2017年05月
2017年05月26日
佐藤としみです。
明日27日(土)は「過去問総合答練(労働科目)」、明後日28日(日)は大阪本校で「健保・通達対策講座」が実施されます。
過去問総合答練は、今まで過去問で一問一答の形で解いていたものが五肢択一となり、本試験と同じ並びで択一式35問、選択式4問の出題となりますので、現時点の到達度を試す絶好の機会になります。
演習時間はたっぷりありますので、焦らず丁寧に解いていってください。
解説講義は、本来、早苗俊博講師で案内をしていましたが、法事に付き、解説講義が担当できなくなってしまったため、急きょ労働科目に関しては、私、佐藤としみが登板します。
早苗講師ファンのみなさま、すみません!(-"-)
早苗講師が解説するのと同じようにお聴きくださいね。
「健保・通達対策講座」が、明後日に大阪本校でLIVE講義が実施されますが、択一式の得点アップに欠かせない科目の第1は「年金(国年・厚年)」ですが、次にくるのは「健保」です。
健保を苦手としている方も多く見受けられますから、遅れをとってしまっているという方は、「健保・通達対策講座」を利用してみてはいかがでしょうか。
早いうちに傷の手当をしておくと、その分、後が楽になりますので、木田麻弥先生の明快な講義に頼るのもひとつの手です。
ご案内とお知らせでした。
インプットが終了し、直前期に入る段階での課題は、次の3点です。
① 積み残し科目をやりきる
② 忘却している箇所をよみがえらせる
③ 苦手科目の克服
まず、①の「積み残し科目をやりきる」ですが、インプットの学習でまだ手を付けていない科目があったり、中途半端に終わってしまっている科目があれば、まずはやりきってしまいましょう。
とりあえず、全科目のインプット学習を終えることが肝心です。
そして、すべての科目をとりあえず終了した人は、②の「忘却している箇所をよみがえらせる」ことに着手してください。
ただし、もう1回、1からテキストを読み直したり、過去問を最初からやり始めるのは、かなりの時間がかかります。
いったんインプット学習が終わっている状態なわけですから、その記憶をよみがえらせることをすればよいわけです。
その際には、問題演習を活用しましょう。
特に、模試や答練などのような「実施日」が決まっているものに対して、良い得点(納得できる得点)を取るという目的を伴ってやると、限られた日数でやらないとならないことになりますから、集中力が増します。
直前期は、じっくり知識を押さえていくというよりは、多少、時間に追われて取り組んでいくことに意味があります。
要は、アウトプットに立ち向かっていくという気構えです。
インプット学習は、「復習」が大事ですが、アウトプット学習は、事前の取り組み(=予習)が大事になります。
「模試だと一気に全科目になるからきつい!」という方は、答練だと1科目ずつ押さえていくことができます。
その分、学習スケジュールも立てやすくなります。
そして、3点目に「③苦手科目の克服」です。
苦手科目は、人それぞれですが、択一式の得点状況が思わしくない方の半数は、「年金」だと思われます。
苦手なことは自分自身でよくわかっているので、「よーし、徹底的にやるぞ!」と、意気込んで計画を立てますが、大半の方がその半分もできずに終わってしまいます。
苦手ということは、よくわからない箇所が多く、それだけにやる気も起きなくて、途中で投げ出してしまいたくなるからです。
苦手科目の学習には鉄則があります。
苦手な科目の復習は、頭からやらない
食事を例にたとえると、「おいしいもの」「栄養価の高いもの」から食べるようにします。
・おいしいもの=とりあえず、投げ出さずできそうな箇所
・栄養価の高いもの=試験に出題されやすい重要箇所
となります。
たとえば、年金を例にとると、年金の核となる「年金給付」を押さえてしまいましょう。
次の図の黄色で塗られた部分です。
全部をやろうとせずに、まずは黄色で塗られた部分だけやります。
やる順番としては、「国年」→「厚年」ではなく、
①「老齢基礎」→「老齢厚生」
②「障害基礎」→「障害厚生」
③「遺族基礎」→「遺族厚生」
④「1号独自給付」
国年と厚年の重なる部分をくくってしまうように復習をしてください。
計算式でいうと、
・A×B+A×C=A(B+C)
のようなものです。
・老齢基礎+老齢厚生=老齢(基礎+厚生)
として、老齢というくくりで国年・厚年を学習していってください。
この黄色の部分で着色された「年金給付」をやり終えると、力が付きますし、自信にもなって、その次の部分も比較的ラクにやれるようになります。
(嫌々ながらではなく。)
そして、第2弾が「被保険者」「保険料」「届出」です。
勢いよくやりきってしまいましょう。
これも国年・厚年を横断的にやるべきです。
(ちなみに、早苗講師の年金法対策講座は、この黄色と水色で塗られた部分を中心に取り上げます。)
ここまでやりきると、残りはあと少しです。
仮にこれ以上やりきれなくて、ここでとん挫してしまっても、「おいしいところ」と「栄養価の高いところ」は終了していますので、本試験でもなんとかなります。
