2021年12月01日
62問目は、択一式の労働保険徴収法です。
正答率51%の問題です。
<問題( 択一式 徴収(雇)問9 )>
〔問〕 労働保険事務組合に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
A 労働保険事務組合は、雇用保険に係る保険関係が成立している事業にあっては、労働保険事務の処理の委託をしている事業主ごとに雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿を事務所に備えておかなければならない。
B 労働保険徴収法第33条第1項に規定する事業主の団体の構成員又はその連合団体を構成する団体の構成員である事業主以外の事業主であっても、労働保険事務の処理を委託することが必要であると認められる事業主は、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託することができる。
C 保険給付に関する請求書等の事務手続及びその代行、雇用保険二事業に係る事務手続及びその代行、印紙保険料に関する事項などは、事業主が労働保険事務組合に処理を委託できる労働保険事務の範囲に含まれない。
D 労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している事業場の所在地を管轄する行政庁が、当該労働保険事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する行政庁と異なる場合、当該事業場についての一般保険料の徴収は、労働保険事務組合の主たる事務所の所在地の都道府県労働局歳入徴収官が行う。
E 労働保険事務組合は、労働保険事務の処理の委託があったときは、委託を受けた日の翌日から起算して14日以内に、労働保険徴収法施行規則第64条に定める事項を記載した届書を、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない。
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step1 正解は・・・
E
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step2 解説
A 〇 (法36条)本肢のとおりである。なお、当該雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿は、完結の日から3年間保存しなければならない(則72条)。
B 〇 (法33条1項、則62条1項)本肢のとおりである。法33条1項の厚生労働省令で定める事業主は、同項に規定する事業主の団体の構成員又はその連合団体を構成する団体の構成員である事業主以外の事業主であって、当該事業主に係る労働保険事務の処理を当該事業主の団体又はその連合団体に委託することが必要であると認められるものとされている。
C 〇 (法33条1項、平12.3.31発労徴31号)本肢のとおりである。なお、労働保険料等の申告・納付に関する事務、雇用保険の被保険者の得喪の届出等に関する事務、保険関係成立届・雇用保険の事業所設置届等の提出に関する事務及び労災保険の特別加入の申請等に関する事務は事業主の委託を受けて処理することができる事務とされている。
D 〇 (則69条、整備省令13条)本肢のとおりである。ただし、当分の間、雇用保険の任意加入申請書、雇用保険の保険関係消滅申請書、保険関係成立届、名称、所在地変更届及び代理人選任・解任届の提出については、委託事業主の事業場を管轄する行政庁に対して行うことができる。
E × (則64条1項)労働保険事務組合は、労働保険事務の処理の委託があったときは、「遅滞なく」、労働保険事務等処理委託届を提出しなければならない。なお、労働保険事務等処理委託解除届についても、遅滞なく、提出しなければならないとされている(則64条2項)。
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step3 コメント
・択一式の労働保険徴収法の雇用問9は、労働保険事務組合に関する問題でした。労働保険事務組合認可申請書記載事項の変更届は14日以内ですから、これと混同してしまうと、他の選択肢も正解を特定しずらい問題が多いため、正解することが困難となってしまいます。
・今日から12月に入りますが、ランチタイム・スタディ(2021本試験)も約3分の2が終了しています。次の図をみてください。これは、ブログの左側の欄にある11月30日までのランチタイム・スタディに掲載した科目別問題数(本日は含まず)ですが、約3分の2が終了しているというのに、徴収法は今までに1問しか掲載されていません。ということは、10月掲載分を「易」、11月掲載分を「普」、12月掲載分を「難」と区分けすると、徴収法計6問のうち、5問は「難」に入っていることがわかります。令和3年度本試験択一式の徴収法は、それだけ難しい問題が多かったことがうかがえます。時折、「本試験で徴収法の得点が悪かった」という嘆きの声を聞きますが、例年に比べて難易度が高かったと思っていただき、気持ちを切り替えて学習に臨んでいってください。
明日もがんばりましょう。
2021年11月30日
61問目は、択一式の労災保険法です。
正答率54%の問題です。
<問題( 択一式 労災 問4 )>
〔問〕 心理的負荷による精神障害の認定基準(令和2年5月29日付け基発0529第1号)の業務による心理的負荷評価表の「平均的な心理的負荷の強度」の「具体的出来事」の1つである「上司等から身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」の、「心理的負荷の強度を『弱』『中』『強』と判断する具体例」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
A 人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない精神的攻撃が行われたが、その行為が反復・継続していない場合、他に会社に相談しても適切な対応がなく改善されなかった等の事情がなければ、心理的負荷の程度は「中」になるとされている。
B 人格や人間性を否定するような、業務の目的を逸脱した精神的攻撃が行われたが、その行為が反復・継続していない場合、他に会社に相談しても適切な対応がなく改善されなかった等の事情がなければ、心理的負荷の程度は「中」になるとされている。
C 他の労働者の面前における威圧的な叱責など、態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃が行われたが、その行為が反復・継続していない場合、他に会社に相談しても適切な対応がなく改善されなかった等の事情がなければ、心理的負荷の程度は「中」になるとされている。
D 治療等を要さない程度の暴行による身体的攻撃が行われた場合、その行為が反復・継続していなくても、また、他に会社に相談しても適切な対応がなく改善されなかった等の事情がなくても、心理的負荷の程度は「強」になるとされている。
E 「上司等」には、同僚又は部下であっても業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、その者の協力が得られなければ業務の円滑な遂行を行うことが困難な場合、同僚又は部下からの集団による行為でこれに抵抗又は拒絶することが困難である場合も含む。
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step1 正解は・・・
D
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step2 解説
A 〇 (令2.5.29基発0529第1号)本肢のとおりである。
B 〇 (令2.5.29基発0529第1号)本肢のとおりである。
C 〇 (令2.5.29基発0529第1号)本肢のとおりである。
D × (令2.5.29基発0529第1号)本肢の場合、心理的負荷の程度は「中」と評価される。
E 〇 (令2.5.29基発0529第1号)本肢のとおりである。
※上司等による次のような身体的攻撃・精神的攻撃が行われ、行為が反復・継続していない場合には、「中」とされる。
a 治療を要さない程度の暴行による身体的攻撃
b 人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない又は業務の目的を逸脱した精神的攻撃
c 必要以上に長時間にわたる叱責、他の労働者の面前における威圧的な叱責など、態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃
※上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた場合に「強」とされるのは、次の場合である。
①上司等から、治療を要する程度の暴行等の身体的攻撃を受けた場合
②上司等から、暴行等の身体的攻撃を執拗に受けた場合
③上司等による次のような精神的攻撃が執拗に行われた場合
a 人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない又は業務の目的を大きく逸脱した精神的攻撃
b 必要以上に長時間にわたる厳しい叱責、他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責など、態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃
④心理的負荷としては「中」程度の身体的攻撃、精神的攻撃等を受けた場合であって、会社に相談しても適切な対応がなく、改善されなかった場合
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step3 コメント
・択一式の労災保険法の問4は、心理的負荷による精神障害の認定基準からの出題でした。ここでは、認定要件と認定要件に関する基本的な考え方を押さえたうえで、認定要件の具体的判断として、心理的負荷の強度が「強」「中」「弱」の三段階のいずれに入るかの区分けができるようにしておいてください。
明日もがんばりましょう。