2017年02月

2017年02月23日

「第2次ランチタイム・スタディ」の第2問です。

「第2次ランチタイム・スタディ」の主旨については、2月21日の佐藤塾ブログの『第2次「ランチタイム・スタディ」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。



さて、2問目は、択一式の労働一般常識です。

正答率89%の問題です。




<問題( 択一式 労一 問2 )>

〔問〕 労働関係法規等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


A 男女雇用機会均等法第9条第3項の規定は、同法の目的及び基本的理念を実現するためにこれに反する事業主による措置を禁止する強行規定として設けられたものと解するのが相当であり、女性労働者につき、妊娠、出産、産前休業の請求、産前産後の休業又は軽易業務への転換等を理由として解雇その他不利益な取扱いをすることは、同項に違反するものとして違法であり、無効であるというべきであるとするのが、最高裁判所の判例である。


B 使用者は、労働者にとって過重な業務が続く中でその体調の悪化が看取される場合には、神経科の医院への通院、その診断に係る病名、神経症に適応のある薬剤の処方など労働者の精神的健康に関する情報については労働者本人からの積極的な申告が期待し難いことを前提とした上で、必要に応じてその業務を軽減するなど労働者の心身の健康への配慮に努める必要があるものというべきであるとするのが、最高裁判所の判例である。


C 障害者雇用促進法は、事業主に一定比率(一般事業主については2.0パーセント)以上の障害者の雇用を義務づけ、それを達成していない常時使用している労働者数が101人以上の事業主から、未達成1人につき月10万円の障害者雇用納付金を徴収することとしている。


D 平成15年に、平成27年3月31日までの時限立法として制定された次世代育成支援対策推進法は、平成26年の改正法により、法律の有効期限が平成37年3月31日まで10年間延長され、新たな認定制度の創設等が定められた。

E 専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法は、5年を超える一定の期間内に完了することが予定されている専門的知識等を必要とする業務に就く専門的知識等を有する有期雇用労働者等について、労働契約法第18条に基づく無期転換申込権発生までの期間に関する特例を定めている。



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step1 正解は・・・



C


   

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step2 解説


A 〇 (男女雇用機会均等法9条3項、平26.10.23最高裁第一小法廷判決広島中央保健生活協同組合マタハラ事件) 設問のとおりである。本件では、女性労働者につき妊娠中の軽易な業務への転換を契機として降格させる事業主の措置が、男女雇用機会均等法9条3項の禁止する取扱いに該当するか否かが争点となった。

B 〇 (平23.2.23最高裁第二小法廷判決東芝うつ病事件) 設問のとおりである。本件では、過重な業務によって労働者にうつ病が発症し増悪した場合に、使用者の安全配慮義務違反等に基づく損害賠償の額を定めるに当たり、当該労働者が自らの精神的健康に関する一定の情報を使用者に申告しなかったことを理由とする過失相殺の可否が争点となった。


C ☓ (障害者雇用促進法53条、同法54条、同令17条) 障害者雇用納付金の額は、未達成1人につき、「月額5万円」である。なお、労働者数が常時100人を超え200人以下の場合には、平成32年3月31日までの間は「月額4万円」となる。

D 〇 (次世代育成支援対策推進法附則1条) 設問のとおりである。平成27年4月1日から、次世代育成支援対策推進法の有効期限が延長され、また、雇用環境の整備に関し適切な行動計画を策定し実施している旨の厚生労働大臣による認定を受けた事業主のうち、特に次世代育成支援対策の実施の状況が優良なものについて、厚生労働大臣による新たな認定(特例認定)制度が創設された。

E 〇 (有期雇用特別措置法1条) 設問のとおりである。平成27年4月1日から施行された「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」により、有期の業務に就く高度専門的知識を有する有期雇用労働者及び定年後に有期契約で継続雇用される高齢者について、労働契約法に基づく無期転換ルールの特例を設けることとされた。



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step3 コメント

・択一式の労働一般常識の問2は、労働関係法規等に関する各法律の混合問題でした。正解肢となるCが比較的容易にわかるため、正答率が高くなりました。



今日は練習問題はありません。

明日もがんばりましょう。
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2017年02月22日

「第2次ランチタイム・スタディ」の第1問です。

「第2次ランチタイム・スタディ」の主旨については、2月21日の佐藤塾ブログの『第2次「ランチタイム・スタディ」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。



