2017年10月

2017年10月26日

みなさんのお住まいの地域の最低賃金はいくらか、ご存じですか?

こんなポスターが池袋の地下鉄の改札を出た付近の壁に貼ってありました。


最低賃金東京都ポスター



東京都の最低賃金は、10月1日から、958円になったんですね。
26円アップは、結構大きいアップだと思います。
中小企業の経営者の悲鳴が聞こえてきそうです。

地域別最低賃金の改定は、都道府県によって日にちにばらつきがありますが、基本的には10月1日に行われます。

今回、どの都道府県も20円以上の引き上げが行われていますが、引き上げ後の地域差の最大を見てみると、221円になります。
(最高:東京=958円、最低:高知、佐賀、長崎、宮崎、熊本、大分、鹿児島、沖縄=737円、全国加重平均=848円)

地域によって生活費等の毎月の支出金額に差があるとはいえ、1時間当たり221円の差は随分大きいように感じますが、みなさんはどう思われますか。

1日8時間労働で月22日働くと、約4万円(38,896円)の差になります。
(221円×8時間×22日=38,896円)

給与が毎月約4万円も違うとなると、地方から都市部に住居を変えて仕事をしようと考える人が出てくるでしょうね。
その結果、地方の過疎化が進むことにもつながってしまうかもしれません。



----------<興味・関心こそが、社労士試験の第1歩>----------

[知っ得!情報]では、社労士受験に関連する施策等や、学習に関する小さな工夫等を取り上げます。
この項目は、試験とは直接関係ありませんので、読み飛ばしていただいて構いません。
ただ、興味・関心が高くなることで、モチベーションのアップにつながるかもしれないことや、幅広い情報を得ることで、今後、何かに役立つかもしれません。
冒頭は簡単なクイズまたは問いかけにしますので、日ごろの学習の頭休めとして活用することも可能です。



「ランチタイム・スタディ」の第18問です。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、10月1日の佐藤塾ブログの『「ランチタイム・スタディ2017」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。



さて、18問目は、選択式の厚生年金保険法です。

正答率83%の問題です。




<問題( 選択式 厚年 A )>

厚生年金保険法第80条第1項の規定により、国庫は、毎年度、厚生年金保険の実施者たる政府が負担する A に相当する額を負担する。



step1 選択肢を見ない状態で、答を紙に書いてみてください。
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step2 次の選択肢の中から答を選んでください。



⑦ 基礎年金拠出金の額の2分の1 
⑧ 基礎年金拠出金の額の3分の1
⑨ 事務の執行に要する費用の2分の1
⑳ 保険給付費の2分の1



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step3 正解は・・・



⑦ 基礎年金拠出金の額の2分の1 (法80条1項)

 
  

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step4 コメント

・選択式の厚生年金保険法のAは、国庫負担からの出題でした。基本的な内容でしたので、確実に得点したい問題です。



明日もがんばりましょう。



2017年10月25日

平成29年版労働経済白書のまとめの続きで、第2部を記載します。

なお、労働経済白書のまとめは、大筋の概要が書かれているところであり、本試験は本文から出題される可能性が高いため、さらっと読み流す程度で大丈夫です。


平成29年版労働経済白書


第2部 イノベーションの促進とワーク・ライフ・バランスの実現に向けた課題

第1章 我が国の経済成長とイノベーション・雇用との関係

●我が国におけるイノベーションの現状

我が国は、少子高齢化による供給制約下にあることを踏まえると、今後の経済成長にはTFPの上昇が重要であり、TFPを上昇させるためにはイノベーション活動の促進を行うことが効果的である。

※TFPとは、「全要素生産性」のことであり、生産性を算出し評価する方法の一つ。生産性は「投入量と産出量の比率」のことであり、大きく「労働生産性」「資本生産性」「全要素生産性」に分かれる。労働生産性は「労働力」を投入量として、産出量との比率を産出したものであり、資本生産性は機械、設備などの「資本」を投入量として産出量との比率を示したものである。全要素生産性は、労働や資本を含む全ての要素を投入量として、産出量との比率を示すものである。具体的には、全ての要素を投入量として数値化するのは困難なので、全体の産出の「変化率」から、労働と資本の投入量の変化率を引いた差として計測される。労働と資本の成長では説明できない、技術上の進歩を表した数値であるといわれている。
(「ASCII.jpデジタル用語辞典の解説」より一部抜粋)

