2017年04月11日

「第2次ランチタイム・スタディ」の第34問です。

「第2次ランチタイム・スタディ」の主旨については、2月21日の佐藤塾ブログの『第2次「ランチタイム・スタディ」開始のお知らせ(ブログの記事のご案内)』をご覧ください。


さて、34問目は、択一式の労働者災害補償保険法です。

正答率68%の問題です。


<問題( 択一式 労災 問5 )>

〔問〕 労災保険制度に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 業務に従事している場合又は通勤途上である場合において被った負傷であって、他人の故意に基づく暴行によるものについては、当該故意が私的怨恨に基づくもの、自招行為によるものその他明らかに業務に起因しないものを除き、業務に起因する又は通勤によるものと推定することとされている。

B 医師、看護師等医療従事者の新型インフルエンザの予防接種(以下、本肢において「予防接種」という。)については、必要な医療体制を維持する観点から業務命令等に基づいてこれを受けざるを得ない状況にあると考えられるため、予防接種による疾病、障害又は死亡(以下、本肢において「健康被害」という。)が生じた場合(予防接種と健康被害との間に医学的な因果関係が認められる場合に限る。)、当該予防接種が明らかに私的な理由によるものと認められる場合を除き、労働基準法施行規則第35条別表第1の2の6号の5の業務上疾病又はこれに起因する死亡等と取り扱うこととされている。

C 出向労働者が、出向先事業の組織に組み入れられ、出向先事業場の他の労働者と同様の立場(身分関係及び賃金関係を除く。)で、出向先事業主の指揮監督を受けて労働に従事し、出向元事業主と出向先事業主とが行った契約等により当該出向労働者が出向元事業主から賃金名目の金銭給付を受けている場合に、出向先事業主が当該金銭給付を出向先事業の支払う賃金として当該事業の賃金総額に含め保険料を納付する旨を申し出たとしても、当該金銭給付を出向先事業から受ける賃金とみなし当該出向労働者を出向先事業に係る保険関係によるものとして取り扱うことはできないこととされている。

D 船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となった際現にその船舶に乗っていた労働者又は船舶に乗っていてその船舶の航行中に行方不明となった労働者の生死が3か月間わからない場合には、遺族補償給付、葬祭料、遺族給付及び葬祭給付の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となった日又は労働者が行方不明となった日に、当該労働者は、死亡したものと推定することとされている。

E 航空機が墜落し、滅失し、若しくは行方不明となった際現にその航空機に乗っていた労働者又は航空機に乗っていてその航空機の航行中行方不明となった労働者の生死が3か月間わからない場合には、遺族補償給付、葬祭料、遺族給付及び葬祭給付の支給に関する規定の適用については、その航空機が墜落し、滅失し、若しくは行方不明となった日又は労働者が行方不明となった日に、当該労働者は、死亡したものと推定することとされている。



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step1 正解は・・・



C

   

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step2 解説

A 〇  (法7条1項1号、平21.7.23基発0723第12号) 本肢のとおりである。他人の故意に基づく暴行による負傷については、従来、個別の事案ごとに業務(通勤)起因性の有無を判断してきたが、近時の判断の動向や認定事例の蓄積等を踏まえ、本肢のような取扱いとすることとされた。

B 〇  (法7条1項1号、平21.12.16基労補発1216第1号) 予防接種については、通常、本人の自由意思によって行われ、当該労働者の業務として行われるものとは認められないことから、当該予防接種により健康被害が生じたとしても、健康被害は業務に起因するものとは一般的には認められず、労災保険の給付の対象となるものではないが、医師、看護師等医療従事者については、優先接種の取扱いに伴い、必要な医療体制を維持する観点から、業務命令等に基づいて予防接種を受けざるを得ない状況にあると考えられることから、予防接種による健康被害が生じた場合(予防接種と健康被害との間に医学的な因果関係が認められる場合に限る。)については、当該予防接種が明らかに私的な理由によるものと認められる場合を除き、業務上の疾病又はこれに起因する死亡等として取扱うこととなり、労災保険給付の対象とされる。

C ☓  (法3条1項、昭35.11.2基発932号) 本肢の場合には、出向労働者が出向元から受けた賃金名目の金銭給付を出向先から受ける賃金とみなし当該出向労働者を出向先事業に係る保険関係によるものとして取り扱う。

D 〇  (法10条) 本肢のとおりである。「死亡の推定」は、労働者の遺族に対して迅速に保険給付を行うために、民法に対する例外規定として置かれている。死亡の推定がなされるのは、“船舶又は航空機の事故”により、①労働者の生死が3箇月間わからない場合、②労働者の死亡が3箇月以内に明らかとなったがその死亡の時期が不明な場合、である。

E 〇  (法10条) 本肢のとおりである。船舶の沈没及び航空機の墜落等の事故が発生した場合であって、労働者の生死が3か月間不明である場合、又は3か月以内に死亡が判明したが死亡時期が不明な場合には、本肢の死亡の推定が行われる。なお、障害補償年金差額一時金又は障害年金差額一時金についても、死亡の推定の規定が適用される(法附則58条4項、法附則61条2項)。



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step3 コメント

・択一式の労働者災害補償保険法の問5は、問題文が長文であり、読み解くのに時間がかかったことと思います。解答は、主にA、C、Eに分かれていましたが、一つ一つの肢の正誤を丁寧に判断していくことにより正解できた方が多かったのではないでしょうか。



今日は練習問題はありません。

来週もがんばりましょう。
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