額については、平成29年度の賃金総額を使用することができる。

A 一つ
B 二つ
C 三つ
D 四つ
E 五つ



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step1 正解は・・・


D


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step2 解説

ア 〇 (法19条6項、国税通則法58条) 本肢のとおりである。納付した概算保険料の額のうち確定保険料の額を超える額の還付を請求した場合には、還付加算金は支払われない。

イ ☓ (法19条6項、則37条) 超過額を充当する場合には、事業主の承認は必要とされないが、充当を行ったときは、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、その旨を事業主に「通知しなければならない」。

ウ ☓ (法15条3項、則38条4項) 認定決定された概算保険料の額の通知は、「納付書」によって行われる。

エ ☓ (法19条2項) 前段部分は正しいが、特別加入者がいる有期事業については、第1種特別加入者に係る特別加入保険料の額を一般保険料の額に加算した額となる。有期事業には、海外派遣者の特別加入は認められていないため、第3種特別加入保険料の額を加算することはない。

オ ☓ (法15条2項) 有期事業(一括有期事業を除く)については、概算保険料として納付すべき一般保険料の額は、その事業の開始の日から終了の日までの全期間において使用するすべての労働者に係る賃金総額の見込額に、当該事業についての一般保険料率を乗じて得た額とされ、各保険年度ごとに算定するものではない。



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step3 コメント

・択一式の労働保険徴収法の雇用問8は、労働保険料の還付等に関する個数問題でした。一つ一つの肢の難易度はさほど高くありませんでしたが、個数問題であったため、正答率はかなり低くなりました。



明日もがんばりましょう。




2018年02月14日

「ランチタイム・スタディ」の第90問です。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、10月1日の佐藤塾ブログの『「ランチタイム・スタディ2017」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。


さて、90問目は、択一式の労働一般常識です。

正答率25%の問題で、難問です。

※難問とは、合格者でも正答率が50%を割ってしまっている問題を指します。
※正答率が4人に1人の問題です。



<問題( 択一式 労一 問5)>

〔問〕 我が国の高齢者に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問は、「平成28年版厚生労働白書(厚生労働省)」を参照しており、当該白書又は当該白書が引用している調査による用語及び統計等を利用している。

A 世帯主の年齢階級別に世帯人員1人当たりの平均所得額をみると、世帯主が65歳以上の世帯では全世帯の平均額を2割以上下回っている。

B 60歳以上の高齢者の自主的社会活動への参加状況をみると、何らかの自主的な活動に参加している高齢者の割合は、増加傾向を示している。

C 65歳以上の非正規の職員・従業員の雇用者について、現在の雇用形態についた主な理由(「その他」を除く。)をみると、「自分の都合のよい時間に働きたいから」が最も多く、次いで「家計の補助・学費等を得たいから」、「専門的な技能等をいかせるから」が続いている。

D 65歳以上の高齢者のいる世帯について、世帯構造別の構成割合の推移をみると、1986年時点で1割強であった単独世帯の構成割合は、その後、一貫して上昇し、2015年では全体の約4分の1が単独世帯となっており、夫婦のみ世帯と合わせると半数を超える状況となっている。

E 65歳以上の者の役員を除いた雇用者の雇用形態をみると、他の年齢層に比べて非正規の職員・従業員の割合がきわめて大きくなっており、2015年には全体の約4分の3を占めている。




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step1 正解は・・・


A


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step2 解説

A ☓ (平成28年版厚生労働白書) 世帯主の年齢階級別に1世帯当たりの平均所得金額を見てみると、世帯主が65歳以上の世帯では417.9万円と全世帯の541.9万円と比較して少ない。ただし、世帯人員1人当たりの平均所得額で見てみると、世帯主が65歳以上の世帯では192.4万円と全世帯の211万円と比較して大きくは変わらない。

B 〇 (平成28年版厚生労働白書) 本肢のとおりである。なお、具体的な活動について見てみると、「健康・スポーツ」、「趣味」、「地域行事」の順となっており、特に「健康・スポーツ」は年々増加している。

C 〇 (平成28年版厚生労働白書) 本肢のとおりである。65歳以上の非正規の職員・従業員の雇用者について、現在の雇用形態についた主な理由別にみると、「自分の都合のよい時間に働きたいから」が31.7%と最も高く、次いで「家計の補助・学費等を得たいから」が20.1%、「専門的な技能等をいかせるから」が14.9%などとなっている。

