2017年10月25日

平成29年版労働経済白書のまとめの続きで、第2部を記載します。

なお、労働経済白書のまとめは、大筋の概要が書かれているところであり、本試験は本文から出題される可能性が高いため、さらっと読み流す程度で大丈夫です。


平成29年版労働経済白書


第2部 イノベーションの促進とワーク・ライフ・バランスの実現に向けた課題

第1章 我が国の経済成長とイノベーション・雇用との関係

●我が国におけるイノベーションの現状

我が国は、少子高齢化による供給制約下にあることを踏まえると、今後の経済成長にはTFPの上昇が重要であり、TFPを上昇させるためにはイノベーション活動の促進を行うことが効果的である。

※TFPとは、「全要素生産性」のことであり、生産性を算出し評価する方法の一つ。生産性は「投入量と産出量の比率」のことであり、大きく「労働生産性」「資本生産性」「全要素生産性」に分かれる。労働生産性は「労働力」を投入量として、産出量との比率を産出したものであり、資本生産性は機械、設備などの「資本」を投入量として産出量との比率を示したものである。全要素生産性は、労働や資本を含む全ての要素を投入量として、産出量との比率を示すものである。具体的には、全ての要素を投入量として数値化するのは困難なので、全体の産出の「変化率」から、労働と資本の投入量の変化率を引いた差として計測される。労働と資本の成長では説明できない、技術上の進歩を表した数値であるといわれている。
(「ASCII.jpデジタル用語辞典の解説」より一部抜粋)

※「イノベーション」とは、「新しいものを生産する、あるいは既存のものを新しい方法で生産すること」である。その類型として、創造的活動による新製品開発(プロダクト・イノベーション)、新生産方法の導入(プロセス・イノベーション)、新マーケットの開拓(マーケット・イノベーション)、新たな資源(の供給源)の獲得、組織の改革(組織イノベーション)をあげている。これまで我が国においては、イノベーションを「技術革新」と訳す傾向があったが、イノベーションは、分野融合による既存技術の組合せや経営の革新等からも起こり得ることから、必ずしも「技術革新」だけではないことに留意が必要である。
(「平成29年版労働経済白書」より一部抜粋)


イノベーション活動の現状に着目すると、我が国は主要国の中でもイノベーション活動が低水準であり、産業別にみると、特にサービス業における活動が低水準であることから、製造業のみならずサービス業においてもイノベーション活動を促進していくことが重要な課題である。

イノベーション活動の促進に向けて、特に設備投資、その中でも研究開発や先進的な機械等の取得が重要である一方、イノベーション活動を阻害する要因を解消する観点から、能力のある従業員の不足に対応することもイノベーションの実現には重要である。

このように、我が国において、イノベーション活動を促進させていくには、研究開発をはじめとした「設備投資の活性化」「能力のある人材の確保」を積極的に行うことが重要となることが示唆される。


●我が国におけるイノベーション活動の促進に向けた課題

イノベーション活動を促進するには、ハード面からは「研究開発を始めとした積極的な新規投資」、ソフト面からは「高度人材の有効活用」が重要となっていくが、前者をみると、①我が国は新規の設備投資が主要国と比較して少なく、かつ、ヴィンテージ(設備の平均年齢)の上昇が進んでいること、②我が国の研究開発費用の上昇率は主要国と比較すると低水準で推移しており、また取組に見合う成果も得られていないことが課題であることが分かった。

また、後者については、博士卒を始めとした高度人材の確保のほかに企業において人材マネジメントをしっかりと行っていくことが重要である。人材マネジメントのなかでも、企業のなかでの教育訓練の実施やモチベーションの上昇として能力給の導入などがイノベーションの実現に強い相関があることを明らかにした。さらに、高度人材の働きやすさの観点からみた場合、「フレックスタイム制」の導入や「裁量労働制」の導入は、イノベーションの実現にも正の相関があることが分かった。なお、このような雇用制度の導入に当たっては、長時間労働にならないよう人事管理を適切に行うなどの取組も重要である。このような施策を組み合わせることにより、我が国においてイノベーション活動を推進し、経済成長を高めていくことが今後の課題である。