※「イノベーション」とは、「新しいものを生産する、あるいは既存のものを新しい方法で生産すること」である。その類型として、創造的活動による新製品開発(プロダクト・イノベーション)、新生産方法の導入(プロセス・イノベーション)、新マーケットの開拓(マーケット・イノベーション)、新たな資源(の供給源)の獲得、組織の改革(組織イノベーション)をあげている。これまで我が国においては、イノベーションを「技術革新」と訳す傾向があったが、イノベーションは、分野融合による既存技術の組合せや経営の革新等からも起こり得ることから、必ずしも「技術革新」だけではないことに留意が必要である。
(「平成29年版労働経済白書」より一部抜粋)


イノベーション活動の現状に着目すると、我が国は主要国の中でもイノベーション活動が低水準であり、産業別にみると、特にサービス業における活動が低水準であることから、製造業のみならずサービス業においてもイノベーション活動を促進していくことが重要な課題である。

イノベーション活動の促進に向けて、特に設備投資、その中でも研究開発や先進的な機械等の取得が重要である一方、イノベーション活動を阻害する要因を解消する観点から、能力のある従業員の不足に対応することもイノベーションの実現には重要である。

このように、我が国において、イノベーション活動を促進させていくには、研究開発をはじめとした「設備投資の活性化」「能力のある人材の確保」を積極的に行うことが重要となることが示唆される。


●我が国におけるイノベーション活動の促進に向けた課題

イノベーション活動を促進するには、ハード面からは「研究開発を始めとした積極的な新規投資」、ソフト面からは「高度人材の有効活用」が重要となっていくが、前者をみると、①我が国は新規の設備投資が主要国と比較して少なく、かつ、ヴィンテージ(設備の平均年齢)の上昇が進んでいること、②我が国の研究開発費用の上昇率は主要国と比較すると低水準で推移しており、また取組に見合う成果も得られていないことが課題であることが分かった。

また、後者については、博士卒を始めとした高度人材の確保のほかに企業において人材マネジメントをしっかりと行っていくことが重要である。人材マネジメントのなかでも、企業のなかでの教育訓練の実施やモチベーションの上昇として能力給の導入などがイノベーションの実現に強い相関があることを明らかにした。さらに、高度人材の働きやすさの観点からみた場合、「フレックスタイム制」の導入や「裁量労働制」の導入は、イノベーションの実現にも正の相関があることが分かった。なお、このような雇用制度の導入に当たっては、長時間労働にならないよう人事管理を適切に行うなどの取組も重要である。このような施策を組み合わせることにより、我が国においてイノベーション活動を推進し、経済成長を高めていくことが今後の課題である。


●我が国におけるイノベーションによる就業者、雇用者の変化

過去のイノベーションを振り返ると、主要国においては、人口の増加以上に就業者は増加し、イノベーションにより失業を生み出すという状況ではないことが明らかになった。一方で、産業構造働き方の変化はイノベーションの進展により起こっており、産業に着目すると、付加価値が上昇する産業ほど就業者が増加し、職種に着目すると、高スキル職種における就業者が増加する一方で低スキル職種における就業者も増加することが分かった。我が国では、米国などと比較し低スキル職種における就業者の増加が顕著であるため、イノベーションの進展が賃金の上昇に結びついておらず、賃金の高い高スキル職種における就業者を増やしていくことが経済の好循環の観点からも必要となる。

今後のイノベーションの中心となることが予想されるAIに着目すると、我が国の就業者労働力人口の減少幅ほど減少しない可能性が高い。特に就業者が増加する職種としては技術職、コミュニケーションを使う職種となっている。このようなことを踏まえると、AIが一般化する時代においては、「理系的な能力」「コミュニケーション能力」「AIを使いこなす能力」などを身につけることが必要であり、これらの能力の向上に対し、行政としても積極的に関与していくことが求められる。


