2020年05月21日

こんな記事がありました。

コロナで派遣切り続出の「5月危機」迫る “ロスジェネ”世代にまた職を失う逆風か

この本文の中で、「5月危機」の説明が次のようにあります。

全国に144万人いる派遣社員のうち、7割強は雇用期間が限られている。
派遣社員の契約は3カ月ごとに更新するのが主流だが、雇い止めする場合、派遣会社は30日前までに本人に通告の義務がある。
7月以降の契約については、30日前の5月末が更新の最終ライン。
現在、新型コロナウイルスの影響で、企業の経営が全体的に悪化しており、5月末のタイミングで雇い止めの通告が一気に増加するという見方がある。


心配なニュースですね。
確かに、5月末のタイミングで雇い止めの通告はありえるように思われます。


この記事に目を通したあとには、せっかくなので、次の3つを検証しておきましょう。
①全国の派遣社員は144万人なのか。
②派遣社員のうち、雇用期間が限られているのは7割強なのか。
③派遣社員の契約は3カ月ごとに更新するのが主流でいいのか。

要するに、次のように本試験で出題された場合に、正解できるかどうかということになります。

全国に A 万人いる派遣社員のうち、 B 割強は雇用期間が限られており、派遣社員の契約は C ごとに更新するのが主流である。


①の「全国の派遣社員は144万人なのか。」については、調査によっても、時期によっても多少、違ってきます。

「労働力調査(詳細集計)2019年(令和元年)平均結果の概要」によると、次の表のようになります。

非正規・職員の内訳


ここでは、派遣労働者数は141万人となっていますが、覚えやすいように、約150万人でいいです。
男女比は、女性が約6割。

せっかくなので、その他も押さえてしまいましょう。

非正規労働者の人数は、約2,000万人で、そのうち、パート・アルバイトが約1,500万人、契約社員が約300万人。
女性の非正規労働者の人数は約1,500万人で、女性のパート・アルバイトは約1,000万人。


②の「派遣社員のうち、雇用期間が限られているのは7割強なのか。」については、「労働者派遣事業の令和元年6月1日現在の状況(速報)」によると、次のようになります。

派遣労働者数・・・約157 万人(対前年度比:17.3%増)
(a)無期雇用派遣労働者 550,625 人(対前年度比:41.3%増)
(b)有期雇用派遣労働者 1,015,174 人(対前年度比:7.3%増)

とすると、期間が限られている有期雇用派遣労働者の割合は、
 1,015,174 人 ÷ 約157 万人 = 64.3%

したがって、派遣社員のうち、雇用期間が限られているのは「7割強」ではなくて、「約64%」すなわち、約3人に2人ということになります。

なんだ、報道と違うじゃないか、と思われる人もいると思いますが、報道は必ずしも正確とはいえません。
というのも、無期雇用派遣労働者が、昨年比較で、41.3%も増えていて、対する有期雇用派遣労働者は、増えているものの、7.3%増です。

したがって、昨年の数値に割り戻して計算した場合、「派遣社員のうち、雇用期間が限られているのは70.8%、すなわち7割強」で正しいこととなりますので、報道は直近ではなく、昨年の割合を引っ張ってきたことが読み取れます。


③の「派遣社員の契約は3カ月ごとに更新するのが主流でいいのか。」についてですが、「平成29年派遣労働者実態調査【事業所調査】(再集計確報版) 」によると、次の記述があります。

〇派遣契約期間
派遣労働者が就業している事業所について、契約の件数を事業所が結んでいる派遣契約の期間別の割合でみると、「2か月を超え3か月以下」が 46.7%と最も高く、次いで「3か月を超え6か月以下」21.0%、 「6か月を超え1年以下」12.5%の順となっている。