さて、1問目は、選択式の労働基準法です。

正答率93%の問題です。




<問題( 選択式 労基 B )>


最高裁判所は、労働基準法第39条第5項(当時は第3項)に定める使用者による時季変更権の行使の有効性が争われた事件において、次のように判示した。
「労基法39条3項〔現行5項〕ただし書にいう「事業の正常な運営を妨げる場合」か否かの判断に当たって、 B 配置の難易は判断の一要素となるというべきであるが、特に、勤務割による勤務体制がとられている事業場の場合には、重要な判断要素であることは明らかである。したがって、そのような事業場において、使用者としての通常の配慮をすれば、勤務制を変更して B を配置することが客観的に可能な状況にあると認められるにもかかわらず、使用者がそのための配慮をしないことにより B が配置されないときは、必要配置人員を欠くものとして事業の正常な運営を妨げる場合に当たるということはできないと解するのが相当である。そして、年次休暇の利用日的は労基法の関知しないところである〔……〕から、勤務割を変更して B を配置することが可能な状況にあるにもかかわらず、休暇の利用目的のいかんによってそのための配慮をせずに時季変更権を行使することは、利用目的を考慮して年次休暇を与えないことに等しく、許されないものであり、右時季変更権の行使は、結局、事業の正常な運営を妨げる場合に当たらないものとして、無効といわなければならない。」




step1 できれば、選択肢を見ない状態で、答を紙に書いてみてください。
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step2 次の選択肢の中から答を選んでください。



⑤ 監督又は管理の地位にある者
⑩ 事業主のために行為をするすべての者
⑫ 代替勤務者
⑱ 非常勤職員

 



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step3 正解は・・・



⑫ 代替勤務者(昭62.7.10最高裁第二小法廷判決弘前電報電話局事件)


   

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step4 コメント


・労働基準法の選択式Bは、年次有給休暇に関する最高裁判例からの出題でした。判例は近年の頻出事項で、多くの受験生が一度は目にしたことのある論点ではないかと思われます。



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step5 練習問題(チャレンジしてみよう!)

最高裁判所は、労働基準法第39条第5項(当時は第3項)に定める使用者による時季変更権の行使の有効性が争われた事件において、次のように判示した。
「労基法39条3項〔現行5項〕ただし書にいう「事業の正常な運営を妨げる場合」か否かの判断に当たって、代替勤務者配置の難易は判断の一要素となるというべきであるが、特に、 F による勤務体制がとられている事業場の場合には、重要な判断要素であることは明らかである。したがって、そのような事業場において、使用者としての通常の配慮をすれば、勤務制を変更して代替勤務者を配置することが客観的に可能な状況にあると認められるにもかかわらず、使用者がそのための配慮をしないことにより代替勤務者が配置されないときは、必要配置人員を欠くものとして事業の正常な運営を妨げる場合に当たるということはできないと解するのが相当である。そして、年次休暇の利用日的は労基法の関知しないところである〔……〕から、 F を変更して代替勤務者を配置することが可能な状況にあるにもかかわらず、休暇の利用目的のいかんによってそのための配慮をせずに時季変更権を行使することは、利用目的を考慮して年次休暇を与えないことに等しく、許されないものであり、右時季変更権の行使は、結局、事業の正常な運営を妨げる場合に当たらないものとして、無効といわなければならない。」



step6 選択肢はありません。答を紙に書いてみてください。
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step7 練習問題の解答



勤務割



明日もがんばりましょう。
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2017年02月21日

いつもランチタイム・スタディをご覧いただき、ありがとうございます。
「2016年本試験問題」については、選択式・択一式とも一通り、掲載し終えることができました。
ありがとうございます。

今後は、本試験までの間、引き続き今までと同じ形で「2015年本試験問題」を掲載していきます。
平日11時30分に、このブログで、一昨年の本試験問題を毎日1問ずつアップしていき、今までと同じように日々、確認することができるようにします。

アップする問題の順番ですが、正答率が高い問題からの掲載とします。
正答率順(易しい問題順)で、問題自体の正答率と同時に、合否を分けた問題かどうかも表記していきますので、問題を解く前に、「この問題を間違えるとまずいぞ!」「この問題が解けたら合格に近ずける!」などと意識して臨むことができます。

明日、2月22日(水)より実施します。土日祝祭日はお休みです。
お昼休み休憩で昼食をとったあとの一息つく時間帯を利用して、2015年本試験の問題の中で、1問を確認するだけですから、さほど時間も取られず続けていくことができるはずです。

これからアップする2015年本試験問題に目を通すことができると、直近、2年分の本試験を確認できることになりますので、引き続き、がんばってみてください。
要は、学習しようと気を張っている状態で学習するのではなく、リラックスしているちょっとした時間を使って目を通すことにより、直近2年分の本試験問題のポイントが確認ができることになりますから、知らない間に力が付くはずです。