第2章 働き方をめぐる環境の変化とワーク・ライフ・バランスの実現

●働き方をめぐる環境の変化

女性の労働参加が進行し、共働き世帯が増加するなど、働き方をめぐる環境が大きく変化する中で、少子高齢化による供給制約に対応するためには、ワーク・ライフ・バランスの実現を図ることが重要な課題となっている。長時間労働者が依然として1割以上存在し、仕事と家庭の両立にストレスを感じる者が男女とも多い状況にある一方で、今後、高齢化は更に進行することが見込まれており、仕事と介護の両立の重要性が高まることも示唆されている。

人口が減少し、供給制約が見込まれる我が国では、多様な人材が積極的に労働参加できるよう、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組を進めていくことが重要であり、それぞれの企業においても、こうした我が国を取り巻く状況の変化を踏まえ、これまでの働き方を見直していくことが求められる。


●労働生産性の向上とワーク・ライフ・バランスの実現に向けた企業の取組

ワーク・ライフ・バランスの改善と労働生産性の向上とは結び付くという関係にあり、経済の好循環を図る観点からもワーク・ライフ・バランスの取組を進めていくことは重要である。

こうした中、ワーク・ライフ・バランスの実現に積極的な企業ほど売上の上昇や離職率の低下等、経営面でプラスとなる傾向がある一方で、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた企業の取組には効果が限定的等の課題がみられる。ワーク・ライフ・バランスの実現のために効果的な取組とするためには、労使が協力して働く方の意識や職場環境の改善に努めていくことや、産業特性などそれぞれの企業の実情を踏まえた対応を行うことが必要である。

また、ワーク・ライフ・バランスの実現には企業の取組も重要であるが、世帯のなかでの役割分担を適切に行っていくことも求められる。


●技術革新に伴う働き方の選択肢の広がりと課題

現在進行している急激な技術革新を受け、働き方そのものが大きく変化している状況にあり、働き方の見直しに当たっては、そうした技術革新の状況にも適切に対応することが必要となる。

技術革新に伴う新たな働き方として、情報技術を活用したテレワークなどの導入を促進することが、労働生産性の向上やワーク・ライフ・バランスの改善に貢献することが期待される。

情報技術を活用した新しい働き方は、今後増加することが予想され、時間や場所を自由に選択できるという点で共通点がある雇用によらない働き方が今後我が国でも広がっていくことが推測される。一方、雇用によらない働き方については、収入面など課題もみられ、こうした働き方を導入するに当たっては、実態を十分に把握し、それを踏まえた支援の在り方などの検討が求められる。



イノベーションの進展




「ランチタイム・スタディ」の第17問です。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、10月1日の佐藤塾ブログの『「ランチタイム・スタディ2017」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。



さて、17問目は、択一式の社会保険一般常識です。

正答率84%の問題です。



<問題( 択一式 社一 問7 )>

〔問〕 介護保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 介護認定審査会は、市町村又は特別区(以下本問において「市町村」という。)から要介護認定の審査及び判定を求められたときは、厚生労働大臣が定める基準に従い審査及び判定を行い、その結果を市町村に通知するものとされている。

B 要介護認定の申請に対する処分は、当該申請に係る被保険者の心身の状況の調査に日時を要する等特別な理由がある場合を除き、当該申請のあった日から30日以内にしなければならない。

C 要介護認定は、要介護状態区分に応じて厚生労働省令で定める期間(以下本問において「有効期間」という。)内に限り、その効力を有する。要介護認定を受けた被保険者は、有効期間の満了後においても要介護状態に該当すると見込まれるときは、厚生労働省令で定めるところにより、市町村に対し、当該要介護認定の更新の申請をすることができる。

D 介護保険法による保険給付には、被保険者の要介護状態に関する保険給付である「介護給付」及び被保険者の要支援状態に関する保険給付である「予防給付」のほかに、要介護状態等の軽減又は悪化の防止に資する保険給付として条例で定める「市町村特別給付」がある。