ということは、派遣期間3か月が多いことが読み取れます。

また、別の調査「労働者派遣事業の平成30年度事業報告の集計結果(速報)」では、次のような記述があります。

〇派遣契約の期間
1月以下が 44.3%(内、1日以下が 29.7%) 、3月以下が 88.3% となっており、6月以下のものが全体の 97.4%を占めている。

調査によって、数字が異なりますが、ここは、どうやら「3か月ごとに更新するのが主流」でいいようです。


ここでは、試験対策として、次の3点を押さえておきましょう。

派遣労働者数約150万人(前年より増加女性の占める割合は約6割)である。

②派遣労働者のうち、約3人に2人は有期雇用派遣労働であり、昨年は、無期雇用派遣労働者が大幅に増えた。(約1.4倍)

③派遣社員の契約期間は、3か月位が最も多い。


試験対策に役立ちましたでしょうか。



こんな記事がありました。

最悪301万人が失業恐れと試算 コロナ打撃、リーマン超え

この記事にあるように、「全国で最大301.5万人が失業する恐れがある」となると、現在の失業者を加え、約450万人の完全失業者となり、完全失業率は、5%台程度にとどまらず、7%近くまで達することになります。

リーマンショック後(2008年リーマンショック後の2009年数値)は、完全失業者数336万人で完全失業率が5.1%でしたから、それを大きく上回ることになってしまいます。

完全失業者・失業率


なお、今年の試験対策の数字としては、「完全失業者数162万人完全失業率2.4%で、男性の方が女性よりも、完全失業者数・率ともに高い」となりますので、間違えのないようにしてください。



「ランチタイム・スタディ 2020統計数値」の59日目は、「毎月勤労統計調査令和元年分結果確報」及び「令和元年賃金構造基本統計調査結果の概況」から「現金給与総額」「一般労働者の賃金」の過去問です。


<問題(現金給与総額、一般労働者の賃金)>

〔問〕 賃金の動向に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A 「毎月勤労統計調査令和元年分結果確報」(事業所規模5人以上)によると、令和元年の1人平均月間現金給与総額は、所定内給与、所定外給与、特別に支払われた給与ともに減少していることから、対前年比減となった。

B 賃金には名目賃金と実質賃金という概念がある。ある時点の賃金が月額20万円で、その1年後に月額22万円に増加したとする。この場合、名目賃金が10%増加したのであって、これだけでは実質賃金がどれだけ増加したのかは分からない。

C 「毎月勤労統計調査令和元年分結果確報」によると、令和元年の実質賃金は、0.9%増となった。

D 平成13年版労働経済の分析(労働経済白書)では、一般労働者に比べ賃金の低いパートタイム労働者の増加は、平均賃金を押し下げる効果を持っている、と分析している。

E 「令和元年賃金構造基本統計調査結果の概況」によれば、一般労働者の賃金がピークとなる年齢階級は、男では50~54歳で423,700円となっている。また、女性も、50~54歳の275,800円がピークとなっているが、男性に比べ、賃金カーブは緩やかとなっている。




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step1 正解は・・・


C


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step2 解説

A 〇 (毎月勤労統計調査令和元年分結果確報) 本肢のとおりである。(H11-3E改)

B 〇 本肢のとおりである。(H13-4C)

C ☓ (令和元年賃金構造基本統計調査) 令和元年の実質賃金は、0.9%「減」となった。

D 〇 (平成12年毎月勤労統計調査、平成13年版「労働経済白書」) 本肢のとおりである。(H14-1A)

E 〇 (令和元年賃金構造基本統計調査) 本肢のとおりである。(H19-5D改)


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step3 コメント

・賃金の動向からの出題です。毎月勤労統計調査及び賃金構造基本統計調査からの過去問であり、令和元年の調査では、増加しているところと減少しているところが混在していますので、きちんと整理しておかないと正解できません。

・Bについては、「名目賃金」と「実質賃金」の違いを明確に押さえておきましょう。「名目賃金」とは、貨幣単位、つまり市中に流通している通貨の単位で表した賃金のことです。それに対して、「実質賃金」とは、労働者がその労働の対価として受け取る報酬である名目賃金を、その時点での物価水準で除した実際の購買力を示す賃金のことです。したがって、いくら名目賃金が上昇したとしても、それを上回る物価上昇であった場合には、実質賃金はマイナスになってしまいます。



明日もがんばりましょう。