●我が国におけるイノベーションによる就業者、雇用者の変化

過去のイノベーションを振り返ると、主要国においては、人口の増加以上に就業者は増加し、イノベーションにより失業を生み出すという状況ではないことが明らかになった。一方で、産業構造働き方の変化はイノベーションの進展により起こっており、産業に着目すると、付加価値が上昇する産業ほど就業者が増加し、職種に着目すると、高スキル職種における就業者が増加する一方で低スキル職種における就業者も増加することが分かった。我が国では、米国などと比較し低スキル職種における就業者の増加が顕著であるため、イノベーションの進展が賃金の上昇に結びついておらず、賃金の高い高スキル職種における就業者を増やしていくことが経済の好循環の観点からも必要となる。

今後のイノベーションの中心となることが予想されるAIに着目すると、我が国の就業者労働力人口の減少幅ほど減少しない可能性が高い。特に就業者が増加する職種としては技術職、コミュニケーションを使う職種となっている。このようなことを踏まえると、AIが一般化する時代においては、「理系的な能力」「コミュニケーション能力」「AIを使いこなす能力」などを身につけることが必要であり、これらの能力の向上に対し、行政としても積極的に関与していくことが求められる。


第2章 働き方をめぐる環境の変化とワーク・ライフ・バランスの実現

●働き方をめぐる環境の変化

女性の労働参加が進行し、共働き世帯が増加するなど、働き方をめぐる環境が大きく変化する中で、少子高齢化による供給制約に対応するためには、ワーク・ライフ・バランスの実現を図ることが重要な課題となっている。長時間労働者が依然として1割以上存在し、仕事と家庭の両立にストレスを感じる者が男女とも多い状況にある一方で、今後、高齢化は更に進行することが見込まれており、仕事と介護の両立の重要性が高まることも示唆されている。

人口が減少し、供給制約が見込まれる我が国では、多様な人材が積極的に労働参加できるよう、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組を進めていくことが重要であり、それぞれの企業においても、こうした我が国を取り巻く状況の変化を踏まえ、これまでの働き方を見直していくことが求められる。


●労働生産性の向上とワーク・ライフ・バランスの実現に向けた企業の取組

ワーク・ライフ・バランスの改善と労働生産性の向上とは結び付くという関係にあり、経済の好循環を図る観点からもワーク・ライフ・バランスの取組を進めていくことは重要である。

こうした中、ワーク・ライフ・バランスの実現に積極的な企業ほど売上の上昇や離職率の低下等、経営面でプラスとなる傾向がある一方で、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた企業の取組には効果が限定的等の課題がみられる。ワーク・ライフ・バランスの実現のために効果的な取組とするためには、労使が協力して働く方の意識や職場環境の改善に努めていくことや、産業特性などそれぞれの企業の実情を踏まえた対応を行うことが必要である。

また、ワーク・ライフ・バランスの実現には企業の取組も重要であるが、世帯のなかでの役割分担を適切に行っていくことも求められる。


●技術革新に伴う働き方の選択肢の広がりと課題

現在進行している急激な技術革新を受け、働き方そのものが大きく変化している状況にあり、働き方の見直しに当たっては、そうした技術革新の状況にも適切に対応することが必要となる。

技術革新に伴う新たな働き方として、情報技術を活用したテレワークなどの導入を促進することが、労働生産性の向上やワーク・ライフ・バランスの改善に貢献することが期待される。

情報技術を活用した新しい働き方は、今後増加することが予想され、時間や場所を自由に選択できるという点で共通点がある雇用によらない働き方が今後我が国でも広がっていくことが推測される。一方、雇用によらない働き方については、収入面など課題もみられ、こうした働き方を導入するに当たっては、実態を十分に把握し、それを踏まえた支援の在り方などの検討が求められる。



イノベーションの進展




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