E 第2号被保険者は、医療保険加入者でなくなった日以後も、医療保険者に申し出ることにより第2号被保険者の資格を継続することができる。




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step1 正解は・・・



E
   


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step2 解説

A 〇 (介護保険法27条5項) 本肢のとおりである。なお、この場合において、介護認定審査会は、必要があると認めるときは、①当該被保険者の要介護状態の軽減又は悪化の防止のために必要な療養に関する事項、②指定居宅サービス、指定地域密着型サービス又は指定施設サービス等の適切かつ有効な利用等に関し当該被保険者が留意すべき事項について、市町村に意見を述べることができる。

B 〇 (介護保険法27条11項) 本肢のとおりである。なお、当該申請に係る被保険者の心身の状況の調査に日時を要する等特別な理由がある場合には、当該申請のあった日から30日以内に、当該被保険者に対し、当該申請に対する処分をするためになお要する期間及びその理由を通知し、これを延期することができる。

C 〇 (介護保険法28条1項、2項) 本肢のとおりである。なお、要介護認定の有効期間は、次の①の期間と②の期間を合算した期間である。ただし、要介護認定が効力を生じた日が月の初日である場合は、②の期間が有効期間となる(則38条)。
①要介護認定が効力を生じた日から当該日が属する月の末日までの期間
②6月間(市町村が認定審査会の意見に基づき特に必要と認める場合にあっては、3月間から12月間までの範囲内で月を単位として市町村が定める期間(6月間を除く))

D 〇 (介護保険法18条) 本肢のとおりである。

E ☓ (介護保険法11条2項) 第2号被保険者は、医療保険加入者でなくなった日から、その資格を喪失するものとされ、医療保険者に申し出ることにより資格を継続することはできない。



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step3 コメント

・択一式の社会保険一般常識の問7は、介護保険法からの出題でした。正解肢のEに関しては誤りであることが明らかであったため、容易に判断できた方が多かったものと思われます。




明日もがんばりましょう。






2017年10月24日

労働経済白書のおおよその記載内容の概要がわかりますので、平成29年版労働経済白書のまとめ(第1部)を記載しておきます。

本試験内容は、平成29年版労働経済白書本文からの出題となりますから、ここに取り上げる「まとめ」は一読して、労働経済白書の全体像・方向性をつかんでおけば十分です。

なお、平成29年版労働経済白書は、第1部と第2部に分かれていますので、本日は第1部のみを掲載します。

平成29年版労働経済白書



第1部 労働経済の推移と特徴

●一般経済の動向
2016 年度の日本経済は、好循環が広がりつつある中で、企業収益の拡大や雇用環境の改善等の持ち直しの動きを示しており、おおむね緩やかな回復基調が続いている。

●雇用・失業情勢の動向
緩やかな景気回復基調が続く中で、完全失業率2016 年度平均で3.0と1994 年度以来22年ぶりの低い水準となり、有効求人倍率2016 年度平均で1.39 倍と1990 年度以来26 年ぶりの高水準となるなど、雇用情勢は改善が続いている。

また、地域別の有効求人倍率をみると、全ての地域ブロックで上昇し、統計を取り始めた1963 年以降初めて全ての都道府県で1倍を超える水準となった。さらに、雇用者の動向に着目すると、雇用者数は4年連続で増加し、雇用形態別にみても正規雇用労働者は2年連続で増加するとともに、不本意非正規雇用労働者減少するという動きもみられる。

●賃金の動向
経済の好循環を継続するために賃金の引上げが重要と位置づけられる中、2016 年度の名目賃金は2014 年度以降3年連続の増加となるなど所得環境の改善がみられる。また、一般労働者の賃金は2013 年度以降4年連続で増加するとともに、パートタイム労働者の時給も2011 年以降6年連続で増加している。

●物価・消費の動向
経済の好循環を継続させていくためには、企業収益の拡大を賃金上昇や雇用拡大につなげていき、消費の拡大に結び付けることが重要である。消費の動向をみると、消費総合指数は緩やかながら上昇傾向で推移しており、雇用・所得環境が改善する中で持ち直しがみられる。