2016年10月03日

朝日新聞デジタルが、平成28年版労働経済白書を取り上げて、「終身雇用「希望」は6割 でも「可能」は3割どまり」という記事を書いています。

マスコミが記事として出しているくらいですから、ここはチェックしておく必要があります。


内容を簡単に記載しておきます。(平成28年版労働経済白書177~178ページ)

<労働者の働き方に関する意識>
望ましい働き方について、「出来るだけ1つの企業で長く勤めあげることが望ましい」又は「どちらかといえば望ましい」と考えている労働者の割合は60.7%である一方、「企業にとらわれず、もっと流動的に働けることが望ましい」又は「どちらかといえば望ましい」と考えている労働者の割合は16.6%となっており、相対的に、多くの人が一つの企業で働き続けることを望んでいることが分かる。

<実際の働き方についての労働者の考え>
「実際に1つの企業だけで、一生、働き続けることは可能である」と考えているのか、「企業の倒産や(正社員でも)解雇はいつ起こってもおかしくない」と考えているのかについて、労働者の意識をみると、「実際に1つの企業だけで、一生、働き続けることは可能である」又は「どちらかと言えば可能である」と考えている労働者の割合は35.8%となっている一方、「企業の倒産や(正社員でも)解雇はいつ起こってもおかしくない」又は「どちらかといえばおかしくない」と考えている労働者の割合は38.8%となっており、労働者の希望とは異なり、約4割の労働者は現在の労働市場のありようについて厳しい意識を持っていることが分かる。

<どのような状況にある労働者が現在の労働市場のありように厳しい意識を持っているのか>
(1)企業規模別
規模別にみてみると300 人未満の企業については40.2%の人が、300 人以上の企業については37.3%の人が「実際に1つの企業だけで、一生、働き続けることは可能である」又は「どちらかと言えば可能である」と考えており、企業規模による大きな違いがないことが分かる。

(2)年齢階級別
年齢階級別にみると、「企業の倒産や(正社員でも)解雇はいつ起こってもおかしくない」又は「どちらかといえば、企業の倒産や(正社員でも)解雇はいつ起こってもおかしくない」と考えている労働者の割合は若い世代ほど高くなっており、40 歳台、50 歳台はそれぞれ37.8%、35.6%であるのに対し、20 歳台、30 歳台はそれぞれ41.0%、41.4%となっている。

<転職する場合の自身の能力や経験の評価>
自身の能力や経験が、転職市場において、「大いに評価されると思う」又は「ある程度評価されると思う」と回答した労働者(以下、「自己評価が高い労働者」という。)は42.7%、「何とも言えない・分からない」と回答した労働者は19.8%、「あまり評価されないと思う」又は「まったく評価されないと思う」と回答した労働者(以下、「自己評価が低い労働者」という)は37.4%となっており、転職市場において、自身の能力や経験が評価されると考えている労働者は半数に満たないことが分かった。



<まとめ>

約6割の労働者が「出来るだけ1つの企業で、長く勤める」ことを望んでいる。
②一方で、約4割の労働者が、「企業の倒産や(正社員でも)解雇はいつ起こってもおかしくない」と考えている。
③倒産や解雇に関する危機感は、若年世代において危機感が高く企業規模によって違いは見られない
④転職市場において、自身の能力や経験が評価されると考えている労働者は半数に満たない

労働者は一つの企業で働き続けたいと思っているものの、若年世代を中心に労働市場のありようへの危機感は高くなっており、倒産や解雇はいつ起こってもおかしくないと考えている労働者が多い。転職に自信が持てない人も少なくない。



本日から、「ランチタイム・スタディ」を開始します。

「ランチタイム・スタディ」の主旨については、9月29日の佐藤塾ブログの
「ランチタイム・スタディ」開始のお知らせをご覧ください。

さて、本日、栄えある第1問ですが、なんと選択式になりました。

正答率96%の問題です。



<問題(選択式労災A及びB)>
労災保険法第13条第3項によれば、政府は、療養の補償給付として療養の給付をすることが困難な場合、療養の給付に代えて A を支給することができる。労災保険法第12条の2の2第2項によれば、「労働者が故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて B に従わないことにより」、負傷の回復を妨げたときは政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。



step1 選択肢を見ない状態で、答を紙に書いてみてください。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------
step2 次の選択肢の中から答を選んでください。



A: ③ 治療材料   ④ 薬剤  ⑤ リハビリ用品  ⑦ 療養の費用
B: ① 業務命令  ② 就業規則  ⑥ 療養に関する指示  ⑧ 労働協約



-------------------------------------------------------------------------------------------------------
step3 正解は・・・



A → ⑦ 療養の費用(法13条3項)
B → ⑥ 療養に関する指示(法12条の2の2第2項)
   


-------------------------------------------------------------------------------------------------------
step4 コメント

・Aは、療養補償給付の原則(療養の給付)と例外(療養の費用の支給)を論点とする基本問題です。ここは、選択肢を見なくても、書けなければいけません。

・Bは、支給制限に関する条文ベースの問題です。選択肢のダミーがダミーだけに、誤ってしまう可能性は低いと思いますが、「療養に関する指示」という語句は明確に意識しておきましょう。



-------------------------------------------------------------------------------------------------------
step5 練習問題(チャレンジしてみよう!)