「フーフー」言いながら1からやっても、途中で挫折してしまう可能性が高いことを考えると、この3弾に分けたやり方は効率的ですし、ひとつの箇所を乗り越えると達成感が生じ、自信につながるはずです。
参考にしてみてください。
「第2次ランチタイム・スタディ」の主旨については、2月21日の佐藤塾ブログの『第2次「ランチタイム・スタディ」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。
さて、64問目は、択一式の厚生年金保険法です。
正答率48%&合否を分けた問題です。
※「合否を分けた問題」とは、「合格者だけの正答率」と「全体の正答率(ただし、全体正答率65%以下)」とで、20%以上差が開いた問題です。
※ついに正答率が50%を割りました。
<問題( 択一式 厚年 問1 )>
〔問〕 厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア 適用事業所の事業主(船舶所有者を除く。)は、厚生年金保険法の規定に基づいて事業主がしなければならない事項につき、代理人をして処理させようとするときは、あらかじめ、文書でその旨を日本年金機構に届け出なければならない。
イ 厚生年金保険法第27条の規定による当然被保険者(船員被保険者を除く。)の資格取得の届出は、当該事実があった日から5日以内に、厚生年金保険被保険者資格取得届又は当該届書に記載すべき事項を記録した磁気ディスクを日本年金機構に提出することによって行うものとする。
ウ 厚生年金保険法第6条第1項の規定により初めて適用事業所となった船舶の船舶所有者は、当該事実があった日から5日以内に、所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならない。
エ 被保険者(適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者及び第4種被保険者を除く。)は、その住所を変更したときは、速やかに、変更後の住所を事業主に申し出なければならない。
オ 育児休業期間中における厚生年金保険料の免除の規定により保険料の徴収を行わない被保険者を使用する事業所の事業主は、当該被保険者が育児休業等終了予定日を変更したとき又は育児休業等終了予定日の前日までに育児休業等を終了したときは、速やかに、これを日本年金機構に届け出なければならない。ただし、当該被保険者が育児休業等終了予定日の前日までに産前産後休業期間中における厚生年金保険料の免除の規定の適用を受ける産前産後休業を開始したことにより育児休業等を終了したときは、この限りでない。
A 一つ
B 二つ
C 三つ
D 四つ
E 五つ
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step1 正解は・・・
D
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step2 解説
ア 〇 (法27条、則29条1項) 本肢のとおりである。なお、健康保険法においても、代理人を選任又は解任したときは、あらかじめ、文書でその旨を届け出なければならないものとされ、この場合において、事業主が厚生年金保険の被保険者を使用する事業主であるときは、当該届書にその旨を付記しなければならない(健康保険法施行規則35条)。
イ 〇 (法27条、則15条1項) 本肢のとおりである。厚生年金保険被保険者資格取得届は、当該事実があった日から5日以内に提出しなければならない。なお、船員被保険者の資格の取得の届出は、当該事実があった日から10日以内に行うものとされている(則15条2項)。
ウ ☓ (法27条、則13条3項) 本肢の場合は、当該事実があった日から「10日以内」に提出しなければならない。
エ 〇 (法98条2項、則6条の2) 本肢のとおりである。なお、住所変更の申出を受けた事業主(船舶所有者を除く)は、速やかに、住所変更届又は記録した磁気ディスクを日本年金機構に提出しなければならない(則21条の2)。
オ 〇 (法98条1項、則25条の2第3項) 本肢のとおりである。なお、事業主が「育児休業等取得者終了届」を提出したときは、「育児休業等取得者終了確認通知書」が送付される。
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step3 コメント
・択一式の厚生年金保険法の問1は個数問題でした。年金科目の最初の問題が個数問題で、出鼻をくじかれた方も多かったでしょう。多くの人がCの三つを選んでいました。合格できるレベルの方との差が付いた問題でしたから、5肢すべての正誤判断ができるかどうかを確認してみてください。
明日もがんばりましょう。
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2017年05月25日
「第2次ランチタイム・スタディ」の主旨については、2月21日の佐藤塾ブログの『第2次「ランチタイム・スタディ」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。