D 〇 (平成28年版厚生労働白書) 本肢のとおりである。

E 〇 (平成28年版厚生労働白書) 本肢のとおりである。



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step3 コメント

・択一式の労働一般常識の問5は、我が国の高齢者に関する「平成28年版厚生労働白書(厚生労働省)」からの問題でした。解答もBを除くC、D及びEにまんべんなく散らばっていて、解答を絞り込むのが困難だったことがうかがえます。正解となるAは、高齢化が進む中で、高齢者一人当たりの所得は、もはや現役世代一人当たりの所得と変わらない水準であることを指摘したかったものだと思われますが、同じような記述が平成29年版厚生労働白書にも記載されていますので要注意です。



明日もがんばりましょう。




2018年02月13日

「ランチタイム・スタディ」の第89問です。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、10月1日の佐藤塾ブログの『「ランチタイム・スタディ2017」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。


さて、87問目は、択一式の労働安全衛生法です。

正答率27%の問題で、難問です。

※難問とは、合格者でも正答率が50%を割ってしまっている問題を指します。
※正答率が3割を切りました。



<問題( 択一式 安衛 問10)>

〔問〕 労働安全衛生法第14条において作業主任者を選任すべきものとされている作業として、誤っているものは次のうちどれか。

A 木材加工用機械(丸のこ盤、帯のこ盤、かんな盤、面取り盤及びルーターに限るものとし、携帯用のものを除く。)を5台以上(当該機械のうちに自動送材車式帯のこ盤が含まれている場合には、3台以上)有する事業場において行う当該機械による作業

B 高さが2メートル以上のはい(倉庫、上屋又は土場に積み重ねられた荷(小麦、大豆、鉱石等のばら物の荷を除く。)の集団をいう。)のはい付け又ははい崩しの作業(荷役機械の運転者のみによって行われるものを除く。)

C つり足場(ゴンドラのつり足場を除く。)、張出し足場又は高さが5メートル以上の構造の足場の組立て、解体又は変更の作業

D 動力により駆動されるプレス機械を5台以上有する事業場において行う当該機械による作業

E 屋内において鋼材をアーク溶接する作業




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step1 正解は・・・


E


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step2 解説

A 〇 (法14条、令6条6号) 本肢のとおりである。

B 〇 (法14条、令6条12号) 本肢のとおりである。

C 〇 (法14条、令6条15号) 本肢のとおりである。

D 〇 (法14条、令6条7号) 本肢のとおりである。

E ☓ (法14条、令6条) アーク溶接作業については、作業主任者を選任すべき事業場とされていない。なお、アセチレン溶接装置又はガス集合溶接装置を用いて行う金属の溶接、溶断又は加熱の作業については、作業主任者の選任が義務付けられている(令6条2号)。



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step3 コメント

・択一式の労働安全衛生法の問10は、労働安全衛生法第14条における作業主任者を選任すべきものとされている作業に関する問題でした。作業の種類を覚えていないと解答できない難問で、合格者だけの正答率が全体正答率を下回っていることからも、本問は正解できないでよい問題といえます。このような問題は、時間をかけて考えても正解にたどりつくことは難しいため、見切りをつけて別の問題(特に見直し)に時間をかけたいところです。



明日もがんばりましょう。




2018年02月09日

「ランチタイム・スタディ」の第88問です。

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さて、88問目は、選択式の健康保険法です。

正答率30%の問題で、難問です。

※正答率が3割の問題です。



<問題( 選択式 健保 A )>

全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者に係る報酬額の算定において、事業主から提供される食事の経費の一部を被保険者が負担している場合、当該食事の経費については、厚生労働大臣が定める標準価額から本人負担分を控除したものを現物給与の価額として報酬に含めるが、 A を被保険者が負担している場合には報酬に含めない。



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step1 次の選択肢の中から答を選んでください。

⑥ 経費の2分の1以上
⑦ 経費の3分の2以上
⑭ 標準価額の2分の1以上
⑮ 標準価額の3分の2以上



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step2 正解は・・・



⑮ 標準価額の3分の2以上 (昭31.8.25保文発6425号)





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step3 コメント

・選択式の健康保険法のAは、現物給与の評価額に関する通達からの出題でした。実務的な規定が問われていることもあり、テキストの隅々まで目を通していないと対応できない問題でした。



来週もがんばりましょう。
次回のランチタイム・スタディは、2月12日(月)が祝日ですので、13日(火)からになります。