<問題>
労災保険法第13条第3項によれば、政府は、療養の補償給付として A をすることが困難な場合、 A に代えて療養の費用を支給することができる。労災保険法第12条の2の2第2項によれば、労働者が故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、 B を妨げたときは政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。



-------------------------------------------------------------------------------------------------------
step6 練習問題の解答



A → 療養の給付(法13条3項)
B → 負傷の回復(法12条の2の2第2項)



明日もがんばりましょう。




☞ 次の【ランチタイム・スタディ 2 】をご覧になりたい方はこちら



2016年10月01日


本音の質問が届きました。社労士の将来性に関する質問です。
実は、いくつか同じような質問が届いていますので、今回、[質問]と[回答]の代表例を掲載させていただきます。

 

[質問]

懸命に勉強をして社労士に合格できたとしても、独立して成功するのは、2世等の既にコネクションを持っている方を除くと困難を極めると友人から聞きました。もちろん、能力等の個人差があるため、一概に言うことはできないのはわかっていますが、社労士の資格を取得して、この先、食っていけるのでしょうか。私は現在まで総務や人事等の社労士が関わる仕事とは全く畑違いの仕事に従事しています。

 

[回答]

まず、理解していただきたいのは、資格とは人生の道具です。

単に資格を取得したからといって、バラ色の世界が広がっているはずがありません。これは、どんな資格でもそうです。たとえ、弁護士、公認会計士、司法書士又は税理士であっても、資格を取得するだけで金儲けができるかといえば、それだけではできません。

もちろん、社労士資格も同じで、取得しただけですぐに収入に直結するはずがありません。資格は、自分の生き方、稼ぎ方の一つの道具に過ぎないのです。

 

でも、この道具を持っているのと持っていないのでは、その人の人生における選択肢が大きく変わってきます。道具を持てば、その人の人生における選択肢が一つ増えるわけです。これは人生にとって、大きなプラスだと思います。自分の人生が大きく変わる可能性があるものです。

 

さて、社労士だけで食えるのかというご質問ですが、これはその人のその道具の使い方で、食えるでしょうし、また、食えないでしょう。社労士の2世でないと、ものにならないというのは、全く当てはまらないと思いますよ。それは、その世界で負けた人が言う言葉じゃないでしょうか? もちろん、その人の資質にもよるとは思いますが、私自身の周りには何人もの方が社労士一本で頑張っています。

私の知る限りでは、社労士のみで億からの売上を上げている方も存じ上げています。従業員を何人も抱え、各社の給与計算を含めて社労士業を幅広くやっています。もちろん、2世ではありません。

また、特に何の考えもなく、とりあえずムードにのって開業したものの、結局廃業してサラリーマンに戻ったという方もいます。これは、スタートする時の考えが甘かったのではないでしょうか。

逆に社労士2世の方が親の業を引き継いだものの、評判が悪く、顧客を減らしているという方もいます。もちろん2世で親の業を引き継ぎ、その人の新たな考えを織り込んで、大きく伸ばしている方もいます。

また、2世の場合、それはそれで親と比べられたりしますから、肩身が狭い思いをしたり、親の職業を継がないとならない制約があるなど、2世ならではのさまざまなプレッシャーがあることも耳にします。

 

「社労士では食えない!」と言う方は、逆に何なら食べていけると思っているのでしょうか? それであれば、その食べられる世界に行かれたらよいと思います。サラリーマンですら、最近はのんべんだらりでは食べていけない時代になっています。何処の世界でどうやっていくのかを考え、その道の努力をするのが、人の生き方ではないでしょうか?

 

また、総務人事など社労士分野の実務経験が無い事を気にされているようですが、逆に他の世界の経験が、士業の業務に活きてくるものです。これからの社労士は、総務人事分野だけでなく、経営全体に対するアドバイスをしていく必要があるからです。企業を取り巻く諸問題は複雑化していて、「これは人事の問題」、「これは経理の問題」など明確に分けられなくなってきています。だから、社労士でも経理や製造、物流など様々な視点が必要です。

 私個人の意見としては、人事総務経験者でない方が、大成するポテンシャルを持っていると思います。最近は、理系の社労士も増えてきています。「人事総務経験がない」ではなく、「他の分野に強みを持っている」と考えた方がよいと思います。

 

更に、昨今、社労士の専門性が発揮される分野は、広がってきています。

例えば、メンタルヘルスの問題。「うつ」が社会的問題になっていますが、職場におけるメンタルヘルス対策には、社労士の専門性が不可欠です。メンタルヘルス不調者が出た場合、一定期間休職できる制度を作るのか、もし休職するのであればその間の処遇はどう決めるのか、元気になって職場に戻る際の配属はどうするのか。このような事をしっかり定め、就業規則を作成するためには、社労士の力が必要です。

少子高齢化問題にも社労士の力が必要です。定年後、再雇用した方のお給料や賞与や退職金の有無なども決めなければなりません。企業の原資と社会のニーズを調整することも社労士の腕の見せ所です。

育児休業を取る人も増えています。育児休業後の復職時、短時間勤務制度を導入した場合は、どういう給料にして、人事考課はどのように行うのか。やはり普通の社員と同じようにはできないため、他社事例などを用いて経営者に制度提案するのも社労士の仕事です。

最近では、親や身内の介護のために仕事を続けられない人が多くなってきています。こういった状況にどう対応すべきかを考え、企業に合った就業規則を作成していくこともりっぱな社労士の業務です。

 

何れにしろ、今後の人生、どう選択されるかは貴方自身が考えなければならないことですが、やれない理由を考えたらきりがありません。もし、社労士の勉強をされているのであれば、それも貴方の人生の道具の一つとして、取得されたらよいのではないですか? その経験、貴方の人生に必ずや活きると思いますが・・・。

あえて、自分で人生を狭める必要はないと思います。また、社労士を取得したからといって、それが人生の全てでもありません。もし、ご自分で意味がないと思われるなら、違う道を探される方がいいと思います。

 

今回、いろいろ書かせていただいたことが参考になるかどうかわかりませんが、少しでもお役に立つことができれば幸いです。

末筆になりますが、今後のご成功を心よりお祈りいたしております。