2017年06月13日

「第2次ランチタイム・スタディ」の第76問です。

「第2次ランチタイム・スタディ」の主旨については、2月21日の佐藤塾ブログの『第2次「ランチタイム・スタディ」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。


さて、76問目は、択一式の厚生年金保険法です。

正答率37%の問題で難問です。
※難問とは、合格者でも正答率が50%を割ってしまっている問題を指します。


<問題( 択一式 厚年 問10 )>

〔問〕 厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 厚生労働大臣は、第1号厚生年金被保険者に関する標準報酬の決定又は改定を行ったときはその旨を原則として事業主に通知しなければならないが、厚生年金保険法第78条の14第2項及び第3項に規定する「特定被保険者及び被扶養配偶者についての標準報酬の特例」における標準報酬の改定又は決定を行ったときは、その旨を特定被保険者及び被扶養配偶者に通知しなければならない。

B 厚生年金保険の被保険者期間が離婚時みなし被保険者期間としてみなされた期間のみである者は、特別支給の老齢厚生年金を受給することはできない。

C 離婚等をした場合に当事者が行う標準報酬の改定又は決定の請求について、請求すべき按分割合の合意のための協議が調わないときは、当事者の一方の申立てにより、家庭裁判所は当該対象期間における保険料納付に対する当事者の寄与の程度その他一切の事情を考慮して、請求すべき按分割合を定めることができる。

D 子のない妻が、被保険者である夫の死亡による遺族厚生年金の受給権を取得したときに30歳以上40歳未満であった場合、妻が40歳に達しても中高齢寡婦加算は加算されない。

E 9月3日に出産した被保険者について、その年の定時決定により標準報酬月額が280,000円から240,000円に改定され、産後休業終了後は引き続き育児休業を取得した。職場復帰後は育児休業等終了時改定に該当し、標準報酬月額は180,000円に改定された。この被保険者が、出産日から継続して子を養育しており、厚生年金保険法第26条に規定する養育期間標準報酬月額特例の申出をする場合の従前標準報酬月額は240,000円である。


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step1 正解は・・・



E


   

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step2 解説

A 〇  (法78条の16、法29条1項) 本肢のとおりである。いわゆる3号分割の規定により標準報酬の改定及び決定を行ったときは、その旨を、事業主ではなく、特定被保険者及び被扶養配偶者に通知しなければならない。なお、合意分割の規定により標準報酬の改定又は決定を行ったときについても、その旨を、事業主ではなく、当事者に通知しなければならないものとされている(法78条の8)。

B 〇  (法附則17条の10、法附則8条2号) 本肢のとおりである。特別支給の老齢厚生年金は1年以上の被保険者期間を有しなければ支給されないが、当該被保険者期間には離婚時みなし被保険者期間は含まれないため、離婚時みなし被保険者期間としてみなされた期間のみを有する者には、特別支給の老齢厚生年金は支給されない。

C 〇  (法78条の2第1項・2項) 本肢のとおりである。なお、標準報酬改定請求は、当事者が標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合について合意している旨が記載された公正証書の添付その他の厚生労働省令で定める方法によりしなければならないとされている(法78条の2第3項)。

D 〇  (法62条1項) 本肢のとおりである。子のない妻の場合、被保険者である夫の死亡による遺族厚生年金の受給権を取得したときに、40歳以上65歳未満でなければ、当該妻の遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が行われることはない。

E ☓  (法26条1項) 3歳未満の子を養育する被保険者の標準報酬月額が、養育開始前の標準報酬月額よりも低下した場合には、申出により、従前標準報酬月額(子の養育を開始した月の前月の標準報酬月額)が、当該期間に係る年金額を計算する際のその者の標準報酬月額とみなされる。したがって、本肢の場合、出産日(9月3日)の前月である8月の標準報酬月額の「280,000円」が、この被保険者の従前標準報酬月額となる。定時決定による標準報酬月額(240,000円)は9月から適用されるため従前標準報酬月額とはならない。


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step3 コメント

・択一式の厚生年金保険法の問10は、Eが事例的な問題であり、正解肢でもありました。解答もC以外に万遍なく分かれていて、明確に答えを出し切らないまま、迷いながら解答している方が多かったように見受けられます。



明日もがんばりましょう。
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