さて、63問目は、選択式の労働基準法です。
正答率50%の問題です。
※正答率が50%、すなわち2人に1人が正解した問題です。
<問題( 選択式 労基 A )>
最高裁判所は、海外旅行の添乗業務に従事する添乗員に労働基準法第38条の2に定めるいわゆる事業場外労働のみなし労働時間制が適用されるかが争点とされた事件において、次のように判示した。
「本件添乗業務は、ツアーの旅行日程に従い、ツアー参加者に対する案内や必要な手続の代行などといったサービスを提供するものであるところ、ツアーの旅行日程は、本件会社とツアー参加者との間の契約内容としてその日時や目的地等を明らかにして定められており、その旅行日程につき、添乗員は、変更補償金の支払など契約上の問題が生じ得る変更が起こらないように、また、それには至らない場合でも変更が必要最小限のものとなるように旅程の管理等を行うことが求められている。そうすると、本件添乗業務は、旅行日程が上記のとおりその日時や目的地等を明らかにして定められることによって、業務の内容があらかじめ具体的に確定されており、添乗員が自ら決定できる事項の範囲及びその決定に係る選択の幅は限られているものということができる。
また、ツアーの開始前には、本件会社は、添乗員に対し、本件会社とツアー参加者との間の契約内容等を記載したパンフレットや最終日程表及びこれに沿った手配状況を示したアイテナリーにより具体的な目的地及びその場所において行うべき観光等の内容や手順等を示すとともに、添乗員用のマニュアルにより具体的な業務の内容を示し、これらに従った業務を行うことを命じている。そして、ツアーの実施中においても、本件会社は、添乗員に対し、携帯電話を所持して常時電源を入れておき、ツアー参加者との間で契約上の問題やクレームが生じ得る旅行日程の変更が必要となる場合には、本件会社に報告して指示を受けることを求めている。さらに、ツアーの終了後においては、本件会社は添乗員に対し、前記のとおり旅程の管理等の状況を具体的に把握することができる添乗日報によって、業務の遂行の状況等の詳細かつ正確な報告を求めているところ、その報告の内容については、ツアー参加者のアンケートを参照することや関係者に問合せをすることによってその正確性を確認することができるものになっている。これらによれば、本件添乗業務について、本件会社は、添乗員との間で、あらかじめ定められた旅行日程に沿った旅程の管理等の業務を行うべきことを具体的に指示した上で、予定された旅行日程に途中で相応の変更を要する事態が生じた場合にはその時点で個別の指示をするものとされ、旅行日程の終了後は内容の正確性を確認し得る添乗日報によって業務の遂行の状況等につき詳細な報告を受けるものとされているということができる。
以上のような業務の性質、内容やその遂行の態様、状況等、本件会社と添乗員との間の業務に関する指示及び報告の方法、内容やその実施の態様、状況等に鑑みると、本件添乗業務については、これに従事する添乗員の勤務の状況を具体的に把握することが困難であったとは認め難く、労働基準法38条の2第1項にいう A に当たるとはいえないと解するのが相当である。」
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step1 次の選択肢の中から答を選んでください。
⑥ 業務の遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるとき
⑧ 使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令で定める業務
⑪ 代替休暇
⑭ 通常必要とされた時間労働したもの
⑳ 労働時間を算定し難いとき
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step2 正解は・・・
⑳ 労働時間を算定し難いとき(平26.1.24最高裁第二小法廷判決残業代等請求事件)
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step3 コメント
・平成27年の労働基準法の選択式Aは、判例からの出題でした。問題文が長文であるものの、文章の意味を理解して内容から考えれば比較的容易に解答できる問題といえます。「⑧使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令で定める業務」を入れてしまった方が多く見受けられました。
今日は練習問題はありません。
明日もがんばりましょう。
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2017年05月24日
「第2次ランチタイム・スタディ」の主旨については、2月21日の佐藤塾ブログの『第2次「ランチタイム・スタディ」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。
さて、62問目は、択一式の国民年金法です。
正答率50%の問題です。
※正答率が50%、すなわち2人に1人が正解した問題です。