それでは、明日からよろしくお願いします。



2017年02月20日

「ランチタイム・スタディ」の第91問(2016年本試験での最終回)です。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、9月29日の佐藤塾ブログの
「ランチタイム・スタディ」開始のお知らせをご覧ください。

「ランチタイム・スタディ」の活用法については、10月22日の佐藤塾ブログの「ランチタイム・スタディの活用法」をご覧ください。


さて、2016年本試験の最後の問題となる91問目は、択一式の労働安全衛生法です。

正答率8%で、難問です。

※正答率8%となり、12.5人に1人しか出来なかった問題です。
※難問とは、合格者でも正答率が50%を割ってしまっている問題を指します。
※平成28年本試験択一式&選択式の労働安全衛生法の問題の中で一番難しかった問題であり、
2016年本試験でのラストの問題になります。



<問題( 択一式 安衛 問10 )>


〔問〕 労働安全衛生法第61条に定める就業制限に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

A 産業労働の場において、事業者は例えば最大荷重が1トン以上のフォークリフトの運転(道路上を走行させる運転を除く。)の業務については、都道府県労働局長の登録を受けた者が行うフォークリフト運転技能講習を修了した者その他厚生労働省令で定める資格を有する者でなければ、当該業務に就かせてほならないが、個人事業主である事業者自らが当該業務を行うことについては制限されていない。

B 建設機械の一つである機体重量が3トン以上のブル・ドーザーの運転(道路上を走行させる運転を除く。)の業務に係る就業制限は建設業以外の事業を行う事業者には適用されない。

C つり上げ荷重が5トンのクレーンのうち床上で運転し、かつ、当該運転をする者が荷の移動とともに移動する方式のものの運転の業務はクレーン・デリック運転士免許を受けていなくても、床上操作式クレーン運転技能講習を修了した者であればその業務に就くことができる。

D クレーン・デリック運転士免許を受けた者は、つり上げ荷重が5トンの移動式クレーンの運転(道路上を走行させる運転を除く。)の業務に就くことができる。

E 作業床の高さが5メートルの高所作業車の運転(道路上を走行させる運転を除く。)の業務は、高所作業車運転技能講習を修了した者でなければその業務に就くことはできない。



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step1 正解は・・・



C


   

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step2 解説


A ☓ (法61条1項・2項、令20条、則41条、則別表第3)最大荷重1トン以上のフォークリフトの運転の業務は、法61条1項の就業制限業務に該当するため、所定の資格を有する者以外の者は当該業務を行ってはならない。個人事業主である事業者自らが業務を行う場合も制限される。

B ☓ (法61条、令20条、令別表第7)機体重量が3トン以上のブル・ドーザーで、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走することができるものの運転(道路上を走行させる運転を除く)の業務は就業制限業務に該当する。したがって、建設業以外の事業についても「適用される」。

C 〇 (法61条、則41条、則別表第3、クレーン等安全規則22条)本肢のとおりである。つり上げ荷重5トンのクレーンの業務は、クレーン・デリック運転士免許を受けた者でなければ就かせてはならないが、床上で運転し、かつ、当該運転をする者が荷の移動とともに移動する方式のクレーン(床上操作式クレーン)の運転の業務については、床上操作式クレーン運転技能講習を修了した者を業務に就かせることができる。

D ☓ (法61条、令20条、則41条、則別表第3)設問の業務については、「移動式クレーン運転士免許」を受けた者でなければ就くことができない。

E ☓ (法61条、令20条、則41条、則別表第3)高所作業車の運転について就業制限業務となるのは「作業床の高さが10メートル以上」の場合である。



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step3 コメント

・択一式の労働安全衛生法の問10は、法61条に定める就業制限に関する問題でした。A~Eのすべての肢で難易度が高く、太刀打ちできない問題でした。



今日は練習問題はありません。

次回からは、2015年本試験でのランチタイム・スタディを開始します。お楽しみに!



2017年02月19日

辰已法律研究所東京本校のLIVE講義にご出席の方へのご連絡です。

2月26日(日)以降の東京本校LIVE講義の実施場所ですが、「東京本校」となります。

2月19日(日)まで3回ほど、アネックスビルでの実施でしたが、2月26日(日)以降は、しばらくの間、東京本校になりますので、お間違えの無いようにお願いします。

アネックス校舎地図


なお、その後、変更等がある場合は、ブログでおってご連絡いたします。

お間違えの無いようにお越しください。