2017年06月15日
「第2次ランチタイム・スタディ」の第78問です。
「第2次ランチタイム・スタディ」の主旨については、2月21日の佐藤塾ブログの『第2次「ランチタイム・スタディ」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。
さて、78問目は、択一式の健康保険法です。
正答率32%の問題で難問です。
※難問とは、合格者でも正答率が50%を割ってしまっている問題を指します。
※ついに正答率が3人に1人を切りました。
<問題( 択一式 健保 問8 )>
〔問〕 健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 被保険者が同時に2事業所に使用される場合において、それぞれの適用事業所における保険者が異なる場合は、選択する保険者に対して保険者を選択する届出を提出しなければならないが、当該2事業所の保険者がいずれも全国健康保険協会であれば、日本年金機構の業務が2つの年金事務所に分掌されていても届出は必要ない。
B 年収250万円の被保険者と同居している母(58歳であり障害者ではない。)は、年額100万円の遺族厚生年金を受給しなからパート労働しているが健康保険の被保険者にはなっていない。このとき、母のパート労働による給与の年間収入額が120万円であった場合、母は当該被保険者の被扶養者になることができる。
C 月、週その他一定期間によって報酬が定められている被保険者に係る資格取得時の標準報酬月額は、被保険者の資格を取得した日現在の報酬の額をその期間における所定労働日数で除して得た額の30倍に相当する額を報酬月額として決定される。
D 資格を取得する際に厚生労働大臣から被保険者資格証明書の交付を受けた被保険者に対して被保険者証が交付されたときは、当該資格証明書はその被保険者に係る適用事業所の事業主が回収し、破棄しなければならない。
E 標準報酬月額の定時決定に際し、当年の4月、5月、6月の3か月間に受けた報酬の額に基づいて算出した標準報酬月額と、前年の7月から当年の6月までの間に受けた報酬の額に基づいて算出した標準報酬月額の間に2等級以上の差が生じ、この差が業務の性質上例年発生することが見込まれるため保険者算定に該当する場合の手続きはその被保険者が保険者算定の要件に該当すると考えられる理由を記載した申立書にその申立に関する被保険者の同意書を添付して提出する必要がある。
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step1 正解は・・・
E
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step2 解説
A ☓ (則1条1項・2項) 前段部分は正しいが、後段部分について、届出は「必要である」ため、設問は誤りとなる。被保険者が、同時に2以上の事業所に使用される場合において、当該2以上の事業所に係る日本年金機構の業務が2以上の年金事務所に分掌されているときは、被保険者は、その被保険者に関する日本年金機構の業務を分掌する年金事務所を選択しなければならないものとされている。
B ☓ (法3条7項、平5.3.5保発15号・庁保発4号) 被保険者と同居している60歳未満の母が被扶養者になるためには、年収が130万円未満であって、かつ、被保険者の年収の2分の1未満である必要があるが、当該母の年収は220万円となるため、被扶養者となることはできない。なお、認定対象者の年間収入はすべての収入を対象とするため、公的年金による収入も含まれる。
C ☓ (法42条1項1号) 「所定労働日数」ではなく、「総日数」で除して得た額の30倍に相当する額を報酬月額として決定する。なお、資格取得時に決定された標準報酬月額は、被保険者の資格を取得した月からその年の8月(6月1日から12月31日までの間に被保険者の資格を取得した者については、翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする。
D ☓ (則50条の2第3項) 「破棄しなければならない」ではなく、厚生労働大臣に「返納しなければならない」。被保険者資格証明書の交付を受けた被保険者は、被保険者証の交付、返付若しくは再交付を受けたとき、又は被保険者資格証明書が有効期限に至ったときは、直ちに、被保険者資格証明書を事業主を経由して厚生労働大臣に返納しなければならないとされている。
E 〇 (法44条1項、平23.3.31保保発0331第6号、年管管発0331第14号) 本肢のとおりである。4月~6月が繁忙期になる業種及び部署や4月~6月の報酬平均が年間の報酬平均よりも低くなる業種については、保険者算定の対象とされ、前年7月から当年6月の給与の平均額により標準報酬月額が算出されるが、この場合には、被保険者が同意していることが必要である。なお、同意がなかった被保険者については通常の算定が行われる。
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step3 コメント
・択一式の健康保険法の問8は、各選択肢において、論点が2つあったり、ひっかかりやすいひっかけであったりしているため、全般的に判断に迷う問題だったように思われます。解答の占率も各肢に万遍なく散らばっています。
明日もがんばりましょう。
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