<問題( 択一式 国年 問8 )>
〔問〕 被保険者及び受給権者の届出等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 第2号被保険者の夫とその被扶養配偶者となっている第3号被保険者の妻が離婚したことにより生計維持関係がなくなった場合、妻は、第3号被保険者に該当しなくなるため、市町村長(特別区の区長を含む。)へ第1号被保険者の種別の変更の届出を行うとともに、離婚した夫が勤務する事業所の事業主を経由して日本年金機構へ「被扶養配偶者非該当届」を提出しなければならない。なお、夫が使用される事業所は健康保険組合管掌健康保険の適用事業所であり、当該届出の経由に係る事業主の事務は健康保険組合に委託されていないものとする。
B 施設入居等により住民票の住所と異なる居所に現に居住しており、その居所に年金の支払いに関する通知書等が送付されている老齢基礎年金の受給権者が、居所を変更した場合でも、日本年金機構に当該受給権者の住民票コードが収録されているときは、「年金受給権者住所変更届」の提出は不要である。
C 第1号被保険者であった者が就職により厚生年金保険の被保険者の資格を取得したため第2号被保険者となった場合、国民年金の種別変更に該当するため10日以内に市町村長(特別区の区長を含む。)へ種別変更の届出をしなければならない。
D 老齢基礎年金を受給していた夫が死亡した場合、その死亡当時、生計を同じくしていた妻が、未支給年金を受給するためには、「年金受給権者死亡届」と「未支給年金請求書」を日本年金機構に提出しなければならないが、厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定により夫、妻双方に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができる場合には、これらの提出は不要となる。
E 加算額対象者がいる障害基礎年金の受給権者は、生計維持関係を確認する必要があるため、原則として毎年、指定日までに「生計維持確認届」を提出しなければならないが、厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定により当該受給権者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができる場合は、提出する必要はない。
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step1 正解は・・・
A
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step2 解説
A 〇 (法12条の2、則6条の2の2) 本肢のとおりである。平成26年12月から、第3号被保険者の記録不整合問題に対応するため、第3号被保険者であった者に対して、被扶養配偶者でなくなったことについての届出が義務付けられたため、第3号被保険者が、①その収入が基準額以上に増加し、扶養から外れた場合、又は、②離婚した場合には、当該事実があった日から14日以内に、「被扶養配偶者非該当届」を事業主等を経由して日本年金機構へ提出しなければならない。
B ☓ (法105条3項、平23.6.17年管管発0617号2号) 住基ネットから本人確認情報の提供を受けることが可能な受給権者については、原則として、住所変更届の提出を省略することができるが、設問のように、受給権者が住民票の住所とは異なる居所に居住している場合には、住所変更届の提出は必要である。
C ☓ (法附則7条の4、則6条の2第1項) 第2号被保険者については、国民年金法に規定する届出の規定は適用されないため、種別変更の届出を行う必要はない。
D ☓ (法105条4項、則24条1項・5項、則25条1項) 本肢の場合には、死亡日から7日以内に戸籍法の規定による死亡の届出をすることで、「年金受給権者死亡届」の提出は不要となるが、「未支給年金請求書」の提出は必要である。
E ☓ (法105条3項、則36条の3第1項) 加算額対象者がある障害基礎年金の受給権者は、毎年、指定日までに、生計維持確認届を提出しなければならず、住民基本台帳法の規定により機構保存本人確認情報の提供を受けることができる場合であっても省略されない。なお、当該障害基礎年金の額の全部につき支給が停止されているときは、提出する必要はない。
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step3 コメント
・択一式の国民年金法の問8は、被保険者及び受給権者の届出等に関する問題でした。Aは当時の法改正事項でしたから、改正を学習していた方にとっては正誤判断が付きやすかったと思われますが、B及びDの難易度が高かったため、惑わされてしまった方が多かったように見受けられます。
今日は練習問題はありません。
明日もがんばりましょう。
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